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選択者

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                     |  91さんに便乗
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  「歯車」の作者です
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「また死んでしもうたわ」
「ほんまよく死ぬなあ」
「なんやろね、死ぬような運命やったのかな」
「お、雨や」
ポツポツポツポツ・・・
「なんや、天気が悪うなってきたな。さっきまであんな晴れてたのに」
「次生き返りたい?」
「そうやな。満足な生き方してへんからな。でも死んだ後、記憶が残っているのは嫌やな」
「嫌やけどそういうもんやから仕方ないんちゃう?」
「そやなぁ」
ポツポツポツポツ・・・
「死んだらいつもオマエがおるな」
「生きてても側にはおるよ。目に見えんだけで」
「触れられないとなかなか気付きにくいもんやないか。最初オマエ見る前はな、オレ死んだら天国か地獄のどっちかに行くと思うとったんや。
それがいきなりオマエが現れてな”生き返りたい?”って。そりゃあ生き返りたいと思ったよ、やりたい事もあったしな」
「でもお前の元の体は既に焼かれて灰になってたからな、他の胎児に転生するしかなかったんや」
「折角生まれたのに、まさか刺されて死ぬと思うてなかったな」

ポツポツポツポツ・・・
「天寿をまっとう出来んやっちゃな」
「それがオレの人生ちゃうのん?」
「せやな」
「オマエに会うの何度目だっけ?」
「とうに忘れたわ」
「死ぬ間際になってオマエの顔を思い出すんや。ああ、またあいつに会うのかって。それまでは結構忘れたりしてんやけどな」
「忘れてええよ。僕が側におったからといってどうなるわけもないし。ただもう一度人生やり直したいかって聞いた時にお前がうんと言えばやり直させるだけや」
「っつか、死んで別の人間として生活する時に死ぬ前の記憶?っていうの?前世の記憶っちゅーんか?があるんやけど、それが一向に役に立たんのや」
「まぁ役に立たんやろな。何処の国に誰の子で生まれるかはランダムでこちらからは決めれんのやし」
「一つ聞いていい?オマエは何でオレにこういう事させるん?もしオレが生まれ変わらないでこのまま消滅したい言うたらどうする?」
「そん時は別んやつをターゲットにするだけや。教えたるか?こうやって死ぬ度に消滅か生き返るのかを迫った時に毎回生き返るのを選択するわけやろ?
そしたら、毎回僕を頼るようになるわけや。死んだ時に僕がいないと逆に不安になって僕を求めようとするんや」
「何でオレやねん。じゃオレをターゲットに選んだワケは?」
路上で刺された死体から流れる血を雨が洗い流していく。その様子を幽体の二人が見ている。雨は降り止まず、空は暗く、助けも来ないまま放置されている死体だけがただ、そこにある。
「僕もね、お前と同じように死か生まれ変わるか選択させられた側だったんや。そん時にそいつに言ったんや。”あんたみたいに選択を提示する側になりたい”ってな。
したら”じゃあターゲットを見つけて、次の選択者が見つかるまでお前が選択者になれ”と言われたからずっと選択者してる。
お前に決めたワケはな、最初にお前が死んだ時に”死にたくない、まだまだ生きていたい”と無念のまま死んでいったからや。最初は交通事故やったかなぁ」

「ああ、何度か死んで生き返ってるけど不慮の事故しか無いのはどういうわけや」
「知らんわ、んなもん。だから僕は選択者になったんや」
「もしかしてオレが選択者になるまでオマエはこのまま消えれないままちゃうか?」
「そういうことになるな」
「選択肢が一個増えたってことか。もしな、オレが選択者になりたいって言ったらどうする?」
「・・・ほんまになりたい?何百年も他人の人生を見続けたいならそれでもええかもよ」
「選択者になったら消えることも出来んわけやけど、でも今の段階だと転生するか消滅するか選べるわけやし。前世の記憶があってもそれは断片的なものでしかないのがな。もし今の記憶を完全に保ったままで転生出来るんやったらそっち選びたいけど」
「今の状況は人間が見る夢のようなもんや。だから断片的にしか覚えておらん」
「なぁ、選択者二人にはなれへん?一人でおるの嫌やろ?」
「このままずっと消えることも出来なく、他人の人生を覗くだけの存在に成り果てるだけやけどいいんか?」
「一人でおるより二人でいた方がええやないか。オレ、オマエとおるの悪くないで」
「さよか。僕を頼ってほしかったり求めてほしかったりしたのも、こんな展開を予想してたかもしれへんな。一人でおるのは孤独やからな」
「これからは側におるよ」

こうして選択者は二人になった。選択者達は次のターゲットを探し、その人間の人生を共に見ることになる。選択者が存在するその謎はまだ解明出来ていない。ただ今日も二人は他人の人生を見続ける。語り合いながら。

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SS、好評のようでありがとうございました


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