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武装錬金Ⅱ パピカズパピ

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

武/装/錬/金 前スレ12-20の続き。
変態が思いのほか自蝶しないのでやむなく表記変更。今回はずっとパピのターン。

 全てが紫色に包まれた仄暗い空間は、どこか淫靡で非現実的だ。
 濡れたリノリウム床に情けない格好で尻をつく自分自身の足も、覆い被さる蝶々覆面の男も、
薄い靄を通したように力ズキの目には悪い冗談めいて映る。
「……く」
 それでも肌を這いずる相手の舌と指の感触は、嫌になるほど現実味に溢れていた。
 刺激を受けるたびに力ズキは息を詰め、漏れそうになるおかしな声を噛み殺す。
 わずかな反応も見逃さず、ハ゜ピヨンが喉を鳴らして笑った。

 ――くそ、遊ばれている。
 腹立たしいが、ここは我慢だ。力ズキはひたすら時間が過ぎ去るのを待つ。
 ハ゜ピヨンは着衣のまま。対する自分は全裸だ。
 これは不公平ではないのか――いや。
 脳裏をよぎった思いを力ズキはすぐに捨て去った。
 核鉄を左胸に埋めた裸の自分と、下着の中に隠し持つハ゜ピヨンとは、戦闘力において対等だ。
 先刻は不意打ちで動転していたが、今はこちらにも心の準備ができている。
 万が一目の前の男が力ズキの生命を脅かすならば、突撃槍の武装/錬金を、無音無動作で胸から
直接発動させる。この距離ならまず外すまい。
 それに生ける公然猥褻罪であるこの男が、その自慢のスーツを脱ぐまいが正直大差はない。
 股間や丸出しの臍なぞすっかり見慣れているし、過去には勃起した全裸まで見ているのだから今さらだ。
 むしろ脱いで余計なことをされるより、早いところこの取立てを終わらせてほしい。
 甘んじてこの行為を受ける羽目になった数分前の会話を、力ズキはもう何度も反芻していた。

                *

「……ッ、武装――」
 突然のハ゜ピヨンの凶行に力の入らぬ身体を、力ズキは意志の力で無理やり奮い立たせた。
「そんなに怯えるなよ。何も取って喰いはしない。今はな」
 この男の場合、比喩ではないから始末に負えない。
 しかし一転して平常なその口調に、警戒しつつも力ズキは左胸に構えた手を下ろした。
 見かけによらず律儀な一面のある男だ。ひとまずその言葉を信用してもいいだろう。
 最後の一言はあえて聞かなかったことにして、何のつもりだ、と口を開きかけた――瞬間。
 暴力的に視界の一角に飛び込んできた、とても嫌な代物に思わず呻き声が漏れた。
 至近距離にある露出過多なスーツ。
 わざわざ注目を浴びるよう蝶の紋章が入った、その股間部分の隆起がいつもの比ではない。

 まさか。力ズキは未だ去らない切迫した危機感に、ようやく己の置かれた状況を顧みる。
 正面にはいつの間にか膝の間に割り込んだハ゜ピヨン。
 対する自分は腰にタオル一枚のみ。背後はフラスコ。退路なし。
 先ほどとは種類の違う戦慄が背を駆け抜けた。
 ――助けて、斗/貴/子さん!
 心で年上の恋人の名を呼ぶ。今度は比喩的な意味で、喰われる危険が迫っていた。

 無駄かもしれないが、まずは説得による現状の打開を試みる。
 話し合いは人間関係の基本だ、たとえ相手が人間をやめた男でも。
「ちょ、ちょちょ蝶/野……おおお落ち着け、な?」
「落ち着くのは貴様だ」間髪入れぬ返答。「四の五の言わずさっさとよこせ」
「な何を!?っていうか、まずそこをどけ!」
「命令するな、そして何度も言わせるな。俺から奪ったエネルギーを返せと言っている」
「……え?」
 ハ゜ピヨンは力ズキの下半身をびし、と大上段に指差し、言い放った。

「飲ませろ」
「うわあああぁぁぁあ!?」

 反射的に全力で後ずさろうとするが、膝を掴まれたうえフラスコに阻まれて叶わない。
 ――コイツヤバイ!いや、ヤバイのは初対面で判ってたけど今は切実にヤバすぎる!

