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エフ/ワン 鰤眉

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ナマモノ注意
F/1の鰤眉
1月24日頃(?)に鰤が言った「眉が去ったら俺も去る」発言を元に捏造。

61-74 で、眉黄身を書いた者です。
こちらや本ヌレでコメントくれた姐さん方、ありがとうございました~!
この場を借りてお礼を。

2005年、フェノレナンド・ア口ンソは初めてWCに輝いた。
ドライバ-ズ・チャンピオン、そしてコンストラクタ-ズ・チャンピオンの
二つのタイトルを手に入れて、マイノレドセブンのライトブルーに彩られた
モータ-ホームは歓喜に湧きかえっていた。喜びを分かち合うクル-の間を
抜け、フラヒ゛オとフェノレナンドは取材陣の待ち受ける一角へと歩き出した。
勝利の喜びが体の隅々まで行き渡り、麻薬のように心身を甘く痺れさせる。
パト゛ックの物陰に差し掛かりほんの1、2分だけ二人きりになった時、
長身のフラヒ゛オはフェノレナンドの頭をすっぽりと腕に抱え込み、囁いた。
「おまえは最高だ。」
フラヒ゛オはそう言うとフェノレナンドの額に口付けた。
彼の祝福を青年は瞼を伏せて受けとめる。
「ああ、最高だね。みんな最高だ。今のこの瞬間も。」
男の唇が離れると、フェノレナンドはそう答えてこぼれんばかりの笑みを浮かべた。
その笑顔を覗き込み、フラヒ゛オも大きく口を開けて笑う。
辣腕を振るい富と成功を手に入れた男。私生活では多くの女性と浮き名を流した。
そんな彼だったが、この世で得難い宝物を見るように腕の中の青年を見つめた。

フラヒ゛オは人の才能を愛した。
モデル達の美貌や、自分の元を去りながらも7度王者に輝いたあの彼の唯一
無二の栄光を。種類は違っても今までに彼が愛情を注ぎ心血を注いだ人々だった。
そして腕の中に居る新最年少王者のことも。
彼の才能とは一流のドライバーであること。なおかつWCとなれるドライバー
であること。そして今年それを証明した。
フラヒ゛オが見出し、これからも彼の手の中で磨いていくのだ。
フラヒ゛オは彼の才能を愛していた。
愛情のままに再び彼に口付けた。今度は唇を重ねた。
不意の行動に、フェノレナンドは僅かに肩を強張らせた。
見ると、瞳が大きく揺れている。丸い頬は紅潮していた。
「マノレボ口マンめ…。」
青年はそう囁くと、揺れる瞳を隠すように目を伏せてそっと唇を舐めた。
唇への口付けは香りを残し、その残り香が青年を強く刺激したのだろう。
フェノレナンドはフラヒ゛オの愛煙する銘柄を挙げて、有名なヘビースモーカー
である彼を揶揄したのだ。
それは青年なりの僅かな抵抗だった。
態度とは裏腹に、彼の瞳はフラヒ゛オの愛情を受ける喜びに溢れ、輝いていた。

「さあ、祝福の時間は終わりだ。そろそろハイエナの相手をする時間だぞ。」
フラヒ゛オが言うとフェノレナンドは笑った。
「ハイエナ?記者のこと?まあ言葉は悪いが確かに言えてるね。貪欲だ。」
フラヒ゛オは不敵な笑みを浮かべた。
「記者はハイエナだ。だが他の奴らもハイエナだ。」
フラヒ゛オの言葉にフェノレナンドは更に笑う。
「それじゃあハイエナしか居ないじゃないか。」
フラヒ゛オは彼特有のおどけた仕草で続けた。
「そうだ、みんな他の奴の美味い肉を狙ってる。世の中ハイエナしか居ない
んだよ。よく覚えておくんだ。」
フラヒ゛オが持論を語り新王者の瞳を覗き込むと、目の前の彼は再び笑った。
こうしてフラヒ゛オがフェノレナンドに自分の物の見方を語って聞かせるのは
日頃からよくある光景だった。
「了解、ボス。」
行儀の良い生徒のようにフェノレナンドは返事を返す。
「余計な話はするなよ。一つの出来事にただの本当と都合の悪い本当が含まれる
場合は、半分の本当だけを話す。これがハイエナを相手にする時のコツだ。」
フラヒ゛オのおどけた動作に合わせて、フェノレナンドはくるくると瞳を回した。
「了解、ボス。今の会話も話さないよ。余計な話だからね。」
彼のちょっとした冗談に、フラヒ゛オは青年の髪を掻き回した。癖毛が指に絡む。
「そうだ。余計な話には本音がたくさん詰まっているからな。」
二人は笑い合った。
互いに肩を組み物陰から歩み出す。全てが、勝利の余韻と高揚感に包まれていた。

