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今日俺

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                     |  今日俺 イトミツ?というより メツハシ→イタウ
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  メツハシ視点。報われません。
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 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 某曲をモチーフに、っつかモロですorz
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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赤い赤い血が滲む。指先を見つめる。
心臓がドクンドクンと脈打つ度に、傷跡からズキンズキンと痛みが走るようで。
これっぽっちの傷くらいで、何でこんなにイテーんだよ。

 駅から出て、最初の角を曲がったところで見慣れた黒髪が塀から飛び出しているのを見つけた。
足音を殺してそっと近付く。息を殺して間合いを詰める。伊/藤が気付く気配はまるでない。
朝だから気ぃ抜けてんのか、それともコイツがバカだからか。
もう少し近寄ると、伊/藤は何か嬉しそうに鼻歌なんか歌ってやがる。
調子が外れてるのか、合ってるのかどうか分からないその曲を俺は知らない。
更にもう少しだけ近付くと、少し頭を屈めて、ずっと手元ばかり見ている。
あ、今コイツ、ゼッテーニヤついてやがる。情けねー顔してる。後ろ頭でもお花が飛んでるのが分かる。
こういう時の伊/藤は、

 気に食わねぇ。

本当は後ろからイキナリくすぐってやろーかと思ってたけど、気が変わった俺はそっと靴を脱いで、歩調に合わせてひよひよ揺れるウニ頭目がけて思い切り放った。
パコーン、と、気持ちのいい音が響く。伊/藤はフギャっと情けない声を出しながらよろけた。
「ッテメーッ、あにすっだよイキナリ!」
「テメーの後姿が気に食わんかったからじゃ」
思ったとおりの事を言っただけなのに、伊/藤は怒りを通り越して呆れた、とでも言うように、盛大な溜息をつく。
「朝から血の気盛んねオマエ」
「オメーがバカ面でニヤニヤしてるのが腹が立っただけじゃ」
「あのなぁ……何でそんなことでいちいち腹立て……」

急に何かに気付いたような素振りで、伊/藤は慌ててその右手を隠す、が、一瞬遅かった。
素早さで俺に勝とうなんて100年早えー。
伊/藤が言い終わらないうちに、その手を掴み、大切そうに握られていた紙切れを掠め取る。
テメーコノヤローとか何とか言いながら突っかかってくるのを一蹴して、その二枚の名刺ほどの大きさに、小さな文字で印刷された文字を読み上げる。
「東/京/デ/ィ/ズ/ニ/ー/リ/ゾ/ー/ト/2デーパスポート……」
その横にはご丁寧に、見覚えのあるキャラクターがこっちを向いて笑っていた。

「何だこれ、どーしたんだよこれ」
「返せ!!」
「8800円!?ウオー高ぇー」
「返せってんだろ!!」
「2デーって二日か?二日もあんなトコ行くんかオマエ」
「頼むから返してくれよぉー、こればっかりは、ホント」
いつもなら俺の頭の一つでもドツいてくる伊/藤が手を合わせて頭を下げてくる。
そこまで必死になんのか。
情けねーのな。

「京/子と行くんか?」
「京/ち/ゃ/ん/、誕生日だからさ。奮発したんだよ」
伊/藤は細い目を益々細めて、今回だけはゼッテー邪魔しないでくれ!と懇願してくる。
情けねー。マジで情けねーぜ。

こんな事ぐらいで、胸がズキズキ痛む自分が。

「二日あんならよ、次の日は俺が遊んでやってもいーぜ」
「……いやいや、そうじゃなくて、ラ/ン/ド/とシ/ー/両方行くんだよ。」
「―次の日は京/子の誕生日じゃねーじゃん」
「カンケーあんのか、それ」
「そりゃこっちの台詞だな。誕生日ぐれーで、んな奮発するよーなもんでもねぇだろうが」
伊/藤はさすがにムッと来たらしい。眉間に皺寄せながら、とにかく返せ、とつっかかってきた。
ムキになるところがますます気に食わない。身をかわして、からかうように右手を頭の上でひらひらさせてみる。

「―三/橋!」

 急に真剣な声で呼ばれて、一瞬立ちすくんだ。その隙に伊/藤の手がその二枚の紙切れを引っ手繰った。
指から抜けるときに、しゅっと鋭い音がして、あ、と思った瞬間、赤い血が人差し指を伝う。
「―!っ悪ぃ……」

俺の手を伊/藤が掴む。
本当なら思いっきり一発かましてやりたいのに、血が滲んだ人差し指を、伊/藤が口元まで持っていくのを見ながら、呆けたように突っ立っていることしか出来なかった。
足元がふらつく。頭の中は、さっきの伊/藤の声がぐるぐる回っていた。
口に含んで、舌でそっと舐められる感覚。傷口を這うように動く。
その甘いような感覚は、痛みと共にじんじんと指先を伝わって、心臓まで到達しそうだ。
思わず顔を上げると、伊/藤と目が合った。俺の顔を見て、ぎょっとしたように指を離す。
「……や、何か痛そうだったし、血垂れそうだったから思わず舐めちまった。ごめん、痛かったか?」
「……ば、っか……気持ちワリーんだよこのカッパが!」
「……言われてみりゃー、だな、男同士だし……」
本当の本当に、こいつはなにを考えてんだ。

「そーいうことはな、京/子にしてやんのが普通だろ」
背を向けて、学校とは反対方向に歩き出す。
「おっおい、ガッコは?」
「指が痛ぇから、フケる」
「お前なー」
「うっせぇ、俺の気が変わらんうちにそのチケット持ってさっさ行きやがれ」
それだけ言って、俺は咄嗟に走り出していた。
もしかしたら最後の言葉は声が震えていたかもしれない。
もしかしたらそれを伊/藤が気付いたかもしれない。
そしてもしかしたら追いかけてきてくれるかもしれない。

そんな地球が滅亡するよりも低い確率のことを考えながら、まだ薄く滲む赤い血を見ながら、胸の痛みを忘れるように必死に走った。

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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧  2レス目ナンバリング&sage忘れ。すみませぬ……
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