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虎竜タイガー×FDFスンpart1

原作でオサンに平手食らったあとのスン。
893描きたかったのでタイガーの人にしました。越境お許しください。

「お、キレイになったじゃねえか」
シャワールームから出てきたスンシンを見て、男はタバコを灰皿に押し付けた。座れよ、とベッドを指
刺す。
「…どうも」
少しきまり悪げに頷いて、スンシンは花柄のベッドの上に腰を下ろした。

まるで痴話喧嘩のようにスズキと別れてから、ヤケになって雨の街を彷徨っていたスンシンは、今度はヤ
クザに絡まれた。いつもならばうまくかわす所なのだが、虫の居所が悪すぎたスンシンはつけられた因
縁に自ら飛び込んだ。
だが、刺された傷が思ったより深かったのと、更に雨で体力を奪われていたのが災いしてスンシンは常
の精彩を欠いていた。それに、相手はプロ数人である。ペストコンディションのスンシンだったとして
も、勝てる確立はけっして高いとは言えなかった。まだ血の止まらない腕を鷲掴まれ、痛みに怯ん
だ一瞬に脚をすくわれる。
泥水の中に引き倒され、腰に圧し掛かられて半ば諦めかけた時、その男は出来すぎたタイミングで
そこに現れた。
ヤクザたちを追っ払うと、男は近くにあったラブホテルに有無を言わさずスンシンを引っ張りこんだ。
男の名は山崎トラジ。新宿流星会筆頭組員で、三年前スンシンに喧嘩のいろはを教えたその人だった。

まさか、アンタに助けられるなんてな」
他所のシマにいるのは珍しいよな、と尋ねるスンシンに、ちょっと師匠の使いでなとトラジは答えた。親
父ではなく師匠?と少し不思議に思ったが、大して興味はないので聞き返さない。
「スジもんは相手にすんなって教えただろーがよ」
ヤクザにはならない、と決めた時スンシンにトラジはそう言った。関わる気がないなら、金輪際こっちの
世界には首をつっこむな。おめえを欲しがってる奴は山程いるんだから、ちょっとのきっかけで引
き摺りこまれっからな、と。
「…今回が初めてだよ。ちょっと、熱くなっちまった」
我を忘れた原因の出来事を思い出して、スンシンは不愉快そうに顔を歪めた。打たれた頬に、熱い感触
が蘇る。
「この傷はどうした。あいつらじゃねえだろ」
まだ血が止まりきらない腕に、タオルをきつく巻きつけてくれながらトラジが尋ねてくる。
「その前にも、ケンカしてたんだよ。相手はヤクザじゃなくてガキどもだ」
「何人だ」
「三人。勝ち目ねえってわかったらナイフ出してきやがったから、ボコボコにしてやった」
報告する口調が、思わず得意げになってしまって、スンシンは胸の奥がずしりと沈んだのを感じた。
「オウ、さっすがは俺の弟子だ。飛び道具出してくるような腰抜けになんて負けるわけねえ」
横から伸びてきた大きな手にぽんぽん、と頭を撫でられて、嬉しい反面で胸が更に重くなる。
そうだ、こんな風に。
きっと誉めてくれると思ってた。
ー褒めて、ほしかった。
「そんで、ヤクザのケンカも買っちまったのか」
勝手に納得して、トラジはうんうんと頷いた。
スズキの事を思い出して、ぼんやりしていたスンシンはぐい、と顎を取られて我に返った。
「…なに」
間近に迫ったトラジの大きな目が、じろじろとスンシンを舐め回すように見る。ぱちりと瞬きをすると、
ふぉお、とトラジが溜息のような鼻息をついた。
「…お前、べっぴんになったなー」

「は?」
「いや、もともとかわいいカオしてたけど、しばらく見ねえうちにこんなぺっぴんになってたとは
よ。早く会いに行けばよかったぜ」
この男目は大丈夫か、と一瞬心配になったが、確か視力は5.0近くあると豪語していた事を思い出
した。多分、大丈夫じゃないのは目ではなく頭と下半身の方だ。
「オレは、何回かアンタ見かけたぜ。歌舞伎街とか新大久保で」
「マジか?声かけてくれりゃいーじゃねえかよ、冷てえな」
「『待て待てランジェリー!』とか叫びながら店の外でまでランパブの姉ちゃん追っかけ回してる
奴に、かける声なんてねえよ」
冷たく言い放ったスンシンに、ぶっほとトラジが噴き出した。
「ホント、もう三年も経つのに全然変わってねーなアンタは」
呆れたように呟いた唇を、不意に塞がれてスンシンが目を大きく見開いた。逃げ遅れた舌をさっと絡め
取られて、じりじりと擦り合わされる。貪り食われるように口の中を犯されて、知れず肩が震えて
しまっていた。
「、ふ、っ」
濃いキスが苦しくて首を振ると、咎めるように舌に歯を立てられた。溢れた唾液が、音を立てて男
の厚い唇に吸い取られる。僅かにずれた唇の隙間から零れた自分の声が甘ったるくて、スンシンの目元
がさっと朱を引いた。