あれはもう二年前のことだ。
目の前に居るフェノレナンドが昔の話題を持ち出したので、フラヒ゛オはつかの間、
記憶に思いを馳せていた。フェノレナンドは自分の元を離れ、再び戻って来た。
二年前のフラヒ゛オにとっては想像もしなかった事態だ。2007年のノレノーは散々
で、フェノレナンドも散々な思いをした。どちらも痛手を負ったゆえの決断だが
得をしたのは自分だろう。そうフラヒ゛オは知っていた。そしてフェノレナンドも
分かっている。だが、どんな出来事よりもフラヒ゛オにとって意外だったのは、
一度自分に背を向けた人間を、自分が許していることだった。
今日は契約書に全てのサインを済ませる日となっていた。
他の人々はもう引き返し、広いフ口アの隅に配置されたテーブルを挟んで今は
二人だけがソファに腰を下ろしている。フラヒ゛オがフェノレナンドに残るように
言ったのだ。交渉の段階でフェノレナンドとは対話を重ねてきたが、フラヒ゛オは
もう少し彼と話すべきだと感じていた。過去の彼との決裂は決して穏やかなもの
ではなかった。彼と個人的な感情について話しをしたかった。
「父と息子のようだってさ。」
「なんだって?」
急な言葉にフラヒ゛オがテーブル越しに返事をすると、フェノレナンドは続けた。
「僕とあなたの仲を新聞がそう書いてたよ。だいぶ前のことだが…。」
どう返事をして良いものか分からず、フラヒ゛オは首を傾げた。沈黙するフラ
ヒ゛オに気が付くと、フェノレナンドは目を通していた契約書の束から視線を上げて、
唐突な切り出しについて説明した。

「こうして又戻ってくることになっただろ。そうしたら又書かれてたんだよ。
でも今度の見出しは“放蕩息子、育ての親元に帰る”だった。ゴシップ誌だ
けどね。」
言いながらフェノレナンドは苦笑した。
「がっかりだな。同じ仕事場に居るのにおまえの親呼ばわりされるとは、俺は
年寄り扱いってことなのか?それに、放蕩なら俺の方が自信があるってのに。」
フラヒ゛オがそうふざけるとフェノレナンドは歯を見せて笑った。
「父と息子か…。」
心ここにあらずといった調子で一言呟いてから、フェノレナンドは急に真剣な
眼差しになった。
「フラヒ゛オ、息子を欲しいと思ったことはあるかい?」
「…なんだって?」
思いもよらぬ質問にフラヒ゛オが問い返す。
「才能があって、タフで貪欲で、情熱と冷酷さを併せ持った息子だよ。共に
仕事をし、あなたに勝利と栄光をもたらす息子だ。」
フラヒ゛オは目を白黒させた。
「なんだそれは。おまえ俺の息子になりたかったのか?」
「違う。そう思ったことは無い。」
はっきりと否定しながら、だがフェノレナンドは意味深な言葉を続けた。
「でもあなたの息子になっちゃいけないとは思ってた。」
フェノレナンドの睫毛の奥に一瞬だけ暗い光が宿った。
(あなたの庇護の元だけで勝てるような王者には。)
そんな言葉がフェノレナンドの胸中を掠めたが、その言い方は彼の自尊心に触れた。
フェノレナンドは言い方を変えた。

