ある一つの作り話2 後編
更新日: 2011-10-21 (金) 20:46:53
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
514の後編です。白犬学園パラレル、呉羽×唄(ナマ注意)
ぬる~くエロ入ってます。
マンション横の駐車場に車を停め、俺たちは外に出た。
自分の部屋のある三階まで、マンションの両端についた階段を上る。
俺の後ろで、呉羽くんが軽やかにローファーを鳴らすのが聞こえた。
追いつかれそうになるのが嫌で俺はわざと早足で上った。脚がもつれそうになった。
自分の部屋の前まで来ると、ドアノブに鍵を差し、ドアを開けた。
「入りなよ」と言うと、彼は「お邪魔しまっす」と会釈した。
頭を下げてもまだ彼のほうが大きかった。どういうことだ。
呉羽くんを玄関に上がらせ、リビングまで案内した。
キッチン横のソファに座らせると、彼は子どものようにソファをぺたぺたと触った。
「結構いい生地使ってますね。部屋も広いし、先生案外金持ちなんすね」
「貧乏そうに見えた?」 キッチンに向かい、コーヒーの準備をする。
流しの蛇口をひねってやかんに水を満たし、コンロにかける。
「あれで金持ちに見えたらちょっとすごいっす」 彼は茶化すように言った。「教師ってやっぱ儲かるんすね。俺も教師やろっかなー」
「キミが先生になるのはあんまり賛成できないな」
「冗談っすよ。ただの、冗談」
言いながら、呉羽くんが教師になるのもあながち不可能ではないなと思った。素行は良くないけれど彼の成績はすこぶる優秀だ。
はっきり言って学生時代の俺よりずっと賢い。「ずる賢い」という意味の名を自ら付けただけのことはある。
「あの。先生」 キッチンのカウンターから呉羽くんが顔を出した。「アレ弾いてみてもいいっすか?」
彼が指差した先には、壁に吊り下げられたアコースティックギターがあった。
俺が肯くと、彼はギターハンガーからアコギを下ろした。
「この前先生が弾いてたのとは違いますね」 弦のチューニングをしながら彼が言う。
顔にかかる髪の毛を耳に引っ掛け、再びソファに腰掛ける。
やかんから金切り声のような音が響いた。火を止め、布巾の上におろす。
インスタントコーヒーを入れた2つのコーヒーカップの中に、やかんのお湯をゆっくりと注ぐ。
俺と呉羽くん、2人分のコーヒーが出来上がった。
お盆にコーヒーカップとクリームを載せ、キッチンを出て、ソファの前のガラスのテーブルに置いた。
ソファに深く座ってギターを鳴らしていた呉羽くんが、俺に向かってぺこりと頭を下げた。
彼に残った幼さがほんの少し、その仕草で感じられた。
「夕飯まだ食べてないよね? 簡単なものでいいなら作ろっか」
「いや、いいっすよ。すぐ終わるし」 クリームの容器を手に取り、蓋をはがしながら言った。
「でも長い話になるって言ってなかったっけ。俺と音楽の話をしたいとか、なんとかで」
「……先生」 クリームがコーヒーの上に落とされた。真っ黒だったコーヒーが、クリームに溶かされ柔らかな茶色に染まってゆく。
呉羽くんは長い指でコーヒーカップの取っ手を掴み、口元に運んだ。
「まさかその話、真に受けてたんすか?」
そう言って彼はコーヒーを飲んだ。彼の目元は嫌味なくらい涼しげだった。
俺の目は、出目金みたいに見苦しく開ききっていたというのに。
「やっぱりニブイんすね。先生って」
否応無く鼓動が高まった。
体の内側からガンガン音が鳴り響いている感じがした。
うるさい、うるさいうるさいうるさい。
彼はカップから口を離すと、床に突っ立つ俺を見上げた。
「あんなのウソに決まってんじゃないすか」
唇の端を広げ、彼はニヤリと笑った。さっき、微かに見えたと思ったあどけなさなど微塵も残っていなかった。
またしても俺は、この子の罠にまんまと嵌まってしまったのだ。
やられた。
俺は自分の時間が止まってしまった気がした。
「先生の部屋に来たのは、別の理由があったからなんです」 呉羽くんはコーヒーカップを静かにお盆の上に置いた。
「俺、先生の『声』が聞きたいんです」
「……え?」 どういうこと、と問いかける前に、伸びた腕に抱きすくめられた。がっちり胴体を抱え込まれ、頭からソファに倒れこんだ。
呉羽くんの膝の上にあったギターが床に落ちた。ジャランと、怒鳴るような荒い音がした。
鼻先に呉羽くんの首がある。この前と同じ香水の匂いがした。
「聞かせてくださいよ。あの時みたいな先生の声」
俺に馬乗りになり、呉羽くんが低い声で言う。長い髪の毛が頬にまで垂れ下がっている。
「この前のライブん時みたいな高くてエロい声、出してくださいよ。俺、間近で聞きたいんす」
顔が降りてきて、唇を重ねさせられた。
舌が入ってくる。コーヒーの苦味とクリームの甘みが、ごちゃまぜに口内に広がる。
「先生、学校では音痴だって皆に言ってるんでしょ? 嘘つきっすよね」
息の乱れた俺を見て、呉羽くんは笑う。そして耳元に唇を寄せる。
「あんなにイイ声持ってるのに隠しちゃうなんて。勿体無いっすね」