繰り返される口付けに脳天はぼうっと霞む。気づいた時には背中が、ベッドに沈められていた。
「…な、んだ、よ」
見下ろしてくる端正な顔が、へらへらと笑った。トラジの大きな手が、がっしりと自分の手首をシー
ツの上に縫い止めていた。
「助けてやった恩人に、礼の一つもねえって事はねえよな?」
下心ビームカラーの視線に全身を舐め回されて、スンシンはまた呆れたように溜息をついた。
「…アンタ、ホントにまるで進歩ねえな」
三年前、この男にはケンカと一緒に、こっちの方もこってり仕込まれた。オトコは基本興味ねえけ
どお前はトクベツ、とか言いながらガンガン犯られた。
食べる寝る暴れるヤると欲求がピラミッドの底辺部分だけで構成されているような男だったが、ま
ったく変わっていないらしい。率直すぎて、憎めないのがこの男の得なところだ。
「…条件がある。」
「あんだよ、言ってみろよ」
早くも鼻息荒く顔を近づけてくる男を、スンシンは下から軽く睨み付けた。
「まず、ゴムは使え」
当時、勢いで何度かナマでやられて合わされた痛い目は、到底忘れられるものではない。
「それから、オレは、アンタに『この支配からの卒業記念エッチ』とかわけのわからん理由でやら
れて以来、まったくやってねえからな。絶対無理矢理突っ込んだりすんなよ」
中学の卒業式の夜、正確には卒業式の夜から次の日の朝までめちゃくちゃに犯されて以来、この男
には会っていない。何度か危ない目には遭ってきたが、どれもこれもスンシンに手を出すには一万年と
二千年くらい早い連中ばかりだった。
「え、じゃバージンに戻っちまったったって事か!」
そう告げたスンシンに、気のせいではなく嬉しそうに叫んだトラジに、スンシンは内心で大きく溜息をついた。

やっばりコイツは、エロバカだ。

「…っ」
暗い照明の下、ぼんやりと浮かび上がった裸体が、寒さにか羞恥にかふるりと揺れた。
常日頃露出している肩や腕はよく日に焼けているが、スンシンの素肌は実はかなり白い。着替えの時、た
またま太腿を見てしまったヤマシタが、その白さに興奮しすぎて股間が大変な事になってしまったのはヤマ
シタとミナカタだけの秘密だ。
「あいっかわらず、エロい身体してんなあ」
がばりと開かせたバスローブの中の身体を見下ろして、トラジが感心したように呟いた。肘に纏わりつ
いたままのローブの布地が、危うい翳りをところどころに落として余計に彼の肌を淫猥なものに見せ
いる。
「男相手になんて、俺ほとんどムラムラしねえんだけどなあ」
ホントおめえはトクベツだ、と薄く開かれた唇にトラジが自分のそれを落とした。歯列を舐めた舌先が
そこを割って口の中に進入してくる。
音の立つほど舌を吸われて、つとスンシンが眉間を寄せた。唇の端を甘く噛んだ歯に、今度は耳朶をかじ
られる。鼻腔をくすぐった香りに、くん、と探るようにスンシンが小さく鼻を鳴らした。
「…な」
「んだよ」
首筋に埋めた髪をぐい、と引かれて、熱心にそこに舌を這わせていたトラジがめんどくさげにいらえた。
「アンタ、香水変えた?」
昔と違う匂いを漂わせている男に、心なしか顔をなんとなく歪ませてスンシンが尋ねる。
「ああ、コレ、香水じゃなくて洗剤のニオイ。今ちっとカタギの家に世話んなっててな、そこのかあ
ちゃんがコレ使ってんだよ。こんな所帯くせえニオイじゃハクつかねえってギンには怒られるけどよ、
やってもらってっからそんな文句も言えねーし」
シャツの襟に押し当てた鼻をくんくん鳴らすトラジにふうん、と呟いてスンシンはなるべく浅く息を吸い込
んだ。
それまで、何となく感じていた居心地の悪さは、覆い被さられた時に正体がハッキリした。