「うろたえるな見苦しい。俺は構成物質ごとでしか人間を喰えないんだよ、貴様と違ってな」
 よりによってそんな手段しかないのか。
 力ズキは嫌な汗をかきつつ必死で窮地を逃れる術を考える。
 そうだ、この男がホムンクルス化した時は確か、掌から一瞬で人間を吸収していたはずだ。
「そんなに頭から丸ごと喰われたいのか貴様は?まあ俺はそれでも構わんが」
 代案は一蹴され、いよいよ泣きたくなってくる。
「……蝶/野、この埋め合わせはきっと他でするから……」
「俺は貴様に吸われた今、補給が必要なんだ。すまないとさっき俺に言ったのは口だけか」
「う……」
 痛いところを突かれ、力ズキは黙り込んだ。
 罪の意識を感じたのは紛れもない事実だ。謝罪の言葉にけして嘘はない。
 が、贖罪の方法に問題がありすぎる。
 ――コイツだって充分元気じゃないか……こんなことなら謝るんじゃ――
 心の片隅でそんなことを考えた自分にはっと気がつき、力ズキは自己嫌悪を覚えた。
 相手の態度がどうあれ、自分がハ゜ピヨンから生命力を奪ったことには変わりないのだ。
 自分はやはり偽善者なのだろうか。謝るなというハ゜ピヨンが正しいのか。力ズキの懊悩は続く。

 たっぷり3分間の葛藤の末、
「…………さっきみたいに痛いのは勘弁してくれ」
「決まりだな。安心しろ、優しくしてやる」
 ――ゴメン、斗/貴/子さん。一心同体の約束、オレ守れないかも……。
 やたら嬉しそうなハ゜ピヨンの股間の凶器から目を背け、力ズキはこっそりと落涙した。

                *

「――あぅッ!」
 乳首に爪を立てられた激痛で、力ズキは意識を現実に引き戻された。
「……ッ、約束が、違う…」
「この俺を相手に気を散らすとはいい度胸だな、貴様」
 相手がオマエだから散らしたいんだ、と言いたいのを堪える。それこそ何をされるか判らない。
 薄く血の滲んだ場所を、すかさず熱を帯びた舌が舐め啜る。
「はッ……ぅ、…く…」
 自分の声を聞くに堪えず、口を手で塞いでやり過ごす。顔が熱い。
 ちらと顔を上げたハ゜ピヨンはどこか楽しげだ。
「初心な反応だな……あの女とはもう少し進んでいるかと思っていたが」
「――オマエっ……見てたのか!?」
 数日前に学校の給水塔で交わした斗/貴/子との口付けに思い当たり、力ズキはうろたえた。
 そういえば飛行能力を持つこの男の武装/錬金なら、文字通り高みの見物など造作もなかったはずだ。
「ほう。何だ、やることはちゃんとやっているんじゃないか」
 すっと目を細めるハ゜ピヨンに、力ズキはしまったと口を噤む。墓穴を掘ったか。
「ま、あんな凶暴な女なんぞどうでもいい。あの貧相な身体では何をどれだけやろうが知れている」
 本人が聞けば即座に殺意と処刑鎌を向けるであろう台詞で、あっさり話題は打ち切られた。
 怒るべきなのかほっとするべきなのかよく判らない。
 生き返ってからのこの男が、どこかしら掴み所がないせいか。
 力ズキ自身がこの男に抱く感情の正体が、自分でもうまく名状できないからだろうか。

