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Solitude, or something like that.

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

銀魂の銀時×沖田→土方です。土方は出てきません。
ミツバ編後です。
388で初めて書き込みしようとして撃沈しましたが、再びチャレンジ。
上手くいくか心臓バクバクいってますw

「…旦那、」
悪い夢から醒めたように、沖田はゆっくりとこちらを見上げた。
開ききった瞳孔に、ゆらりと光が戻る。焦点を銀時に合わせると、
沖田は眩しそうに目を細め、そっと伏せた。

沖田の瞳は髪や肌同様色素が薄い。

天人が持ち込んだ磁器人形によく似ていると銀時は思った。
一部上流階級者の間で好まれる精巧な愛玩である。
何が楽しいのか彼らはそれに服を着せえ髪を梳かし時には化粧も施し、
自分の子供や恋人同然に可愛がるのだそうだ。

無反応な人形相手にままごとをして何が楽しいのかね。
まったくセレブの考えることは庶民にはわからないねえと鼻で笑っていたものだ。

それなのに。

自分は今から、その人形を抱こうとしている。

Solitude, or something like that.

「何も、考えんな。」
耳たぶを啄みながら呟くと、面白い様に沖田の体が跳ねた。
窮屈そうにしっかりと下肢を締め上げている袴の帯をほどいてやると、
部屋中にしゅるりという衣擦れの音が存外大きく響いた。
沖田の瞳は伏せられたままだ。薄暗い明りを受けて、睫毛の形に影が落ちていた。

「何も考えなくて、いいからさ。」
言いながら、解いた締め紐で目隠ししてやると流石に困惑した様子が伝わったが、
大丈夫、考えるなと銀時が宥めると、小さく頷き、沖田は再び人形に戻った。

以前の沖田はこんな風に、まるでお人形のように、ただ大人しく可愛がられるような性質ではなかった。
大人しく可愛がられるどころか、ただ手を伸ばしただけで手酷い呪いでもかけてきそうな、そういう男だった。
しかし姉を亡くしてからというものの、以前のような沖田のサディスティックな性質はすっかり成りをひそめ、
まるで別人のようになっていった。
あの神楽がいくら挑発しても、さらりとかわしてしまう。
―銀ちゃん、あいつやっぱりどっかおかしいアル。…壊れちゃったのかな。
複雑な表情でそういう神楽に対して、銀時はただ黙って頭を撫でてやることしかできなかった。

それでも隊務はきっちりとこなしているらしく、
相変わらず真選組は江戸の破壊活動…もとい江戸の治安維持に勤しんでいる。
以前はちょくちょく顔をみせていた万事屋にもとんと現れなくなったので、
瓦版やかぶき町ニュースで彼らの忙しない公務の様子を追っていた。
「お手柄?! 一番隊隊長、またしても攘夷過激派を一斉確保で満面の笑み」
という見出しの記事には、不謹慎にもピースサインで映る沖田の写真が載っていたが、

それを満面の笑みと呼んでいいのか銀時には分りかねるた。

近藤や土方はといえば、努めてミツバの死に触れずにいるようにみえた。
それが彼らの優しさであると充分すぎる程に知っていたが、
銀時には彼らが彼女の死と沖田の苦しみから目をそむけているだけにしか思えなかった。
四十九日もとうに過ぎた。しかし、誰もが忘れられずにいることは明白だった。
毎日が淡々と過ぎていった。不気味な程、平穏な日々だった。

そんな中だった。

ある深夜、小腹が空き糖分調達に向かった時だった。
袋に詰まった菓子をつまみながら銀時が夜道を歩いていると、
すぐ脇の小道から嗅ぎなれたいやな匂いが鼻をついた。

血だ。
それも、おびただしい量の。

(…人の夜食タイム邪魔すんじゃねーよ。クソが。)
悪態を付きながら、それでも足が向いてしまう自分を銀時は呪った。
仕様がない、厄介事に首を突っ込むのは自分の専売特許なのだと、諦めにも似たため息をつく。
気配を消して、小道に入り込むと、より濃密な匂いがつんと鼻をつく。
それにしてもすごい匂いだ。あたり一面に充満している。

「…あっ…うわあああああああ!」」

―男の震えた声がする。
…一体何が起こっている?電灯がほんのわずかに差し込む小道に目が慣れるまで少し時間がかかった。
―4人、いや、5人…?
人が倒れている。
血だまりだ。

「…ひっ、ぃ…!たすけ…」

浪人風の男が地べたにへたりこんでいる。
腰が抜けているのだろう。刀を持つ手は震えており、失禁しているようだった。その男ののど先に、刀を突き付けている男がいる。

暗くて姿がよく見えない。
「…おい、」

銀時が声をかけた瞬間。
一筋の光が闇を裂いた。

男の首がぴぃんと飛んだ。
見とれるような太刀筋。

ああ、これは。

「…お前…」

呆然と立ち尽くす銀時を、男はゆっくりと振り返った。
その顔は赤く染まっていた。
まるで失った血色を他人の血で補おうとするみたいに。
渇きを、潤そうとするみたいに。