トラジの匂いは、同じ、なのだ。
ースズキのシャツの匂いと。

再び首筋に顔を埋められて、思わずスンシンはその肩を押し戻した。ふわっと鼻に広がった『スズキの匂い』
に、どきりと心臓が鳴る。
「…早く、脱げよ」
ちらりと脳裏をよぎった、あの時のスズキの表情を振り払うように、スンシンは乱暴に言い捨てた。
この香りを振りまかれては、彼が頭から出て行かない。
「オウ、積極的だな」
にやにやと舌なめずりをしながら、トラジは自分のシャツの前をはだけた。だがはだけただけで、それを
脱ごうとはしない。
「じゃなくて、全部、脱…」
焦れてシャツにかけようとした手を、思いがけない力で取られてスンシンが目を見張る。
「お前、惚れてるヤツいんだろ」
核心を突かれて、スンシンは思わず黙り込んだ。
「女じゃねえな。お前、女ダメだもんな」
ソープ連れてってやった時も結局出来なかったもんな、と笑うトラジをスンシンがむっと睨み付ける。
「ダメじゃねえよ。…興味沸かねえだけだ」
この年齢の男子らしからず、スンシンは女にもセックスにも淡白だった。原因は、母親への失望によるトラ
ウマなんじゃない、と以前親友のミナカタが言っていた。そして多分、それは正しい。
「おんなじニオイすんだろ、コレと」
ただのバカだと思っていた男にあっさり指摘されて、スンシンは真っ赤になった顔を隠すようにトラジから
背けた。

「いいぜ、そいつの事考えてて」
腹の傷をつつっ、と撫でた指が、そのまま身体の中心を捕らえた。
「あ!」
無骨な指が、ゆるく反応を見せていたスンシンに絡みついた。軽く上下に扱かれて、ずくりとそこに熱が
満ち始める。
体液が、ざわざわと波立っていくのを感じて、スンシンはぎゅっと目をつぶった。
そこをゆるゆると嬲っていた指が、するっと付け根に降りた、と思った刹那、濡れた熱い感触が、ぬ
るりと自身を包み込んだ。
短く叫んで、スンシンは思わず男の髪を引っつかんだ。
「…っ、バカ!はな、あ、」
丁寧とは言い難い愛撫も、長く刺激から遠ざかっていた身体には過ぎる程だった。食べ物にかぶりつ
くようにじゅるじゅるとしゃぶられ、吸われて、蜜道をじわりと汁が伝い降りていくのがわかった。
「も、や、め、たの…、ああ、あ」
下半身が熱くて痛くて、気が狂いそうになる。髪に埋めた指には、もうそこにしがみつく程度の力し
か入らない。それでも何とか引き剥がそうと、腿で彼の側頭部を擦るが、硬い髪に内股を撫でられる
ような形になって、余計自分を追い詰めただけだった。
逃がれようと身体をよじっても、あまりに頼りない動きは、がっしりと腰に回された太い腕にたやす
く封じられた。腰を掴み締める指に、腹の傷跡を擦られて、くっとスンシンが喉を反らす。
いっそ意識を手放せれば楽になれるのに、興奮した身体はスンシンを許してくれなかった。脳が、快楽と
言う指にがっしりと掴まれている。
「いや、だぁ、や」
根元に回された指が、やわらかく揉んでみたり締め付けてみたりと意地の悪すぎる仕草を繰り返す。
吐き出しかけては堰きとめられるたび、スンシンの劣情はひどいものになっていく。
「も、いいかげんにしろよ、ッ…」
半ば涙声でスンシンはトラジに抗議した。この男、そんなに気の長い方でも焦らし上手でもなかったのに
と意識の片隅で毒づく。三年で、こっちの方だけは成長があったという事なのだろうか。
「どうして欲しい?」

くちゅ、と音を立ててトラジはスンシンから口を離した。思わず開いた目に、怒張して震える自身と、トラ
ジの唇を透明な糸が繋いでいるのが映る。あまりな光景に、目を反らしたスンシンの全身に朱を散った。
「どうもこうも…ッ!」
叩き付けかけた文句は、再び口に含まれた事で途切れた。先程と同じように、じりじりと焦らされて
意識せずに腰がくねってしまう。
「も、許せよ…ッ…」
口では頑なにプライドを固持しようとしても、身体は媚びる様にその痴態をトラジに曝け出していた。
しょーがねえなあ、とスンシンを口に含んだままトラジが笑う。歯に張り詰めていた肉を掠められて、びく
んと白い背筋が反り返った。
緩められた指が、乱暴に袋の部分を揉みしだいた。先端が、ぼってりした唇にきつく吸い上げられる。
「ひ、ぁあッ…!!」
快楽の指に、脳を握りつぶされたような衝撃が走った。自分のものとは思えない激しさで痙攣した体
が、壊れた、と千切れた意識の片隅で思う。
荒い息が近づいてきて、まだろくに吐息も次げない唇を覆われた。つんとした独特の味が、舌を刺し
てスンシンの濡れた顔を更に歪ませた。なすりつけるように回される舌に、でもすがりつくように舌を絡
ませて応える。
ぎゅう、とばらばらになりかけた身体を繋ぎあわせるように抱き締められた。
鼻を押し付けられたワイシャツから漂う香りに、スンシンの表情がゆるりと溶ける。小刻みに震える腕が、
シャツの背にすがるように回された。
「カワイイ顔すんじゃねえか」
笑うとやっぱ似てんな、と吐息のようにトラジが呟いた。四散した思考のどれかが、それに疑問を投げ
ようとしていたが、表面まで浮かんではこなかった。
「…」
名前を呼ばれた。
(スンシンくん)
スズキに呼ばれた、と思った。

熱い息が、舌が、指がスンシンに絡みついてくる。濃厚な愛撫に身体はもうぐずぐずに崩れ落ちて、吐息
まじりに悪態をつくぐらいしか、抗う術は残されていない。
彼が動くたびに、その香りがスンシンの鼻を掠める。
好きな香りでない。
きちんと糊の利いたシャツから立ち上るその香りは、スズキへの妻の愛情そのもののように感じるから
だ。
でも、確かにそれはスズキの一部だった。
スンシンが好きな男の一部だ。

彼をどう思っているのか、わからずにここずっと自分を持てあましていた。
会う度に、彼の存在が自分の中で大きくなっていっているのには気づいていた。
あの香りを嗅ぐ度になんとなく胸の奥が重くなったり、腹立たしいような気持ちになったり。
彼の事を考えると落ち着かなくなったり、本に集中出来なくなったり。
この気持ちは、平凡で幸せな家庭を持つ彼と、その家族への羨望だと思っていた。
でも、今やっとわかった。
自分は、彼が好きなんだ。

こんな風にキスして、腕を回して、肌を吸って。
こうやって抱いてほしい。
そういう事を含めた、不純物まみれの好意を、自分は彼に抱いている。
もっと、近くに彼を感じたい。
彼が好きだ。世界で誰より、なによりも好きだ。
彼に愛されたい。触れられたい。触れたい。
愛したいし愛して欲しい。

こんな風にキスして、腕を回して、肌を吸って。
こうやって抱いてほしい。
そういう事を含めた、不純物まみれの好意を、自分は彼に抱いている。
もっと、近くに彼を感じたい。
彼が好きだ。世界で誰より、なによりも好きだ。
彼に愛されたい。触れられたい。触れたい。
愛したいし愛して欲しい。

求められるままに、口を開いて彼のものを迎え入れる。
飽きるほどに教えこまれたそれを、身体はちゃんと憶えていた。舌を絡ませ、歯を立てて彼の遂情を促す。
頭を撫でられるのが何だか気持ちよくて、熱心に奉仕すると舌にじわりと苦い液体が広がった。彼の限界
が近づいてきているのに気付く。
「…ホント、似てんなあ…」
上がる息の合間に、トラジがまた呟いた。どうやら自分だけでなく、彼も違う人間の事を考えているらしい
事に、滑稽なものだとスンシンは内心で苦笑した。ちろりと上目遣いに見上げて唇で締め付けてやると、わか
りやすく口の中のものが反応した。喉の奥に押し入ってきたそれにえづいて、思わず口を離した次の瞬間、
顔に熱いものをぶちまけられた。

「は、あぁっ…!」
吐き出した己の二度目の劣情が、どろりと腿の付け根を伝い落ちた。それを追うように這い降りた指が、
悪戯に腿の内側をまさぐる。
「ん、や、」
唇が、指に苛められているのとは逆の腿をちゅっと吸い上げる。さすがに鍛え上げられていないそこに、
やんわりと紅い花が咲く。

