ドリフトする人たち 母ちゃんコントより
更新日: 2011-04-26 (火) 17:24:00
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| ちょっとだけョと後ろ後ろー、の人
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| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 長くてごめん、でも書いたら落ち着いたの
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| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ マタキチャッタノ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
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たらいが落ちてきたり、家が崩れたり、そんなのは大した問題じゃない。
今一番問題なのは、目の前の怒り狂う母親と、陽が落ちようというのに未だ帰っ
てこない末の弟のことだ。
「まったくなにやってんだよあの馬鹿は!もう暗くなっちまうじゃねえか!」
何度目かの癇癪が爆発して、母親の近くにいたぶーがびくりと身を縮めた。チャの
視界の隅でこーじが肩をすくめる。
仕方ねえやな。あいつは変わってるから。
チャとしては、そんなに心配することではないのではないかと思う。なんだかんだ
言ってケンはしっかりしているのだ。こんな母親と兄弟に育てられているのだか
ら、当たり前だろう。
「……母ちゃん、俺探してくらあ」
とは言え、夜になってしまってからではさすがのケンも心細かろう。口を開くと
、何故か拳骨を落とされた。
「当たり前だろ!早く行っといで! ……お前たちもだよ!」
「へーい」
拳骨を喰らった頭を擦るチャに続いて、二人の兄もすごすごと玄関に向かう。靴を
履きながらチャは彼らを振り返った。
「あんちゃん、先に行ってら」
ぶーを引っ張りつつ、こーじが片手をあげる。
「おう。お前も迷うんじゃねえぞ」
こーじの言葉に手を振り、チャは駆け出した。
夕暮れの町並みはオレンジ色に染まって美しい。
「おーい。ケン坊やーい」
声を張るのは憚られて、少し小さめの声で弟の名前を呼ぶ。
心当たりのある公園や駄菓子屋はすべて見て回った。しかし、ケンはどこにもい
ない。
チャは溜め息を吐いて空を仰いだ。オレンジに淡い群青が混じり始めている。
長兄は少し離れた商店街まで探しに行ったようだ。次兄は10分で帰った。空腹に
耐えきれなかったのだろう。
「もしかしたら、もう帰ってるかもしんねえな……」
俺も帰っちまおうかな。呟きながらのろのろと歩く。もう自宅からはかなり離れ
ていた。
あと少し歩けば河原に出る。そこまで行って、いなかったら帰ろう。そう決めて
足を速める。
「ケン坊、母ちゃんが怒ってるぞー」
呼ぶ言葉のバリエーションもそう多くはない。ほとんど走るようにしながら弟の
姿を探す。空の色は刻一刻と暗くなってきていた。
河原に出ると、夕陽の最後の輝きが水面を照らしていた。ざっと見た感じ人影は
なくて、チャはがっくりと肩を落とす。
「なんだよ…… どこ行っちまったんだあの馬鹿は……」
橋の欄干にもたれて悪態を吐いた。
川を通ってくる風は冷たくて、この季節には多少肌寒いくらいだ。ぶるりと身体
を震わせ、
「帰ろう」
呟いた。
きっとケンももう帰っているに違いない。母親に叱られるのは彼だって嫌だろう
から。きっと「ちょっとお伺いしますけど、碇矢さんのお宅はこちらでしょ
うかね」なんていつもの台詞を言って、いつもより多めのお説教を喰らい、ちゃ
ぶ台に他の兄弟と並んでチャの帰りを待っているのだ。
よし、帰ろう。
そのとき、強い風が吹いた。くしゃみをひとつして、チャは鼻をすする。
「いっきし! ……畜生め、」
「あんちゃん?」
間抜けな声が響いた。
幻聴かと思い、チャは眉根を寄せる。
「……ケン?」
「やっぱりあんちゃんか!」
橋の下からもぞもぞと何かが這い出してきた。見覚えのあるランドセル。兄弟お
古のセーター。
「……ケン。おめえなにしてんだこんなとこで」
自分が想定していたより低い声が出た。ケンがきょとんと首を傾げる。
「あんちゃん、怒ってんのか」
「怒ってなんかないけど、おめえ、いつまでも帰ってこねえからみんな心配して
んだよ」
「あんちゃんもかい」
「……うるせえや」
なにしてたんだよ、河原なんかで。尋ねるとケンは空を見上げた。
「あのね」
チャもつられて上を向く。まだほのかにオレンジ色を残す空。
「星が、見たくなってね」
でもまだ明るかったから。暗くなるまでここで待ってたの。
「……おめえは馬鹿だなぁ」
安堵したからか、なんだか力が抜けて、チャは笑った。ケンが唇を尖らせる。
「なんだよ」
