Top/3.1-60

探偵×獣医

失礼します。ちょっとばかり、お借り致します。
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| 先日の弐七次官テレビでの、
                    |  差座絵サン設定モナ
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  探偵×獣医…でもナマモノだよね
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 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ビクビク
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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どろどろに溶けた何かの中に浸っているような、そんな感覚だった。
意識がじわじわ浮上して、現実と脳内の境目がくっきりする。
「……?」
初めに感じたのは冷たさで、次にきつめの重力。
麻痺したような頭には、正面奥にあるそれが天井なのか、床なのか、壁なのか、
判らなかった。
「お目覚めですかー」
掠れ気味の声が降ってきて、視界には見覚えのある顔。
「な、ん……?」
頭が揺さ振られるようにぐらついて、油断すると白目を剥きそうになる。息を吸う。
喉が甲高くひゅう、と鳴って、額から冷たい感覚がずり落ちてきた。
「熱射病」
言葉と共に伸びてきた手が、こめかみを濡らすそれを取って、再び額にのせ直す。
「もう若ないねぇ」
笑いの形に歪む口元。ぼやけたままの頭でその形を辿る。流れ落ちる汗だかなん
だか判らないものが、目に入って、だんだんと覚醒する。
足を動かすと、弾力のある何かと擦れて音がした。汗でぬめる。皮の感触。
「ここ、……何?」
「僕の事務所ね。民家の前でぶっ倒れた人、放っとく訳にもいかんでしょ」
きちきちと硬い音がして、半端に古い型の扇風機が、こちら向きに固定される。
腕を動かすとまた同じ弾力に跳ね返されて、ようやくここがソファの上なのだと気
付いた。

「倒れた、て」
「ポスター貼りの最中にね」
やーびっくりしたわ、と笑いながら立ち上がる。扇風機の強い風が吹き付けて、身
体に纏わりつく水分が急に冷えた。
探偵の履くスリッパが床と擦れる、乾燥した音。
部屋のすみで書類の山が崩れる。
「……」
寝転がったままの状態にこの上ない居心地の悪さを感じて、とりあえず上半身だ
けを起こしてみた。
だるい。
ソファに引き摺り戻そうとするような重力が、後頭部まで痛め付ける。
背もたれに右腕を掛けて左腕を精一杯突っ張って、ようやっとソファの上に起き上
がることができた。腿の上にべちゃり、と、水を含んだタオルが落ちる。
「うー……、イ、タタ」
「あーあー、無理しなや。ハイ」
冷蔵庫からドリンク剤を取り出して、こちらに投げて寄越す。
白衣の膝の上に落ちてきたそれは、驚くほど冷たい。
「……」
投げてきた男の方に目をやると、同じドリンク剤をもう一本取り出していた。長い指
がフタを捻る。
ぱき、乾いた音。
「……こら、どうも」
「いえいえ」
ビンをあおる男の喉仏が、一、ニ、三回、上下する。ソファの上からでもそれがはっ
きり見えて、まあそれがどうと言う訳でもないけれど。

「まーしかし、ワンニャンに嫌われる獣医さんやね」
慰めるでも馬鹿にするでもないただの声が、扇風機の向こう側から放られる。
「……何やろなぁ、コレ」
「要するにうさん臭いねんな、アンタ。全体的に」
探偵は半笑いで、耳の痛むことを言ってくる。
良かれと思ってやったことは、大体裏目に出る。どうやらそういった星の下に生ま
れてきているらしい。
重い頭と痛む背中。耳の下から顎にかけて、汗が伝い落ちた。
「ほんで」
後頭部に降ってきた声に驚いて顔を上げると、声の主が傍に立っている。いつの
間に。
「何や」
「いや、……これから、どないすんのかなぁ、と」
探偵は言いながら俺のビンを取って、フタを開けてから差し出してきた。
「……」
それを両手で受け取って、一気にあおる。
乾燥した口の中を、濃い味と炭酸が一気に満たして通過する。
喉が焼けるように痛い。それでも少しはマシになれる気がした。結局は、気持ちの
問題だ。
「……とりあえず、先方に顔見せな。まだ見つかれへんならもう、ポスターにも頼っ
てられんし……」
「まあ、そのお身体で?」
今度は俺の手から、空のビンをするりと取り上げる。ついでのように濡れタオルも
拾って。

ビンを握った形のまま軽く組んだ指先を、見つめながら。長い息を吐く。
「しゃあないやろ。……その辺のケジメは、あるよ」
自業自得、ならまだましだ。
しかし、他人様の大事な家族の一員を、行方不明にしてごめん、だけで済ます訳
にはいかない。
……と、
「いやあ、えらいえらいー」
「うぎ」
広い手の平に、頭をぐりぐり撫でられた。必要以上の力で。
「いいこいいこー」
「……お、前、俺を何やと……」
「んんー?動物好きのちっこいオッサン」
へらへらした語尾の流れ方にため息が出た。
その手を除けようとすると、相手は膝を折って目線を合わせてくる。手は俺の頭に
載せたまま。
覗き込むような目。
ぐ、と息が詰まった。
「……なに」
「……さあ、何でしょねー」
「何やの」
「判らん。わっからんねけど、何かなあ、ものっすご優しゅうしたりたいわ、アンタ」
「…………」

何だか嘘臭さのない、それこそ優しいような笑顔でそう言うので、俺はいよいよ逃
げ場を失った。
頭の上の手の平が重いのに、それが何故だか安心だったりして、もういろいろとど
うしようもない。
獣医さんがペット扱いされて喜んどったらおしまいや、なあ。
「……勝手にせえ、もう」
「そらまあ、勝手にさしてもらいますけど」
どんな表情でそう言っているのかは判らなかったが、
探偵はいつもの乾いた声で、それでも、清涼な水が湧き出すような笑い方をしてい
たので。
俺はただ白衣の裾を掴んで、深くふかく俯いていた。

顔を見られないように。

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                    |  いろんな意味でなんとも中途半端モナ
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  エセ関西弁丸出してるね
 | |                | |            \
 | | □ STOP.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ガクガク
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
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お目汚し、大変失礼致しました。


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