遊戯03
更新日: 2011-05-03 (火) 18:08:19
一部方のご要望にお答えしてみました
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 16スレ02続きらしい
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夢を見た。
彼が僕に「ずっと一緒にいたい」と言ってくれる夢。
いつも遠めに見てきたその手で、僕の手をそっと握る。
そしてにっこりと笑い、照れくさそうに
「ずっと一緒におろう」と言ってくれたのだ。
その瞬間、それはそれは嬉しくて、
30を過ぎた大の大人が恥ずかしげもなく涙を流した。
握ってくれたその手は想像していた以上に温かくて、
でも、もっともっとそのぬくもりが欲しくて、
「痛い痛い!」と彼が思わず声に出すほど
強く握ってしまう。
「そんなに強く握らんでも大丈夫やって」
そう、いつもの様に彼はにっこりと笑って見せた。
でも、僕は知っている。
本当に彼がずっと一緒にいてくれることなんてないって。
だから、この手のぬくもりも、ここにある彼の笑顔も
ちょっと目を放した隙になくなってしまうんじゃないかと思って、
僕は怖くて瞬きすらできない。
消えないように消えないように祈りながら、
その手をいつまでも強く握る。
ふと、自分の手見ると先程までなかった腕輪のようなものがついている。
ほら、よくアニメとかであるような。
壁に鎖が繋がれていて、手首を絞めて拘束するやつ。
いつの間にそこに作られたのか、そしてつけられたのか、
それらは僕の手首をしっかりと繋ぎ離さない。
束縛にいくら抵抗しても、カシャンカシャンと渇いた鉄のだけがあたりに響き
僕はその場から動くことができない。
そして僕は、彼との別れを予感し始めていた。
気づけば、彼は惨めな姿の僕を見下ろしていた。
さっきまで、手を繋いでいた時と変わらない笑顔で。
そして、ゆっくりとその場を立ち去る。
別れの時が訪れたのだ。
少しずつ遠ざかっていく愛しい背中に、僕は叫ぶ。
好きなんです。
歩みは止まらない。
好きなんです。
歩みは止まらない。
ずっと、あなたを見ていたんです。
地面ににじむ涙を見ながら、届かないと知りながら、それでもなお呼び続ける。
蟻野さん。
蟻野さん。
愛しい人の名前を無限に叫び、
僕を、僕を愛して。
それでも、歩みは止まらない。
例え、明日それがなくなってしまってもいいから。
徐々に足音は細く、小さくなっていく。
永遠なんて望まないから。
そして徐々に、
今だけだっていいから。
僕の声も、願いも、望みも小さくなっていく。
一瞬だっていいから。
そして彼の背中も小さく消えていく。
だから。
お願いだから…!!!
既に見えなくなった背中に向かって。
声にならない声を絞りながら叫び続ける。
出られぬ巣から二度と還るはずのない親鳥を呼び続ける雛鳥のように。
目が覚めて、起き上がると着ていた寝巻きが
汗でぐっしょりと濡れていることに気がつく。
どうしようもない恋をしてしまったのだな、と思った。
◇ ◇ ◇
今日は、収録の日。
あの日から、何度か蟻野さんと顔を合わせてはいるが
特に変わった様子はなかった。
向こうから話しかけてくることもないし、
僕も特に用事がなければ話しかけることもなかった。
まるで、何事もなかったかのような時間が過ぎていた。
もしかすると、僕が一方的に気にしているだけで、
彼にとってあの日の出来事はなんてことないことだったのかもしれない。
そんなことを考えれば考えるほど、僕は正常を保てなくなる。
どうしても、いつものように接しているつもりなのに
意識しすぎていてうまく笑うことすらできない。
仕事では普段ありえないようなミスをしてしまったりして、
後輩のシ甫川にフォローされている始末。情けない。
「蟻野さん、はいられまーす」
気づくと、いつの間にか部屋に全員が集合していた。
しまった。またボーっとしていたようだ。
「おはようございまーす。」
彼だ。
すらっとした長身に、いつも通りグリーンの作業着。
朝が早いせいか、低血圧の不機嫌そうな顔だ。
彼の周りにスタッフが集まり、打ち合わせを始める。
打ち合わせの間もチラチラと彼の顔色を伺うが、
僕を気にかけるような様子はない。
当たり前だ。
彼は番組の主演。
僕は番組のスタッフ。
この関係は変わることなんて一生ないのだ。
そんなこと、わかりきっているだろう?
