落書きだらけの原稿用紙
更新日: 2011-05-03 (火) 21:42:46
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| 某週間漫画から担当×漫画家らしいよ
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| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| プラトニックで別れ話みたいなもんだから苦手な方スルーヨロ
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| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) オモワズヤッチャッタ…
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トン、トンと出来上がった原稿を机で整えると眼鏡をかけたスーツの男はそれを簡素な茶封筒に押し込み、古びた鞄の中に収めた。
おいおいそれそんな乱暴にしないでくれる、俺が命削って描いてんだからもっと宝物に触るみたいにさぁと言えば小火田先生位描ける様になったら考えてやる
よと不可能なことを返してきた。
知ってんだろお前、付けペン使うのメンドクサイし、しょっちゅう描き分けが出来てないだの雑だの言われてる事。てか主にお前が言ってることだし。
あーこんな担当もー嫌だーチーズ蒸しパンになりたい
傍らに置いて有る煙草に手を伸ばし一口吸う。きっと原稿あげて煙草を吸うこの瞬間が至福の一時ってやつ。
「お疲れさまでした。そんじゃ俺これ社に持ってくし」
「おーついでに冷蔵庫の中に入れてあるプリン取ってくれる?」
アシくんが買ってきてくれたプリン~と王様気分で命令すると、立ち上がった男は心底めんどくさそうな顔をして台所へ向かう。
テメーいい加減ここ掃除しろ!だの、五郎さんが出るぞ!だの言ってくるけど今は完全に無視。だって俺今大業を成し遂げた王様だから。五郎さんが出てもお
前が退治しに来てくれる事知ってるから王様は何にもしません。
「あ」
何そのすげー間抜けな声。
「何?五郎さん出た?」
「プリンさっき食っちゃったんだけど」
・・・は?
「ハァァァァァァ!?」
プリンプリンプリンプリン!!!
テメー何してくれてんだこのチンピラモンチッチー!!!
俺が!俺がこの瞬間をどんだけ楽しみにしてたと思ってんだァァァ!!!
人様の冷蔵庫の中身勝手に食っちゃいけませんって習いませんでしたかァァァ!!!
俺の至福の一時はプリンを持って完成すんだよォォォォ!!!
「お前が早く原稿上げないから腹減ってたんだよ」
「俺のほうが100万倍腹減ってたっつーの!お腹と背中がくっ付いて離れねーくらい仲良しなんだよもう!てか何回人様のプリン食えば気が済むんですかこの類人猿がァァァ!!!」
「テメーが類人猿だろうが」
そういって男はゴミの山に立てかけてあった鞄を掴み台所を出て、玄関で革靴を履き始めた。
チョイ待て話はまだ終わってねーだろうが!
「じゃ、今度お前が食いたがってたプリン買って来てやるよ」
「は?あ、あそこの50個限定のやつ?こないだテレビでやってた」
「店が社から近いしな。ま、その代わりネームと交換な」
頑張れよセンセーと嫌味な笑みを浮かべて男はドアの向こうへ消えた。
「プリンじゃしゃーねーなァ・・・」
じゃ、一眠りしたらネームやりますかーと軽く伸びをして台所を出ようとした瞬間。何かブニュリとしたものを踏んだ。しかも素足で。
予定訂正。ネームの前にやっぱここ掃除する・・・
けど、その前に一眠り。風呂入って寝る。
あ、寝たらコンビニにプリン買いに行かなきゃなぁ・・・
思いっきり惰眠を貪っていたら、携帯の着信音で目が覚めた。
布団から出ずに転がってあった携帯に手を伸ばし、着信。やっぱり聞きなれた担当の声がした。
「おーどしたー?」
深い眠りから動き出さない重い頭を抱え、二三度目を擦る。
時計を見ればさっきから数時間しかたっていない。いつもならこんな時間に連絡してこないのになーと不思議に思いながら耳を傾ける。
「先生、今すぐそっち行かせてもらいますから」
「へ?あ?え?」
その切羽詰ったような言い方で一言だで通話が切れ、ただプーップーッと機械音だけが耳に残る。
その機械音で脳が少しづつ覚めて行くのが怖かった。
十数分後インターホンが鳴った。
男は霧雨の中を走ってきたらしく、そのトレードマークみたいになってる眼鏡が水滴で濡れていた。
髪もぼさぼさで、スーツもよれていて、ハーッハーッと深呼吸を繰り返している。
カッコつけのこいつらしくねーなと思いながらもタオルを投げてよこす。たぶんまだ綺麗なやつだと思う。たぶん。
中に通して、さっきまで原稿を見ていた場所に座らせる。
いつもなら座らせた瞬間に「ゲンコーどこまで進みましたァ?」だの言い出すのに今日は何も言わずにその荒れた唇を閉じて座っている。
「・・・」
「・・・」
チッチッチッ、と時計の時を刻む音だけが室内に流れる。
無音に耐えかねて机の上に置かれていた煙草に火を点ける。
なんだか数時間前より不味い気がした。
「・・・なんか有った?」
これで何もなかったらそれもそれで不気味だ。
男はゆっくりと面を上げた。
何だろう、ついにアニメPTAの策略で打ち切り?漫画自体打ち切り?