「奇遇ですね、旦那ァ。」
こんな所で、何してんですかィ。
その男、沖田は、悪びれない顔で銀時に近付いてきた。
当然ながら無傷だ。すべて返り血らしい。

「―あぁ?夜食買いに来たんだよ、悪ぃーかよ。」
銀時もいつもの調子で返してやると、
そうですか、旦那もつくづく間が悪いお人だと綺麗に笑う。

「でも、そんなんだといつか巻き込まれて死にますぜ?」
「厄介事に首突っ込むのが俺の商売なんでね、生憎。」
「はは。そーでしたね」
滴る赤いものをぴっと払い、慣れた動作で刀を鞘におさめると、
近頃の連中は過激派ばかりでいけやせん、体がいくつあっても足りやしねぇ、と沖田はぼやいた。

「一番過激なのは君だと思うけどねー。」
転がった死体を横目で見やる。運が悪い奴らだ。
「あはは。旦那にそう言われると、光栄だなァ。」
たいして面白くもなさそうにくつくつと笑う。
その笑い方がやけに鼻につくのは何故だろう。

「…邪魔して悪かったよ。後片付けあんだろ。じゃあな。」
なんとなしの苛立ちを隠せず、銀時は踵を返す。

まったく、いやなものを見た。
さっさと家に帰って糖分補給してクソして寝ちまえば、こんな事ぁすぐに忘れるだろう。

寝るに限るぜ、寝るに。

足早にこの場を立ち去ろうとすると、着流しの裾をきゅっと掴まれ、身動きを封じられた。

「…あんだよ。」
思わず振り返ると、すぐ後ろに沖田がいて驚く。
二つの大きな瞳がこちらを真っ直ぐ見ている。
銀時は思わずたじろいだ。

「旦那、待ってくだせェ。ちょっと頼みがあるんですがね、」
「…あ?」

――万事屋ってなァ、本当になんでもやってくれるんですよね?

とても嫌な予感がした。銀時の勘は良く当たる。

薄暗い明りの中で、銀時は月を眺めていた。
遠くからは三味線の音と、時折それに混じって妓の甲高い笑い声が聞こえた。
手持無沙汰にしている銀時の頬を、時々ぬるい風がそよそよと撫でていった。

沖田に指定された見世である。
胡散臭い見世で、案内も暖簾も出しておらず、銀時は困惑した。
しかし沖田に聞いた通り、軒先には蓮の花の模様の入った提灯がぶら下がっていた。
戸惑いながらも戸をたたくと、先の女将が顔を出しこの座敷へ通されたわけだ。

沖田は何故こんな見世を知っているんだろう。
胸糞の悪い想像がよぎり、頭を掻き毟る。
あのガキどーいう生活してやがるんだよ、と悪態をつく。
居心地の悪さを誤魔化そうと、用意された膳会席に箸をつけると品の良い、いかにも上等な味がした。
ついでにと酒を煽ると、なんともいえない心地のいい酔いが回る。これもいい酒だ。
おそらく、素面では色々と不都合があろうと沖田が手配したのだろう。
本当にどういうガキだ、あれは。
繊細な細工が施された煮物の人参箸でつまみ、丁寧に敷かれた赤布団とを見比べため息をつく。
布団はひとつ。もちろん、枕もひとつ。
(…まじかよぉぉおおお…)

あの晩、早々に帰ろうとした銀時を沖田は引き留めた。

振り返った銀時に、沖田は信じられないことにこう言った。
自分を抱いてくれないか、と。

一瞬、声に詰まった。
適当な冗談でも言って誤魔化そうと思った。
だけど、あまりにもきつく着流しの裾を掴むものだから。
悲痛な声で言うものだから。
冗談になど、できるはずがなかった。
それに何よりも銀時は、その深い紅色の瞳から目をそらすことができなかったのだ。

「旦那、待たせました。すみません。」
回想に身を委ねていた銀時は、その声を受けて意識を戻した。
遠慮がちに襖が空いた。沖田だ。

「…おぅ。」
何と言っていいかわからず、銀時は沖田を見やった。
あの晩のような隊服ではなく私服の袴を付けており、彼の幼さを引き立てていた。

「今日は、仕事は。」
「非番です。」
「…そうか。」
それ以上何を話せばいいのかわからなかったので、酒を勧めた。
未成年ですぜィ、と一応体裁を取り繕うとする沖田に、
今日はおっかねぇおまわりさんが非番らしいからねと猪口を渡すと、
あんた悪ィお人だ、と無邪気に笑い、一気に飲み干した。
言う割りに小慣れた飲みっぷりである。本当にどういうガキだ。