吐息を吹き込まれ、鼓膜が震える。柔らかい彼の唇が、耳の輪郭を緩やかになぞり上げる。
「……う、あ」 背筋を何かが駆け抜け、ゾクリと身震いした。これは、生物室で彼にキスをされた時に感じたのと同じだ。
「く、呉羽くん。キミは、俺に、何をする気なの?」
「言ってるじゃないすか。声が聞きたいって」
「だからって、こんなの、きっと違う」
彼がしようとすることの意味が分からないほど俺はバカじゃない。
だいたい俺は教師でキミは生徒じゃないか。こんなことをして良いはずが無い。
なのに、戸惑う俺に向かって呉羽くんは鮮やかに笑って見せるのだ。
「でも、これがホントの先生なんでしょ?」
そんなわけ無いだろ。
そう言いたかったのに、彼の目元が無邪気な子どもみたいに緩んでいたので、俺は思わず口をつぐんでしまった。
俺が呉羽くんの笑顔に見とれている間に、彼は着々と手を動かした。
スーツの上着のボタンを外し、肩からするりと脱がした。床に落とされた上着は、ギターの上に毛布のように覆いかぶさった。
彼は小気味良い音を立てながら俺のネクタイをほどき、俺の両腕をバンザイみたいに上げさせた。
「え、ちょ、呉羽くん」
「ジッとしてて。先生」 彼は器用な手つきで、俺の両手首をネクタイで縛り付けていく。手術中の外科医のように冷静な目だ。
「こうすれば、声、抑えられないでしょ?」
頭の上でクロスした手首は、ぴくりとも動かなかった。ピンで留められた蝶々みたいだ、と思った。
呉羽くんは俺に近づき、喉元に顔をうずめた。彼は獰猛な肉食獣のように、俺の首の皮膚に歯を立てた。
「っ」
喉仏に噛みつかれ、息が詰まった。
呉羽くんが肉食獣だとしたら、俺は草食動物なのかな。ラクダに似てるっていつも皆に言われてることだし。
そんなどうでもいいことに思考を巡らせている間に、彼の手は俺のシャツにたどりついた。
ボタンを外すごとに露わになっていく胸に、彼の唇が降ってくる。
「……っ、う、く」 生温かい粘膜が肌を撫でる。背中から首筋へ、這うように熱いものがこみ上げてくる。
必死で歯を食いしばって耐えるけれど、喉の奥から漏れ出る声は抑えられない。
手さえ使えれば、もっとマシになるんだけれど。
「我慢しないでください」 指でシャツを掻き分けながら呉羽くんが言う。
「先生、前の授業んとき言ってたじゃないすか。ヒトは所詮サルなんだから、自分たちは特別だ、なんて思い上がっちゃダメだって」
空っぽになりつつある頭からどうにか記憶を取り出そうと試みる。でも、うまくいかない。
俺はそんなことを言ってたっけ? 呉羽くんはその授業に出席していたっけ? それ以前に、そもそも彼は俺の授業なんて聞いていたのか?
「先生もホントはサルなんですよ。恥ずかしがったり気取ったりしても、根っこの部分は他の動物とまったく一緒なんです」
彼の声が頭の中をユラユラと漂う。まぶたが重くなる。身体の力が抜けていく。
「サルになっちゃってください、先生。俺も先生も、ただの動物なんですから」
そう言って、鎖骨の辺りにキスされた。
なにかが、弾けた。
シャツが脱げて、裸の肩が現われた。肌寒さに少しだけ震えた。
だけど、彼に胸をべろりと舐め上げられて、すぐに熱くなった。
「ん、あ、あっ……や、く、くれば、くん!」
声が溢れた。
何も考えられなくなった。考えるのが面倒くさくなった。
呉羽くんの言う通りだ。何が教師だ、何が生徒だ。元を正せば、俺たちただのサルじゃないか。
本能を満たしたいと思ってどこが悪いんだ?
「う、あ……も、くれ、ば、くん……」
「先生」
涙の滲んだ目で呉羽くんを見た。乱れた彼の黒い髪が、一筋だけ顔の前に垂れていた。
来て、と言いかけたところで、彼の顔が急に間近に迫ってきた。
「やっぱり期待通りでした」
呉羽くんは俺の目と鼻の先で、これ以上無いくらいの満面の笑みを浮かべた。俺はさっきまでの彼とのギャップに驚き、何度も眼を瞬いた。
「すみません。いきなりこんなことして」
そう言って呉羽くんは、俺の手首に巻きつけられたネクタイをほどき始めた。
「先生絶対歌ってくれないだろうから、こうでもしなきゃ『声』は聞けないと思ったんです」
え、ちょっと待って? 呉羽くん、キミはいったい、何をしているのかな?
困惑しきっている俺を尻目に、呉羽くんは手際よくネクタイを外し、俺の手首を自由にする。
二つ折りにしたネクタイをテーブルに乗せると、彼は髪の毛を整え、若者らしくはにかみながら言った。
「先生。実は先生に、お願いがあるんです」
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
まさかの寸止め!
正直、エロの書き方は未だによく分かりません……上手に書ける人はすごい。
ちなみにまだ続いちゃうんだぜ、この話。
次回は誰が生物室にゲストで来るのでしょう?
- これは素晴らしい設定と組み合わせ…!巡り会えて幸せです。ありがとうございます。 -- 匿名? 2011-10-21 (金) 20:46:50
このページのURL: