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孤島の鬼

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  日本昔話 はじまるよー
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  鬼退治に行くから若干バイオレンスだよ
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 血ガ飛ブオ・・・
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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 生れ落ちた瞬間から、自身の裡にどうしようもない衝動があった。
 日和見な自分の世界では、昇華することも能わない暴力的な衝動が存在した。
人より恵まれた体躯は、きっと作農や商売に使うよりももっと相応の場所があると、そう思っ
ていた。
 自身がそう思うように、周囲の人間もまた、その衝動を昇華するものを、する場所を探していた。
 退屈な世界に、誰もが興奮を求めていたのだ。
 誰もが、その暴力性を発揮できる正当な理由を探していた。

「鬼の棲む場所が在る」

 孤島に人ではないものが棲んでいるのだという噂は、一瞬にして村を巡った。
 鬼は人を食う。
 どこかの集落の娘が攫われて食われたのだと、誰かが言った。
 安心して暮らせないから、誰かに退治して欲しいのだと、誰からでもなく口にした。
 それにいかほどの信憑性があったのか、誰にもわからない。
 けれど、それを確かめることは誰もしなかった。
 その真偽など、初めからどうでもよいのだ。
 戦う前から英雄であった自分は、英雄の名の下に刀を手にし、仲間を集めた。
 綱、金時、季武、貞光はいずれも同様腕に覚えのあるものばかりで、けれどそれを発揮する場
所もなく燻っていたもの達だ。

 孤島は、美しい場所であった。
 降り立った屈強な男達が滑稽に見えるほど、平和で、美しく、光に溢れていた。
 鬼は、人の者ではない言語を操る。その金色に輝く頭髪は、太陽光を受けて更に輝いていた。
 けれどその姿が、言葉が、やはり彼らは異形のものだというこの上ない証なのだ。
 戸惑うように武装した男達を見る彼らは、男達の目的を察することが出来ず、不安げに視線を
向ける。
 その時生まれた感情は、衝動以外の何物でもなかった。
 無性に、全てを破壊したくなったのだ。美しい場所で微笑むものを、根絶させてしまいたくなった。
 突然刀をふるった男達に、彼らは逃げ惑い、泣き叫んだ。
 抵抗をする術も持たず、力もなく、ただ斬られていく。
 恐らく許し請うているのだろう、下げられた頭をお誂え向きとばかりに刎ねあげた。
 奮った瞬間、飛沫を上げる血潮に、鬼も生きているのだと男達は思った。
 涙を流す姿に、感情があるのだと思った。
 だが、鬼は退治しなければならない。
 そうしなければ、こちらがやられてしまうのだから。

 村から奪った宝がある。
 村から攫った娘がいる。

 孤島をくまなく探してみたが、それらは既にない。
 宝など、既に金に変えてしまったのだろう。
 娘など、もう食ってしまったのだろう。
 けれど、鬼が耐えたことにこそ意義があるのだ。もう彼らは鬼に脅かされることなどない。
 勝利の証に、鬼の宝を探した。
 けれど、鬼は何も持っていなかった。どの家にも、何もなかった。

「……mam?」

 一軒のみすぼらしい家の戸板が開く。
 一匹の鬼の子が、そこから顔を出した。
 ともすれば銀色にも見える金色の髪に、どの鬼よりも空色をした瞳が、男に向く。
「daddy?」
 鬼の言葉を喋る少年に、男は刃を向けた。
 切っ先を眼前に滑らせ、髪の毛一本分程の間隙で止める。
 少年は、微動だにしない。
「……目が、見えないのか?」
「what?」
 空色の瞳を向けたまま、不思議そうに首を傾げた。
 子鬼は、よろめきながら外へ出る。足元に転がっていた鬼の死骸に躓き、転びかけたのを、男
は咄嗟に抱き上げた。

「thanks」

 鬼の言語など分からないが、子鬼が礼を言ったのは分かった。
 子鬼が笑う。信頼しきったような顔で、彼は笑った。
 至近距離で見ると、その肌の白さや黄金色の髪が、美しく見えた。
 微笑みながら子鬼は頬を寄せる。
 触れた肌の感触に、その温かさに、男の胸が撥ねた。
 どうしても、この生き物が欲しくなった。
 本物の金よりも、太陽に透けて輝くこの金色の方が魅力的に思えた。
 食めば餅よりも柔らかそうな肌も、すぐ壊れてしまいそうな玻璃のような瞳も、全てが欲しくてたまらなくなった。
「By the way, do not you know where my mom and daddy went to?」
「お前、名はなんという」
「……waht?」
「名前だ。なんという名だ」
 困惑した様な表情をする少年に、男は舌を打つ。
 少年の小さな手を取り、自身の顔に触れさせた。

「私の名は、『桃太郎』だ。お前は?」
「……」
 確かめるように、少年の手が触れてくる。
 男はしっかりと顔に触れさせ、再び繰り返した。
「桃太郎、だ」
 少年の表情が、明るくなる。理解したのか、嬉しそうに男の名前を口にした。
「モモタロ」
「そうだ。お前は?」
 少年の手を、今度は少年の顔へ寄越す。
 名を問われたのだと理解したのだろう、少年が自身の名を口にした。
 けれど、鬼の言語は人間には聞き取れない。
「仕方ない。俺がお前に名をやろう」
 男は嘆息し、少年に名を付けた。
「茨木童子。どうだ?」
 理解しているのかしていないのか、少年が笑う。
 その笑顔につられて笑っている自身を発見し、男は多少居心地の悪い思いをしたが、それは
決して不快ではなかった。
「茨木」
 新しく付けた名を呼び、少年の唇に自身の唇を寄せる。
 口吸いの意味も知らない少年は、くすぐったそうに身を捩り、笑い声を立てた。

 男は再びつられるように笑い、その幼い唇に誘われるまま口付けた。

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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ オソマツサマデシタ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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桃太郎でした。
桃太郎と源頼光が色々混ざってるけどキニシナイ!(・∀・)


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