「なんでもない。おめえらしいや」
笑顔を向けてやると、ケンもつられて笑った。それにほっとして、チャは彼に手を
伸ばす。
「ほら。帰ろう」
「やーだ」
チャの予想に反して、ケンは背を向けてその場に座り込んだ。へ、と顎をつきだし
たチャを振り向いて手招きをする。
「あんちゃんもおいでよ。星、見よう」
「おめえ……」
溜め息を吐く。無理に引きずってでも帰ろうと近付くと、腕を引かれた。
「ほら。星が出てきたよ」
その指差す先を見る。明るい、一番星。
「……ほんとだ」
「きれいだろう」
明るいな。あれはうちの家族に例えるならおいらだな。得意気に言うケンの頭を
叩く。
「馬鹿」
驚いたように見上げてくる頭をもう一度叩いて、チャはケンの隣に腰を下ろした。
「うちで言ったら俺でしょうが」
「……あんちゃんじゃねえよう」
陽は沈んで、闇の色はますます濃くなってくる。それに伴い、星もひとつふたつ
と増えていった。
「おめえはあっちだろ、あのちかちかしてるやつ」
「あんちゃん、あれは飛行機だぁ」
「充分でしょ」
「ひどいよぅ。……きれいだなあ」
気がつけば、チャも星に夢中になっていた。あの色の違うのは母ちゃんだな。その
傍の光るのがこーじ。大きく瞬くあれはぶー。
二人で笑い合う。
「そんなら、その下の双子星がおいらとあんちゃんだな」
「おめえは一番星じゃなかったのかよ」
「うん、でも、みんなと離れんのは嫌だもんな」
ケンがとぼけた顔をしてみせる。こういった仕草が、この弟のしっかりしている
ところなのだ。チャはわざとその表情を無視して、河原に寝そべった。
どれくらい経ったか分からない。急にケンが立ち上がった。
「……どした」
「あんちゃん、帰ろうぜ。そろそろうちに入れてもらえなくなる」
言われてみれば、日が暮れてからだいぶ過ぎていた。ああ遅くなっちまったな、
そう思ってから青ざめる。
ミイラとりがミイラになるとは正にこのことだ。母親はきっとかんかんになって
いることだろう。
「ぼうっとしてねえで。おいら先に帰っちゃうよ?」
「やべえ!」
慌てて跳ね起き、さっさと歩き出したケンの後を追う。頭の中は母親の怒声でい
っぱいだ。なんて言い訳をしよう。いっそ言い訳なんてしないほうが賢いのかも
しれない。
そんなことばかり考えて、歩みが自然と遅くなる。
「……あんちゃんよう」
先に行くケンの呆れた声。振り向いた彼は、思い切りチャの頬をつねった。
「いででででっ」
「おいらが悪いんだから、あんたはにこにこしてりゃあいいよ。心配しなくてい
いから、早く歩いてくんな」
つねられた頬をおさえたまま、チャは前を歩く弟の背中をまじまじと眺める。
やはり、こいつは変わっている。
「あんちゃん?」
「ああ悪り」
辺りはすっかり暗くなり、どこの家からも晩御飯のいい匂いがする。ケンの腹の
虫がぐうと鳴き、気が付けば競走のように家を目指していた。
やがて見えてくる我が家に、ケンがスピードを落とす。チャも減速して、気を引き
締めた。その理由はただひとつ。
玄関先に仁王立ちする人影は、間違いなく、
「母ちゃ」
「あのー、お伺いしますけどぉ」
あまりにも普段通りの声音に言葉を遮られた。怒りのオーラを放っていた母親も
、毒気を抜かれたようにケンを見つめる。
「……は」
「碇矢さんのお宅はこちらでしょうかねぇ?」
ああ、こういうことか。本当にこの弟は馬鹿だ。
「母ちゃん、1本つけろや」
便乗すると、ケンもにやにやと笑った。
それに反比例するように、母親の顔色がどんどん赤くなる。
「……お前たちはっ! 本当に馬鹿だよ! どれだけ人様に迷惑かけてるか分か
らないのかい!」
その怒鳴り声に、縁側から二人の兄が顔を覗かせた。べえ、と舌を出してみせる
と、母親に箒の柄で殴られる。
「お前はケンを探しに行ったんだろう! 一緒に迷子になってどうするんだよ!
」
「……ごめんなさい」
「よし! 早く手を洗ってうがいでもしておいでっ」
はーい、と口の中で返事をして家に上がる。そんなチャについて行こうとしたケン
は、襟首を掴んで引き戻された。
「お前はまだだよ!」
「ほ」
がみがみと母親のお説教が響く。手を洗ってちゃぶ台につくと、兄たちが笑って
箸を並べてくれた。
「どうせケンと一緒になって馬鹿なことしてたんだろ」
「馬鹿なことじゃないよ」
「まぁ、無事で何よりだわな」
優しい兄の言葉に、恥ずかしくなって俯く。
「ごめん」
母親の説教はまだ終わらない。
後でケンに謝らなくちゃな。
長兄の拳骨を喰らった頭と、次兄につねられた尻が痛かった。
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ アリガトウゴザイマシタ
| | | | ピッ (・∀・ )
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改行多すぎました
途中で数字変わってごめんなさい。ごめんなさい
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