alternative
更新日: 2011-04-26 (火) 15:45:35
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| 元スレにはSS貼っちゃいけなかったので
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| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 加筆修正して改めて投下させてください。
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| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ワクワクキュンキュン
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
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僕は関政光。これでも海上国防軍の一尉だ。
戦闘の被害を最小限に留める方法とはいえ、中学一年生の少年である和久君を
監禁する強引な軍のやり方に僕は少なからず疑問を感じていた。
沈んでいる和久君の表情、その原因である軍の人間として
彼に少しでも償いをしたいと思う僕はある行動に出ることにした。
「和久君、僕を兄貴の様に思ってくれないか。」
「あ、兄貴ですか?」「そう。僕も和久君の事を、弟の様に思って君に接するから。」
両親に別れも言えないままこの部屋で暮らしている和久君にできること、
それは自分を擬似兄弟、擬似家族の様にお互いを思うように過ごすようにして
彼の心の傷が少しでも癒えれば嬉しい。そう僕は思ったのだ。
それから僕は軍服を脱いで毎日の様に和久君の部屋を訪れた。
テレビゲームで対戦して遊んだり、自分がお勧めするDVDを一緒に見たり。
夜に和久君が辛そうな表情をしたときには布団を敷いて隣で寝てあげたり…。
そうしているうちに、僕は段々と和久君に『同情すべき少年』以上の感情が芽生えていた。
もし和久君が本当に僕の弟だったら、家族だったら。僕は今の彼の状況をどんなに悲しく思うのだろう。
「君は絶対に死なせはしない。僕が、軍が君を守ってみせるよ」
戦闘は開始された、筈だった。
「あの子を殺していい!?そんなのおかしいですよ、関さん!」
「しかし、あの子を殺さなければ君の家族や友人が、皆死んでしまう!」
敵のパイロットである少女が戦闘を放棄したのだ。
「…それなら。」和久君はさっきまで荒げていた声を落ち着かせ、言った。
「関さん、俺を。俺を殺してください。」「和久君、何を言って…」
和久君は真っ直ぐに僕の瞳を見て、もう一度口を開く。
「オレだって、関さんが演技してた事くらい分かってるんですよ」
「演技?」僕には和久君が何を言っているのか理解できない。
「関さん、オレに兄貴だと思ってくれって、言ってくれましたよね。
それでオレの面倒を良く見てくれた。でも、それは任務とかだったんじゃないんですか?
軍の偉い人とかに、『和久隆は明らかに戦うモチベーションを欠いている。
地元には戻せないから、せめて戦えるように励ましてやれ』とか命令されて」
それは違う!僕は否定しようとしたが動揺して言葉が出ない。
自分が善かれと思ってしたことが、和久君にはそう映っていたなんて。
「オレの寂しくなって関さんが隣で寝てくれたとき、本当に嬉しかったんです。
関さんみいな兄貴が、本当にいたらいいな…って。そうも思いました。
でも、関さんにとってオレは《人形》のパイロットでしかないんでしょう。
オレがどんなに関さんことを好きになっても、軍人である関さんはそうとしか見てくれない。
オレが戦って死んでも、関さんは死ぬことになっていた子供が一人死んだ。そうとしか思わないんだ。」
「そんな…」
「両親や友達には、身代わりを用意されてオレは死んだことになってる。コズエも…いない。
オレが今ここで死んでも、オレが守りたかった人達は誰も悲しまない。そうですよね?」
「違う、違うよ和久君。僕は…」
…いや、違わない。
所詮僕は《人形》との契約をしていない、パイロットが戦闘に勝利すればこれからも生きる人間。
それなら和久君は?和久君は戦闘に勝利しようが敗北しようが死んでしまうのだ。
死ぬ事がわかっている人間に赤の他人が何かをしても、救いなど無い。
僕がどんなに和久君に親しくなろうとしても、和久君の心を弄んだだけに過ぎないのだ。
「で、殺すんですか?殺さないんですか?私はせっかくお嬢様が契約させたパイロットを
殺されるのは余りいい気分ではありませんが、彼を殺してもゲームは続行できますよ。
パイロットが足りなくなれば追加契約もできますしねえ。」
コエムシが横槍を入れてくる。
「関さんじゃなくてもいい、誰かオレを早く殺してください。オレは、あの子を攻撃できない。
攻撃されるところも見たくない。オレは人を守れるヒーローになれる…そう思って契約したんです。
誰も死んで欲しくなかったんです。でもそれが叶わないなら…せめて、オレが死んでから。
オレを殺してから、あの子を攻撃してください。お願いします。」
沈黙。そして遠くから聞こえる一発の銃声。和久君が攻撃できなかった少女が撃たれたのだ。
僕は和久君の全身の力が抜けていくのが見て取れた。彼を今抱きしめて支えてやりたい。
でも、そんな権利がどこにある?僕がもう彼にできる事は……殺す…そんなこと…
「それなら私が殺してあげる。」本田千鶴の声がした。「えっ。」
僕は見た。和久君の喉元にカッターナイフがするりと入っていくのを。
右に切り裂いたところから、スプレーのように血飛沫が散るのを。
座っていた椅子から前のめりに膝をついて滑り落ち、目を開いたまま寝転がって血溜りを作る和久君の姿を。
誰かの悲鳴がコックピットに鳴り響いた。和久君は、死んだ。
その戦闘は波乱続きになったが、勝利を収めることはできた。
次のパイロットも声を受け、彼は今地元で生活してもらっている。
確実に死が約束された彼らだからこそ、今までの日常を送ってもらいたい。
もう、和久君の様な悲劇を生み出さない様に。
僕は彼の遺体が保存されているジアースの隙間に居た。
死んだ直後そのままの表情、首の傷をしている和久君。
「コエムシさん。和久君の目を閉じてあげてもいいかい?」
「どうぞどうぞご勝手に。」僕は彼の目元に手をかざそうとすると
「触ったとたんに腐り始める…」ビクッとして手を硬直させた。
「何てことは無いと思うのでご安心を」「そ、そうですか。」
お、驚かさないでくれ。和久君の目は閉じられた。まるで眠っているように見える。
なあ、和久君。僕は軍人としてではなく、一人の人間として。
最初はそうだったけれど、《人形》のパイロットではなく、君自身を好きなっていったんだよ。
だから…
「はい、これで契約完了ですよ。
あなた方二人のマガジンは次のマガジンに装填されますからね。」
僕は、契約板に手をついていた。軍人として、僕なりの和久君への、本当の償いとして。
もし死後の世界があるなら、君にもう一度会って話をしたい。
その時は君に謝って、僕に誤解を解かせてくれないか。
(終)
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| | □ STOP. | |
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