何を期待しているんだ。
あの夢のような出来事が、起こるとでも思っていたのか。
あの日のことは、気の迷いだったのだ。
だから、忘れろ。
ありえない何かが起こって、
ちょっと違う世界へ二人で迷い込んでしまったのだ。
だから、忘れろ。
現に、彼も何てことない顔で僕に接するじゃないか。
だから、忘れろ。
何かが変わることなんて、絶対にないのだ。
だから、忘れろ。
頼むから、忘れてくれ。
首を何度も横に振って、仕事モードへ切り替える。
プロとして仕事をこなすんだ。
しっかりしろ。真―郎。
自分を見失うんじゃない。
剣道をしていた時の、あの自分を思い出すんだ。
そう、出来る。
今までだって、どうしようもないことを乗り越えてきた。
大丈夫。
忘れられる。
あの日のことも。
この気持ちも。
忘れるんだ。
収録は順調に進行し、いつもより早い時間に終えることができた。
彼と何度か収録中に話をしたが、特に変なところもなかったと思う。
ほっと胸を撫で下ろして、機材の片づけをはじめていた。
この数時間でいつもの自分を少し取り戻せた気がする。
大丈夫。
普通にしていられる。
これが、いつもの自分だ。
「トウジマ、ちょっとええか」
心臓が止まるかと思った。
振り返ると、夢と同じように僕を見下ろす彼がそこにいた。
「はい、なんでしょうか」
なんとなく、居心地が悪く感じて立ち上がる。
「次回のロケの話やねんけど…ちょっと外で話そうか」
と、言うと返事を待たずに部屋を出て行ってしまった。
その表情からは何も汲み取れなかった。
機材を簡単に片付けて、彼の後を追う。
廊下へ出ると、彼の後姿が見える。
また夢の光景とダブって見えて、僕は急いで彼の背中を追いかける。
すると、夢とは違い、彼は振り向いて
「そんなはしらんでええのに」
と笑ったので、僕もつられてわらった。
局内の小さな打ち合わせ室へ入る。
部屋には小さなテーブルと、椅子が4つ。会議用のホワイトボードがある。
僕たちは向かい合ってテーブルにつく。
「あ」
「どうしたん?」
「仕事の話ですよね、コーヒーでも入れてきます。」
立ち上がって、部屋を出ようと扉に手をかけた、その時だった。
「ほんまに、仕事の話やと思ってたん?」
理解するのに少し時間がかかった。
その言葉の意味、そして、
彼に後ろから抱きしめられている、この現実に。
「こうして欲しかった?」
ぎゅうと、彼が強く僕を抱きしめる。
「なあ、トウジマ。」
温かい息が僕の耳にかかって、ぞくぞくする。
「ふふ」
ドクンドクンと熱く血が通う。
「気づいてた?」
彼の手が、ゆっくりと僕の頬に触れた。
「トウジマが俺と話す時な、」
そして、指が僕の髭を弄ぶ。
「めっちゃもの欲しそうな顔してんで」
その言葉にどきりとする。
仕事モードに切り替えて、あの日のことは忘れて仕事をしていたはずなのに。
そして、あの日のことはもう忘れてしまおうって思ったのに。
なのに、僕はもの欲しそうな顔をしていた…?