 べたつく内股を冷えた手が撫でてゆく。その感触に身を震わせつつ、力ズキは思う。
 ――いつ終わるんだ、これは。
 おとなしくされるがままになっていたが、いいかげん疑問になってきた。
 何しろ自分の意思とは無関係に、行為を始める前から力ズキの性器は既に臨戦態勢なのだ。
 本来ハ゜ピヨンの捕食対象はここではなかったか。
 考えてみれば男同士でツボなど心得ているはずなのだから、――まったくもって気は進まないが――
さっさと刺激して取るものを取ってゆけばいい。なのに一向に本筋に辿り着かない。
 切羽詰まったもどかしさに、つい力ズキは言ってしまった。
「なあ……、やるなら、その……早いところやってくれないか?……」
「おねだりか?はしたない奴だな貴様は」 
「ちっ……!違う!」
「そうかそうか。そうだろうな」
 慌てて否定した力ズキに、ハ゜ピヨンが加虐的な笑みを見せる。嫌な予感がした。

 宣言通り、ハ゜ピヨンは優しかった――無慈悲なまでに。
 一度を除いては爪や牙の存在など微塵も匂わせず、ハ゜ピヨンは絹のごとき繊細さで、力ズキの
あらゆる場所にくまなく触れていった。臍や足指の間、陰嚢の裏側に至るまで。
 ただ一点、痛いぐらいに猛った力ズキ自身を除いては。

 人肌を感じさせない手が、脇腹から乳首をぬらりと一気に撫で上げる。
「ひ、ぁあうッ……!」
 声を抑える気力はとうにない。
 生乾きだった力ズキの全身は再び濡れそぼっていた。
 フラスコ周辺の床に零れた充填液のぬめる水溜まりを、ハ゜ピヨンは悪魔の執拗さで塗りたくる。
 そのたびに背筋をぞくぞくと走るものが、生理的嫌悪なのか恐怖なのか、快感なのか。
 もはやそれらの感覚は力ズキの中で混じり合い、同一のものと化しつつあった。
 ホムンクルスの掌は不可思議な力で、ひた、と肌に吸いつき離れない。
 体温を奪われ縮こまったその場所を、人間を超える高熱の舌が這い回る。
 その温度差にすら身体が熔かされるような目眩を覚え、我知らず声が上がり、視界が熱く滲む。
「いい声で啼くじゃあないか、武/藤力ズキ」
 てらてらと粘っこく光る両の乳首を捏ね回され、舌で転がされる。
 氷と炎の舌に同時に責められているかのような錯覚。
 触覚を起点に全ての知覚が狂わされ、力ズキは己の正気が奈落の淵に落ちかけていることを自覚した。

 意に反して嬌声が漏れ続けた喉からは、もう無声音に近い掠れた声しか出ない。
 力ズキの理性は地獄の快楽の前に脆くも潰えようとしていた。
 肌への刺激だけで達しそうになると直前で行為を中断され、冷めかけた身体を再び限界まで
煽り立てられる。どれだけ繰り返されたかもう覚えていない。
 身体の中心はずっと前から硬く勃ち上がり、先端から透明な液体をとめどなく流していた。
 滞る熱の開放を求め、疼き続けるそこに半ば無意識に手が伸びる。と、
「食事の邪魔だ」
 手首を掴まれ――ついでのようにねっとりと指をしゃぶられ、片手でまとめ上げられる。
 限りなく優しい陵辱は、永遠にも等しい責苦に思われた。

「自分が今、どんな顔をしているか判るか?……武/藤」
 長い舌先で耳孔を犯しながら、ハ゜ピヨンが吐息混じりの声を注ぎ込む。
「そろそろ認めたらどうだ?貴様は男の愛撫でよがり狂う、淫乱な――」
「あ、…ぁああッ!」
 スーツ越しに昂ぶり同士を押しつけられ、力ズキの脳髄はその一点の強烈な快感で灼きついた。
 相手が誰かという認識も消し飛び、擦り合わせるように腰が動く。最後の一押しを求めて。
 寸前でハ゜ピヨンは、す、と下半身を引くと、力ズキの目を覗き込み、低く囁いた。
「――変態だ、って」
 覆面越しの瞳に映った顔は、己の見知らぬ懇願の色に染まっていた。

