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魔王×黒野風味

数字板で萌えたネタがあったから書いてみたよ。
初投下なんでいたらないところもあるかもしれん。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・) ジサクジエンガ オオクリシマース!

目が覚めて最初にぼんやりと見えたものは、涙ぐんでくしゃくしゃの顔と、ほっとして微笑んでいる顔。
記憶が混濁していた中、頬を撫でていった風の冷たさから、ようやく雪山にいることに気付いた。
そして、もう一つ。新しい旅の仲間を─しかも一度敵対したことのある魔王の姿を見つけたのは、
言うまでもなく一番驚かされたことだった。

寒いな……

ぶる、と体を震わせ、自らを抱きかかえるように体に腕を密着させた。
もう片方の腕は、魔王の肩に担がれ、支えられている。
死の山で目覚めて間もなかったクロノの体は衰弱しきっていた。回復魔法で傷だけでも塞いだが、それでも歩くことはままならなかった。
そのため、前衛で戦えるカエルに代わって魔王がクロノを担ぐことになったのだ。
もともと魔王は魔法を主体にして戦うため、片腕が使えなくとも何の支障もなかった。
どういう経緯で旅に同行することになったのか、どうしてカエルが反対しなかったのかはわからない。
ただ、魔王と呼ばれ恐れられていたはずの彼が、こうして仲間になっているということに少なからずとも頼もしさを覚えた。

……?

ふいに、何かがふわりと肩に掛けられた。
たったそれだけのことなのに、ずいぶんと寒さが和らいだ。
「気休め程度にしかならんが、マントの中に入っておけ。今のお前にこの雪山はきつかろう」
こちらには見向きもせずに、魔王がそう言った。
「……ありがとう。意外と優しいんだな」
彼は存外だと言わんばかりの顔を向けてきたけれど、嬉しかった気持ちは消えなかった。
本当に気遣う心がなかったら、さりげなくマントに入れるわけがない。
誰もが彼を魔王と呼ぼうとも、彼は優しい人間なのだ。
─そうクロノに認識されたことが、幸か不幸かは誰にもわからない。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・) イジョウ、ジサクジエンデシタ!


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