あれほど、自分に言い聞かせたのに、忘れるって決めたのに。
それに反して、僕は物欲しげな顔で彼を見ていたと言うのか。
あまりの恥ずかしさに、俯こうとするが彼がそれ許さない。
後ろから抱きしめられているので、表情はわからないが、
さぞ嬉しそうに笑っているに違いない。
ゆっくりと、指先が僕の唇に触れる。
僕は彼に触れられる場所、すべてがビリビリと痺れていく。
とても恥ずかしいことを言われているのに、反論したいのに、
まったくと言っていいほど体が言うことを利かない。
それどころか、もっとして欲しいと願ってしまっている。
だめだと、わかっているのに。抵抗しなきゃいけないのに。
忘れなきゃいけないのに。
身体は、心は、自分が思っているよりも正直に反応してしまう。
彼の指先が、唇を割ってゆっくりと僕の口内へ侵入してくる。
指先はくちゅくちゅと舌や唇を弄び、ただそれだけの行為なのに
そのあまりの気持ちよさに僕はだらしなく唾液をこぼす。
「・・・う・・・あぁ・・・!!」
ねっとりと指を差し込んだり、抜いたりするたびに、
くちゅぬちゅといやらしい音をたてる。
「トウジマの唇、めっちゃ柔らかい」
濡れた指先で唇を優しく撫でた。
すると、身体が急に開放される。
急な出来事に振り返ろうとするが、足に力が入らず僕はドスンとその場へ腰を下ろしてしまう。
「情けないなぁ」
そう言って、彼は俺の顔を覗き込む。
また、あのときの目だ。
なんだろう、この目は。
見たことなんてないけど、獲物を見つけた野獣って
きっとこんな目をしてるんじゃないかって思う。
見つけた獲物を、確実に落とす。落とせる。
絶対的な支配者の目。
その目で見られると、僕はたまらなくぞくぞくする。
そして、もう何もかもどうでもよくなってしまう。
あの決意も。決心も。何もかもが彼の前では無効化されてしまう。
そうだ。
最初から僕はこれを望んでいたのだ。
忘れたくなんてなかったんだ。
でも叶うはずなんかないって諦めて、僕を縛っていたのだ。
夢で僕を繋いだ鎖。
あれはきっと、僕の「諦め」。
叶うことのない、現実に向き合うことの出来ない僕の出来るたった一つの手段。
それを理解した瞬間、鎖がガシャンと切れる音が聞こえた。
「その顔や。」
再び、指先が唇に触れる。
「なんて顔しとんねん」
ゆっくりと口を割って、侵入してくる。
「『もう、どうにでもしてください』って顔して」
彼の顔が、僕の目の前にまできていた。
「そんな顔されたら…」
にっこり笑って、いつもの蟻野さん。
その笑顔が、消える。
「むちゃくちゃにしたなる」
あぁ。
きっと、後悔するだろう。
先のない、この関係を。
でも、今だけは。この瞬間だけは。
終わりも、この先についても考えない。
落ちるところまで、落ちてやる。
例え僕が僕でいられなくなったとしても。
もう僕は、僕を縛らない。
そして、その日。
僕は彼に抱かれた。
◇ ◇ ◇
「早かったなぁ」
よいしょ、とゆっくり立ち上がって笑いかける。
「さすが、出来すぎ君やな」
「茶化さないでください」
僕は少しも笑わずに手に持ったビデオテープを差し出す。
「どういうことですか」
「見てのとおりや」
「見てのとおりって…こんなの…ありえません!」
思わず声が大きくなる。
もっともっと何か言ってやりたいのに。
でも、何をぶつければいいのかわからなくて、
俺は彼の顔を睨みつけることしか出来ない。
そんな俺を見て、彼は笑った。
その笑顔は、いつもの蟻野さんではない。
何故だか、そう思った。
「ゲームをしよう、シ甫川。」
異様に落ち着いた声だった。
「お前が勝てば、トウジマは返したる」
俺と彼の距離が徐々に縮まる。
「でももし、負けたら」
一呼吸おいて、彼の口元がゆがむ。
「俺は、トウジマを殺す」
狂った遊戯の幕開けだった。
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ なおも続く
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
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ゲー夢の方々に捧ぐ。
気になるビデオの中身とかは次にw
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