濡れた指が、後ろに押し当てられた。ぎくりと強張るそこをゆるゆると撫でながら、先端がゆっくり入
り込んでくる。反射的にすぼめた口が、関節にごりっと当たった。
「あっ」
ぐりぐりと、そのまま指がそこで回される。他人に身体をこじ開けられる恐怖に、スンシンは震えた。
「キッツイな、コラ。マジでバージンに戻っちまったんだな」
悪態のように呟きながらも、太い指は、外にもやさしくスンシンの中を探っていく。その指があまりにも熱
くて、唇から甘い息が零れるのを止められない。
「んっ、んっ、ーあ!」
二本目の指に、ある一点を押されて肩がびくっと跳ね上がった。息が、ひときわ甘くなる。
「ここ、イイんだよな」
かつて自分の身体を知り尽くしていた男が、思い出したとばかりににやりと笑った。
「そこ、い、やだ、…ッ」
まさに、的を射たりとそこを責められて、いやいやとスンシンが首を左右に打ち振るう。二度も吐精した筈
の自身は、震えながらやんわりとまた頭をもたげ始めていた。
「おめー、マジでとんでもねぇな」
開発した俺もビックリだぜ、とトラジが心の底から感心しているような口調で呟いた。大きく回されて
引き抜かれて、突然の仕打ちに腰がぶるりと震える。
「や」
引き攣った脚を、大きく割られて膝を上へ押し上げられた。指への未練で、口を閉じきれずにひくひく
と震えているそこに、猛りに満ちた男根を埋め込まれる。
「ひああ、ッ…!」
太い部分をずるりとたやすく飲み込んでしまって、スンシンは悲鳴を上げてシーツに爪を立てた。のけぞっ
た白い喉は、ひくひくと震えている。
「うっわ、スゲエ」
奥へ奥へと誘い込むように収縮する粘膜に、トラジが息を詰めた。ねっちりと吸い付かれて、すぐにも熱
を吸い取られそうな錯覚を覚えて、必死に堪えようと深呼吸を繰り返す。
「ちょ、待て待て待て」
三擦り半は流星会の名折れだ、とよく意味のわからない事を呟いてトラジが腰を引き掛けた。

「やだあ、っ」
意識の殆どを熱に犯されたスンシンが、普段の彼からは想像もつかない表情で、声で喘ぐ。きゅっと抉れの
部分をきつく締め付けられて、ぶっふぉー、とトラジは詰めていた息を噴き出す羽目になった。
「ま、まーて、って!ゴムつけんの忘れたんだよ!」
約束しただろと焦った声を上げるトラジに、条件を出した筈のスンシンがいらない、と首を振る。こんなに火
照った身体を放置されたら、本当におかしくなってしまう。
「わかった、でもちょっと力抜け!ちゃんとすっから!」
どのみちこの中途半端な状態じゃどうにもならねえだろ、と呻いてトラジが自分の肩口にスンシンの頭を押し
つけさせた。深く息を吸い込んだスンシンの肩から、僅かに力が抜ける。そのタイミングを逃さず、トラジが
己を奥まで呑み込ませた。
「あ、あっ」
腕の中に抱きこまれた身体が、ぴんと弓なりに反り返る。深く繋がったそこが、ぐじゅ、と卑猥な音を
立てた。掴まれた腰を揺すりあげられて、スンシンが目の前の肩に爪を立てる。
「おっさ、んっ…!」
赤く染まった唇が叫んだのは、その名前だった。
「え、おっさんなの、お前の惚れてる相手」
ぶっふ、と塗れ場に似つかわしくない表情でまたトラジが噴き出した。
しかし、もはや波に攫われてしまったスンシンの耳には届かない。
「おっさん、おっさん…っ」
涙が、ぽろぽろと閉じたままの瞳から零れ落ちる。スンシンが首を振るたび、きらきらと光を弾きながら雫
が舞った。

そんな筈ないのに。
彼が自分なんて抱く筈ないのに。
でも、自分を包むこの匂いは彼のもので。
頭の中では、もう彼に抱かれている自分しか想像できない。
彼の腕の感触も、素肌の体温も何一つ知らないのに。
「…」
(スンシンくん)
彼の声しか聞こえない。
「…、…」
(可愛いよ)
彼の熱しか、感じられない。
「…すきだ」
彼の匂いのするシャツを、きつく握り締めながらスンシンはうわごとのように繰り返した。
「オッサン、オレ、あんたが好きだよ、っ…!」
気持ちいい?とあの優しい声に聞かれた気がして、夢中で頷く。身体の中を遠慮なく暴れまわる彼が、酷く
憎くて、悔しいくらいにいとおしいと思った。
互いの身体の間でくすぶっていた劣情が、大きな手のひらに搾られる。意識が白く弾けそうになった刹那、
身体の奥がざらりと灼かれたのを感じた。
身体の上で、どさりと男が脱力する。早すぎる鼓動が、重なった胸をどくどくと伝わった。
「…俺も好きだよ」
額に落ちた唇が、聞いた事ない名前を落としたのを記憶の最後に。
スンシンは、スズキの匂いに包まれたまま、その意識を闇に預けた。

うーわー
時間かかった割にこのていたらくorz
もっと修行してきます…

158
裏タイドラです。タイガー片思い。


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