「少し、余計な話をしても良いかな。」
余計な話。懐かしい言い回しだとフラヒ゛オは思った。二年前まで自分はこの
青年に勝利の哲学を仕込んでいるつもりでいたのだ。だが青年はフラヒ゛オに
いっぱい食わせ、彼の手元から飛び出して行った。自分は彼の所有物では無い
とでも言いたげに。
「俺は、待遇や開発や、チームの撤退の可能性や、目に見える部分にいくつも
不満を感じていた。移籍の理由はいくつもあった。もう話したけどね。でも
話さなかったこともある。俺にとっては目に見えない部分にも理由はあった。」
そこで彼は言葉を切ったが、フラヒ゛オは口を挟まずに聞いていた。
「俺は自分の力だけで王者になれると証明したかった。」
自分の力だけでも。それは多分フラヒ゛オが居なくても、という意味だろう。
フラヒ゛オは再び首を傾げた。
「俺の機嫌を損ねてから二度目のタイトルを獲って、おまえはもう証明した
じゃないか。それとも面と向かっておまえに文句でも言った奴が居たか?」
「いや。そんな奴は居なかった。」
「なら」
言い募るフラヒ゛オをフェノレナンドは遮った。
「だが俺は自分の耳に聞こえない所でもその声を黙らせたかった。目の届かない
所でもそんな口をきく奴が居ないと確信したかった。」
二人の間に沈黙が落ちた。

フラヒ゛オはソファから腰を上げてテーブルを回り込むと、フェノレナンドの隣に
腰掛けた。フラヒ゛オより頭半分ほど小さい彼は、隣に座った育ての親の顔を
見上げた。フラヒ゛オはその視線を正面から受け止める。
大きな手のひらでフェノレナンドの両頬を包み込むと、唇を重ねた。フラヒ゛オは
青年の舌を味わった。フェノレナンドは大人しくしていたが、唇が離れると再び
フラヒ゛オを見上げた。
「息子にこんなキスはしない。」
フラヒ゛オはそれだけ言った。
覚えのあるきつい残り香がフェノレナンドを刺激した。その残り香を掬い取るように、
青年は少しだけ唇を舐めた。
「マノレボ口マンめ。」
余裕を見せて僅かに微笑み、フェノレナンドは以前と同じセリフを言った。
その笑顔は二年前の彼とはずいぶん違っていた。今の彼は揺れる瞳を隠すために
目を伏せたりはしない。もう彼は自分の価値をよく知っているのだ。その価値を
使って他人に自分の意見を強いるべきだということも心得ていた。また、それが
通じる相手は現状では限られてしまっていることも。
銀の矢の元ではそれは叶わなかった。

だがそんな都合の悪い半分の本当は口にせず、フェノレナンドは訊ねた。
「じゃあこれはどんな相手にするキスなんだ?」
口付けの意味をはぐらかすような、それでいて相手を試しているような問いだった。
「どんな相手かな…。」
フラヒ゛オはそう言いながら少し考えると、答えを思い付き、再び青年の頬に触れた。
間近からフェノレナンドの目を覗き込む。
「そうだな、熱を上げてる相手かな?」
わざとフラヒ゛オが軽い調子で言うと、今日初めて、フェノレナンドの表情が驚きに
変わった。ぱっ、と顔一面に赤みが差す。
「ははは。それは…。すごい口説き文句だね。そんな言われ方をされちゃ、さすが
に照れるよ。」
そう言って顔を伏せると少し笑った。髪に隠れて顔は見えなかったが、耳まで
紅潮している。フラヒ゛オはようやく二年前と変わらない彼の姿を見付けた
気がした。
「そう言うなよ。言ったこっちが照れるだろう。」
フラヒ゛オが苦笑して彼の髪を掻き回すと、フェノレナンドは顔を上げて笑みを見せた。

