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ぬ/ら/り/ひ/ょ/ん/の/孫 夜三代目×鴆

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                     |  ぬら孫で夜リクオ×鴆だって
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  登場一週目から鴆にハマるとは
 | |                | |             \           思わなんだよ
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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あの日、命を助けられてからというもの、何度こうして酒を酌み交わしただろう。
夜気でひやりとした木の感触が心地よい縁側に腰掛けた鴆は、隣に座るリクオを横目で見やりながら、手にした盃を一息にあおった。
するりと咽喉を落ちていく冷酒は真水のようにさらりとした口当たりながら、至極上等な香りを放っていた。
一口飲めば上級品だと分かるそれを、けれど惜しむことなく豪快に飲み干す。
酒に酔いでもしなければ、二人だけの場をもたすことなどできる気がしなかった。
横に居るだけで感じる、あまりにも強大すぎる絶対的な妖気。
それを身に浴びるだけで、全身の毛がぴんと逆立ち毛穴の一つ一つが張り詰めるような感覚がした。
空になった盃に酒を注ぎ足すのも忘れ、思わずぼんやりとそちらを見つめてしまう。
凛とした怜悧な横顔は今宵の月よりよほど美しく、知らず知らずのうちに溜息が出そうなほどであった。

その姿を目に映すたびに、強く決意する。
――――自分はこの人のために生き、この人のために死のう、と。

信頼していた手下達に裏切られ屋敷を焼け出された鴆は、新たな住居の目星が付くまでの間、奴良家の客人として厄介になっていた。
あの夜のことを何も覚えていないらしい『昼間の』リクオには相変わらず苦手意識を向けられているようであったが、
皆が寝静まった頃に過ごす『夜の』リクオとの時間を思えば、その程度のことなど何の苦痛にもなりはしなかった。
花や月を肴に静かに酒を飲み、ぽつぽつと僅かばかりの会話を交わすその時間は、鴆にとって至福のひと時だったのだ。

「なぁ、鴆」
艶かしいまでの色気に満ちた声で突然名を呼ばれ、鴆は真横へと視線を向ける。
次の瞬間、すっくと伸ばされたリクオの腕に肩を絡め取られ、そのままずいと身体を引き寄せられた。
近すぎる顔に一瞬ぎょっとし、反射的に顔を逸らしそうになるのを力ずくで制止される。
不敵な笑顔でこちらを見やる相手の濡れた唇に、鴆はリクオの意図を悟った。
じっと自分を凝視するリクオの笑みは酷く妖艶で、それだけで氷のように固まってしまいそうだ。
二人の視線が虚空で交錯し、ねだるような甘い息がリクオの口元から微かに漏れ、鴆の首筋をくすぐった。

   

瞬間、このまま彼を押倒してしまいたい衝動に駆られ――。
――すぐさま、一瞬でもそんな事を考えた自分を縊り殺したくなった。
唇の端に、くすりと自嘲的な笑みが宿る。
そんなことは絶対にできないのに、どんなに恋焦がれていようともできるわけがないというのに。

永遠にも思えるほど長く、けれど現実には一瞬でしかない時間のあと、鴆は全身を捩って顔を横へ逸らした。
色事慣れしていない生娘のようなその反応に、視線の先にある双眸がむっとした様な色に変わっていくのが分かる。
「オレとするのは嫌だってのかよ」
はっとするほどに力強い腕で身体を引き戻され、ねめつけるような視線に射抜かれる。
その瞳が持つ圧倒的な熱に流されそうになる自分を押し留め、鴆は自嘲するようにふっと笑った。
「……そんなわけ、あるかよ」
「それなら」
「そんなわけねぇだろ。オレは、アンタの下僕になるって誓ったんだ。
 老い先は短いかもしれねぇけど、それでもアンタのためにこの身体を、命を使うって決めたんだ。……けど、」
責めるようなリクオの口調を無理に振り切って、鴆は心底悔しそうに歯噛みする。
ぎりぎりと噛み締められた奥歯が悲鳴のような音を立て、闇夜を占める静寂を荒っぽく引き裂いた。
嘲りばかりが含まれた唇を漸く緩めた鴆が、ぽつりと一言、声を漏らした。

「けどオレの種族は、同族以外とは交われねぇ」

そうして淡々と、至極当然のように鴆は続きを語る。
「……俺たち鴆の体液は、一滴飲み込むだけで胃の腑が焼け爛れる猛毒だ。
 免疫のねぇ相手が口吸いなんてしようもんなら、声を上げる間もなくお陀仏だぜ?」
「鴆……」
その言葉に対し静かに瞳を細めたリクオの顔を、鴆はどこか愉しげな想いで見やっていた。
物言わぬまま、口惜しそうに、或いは切なそうにそっと目を伏せるリクオの姿。
それは、鴆がこれまで見た彼の中で最も感情に溢れているように思えて、
彼にこんな表情をしてもらえるというだけで十分だと、妥協や強がりでなく本心からそう思えた。

   

