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ゲームセンターCX 遊戯04

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  └──────│遊戯、続編はいりました。ちょっと短め。
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あたりを支配するのは静寂。
向けられたその言葉は、明らかに俺に対する挑戦だった。
「殺す・・・?」
思わず繰り返してしまう。
彼は何を言っているんだ。理解が出来ない。
 でも、1つだけ理解できたことがある。

この人は狂ってる。

 余程真剣な顔をしていたのか、俺の顔を見てぷっと吹き出す。
「いや、何もほんまに殺すわけやないで」
大げさに手を横に振って否定する。
そして少年のような笑顔を見せる彼だが、俺は騙されない。
彼の言葉に嘘が無いのは、目を見れば分かる。
「じゃあ、どうするつもりですか」
「そんな怖い顔すんなや」
にやり、と言う言葉がぴったりな笑顔で付け加える。
               ・・・
「そんなにイヤやった?トウジマのあんな姿を見るの」

 ほら、よく言うじゃないですか。
頭がカーッとなるって。
あれって、多分脳みそが沸騰してるんだと思う。
実体験した、俺が言うから間違いないね。

 気付けば、言葉より先に手が出ていた。
陸上部を引退してから何年も経過したなまった身体でも、
その力は彼の体をふっとばすのに十分であった。
まるでドラマのようにスローモーションで彼が遠ざかっていく。
そして、大きな音を立て、その場へ崩れ落ちる。

 タレントをADが殴った。
あぁ、俺、結構この仕事好いとったのにな。
まだ部下もおらんうちにクビか。
母さん、ごめん。俺、不良息子ばい。
じんじんと痛む拳を見ながら、そんな事を考えていた。
「あいたたた・・・。カマかけたつもりやってんけど」
ゆっくり立ち上がって、腰をパンパンとはたく。
そして口の中が切れたのか、口の端から血が零れた。
それをぐぃっと手の甲でぬぐい、にやりと笑った。
「図星やん?」
「言ってる意味が理解できません」
「何言うてんねん。タレントさんを殴っといて。」
ははは、と乾いた笑いが部屋にこだまする。

 彼の感情がまったく見えない。
彼は何をしたいんだ。俺をどうしたいんだ。
俺が、トウジマさんが好き?あぁ、好きさ。でもそれは先輩としてだ。
尊敬もしているし、もっとトウジマさんに学ぶべき事もたくさんある。
でも、その気持ちは今大きく揺らいでいる。
それくらい、ビデオの中身はひどいものだった。
 一つずつ、順を追って説明しよう。

 2週間前。
この部屋を訪ねた時、彼が囁いた言葉。
それは、人が生きるうえでもっとも大切であろう、
倫理に欠ける提案であった。
「いつも俺らの使っている小さい方の会議室。
あっこを録画してみ。来週の火曜日や。」
 盗撮。
彼は、俺に盗撮をしろといった。
トウジマさんのことが気にかかるなら、盗撮してみろ、と言うのだ。
 ・・・そうか。
あの時に気づくべきだった。
あれは「トウジマのことが好きなら」という意味だったのだ。
 そして、俺は・・・罪を犯した。
いや、盗撮される本人が自ら提案した事だ。
だから、法的にはきっとさほど問題はないんだろう。
そして、何より彼自身が問題にしない。
何故なら、
そのビデオは”決して他人に公開できるようなものではない”から。
 ビデオの内容、ですか。そんなに知りたいですか?
ははは。もうここまでくれば想像できるでしょう。
お察しのとおり。
蟻野さんとトウジマさんの・・・ふ。ふふふ。
世の中には色んな人がいるものですね。
男が、男を抱く。そんな世界には一生縁はないと思っとったんですけどね。
こんな身近に。こんなに知った人たち同士で。
出来るなら、こんな世界、一生知りたくなんてなかった。
そう思うのは、この二人だからだったからかもしれないですね。

