SBR ジャイロ×ジョニィ
更新日: 2011-04-26 (火) 15:43:13
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )トウトツニ、ジュシンシタカラ オオクリシチャイマス
人が笑顔で近づいて来ても、何かを企んでいるようにしか見えない。
ぼくの悪い癖だ。
かといって、無表情で近寄られても、それはただ薄気味悪いだけで。
いつだってぼくの周りには、そんなやつらばかりだったんだ。
「…お前さぁ、いいかげんにしろよ」
ジャイロがいかにも『不機嫌です』という表情でぼくの頭を抑える。
今のところ、ぼくには何も非難される謂れはないのだけれど。
…いや、アレか。きみの自信作(新曲)にぼくが初めてケチをつけた事をまだ根に持っているのか。
それともさっき、ホットパンツからぼくだけローストビーフサンドを貰ったからか。いや、でもそれなら文句はホットパンツに言ってほしい。
もしかすると、爪弾の誤爆でジャイロの脳天をかすめてった事か!あぁ有り得る。それが1番有り得る!しかもどさくさに紛れて、謝ってないじゃないかぼくは!
そうこう苦悶している間も、ジャイロは無表情でぼくの頭をわしわし撫でる。何を考えているのか、読めない。
というか、頭が洗えないからいい加減放してほしいのだけど。
そう、ぼく達は今夜は珍しく宿に入れて、久々のベッドにウカレ、そして久々のバスタイムを楽しんでいたところなのだ。
というわけで、今現在ぼくは湯舟に浸かっているわけで。…要するに、何も着ていない、わけであって。
「っ…ジャイロ!悪かった、謝るから!」
考えてみたら急に恥ずかしくなって、ぼくは思わずジャイロに怒鳴るように謝罪した。
するとジャイロは、キョトンとした顔で「…はあ?」と呟きやがった。なんだ、謝罪じゃなけりゃ一体何が目的なんだ。
「なんでおたくが謝る必要があるのよ」
「だ、だってきみ、怒ってるんじゃないのか…?」
「ねーよ」
ただ、それだけ言って、相も変わらずジャイロはぼくの頭を撫で続けている。
わしわしと乱暴に撫でていたかと思うと、急に髪を梳くような動きになって、ぼくは焦る。
優しい、ジャイロの優しくて柔らかい手が、ぼくのうなじに触れる。
まずい。
下半身が動かなくなってから、久しく忘れていた感覚が沸き上がる。
なんで、どうして。
なんだってぼくは今、ジャイロ相手に欲情しかけてるんだ!
認めたくなくて、そして悟られたくなくて。とにかくジャイロの顔を見ないように、うつむいて。
「…もっとさぁ、オレを頼ったらどうなのよォ」
数瞬か、はたまた何時間か。
膠着状態だったぼく達の空間に、ジャイロが言葉を落とした。
その一言はとても意外で。
というか、的外れで。
ぼくは彼に気を遣わせまいとしていただけなのに。
「ジョニィジョニィよぉ、おまえさん、なんでも一人でやろうとし過ぎじゃねぇのか?」
「…出来る範囲の事は一人でやるのが常識だろ」
ああぼくは。なんて可愛いげのない返事を。
「あーのーなー!おまえは出来ると思ってやってる事でも、余所から見てると危なっかしいんだよ!」
ぐいと唐突に腕を引っ張られ、バランスが崩れる。脚が動かない、腕だけで身体を支えるぼくには死活問題だ。あんたはぼくを殺す気か!
「っわ、…何するんだよ!」
「…ちょっとバランス崩しただけで、おまえ沈んじまうじゃねーか」
痛い位に引っ張り上げられた腕を、放してくれと乱暴に振りほどくと、そこにはジャイロの哀しい表情。
なんなんだ。
こんなカオする人間、ぼくの周りにはいない。知らない。
同情でも嘲笑でも、敵意でもない。こんなカオは。
…ああ、一人、『居た』
いつのまにかぼくは泣いていて。
いつのまにかぼくはジャイロに抱きしめられていて。
いつのまにか、ジャイロに、ニコラス兄さんを重ねていて。
心配をかけたくなくて。足を引っ張りたくないのに。
ぼくが立ち止まると、当たり前のように手を差し延べてくれる。
ニコラス兄さんが居なくなって、そんな人は周りに誰も居なくなった。だからぼくは…
ジャイロの差し延べる手に、気付いてすらいなかったんだ。求めていたものは、こんなに近くにあったのに。
「なんかするときは、オレを呼べよ」
「…うん」
「無理だったら、すぐ呼べよ」
「…うん」
「つーか…オレの目の届かないとこ、行くな」
「…それは…言い過ぎだろ」
「そうか?」
「そうだよ」
「じゃあ、おまえがオレから目を離せないようにしてやる」
言い終わる前に、唇に噛み付くようなキス。
目を離せないとか、よく言うよ。
ぼくはきみを追い掛けて、飛び入りでレースに参加したんだぞ?
もうとっくに、離せるわけ、ない。
「…っクシュン!」
ぼくの盛大なクシャミが、ムードをぶち壊した。
そういえばぼくは湯舟に浸かっていたんだった。上半身はジャイロに抱きしめられているせいで、腰から下しかお湯に入っていない。
「なんだぁ、冷めちまったな」
苦笑いしながらジャイロが、ぼくをゆっくりと湯舟に沈める。
なるほど、こーゆーときに手伝いたいのか。なら。
「…きみが暖めてくれるんだろう?」
「ハッ、足腰立たなくしてやるよ」
「元々立たないよ、ばか」
無表情で近付いてくる人間は、嫌いだ。何を考えているか、わからないから。
でもジャイロは違う。彼の無表情は、ぼくに対して気遣うでもなく、見返りを求めるでもなく、ただ『当然のこと』として手を差し延べているだけなのだ。そこに考えなんて、ない。
ドアにロックが掛かっていたから、キーを差し込む。彼にとっては、その程度の事。
でもそれを拒絶されたら、彼は部屋から出られなくなる。だから、ぼくからキーを差し出さなくては。
ぼくはちょっとヒネた人間だったようだ。
これからは、素直にキーを渡す事を覚えよう。ジャイロに受け取ってもらえるかな。
「ねえジャイロ」
「あんだよ」
「頭洗って」
「…しょうがねぇーなぁー」
ほら、こんな簡単な事。
めんどくさそうにぼくにシャンプーする彼の顔は、とてもうれしそう。ニヤニヤしながらジャイロは口を開く。
「風呂からあがったら覚悟しとけよ。寝かさねーからな」
…前言撤回。
警戒心は、必要。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
もっとジョジョ好きさん増えたら嬉しいなぁ
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