「…来てくれるとは、思いやせんでした」
「どうしてだよ。来たぜ?」
「はい。…だから、安心しやした。」
言いながら、銀時の肩に遠慮がちに頭を寄せてくる。
整髪料を付けていないさらさらとした髪からは、あの晩とは違い清潔な匂いがした。

「沖田くんたらもうお酒まわっちゃった?」
「そういうことにさせてください。…旦那、」

今度は首に手をまわし、ねだる様にぎゅっと抱きついてくる。
子供は体温が高いものだが、こいつはやけに冷たい体をしている。
…そうだ。こいつはまだ18だ。
人は切るは酒は飲むはしかもドエスだが、ほんの18歳のガキなのだ。
銀時はたまらなくなって小さな頭を撫でた。
指をすり抜ける髪の色は薄く、薄暗い明りを受け飴色に光るその様は、彼の姉のものによく似ていた。

「旦那…頼んます。」

沖田に言われるまでもなかった。
言い終わると同時に、銀時は沖田の口を塞いでいた。歯列をなぞり舌を絡め口内を犯すと、それだけで沖田の体が震えるのがわかった。
少し愉しくなってより深く舌を絡ませると、苦しいのか眉を顰めた。
その表情が妙に加虐心を煽って、焦らすように刺激を加え、今度は下唇を舌で遊んでやる。
むずがゆい刺激に沖田はふっと息を吐いた。

「俺、結構イケそうかも。」
「ふ。そりゃあよかった、」
息を荒くしながら、沖田はにっと笑った。
男とのセックスに抵抗がないわけではなかったが、
それでもどうしてなかなか、イケそうなのだ。
そんな自分に銀時は驚いた。

「それにしても、どうして俺なわけよ」
首筋に吸いつきながら、襟元に手を入れ中を探る。
胸の飾りを少しきつくつまんでやると、小さい声が漏れた。
「…どうしてっ…て…」
今度は舌で転がして、めいっぱい焦らしてから甘噛みしてやる。
沖田はもどかしげに銀時の肩に手を掛け、もう一度深く口づけた。
それだけで下腹部に甘い熱が湧き上がるのを、お互いに自覚した。

「あんたなら…旦那なら俺のこと、めちゃくちゃにしてくれそうかな、って。そう思ったんです。」

目を伏せ少し後ろめたそうに言う沖田を見て、銀時の頭にふっと嫌な考えがよぎった。

…おいおい、ちょっと待て。もしかして。

「―ああ。そういやお前の周り、めちゃくちゃ過保護な野郎ばっかりだもんな?ゴリラとかさ、」

アイツ、とか。

「っ!」
言った瞬間、びくりと跳ねた体が答えになっていた。
やはり、銀時の勘はよく当たるのだ。

「あーあ。そういうこと。」
「…すみません。」
気まずい空気に銀時は大きくため息をついた。

「謝んなよ、萎えるから。」
「っ、」
言い終わるより早く、沖田の肩を乱暴に布団に押し付け、
閉じられた下肢の間に自らの足を割りいれた。
「沖田くんさあ、」
白い首筋をきつく吸うと、赤い斑が浮き出た。
あの男はこれを見てどう想うだろうかと、少し意地の悪い考えが頭に浮かんだ。
こんな趣味の悪いことを考えるという事は、自分は今苛立ってんだなぁと銀時はぼんやり思った。

「なんも考えなくて、いーから。」

―銀さんにまかしておきなさい。
沖田が少し笑った気がした。

その後、要望通り滅茶苦茶に抱いた。
目隠しされた沖田は、銀時に抱かれながら何度もあの男の名を呼んだ。
それが腹立たしくてとにかく手ひどく抱いたが、それで満足のようだった。

事が終った後沖田は泣いた。
姉上ごめんなさいと、何度も泣いた。
壊れたように泣きじゃくるかわいそうなその人形を、銀時は抱きしめられずにはいられなかった。
もっと泣けばいいと思った。

泣けばいい。何も考えずに泣けば。

月明かりの中、生温い風が二人の頬を撫でていった。

(孤独か、それに等しいもの。)

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

長々と投下してしまい申し訳ありませんでしたあわわわorz
PCから投稿できず、携帯からちびちび書き込みました。
緊張しすぎてまだ心臓バクついていますw

391に投下する勇気をもらいました。ありがとう。

  • 凄く、凄く萌えた…!! -- ? 2010-07-22 (木) 06:56:40
  • 初めて銀魂で萌えた。 -- 2011-03-18 (金) 21:27:33

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