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中原と藤野その後

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

176 >>253 からの続きというか番外というか。しぶとく続いてごめんなさい
3レス消費します。作中では結構 時間流れてるんだと思ってください

あ。

我に返って、慌てて伸ばしかけた手を止めて、おろした。
「どした?」中原が不思議そうな目でこちらを見る。
「何でもない。」一言だけ、とても小さな声で返事して、目を逸らした。
中原はとくに問い詰めようと思わなかったのか、再び、手に持っていた本に視線を落とした。

僕と中原は、僕の部屋で、何をするでもなく、くつろいでいた。
中原は壁にもたれて座り、僕がすすめた小説を読んでいて、
僕はベッドに腰をかけて、ただぼーっとしていた。つい、先ほどまでは。
心臓の音が、うるさい。
まるで「それ」を僕に訴えかけるようにバクバクと鳴る。

横目でちらりと中原を見る。伏せ目がちに本を読んでいる。
その姿を見つめたまま、彼が今まで僕に見せた表情を思い出そうとする。

遠くから眺めていると、何に対しても面倒臭いというように、ボーっとした顔をしていて、
近くによって声をかけると、一瞬目を見開いてから、ふ、と安堵したように微笑んだ。
クラスメイトと集まって、くだらないバカ話をしてるときは、一歩退いてそれを見守るように
目を細めて笑っていたし、授業中は、体育の時間ですら眠たそうに欠伸をしていた。
ふと、彼の泣き顔が頭に浮かぶ。
いつだっただろう。長いこと一緒にいるけれど、中原が泣くことなんて滅多になかったように思う。
そう疑問に思ってから、それを一瞬で思い出せなかった自分に苦笑した。ああ、あのときか。

あれから半年はたったのだろうか。昨日のことのようにも、夢の中でのことのようにも思えた。
中原の話によると、あの病院の日、僕は勝ち誇ったような顔で笑っていたらしい。
(まあ、そのあとボロ泣きしたのだけども。)

もちろん、あのあと、中原と僕のあいだの壁がすぐに消えたわけではない。
退院してからも、中原はときどき、本当にときどきだけど、僕から避けるような動きをした。
抱いていい、と言ったからといって、そう簡単に切りかえれるものではないのだろう、
中原は僕に触れようとしなかった。何かを怯えるように、ためらい続けていた。
そんな中原の態度に腹が立ち、最初は僕から、仕掛けた。

僕が欲しいと思うのなら、我慢なんかしないでほしかった。
中原が僕にしたいと思っていることは、全部、受け止めたかった。答えたかった。
そうしなければ、また中原が壊れてしまうように思った。
だから僕は自分から中原にキスをした。中原に、最初の一歩を踏み出させるために。

最中には快楽を感じてしまうとはいえ、今でも性行為は苦手だと思う。
それでも、中原を失うことに比べたら、全然マシだ。そう感じていた。

そう、中原のために、中原のためだけに、僕は動いてきたはずだった。

なのに、何で今さっき、僕は中原に触れたくなった?

「どうしたんだ、さっきから。」中原は僕の視線に気づいていたらしい。「集中できないだろ。」
少し照れたように笑う中原の顔を、じっと見つめながら、結論を出す。
ああ、負けてしまった。
何が基準で勝ちと負けがあるのかは決めていないけれど、正直にそう思った。
ベッドから降りて、膝をたてて床に手をつき、ズリズリと中原のほうへ近づく。
「藤野?」中原は目をぱちぱちしながら、顔を覗き込んでくる。

頬が熱くなり、顔がみるみる赤くなっていくのが、自分でもわかる。
気恥ずかしい気持ちが邪魔をして、顔を下げて目をそらす。
僕は、食パンを食べるときは必ず耳から食べるし、
夏休みの宿題も毎年7月中に終わらせていた。どうせ、結果は変わらないからだ。
だから、さっさと済ませてしまえ。
目の奥が熱い。息を呑んで、ぐっとこらえる。もう泣いてなんかやるものか。
上目をつかって、もう一度中原と視線を交わせた。

僕は、他の誰でもない、自分のためだけに、中原にキスをした。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

やっとこさ正式な両思い。この2人の話は思い入れが深いせいか、
いくら吐き出してもまたネタが沸いてくるから困った。止まれ自分。


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