寂しい心
更新日: 2011-05-03 (火) 23:34:05
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| モノノケ 黒い人×薬売り
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真っ暗な中で、薬売りは一人立っていた。
周囲に視線を巡らす。
そこには周囲には何もない。
暗闇だと、自覚する割には白い自分の手が良く見えた。
着物の淡い青も、知覚することが出来る。
つまりは、ここは暗闇ではないということだ。
「やれやれ…なんでしょうかね…」
呟く声。
聴覚も大丈夫だ。声は思ったより反響しなかった。
つまりはそれほど広くない空間にいるということだ。
一体、ここはどこなのだろう。
「お前の心の中だ。…見事に、何もない」
声にしない疑問は、誰かによって答えられた。
背後から聞こえてきた声に、振り返ろうとする。
だが、力強い腕に抱きとめられ、それは叶わなかった。
「…」
薬売りは無言でその腕を見下ろす。
浅黒い太い腕。その腕には金の色が踊る。
「貴方は…」
軽く体を捩るように背後を見れば、意外に近くにあった黒い瞳と視線を交わした。
「…俺のいる場所は、少し、あるようだがな」
にこりともしない、偉丈夫。
「貴方、しかいないとは…なんと、まあ、寂しい心、なのでしょうねぇ…」
まるで他人事のように口を動かす薬売りに、白髪の男は肩を竦める。
「まったくだ。同情しよう」
「それはそれは…どうも、ご丁寧に」
ぬけぬけと答えながら、薬売りはさてどうしたものかと思考を巡らす。
背後から抱きしめる男は、そっとそんな薬売りの首筋に、唇を落とした。
首筋に感じる吐息に、薬売りはわずかに身じろぎをする。
「なに…してるんですか」
「さあ。なんだろうな」
淡々と答えた男は、薬売りの服に手をかける。
手馴れた様子で、帯を解き裾から手を中に差し込む。
冷たい手のひらが素肌を撫で上げ、薬売りは自分の肌が粟立つのを感じた。
「人の、心の中で…好き勝手していいと?」
「お前の心の中だ。俺の存在はお前によって作られ、動かされている。…ということもあるだろう」
指先が、胸の突起を捕らえ、抓るようにしながら引っ張る。
耳をぬるりとしたものが触れる感触。
舌で舐められていると気付くが、薬売りは眉間に皺を寄せただけで動かない。
「なる、ほど…」
つまりは自分が望んでいると言いたいのか。
薬売りはふっと笑い、服を剥いていく男に向き直った。
見上げてくる薬売りに、男はその華奢な顎を掴み、持ち上げる。
屈んだ男と、交わす口付け。
男は、そっとその色づいた唇を舐めた。
わずかに開いたところを見逃さぬように、肉厚な舌が侵入してくる。
「…ん…」
呼吸さえ奪われそうな接吻に、薬売りは目を閉じた。
縦横無尽に動く舌に、口の中を弄られ、体の熱は上がっていく。
着ているというよりは、纏わりついているといった方がいい状態の、薬売りの着物を男は放り投げ、ゆっくりと押し倒す。
口付けは長い。舌を絡め取りながら、男は薬売りの足を大きく開かせた。
半勃ちになっているものを捕まれ、薬売りの体はわずかに震えた。
自分の体の変化を、面白いように感じながら、薬売りはうっすらと目を開く。
男の目には、欲情が宿っていた。
その目を見つめ、薬売りは口の端を上げる。
「!」
男が、急に身を引いた。
顔をしかめ、口元を手で押さえる。
薬売りはそれを眺めながら、口に含んでいたものを吐き出した。
赤く、鉄くさい。
薬売りによって噛み切られた男の舌は、ぼとりと床に落ちる。
それに合わせるように、男の口元から血が流れ落ちた。
「…てっきり、貴方の血の色は、黒いものと、思っていました…」
「ひさま…!」
言葉を上手く発音できないでいる褐色の偉丈夫に、薬売りは薄い笑みを向ける。
「さあ、これに懲りたら…悪さをするのは、やめるんだねぇ…」
薬売りは、自分の口の端を伝う男の血を指で唇に塗った。
赤い唇を歪ませて、薬売りは言葉を続ける。
「今回は、私だからいいものを…人が相手だったら、清め晴らすところだ…」
「…」
悔しそうに睨みつけてくる男。
その外見にヒビが入り、ぼろぼろと崩れ落ちていく。
「人に仇なすのはおやめ。『夢魔』」
「ギャッ」
姿を暴かれ、其れは煙となって消え去った。
薬売りの夢から逃げたのだろう。
「やれ、やれ…」
落ち着いて寝てもいられない、と着物を羽織る。
と、視線を感じて顔を向けた。
「…」
褐色の肌。白髪。金の隈取。
先ほど追い払ったはずの男が、またそこにいた。
腕を組み、暗い空間にまるで壁があるように、寄りかかっている。
しつこいものだと、薬売りは眉根を寄せる。
不機嫌そうな薬売りを見て、男は近づいた。
唇を伝い、顎を汚している赤い液体を指で拭う。
そして、薬売りがしたように、自らの唇に塗りつけた。
赤い唇で、目を細めて笑う。
「あんた…」
薬売りが呟いた時、暗かった世界がだんだんと明るさを増し始めた。
まるで夜明けを迎えたような。
「…おい」
男は薬売りを見たままただ立っている。
互いに動いているわけでもないのに、だんだん距離が遠のく。
「おい」
薬売りが鋭い眼差しを向けて呼びかけると、男は口を開いた。
何か告げるが、それは薬売りの耳には届かない。
「おい!」
イラついたように、薬売りは声を出した。
「きゃ!」
女の、短い悲鳴。
その方に視線を向けると、加世がひっくり返っていた。
「び、びびびっくりしたあ!」
薬売りから距離を取るように後ずさりながら、胸に手を置いている。
「…」
起き上がって、薬売りは周囲を見た。
木の天井。障子。畳。自分の寝ている布団。
なんてことはない。泊まった宿の部屋だ。
「薬売りさんが起きてこないから、起しに来ただけなのにぃ!急に怒鳴ることないじゃないですか!」
頬を膨らませて怒る加世に、薬売りは口を開いた。
「それはそれは…どうも、ご丁寧に…」
「もー!絶対そんな風に思ってないでしょ?!」
知らない!と加世はばたばたと走り去っていった。
それを見送り、薬売りは自分の唇に指を伸ばす。
ゆっくりと下唇を撫で、ぎゅっと拳を握る。
「なる、ほど…」
あながち、間違いではないのかと息を吐く。
それから薬箱を見た。
寂しい心。
そこにいる、モノ。
「同情、されたんでしょうか…ね」
最後の言葉を聞き逃したのを惜しく思いながら、薬売りは着替えのために起き上がった。
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| | □ STOP. | |
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