 唇に征服者の愉悦を浮かべ、男が笑う。
「素直に認めたら楽にしてやろう。さあ、せいぜい上手におねだりしてみせろ」

 ――何だ。
 一瞬、突き上げる射精感も忘れ、力ズキは涙に潤む目を瞬かせた。

 表情と台詞に、ひどくちぐはぐに。ほんの刹那。
 覆面の奥の、瞳が――
 頼りなく、揺らいだ。

 ――何だ、何か、コイツ、――

「――!や、ッあ、うああッ!」
 次の瞬間、局部から全身を駆け巡る電流に、焦点を結びきらない違和感はたちまち霧散した。
 屹立の根元を押さえ込んだハ゜ピヨンがその目で嘲笑し、力ズキの下肢の間に顔を埋めてゆく。
「や、…めッ、…!…」
 張り詰めた茎を人外の舌が音を立てて舐め上げ、力ズキは背を仰け反らせて悶絶した。
 堰き止められた欲望は脳天まで響く疼痛に変わり、呼吸もままならない。
 自由になった手は指先に力が入らず、己を苛む男の黒髪を弱々しく掻き乱すのが精一杯だった。
「やめてほしいのか?じゃあこれはやめてやろう」
 先走りを綺麗にしゃぶり尽くしたハ゜ピヨンは代わりとばかりに、充填液をたっぷり絡ませた掌で
力ズキのものを扱き上げ始める。
「…!……ッ…!」
 もはや声もなく、力ズキは首を狂ったように左右に振る。
「我侭な奴だな。何が望みだ、言ってみろ」

 もうこの無間地獄から逃れられるなら何でもよかった。
「イき、たい、…ッ…」
 心底からの切望が自然と口を割って出る。
「おやおや、自分のことだけか?大事なことを忘れるな、武/藤力ズキ」
 袋をやわやわと揉みしだきながら、ハ゜ピヨンが噛み含めるように告げる。
「貴様の相手が――誰なのか」

 獲物をいたぶる捕食者から発せられたはずの声音は、なぜか静謐な祈りにも、ひたむきな
幼子の懇願にも似た響きを帯びていたが、追い詰められた力ズキがそれに気づくことはなかった。
 きつく目を閉じて込み上げるものに耐える力ズキに、ハ゜ピヨンの表情は見えない。
 ただひとつだけ、混濁する頭でおぼろげに理解した。身体に覚え込まされようとしているものを。
「さ、もう一度だ。言え、貴様が本当はどんな奴で、誰に」
 ――この男が望む答えを言わなければ永遠に終われない。
「どんなことを、して欲しいのか」
「…あ、ああぁああッ!」
 鈴口に舌先を捻じ込まれ、力ズキの最後の理性が音を立てて弾け飛んだ。

「――オレは…ッ、」
 喉と唇が、生まれてこのかた口にしたこともない言葉を自動的に紡ぎ出す。

「淫乱…な、変態だッ…!は、やく、オレの…を、飲んで、お願いだ、から――イかせてくれ、蝶/野ッ!!」
 矜持も尊厳もかなぐり捨てた自分の声を、力ズキは他人のもののように聞いた。

「満点には程遠い回答だが――まあいい。ご褒美だ」
 声から一歩遅れ、力ズキの芯が熔鉱炉の灼熱に包まれる。
 二、三度の上下と同時に根元の縛めが解かれ、力ズキはあっけなく熔けた。
 堰を切った奔流はハ゜ピヨンの口腔に直行し、嚥下の振動が粘膜を通して直に伝わる。
 一滴漏らさず吸い上げるその貪欲な動きに促されるまま、力ズキは大量の精を吐き出し続けた。
「ゴチソウさま」
 かつてない放出の余韻に霞む意識の中、力ズキは場違いな食後の挨拶を遠くに聞いた気がした。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )パピヨソラボハ ヘヴォンモウソウ パラダイス

まだ続きます、スマソ。次回でようやく逆転の予定。
もうちょっと簡潔に書けるようになりたい。


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