「トウジマ・・・っ!」
「蟻・・・のさっ・・・!!僕、僕もう・・・!」
 不思議な光景だった。
蟻野さんは、トウジマさんをバックから何度も何度も突き上げる。
その度、トウジマさんから発せられている声とは思えないほど、
悩ましげな声で喘ぐ。
「あっ、ああああっ・・・!はぁ!んっ・・・あぁぁ!!」
頬を赤く火照らせ、だらだら唾液を垂れ流しながら歓んでいる。
蟻野さんは自分を気持ちよくしているというよりも、
トウジマさんが溺れるその姿を楽しんでいるように見える。
腰を動かしながら、その手ではトウジマさんのモノを擦り上げる。
激しく、時にゆっくり。ぐちゅぐちゅと生々しい音をたてながら。
親指でモノの先端をまるで某ゲームのコントローラーみたいにぐりぐりと
何度も何度もまわし、その度「あぁっ・・・!」と喜びの声が漏れる。
 トウジマさんは見ている限りでも、3回はイカされていた。
それでも、白く汚れた蟻野さんの手はモノを離しはしない。
トウジマさんもやめることを望まない。
ねっとりした白濁に絡まれて、絡み合う二人。
 行為は1時間ほどにも及び、最後はトウジマさんの顔射で締めくくられた。
その絵は、ご丁寧にカメラを意識したアングルで腹立たしささえ覚えた。
これが普通のAVなら最高でしょうね。
ただ、俺にとって見れば最悪な心遣いです。花鳥。
 大きく口を開け、トウジマさんに放たれる白濁。
さも美味しそうに、ごくんと音をたてて飲み込む。
その時の顔を、俺は多分一生忘れられないだろう。
白濁にまみれた、愛欲に満たされた自分の先輩のその表情を。

 吐き気がした。
でも、幸い朝から何も食べていなかったのでま逃れた。
ダイレクトな胃液の味だって、好きじゃないんやけどね。
「殺すって言うのは」
思考は、蟻野さんの台詞で一瞬にして幕を下ろされた。
「ここを、や」
自らの胸をトントン、と叩く。
「・・・もう少しわかりやすくお願いします。」
「なんや、できすぎ君も意外とにぶいんやなぁ」
くっくっと笑い、目線をはずす。
その目が見つめる先は、遠い。
「トウジマの、心を殺す。と言えばわかりやすいんかな?」
「心を・・・殺す?」
「そうや」短く返事をして、自信満々の笑みを浮かべる。
 あぁ、番組でよく見てきたあの笑顔とは似ても似つかない。
番組の笑顔が少年の笑顔ならば、これは悪魔の笑顔に違いない。
「トウジマは、ずっと俺が好きやってん」
「トウジマが俺を好きなんやろうなーってのはなんとなく気づいてたんや」
「あいつ、わかりやすいやん(笑)すぐ分かったわ」
「でも、知らんふりしとってん。気づかんふりしとってん」
「だって俺もトウジマも男やん?好きって言われても困るやん」
「それに、当の本人も気づいてへんかったんや。鈍いやろー」
「だから俺が気づかない振りすることで上手くいっててん」
「でもな、ある日、それが壊れてん」
「理由、わかるか?」
 一気に話した後、俺の目をまっすぐ見据えて言った。
俺は少し黙り、考えられる限りの仮定を並べてみた。
「思い当たる出来事がありません」
「せやろうなぁ」
と、分かりきっていたと言うように笑う。
「覚えてるか?一ヶ月前に、トウジマと飲みにいったやろ」
「あの時、交わした会話を覚えてるか?」

 鈍器のようなものが、高い空から降ってきて俺の頭に落ちる。
俺は足から地面に埋もれて、血を流して倒れる。
そんな、衝撃とでも言えばいいんでしょうか。
 俺との飲み。一ヶ月前の、飲み。
花鳥は何故そのことを知っているのか?
もちろん、トウジマさんから聞いたからだ。
では何故、その話が今持ち出されるのか?
もちろん、この話に関係があるからだ。
 ゆっくり目を瞑って、あの日の光景を思い出す。

 * * * *
「シ甫川、好きな奴とか彼女いるか?」
「えええ?な、なんですか急に!」
「今はおらんとです、仕事で手一杯でそんな暇ないっすよ」
「そうかー。忙しいもんな、俺達」
「そうですよ、恋愛とかそんな暇ありませんよね。」
 * * * *

 違う。足りてない。
思い出せ、思い出すんだ。
今必要なのは、こんな簡潔な記憶ではない。
明確な、記憶。じっくり考えろ。

 そもそも、何故一緒に飲みに行ったんだ?
 確か、あの日は長時間ロケで、くたくたになって・・・
 でも、なんだかトウジマさんが落ち込んでるように見えて、それをみて、
 盛り上げてあげようかなとか、話を聞いてあげようかなとか
 そんな風に思って、俺はトウジマさんに声をかけていつもの居酒屋へ
 いって、カウンターに並んで座っていつもの酒やつまみを頼んで、
 番組の話や、会社の話をだらだらしてたらぐいぐい酒がすすんで、
 いつもはトウジマさんが言わないような愚痴を聞いたりしたんだ。

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