己の身体は、焦がれた相手とまともに愛を確かめ合うこともままならないような毒の塊だ。
情人相手に口付けることも、繋がることも出来ぬ、致死性の猛毒薬。
好いた人ほど、愛した人ほど側に置くのが恐くなる、そんな抜き身の刀のような呪われた身体。
それが自分達、鴆という妖怪の暗くも怖ろしい本性で、けれど――――。

――――けれど、だからこそ余計に強く欲するのだ。
この血の最後のひとしずくまでも、心底惚れた相手のためだけに使いたいと。
己の寿命を犠牲にしてまでも手に入れた、ひどく強力な毒の身体を、ただ一人『その人』に捧げたいと。

「オレの唇はお前にはやれねぇよ、リクオ」

真っ直ぐに視線を向けてそう言うと、鴆はリクオの手を無理やり取って、己の胸元へと引き入れた。
サラシを解いた刺青だらけのその肌は、お世辞にも手触りがいいとは言いがたいざらりとした感触だった。
蝋細工のように白く滑らかなリクオのそれとは天と地ほども違う自身のそこに、しかし鴆はリクオの指先を招き入れる。
どくどくと波打つ左胸の真上にその掌を翳させると、未だ黙ったままのリクオから瞳を逸らすことなく続けた。

「けどな、その代わり、それ以外はみんなお前のもんだ。この血も肉も、何もかもをお前にくれてやる」

重なり合った手の下から、音を立てて脈打つ心臓の鼓動が感じ取れる。
リクオを前にした今の状況に興奮しているのか、そのリズムは常時より僅かに早くなっているように思えた。
掴んだ手首を更に強く握りこみ、もう一度リクオを見つめる。
瞳の先に居る彼は、それでもまだ沈黙を貫いていたものの、鴆は何も気にしてなどいなかった。
ただ、この強く美しい相手のために自分の全てを使える事に対する喜びだけが、今の彼には存在していた。

「だから」
「……何だ、その理屈は」

   

けれど鴆の決意の言葉は、腹立たしげなリクオの声に途中で掻き消された。
随分と苛立っているらしいのがよく分かる声音で、リクオは鴆に反論する。
「テメェ如き弱い妖怪の毒なんぞが、俺に効くかよ」
「……リクオ」
宥めるように優しく告げた名も、リクオの言葉を止めるには至らない。
更に目付きと語調を強め、彼は鴆へと掴みかかるようにして食って掛かる。
「オレを誰だと思ってやがるんだ。三代目を……ぬらりひょんの名を継ぐ男だぜ。それが……」
その必死な形相に、思わず鴆のほうがたじろぐ。
けれど、いくら力のある妖怪であろうとも、こればかりは無理な相談なのだ。
鴆の毒は、殺す相手を選ばない。リクオほどの力を持った相手でも、身体を内から腐らせるこの毒液の前で無傷ではいられない。
そのくらいのことは、リクオにだって分かっているだろうに。
駄々をこねる子供のようなその姿に、流石に声を上げようとした口を開きかけた鴆は、しかしリクオの次の言葉に固まった。

「……好きな男一人抱くこともできねぇで、一体どこが強ぇってんだ」

ぽつり、と。
リクオが口にしたその言葉に、背筋がぞくりと撫で上げられる。
それほどに、その台詞は彼にとって重く苦しく、けれど一方で天にも昇るほど誇らしいもので――。
どくどくどくどくどくどく。鼓動が、先ほどと比べ物にならないほど早鐘を打つのを感じた。
横に座るリクオに対し、言い知れぬほどの愛しさが今まで以上に込み上げてくる。

 
「リクオ」
名を呼んで肩を抱き、リクオの身体を強くこちらに抱き寄せた。
どことなく悄然とした表情でされるがままになっている彼の長い髪をそっとくしけずり、呆れたように告げる。
「……ったく、欲張りな男だな、テメェは。
 裏の世界を丸ごと手に入れようって奴が、そんな小さなもんに拘るんじゃねぇってんだ」
さらさらとした手触りの後ろ髪を梳きながらそう言った鴆に、リクオが「ふん」と小声で返す。
そのままぷいと横を向くと、リクオは鴆の着物をぎゅっと指先で掴み上げた。
指に込められた力はひどく強く険しくて、まるで絶対に離したくないとでも言うようだ。
「そんなに強く握らなくても、オレぁどこにも行きゃぁしねぇよ……」
「…………」

その台詞に無言で返しながらも、リクオは掴んだ着物の端を手放そうとしない。
その力強さを感じながら、鴆は一人、心中で思っていた。
ああ、オレがこいつに惚れたのは、きっとこういうところなのだろうな、と。
強く気高い妖怪の長でありながら、どこか子供らしい幼さを秘めた彼だからこそ、自分は囚われたのだ、と。
そしてやはり、自分はそんな彼のためにこの生涯を尽くそう。

彼が一番欲するものだけは、一生かかってもあげられない自分だからこそ、他の全ては彼に捧げよう。
そうすることが唯一、彼へのせめてもの償いになるだろうから。

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