「もう行くよ。これからはいつでも会えるからな。」
フェノレナンドはそう言って立ち上がった。二人は別れのハグを交わした。フラ
ヒ゛オは軽く腕を回しただけだったが、フェノレナンドはがっちりと相手の肩を抱き、
首筋に顔を埋めた。フラヒ゛オが驚いていると、聞き逃してしまいそうな小さな声
が耳に流れ込んで来た。
「本当はこの腕の中がとても好きだ。」
フェノレナンドは囁いた。囁きと共に彼の熱い吐息がフラヒ゛オの首筋に触れた。
半分だけの本当ではなく、全部が本当だと言える物がまだ二人の間にあるとした
なら、この熱い吐息がそれかもしれない。最良の瞬間を懐かしむような愛情だけ
は互いを偽ることがないのかもしれない。フラヒ゛オはそんな風に思った。
体の隅々まで甘く痺れるようなあの喜び。あんな勝利の恍惚を分かち合える
相手と、これから他に出会うことなどあるだろうか?今自分を抱きしめている
青年以外に目下そういう宛ては無い。フラヒ゛オはそう認めていたが、互いに手を
取り合い再び勝利したとしても、二人は、いや、彼はもう変わってしまっていた。
今では彼は腹の内でこちらを値踏みしている。
フラヒ゛オはそれを承知で、青年をきつく抱きしめ返した。

腕を放すと、フェノレナンドはサバサバとした表情で歩き出した。
「フェノレナンド!」
フラヒ゛オは、扉の向こうへ今にも姿を消そうとしている彼を呼び止めた。
「俺はおまえに賭けてる。おまえがうちを去る時が来たら俺も長い休暇を
取るつもりだ。」
フラヒ゛オにとってその言葉は、半分が本当で半分がかけ引きだった。
フェノレナンドは驚きを隠さずしばらくフラヒ゛オを凝視した。沈黙はとても
雄弁で、フェノレナンドが今、頭の中でいくつもの計算を弾き出している様を
フラヒ゛オに伝えた。フラヒ゛オは再び口を開いた。
「おまえをうちに引き止めるために言っていると思うか?」
2、3秒の間があった。
「いや。そこまで言って貰えるなんて嬉しいよ。すごく…嬉しい。全部本当だ。」
そう言うとフェノレナンドははにかむ様な笑みを湛えた。

(いいや。それは半分だけ本当じゃないのか?「嬉しい」以上の言葉はくれないか。
「俺もあなたに賭けてる」、ってな。)
かつての自分ならば彼にその返事を要求していた気がする。ふとそう思い当たっ
たが、今のフラヒ゛オは彼に強要しなかった。
部屋を出しなに今度はフェノレナンドの方がフラヒ゛オに声を掛けた。
「フラヒ゛オ、体を大事に。あなたのことはいつだって想ってる。これも全部本当だ。」
フラヒ゛オは彼の言葉に芝居がかったサムアップで応えると、直ぐに胸ポケットから
マノレボ口を取り出して銜えた。“禁煙なんてくそくらえ”、まるでそう主張している
かのようだ。フェノレナンドは困ったように眉根を寄せた。
(彼はまだ、自分が死なない体のつもりでいるんじゃないかな?)
そんな考えが過ぎる。
込み上げる苦笑を抑えることが出来ないまま、フェノレナンドは部屋をあとにした。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

途中規制に引っかかったので時間が掛かってしまいました。すみません。

鰤が眉に熱烈ラブコールをかましてくれたのでムラッムラきて書いた。
エフ/ワンの人々ってヌゲーですね。
眉は対鰤限定で魔性発動したらいいなー、とか日々妄想してます。夢見過ぎです。
鰤を書くのは眉や黄身を書くのに輪を掛けて緊張するので慄きながら書きました…
でも鰤が眉に熱烈ラブコールをかましてくれたのでムラッムラきて(以下エンドレス
いろいろ拙い点はご容赦を!


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