それとも集えい社になんか有った?いやいやまさかあんな大会社がなぁ・・・
それともそれとも
「担当変わることに、なりました」
予測できなかった言葉に頭の中が白くなる。脳が停止したみたいに。
そいつはポツポツとこれからの事だとか次の人のことだとか引継ぎに関することだとかを話し始めた。
ただぼんやりと男が全てを話し終えるまで見ていた。
「すげー出世じゃん!」
海賊王になんのかお前
「その新しい担当ってお前よりマトモだろうな」
どんな人だろうがその人はお前じゃないけど
「お前なんてただのモンチッチだもんな」
そんで俺の担当
「そんな心配しなくったって大丈夫だって。お前は俺のカーチャンか」
大丈夫なわけないっしょ
ずっとお前が俺の面倒見てくれたからここまできちまったんだよ。
6年間って凄くね?だって赤ん坊だって小学校行くんだよ。タイミング次第じゃ小学生から大学生になんだよ。モンチッチだって結婚するよ。
そりゃアニメ化もするよゲーム化もしちゃうよラノベ化もしちゃうよ。
あれもこれも全部お前が居たから出来たんだよ?お前が居なきゃ俺なんかさっさと北海道帰ってチャッピーと楽しく暮らしてただろうよ。
どうすんだよ、これから。お前が居なくなったら、どうすんの俺?
けど今だけは
「お疲れおーにし」
笑ってやろうと思った。
すっげー満面の笑みって奴でコイツを安心させてやんなきゃって思った。
「今まで」
笑え、笑え、笑え!
「「ありがとうございました」」
仄暗い部屋に二人の声が重なる。
まるでドラマみたいに綺麗に。
ああ、駄目だって思った瞬間。溜まりに溜まった水分が、一滴。頬を落ちて視界を歪ませた。
これからお前の居ない日常が始まる。
もう毎回雑だの言われない。もう憎まれ口叩く奴は来ない。もう俺のプリンも無くならない。
もう馴れ馴れしく「ソラチ」って呼ぶインテリチンピラは居なくなる。
そんな日々を望んでたのに、いつの間に手放せないくらい手に馴染んでいた。まるで愛用のペンみたいに。
コイツじゃなきゃ漫画描けないって。なぁどうしてくれんの?
なぁ、プリン買ってきてくれるって言ってたじゃん、
そんでそのプリン食いながらバカな話とか、たまにゃ真面目な話したりしようや。
お前がこんなの読みたいって言ったら八割方描いてやるからさ、口喧嘩しながら話考えたりしてな。
けど、わめき倒してお前じゃ無きゃヤダと言えるほど子供ではいつの間にか無くなっている事だけは知ってて。
薄汚く成長した大人は、ただ全てを受け入れるため一度だけ男の名を呼んだ。
窓の向こう、霧雨はいつの間にか本降りに変わり、灰色の町を濡らしていた。
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| | | | ピッ (・∀・ ) 改行大杉ッテオコラレタヨ ハミデテスマン
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