洞/窟/物/語
更新日: 2011-04-26 (火) 17:42:08
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 洞/窟/物/語 カズマ×主人公×カズマ
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| バッドエンドルートでネタバレ気味
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
「一緒に逃げるか?」
その時、『任務』という単語がぼくの脳裏に浮かんだ。
任務?
ミミガーを殺す任務?
ミミガーの子供を背後にかばい、ぼくにマシンガンを向けるカーリーを思い出す。
もう彼女に会うことはないだろう。
ぼくを助けて水底に沈んだカーリー。
どんなに弾丸を撃ち込んでも開かないシャッターの向こうに消えた彼女。
――ぼくは無力だ。
ミミガーを救うため、ドクターの陰謀を阻止するため、ぼくは戦った。
自分が何者かもわからないまま、銃を手に敵を蹴散らし、島中を駆け回った。
だけど、ぼくは誰も救えなかった。
迷宮を抜けてミミガーの村に戻った時、何もかもが手遅れだった。
無人になったアーサーの家で絶望からしゃがみこみそうになったぼくを支えたのは、モニタに浮かぶカズマのメッセージだった。
ただひとこと。
そのひとことで、彼がまだ生きていると知り、ぼくはもう一度立つことができた。
もう誰にも死んでほしくない。
みんなドクターの手中に落ちた。
カズマが最後の一人だ。
死なせたくない。
失いたくない。
そしてもう、これ以上自分の無力さを嘆きたくない。
だから、ぼくはうなずいた。
満月が夜空に輝いている。
飛竜はその翼を広げ、ぼくたちを乗せて空へ飛び上がった。
飛竜の背で、ぼくは何度か後ろを振り返り、小さくなる島を確認した。
だが、カズマは一度も振り返らなかった。
あそこにはまだ、彼の妹が、母がいるはずなのに。
「仕方ないよな。できるだけのことはやったんだ」
それはただの言い訳だったのかもしれないが、ぼくにとっては何よりの救いになった。
島が遠ざかり、やがて点になり、それも消えた。
月が沈み、空が白み、朝日が雲海を金色に輝かせた。
カズマは最後まで泣かなかった。
クサムラ地区に似た山の中に、ぼくらは傾いた家を建て、静かに日々を過ごした。
ここに隠れる前に、ありとあらゆる手を尽くして集めた物資はかなりの量となり、もう人里に下りる必要もなかった。
カズマはよく端末で各国の情報を集めたが、そんな時の彼は暗く小さく、ぼくは話しかけることもできずにこっそりと家を離れる。
戦争は、あの島を逃げ出して間もなく開始された。
いまごろ、凶暴化したミミガーがあちらこちらで暴れ、そして死んでいるのだろう。
その中には、もしかしたらスーもいるのかもしれない。
カズマのおどけたような、どこか子供じみた言動は相変わらずだったが、夜になると彼はうなされるようになった。
ある日、妹の名前を叫んで飛び起きた彼を、ぼくは思わず抱きしめた。
冷たい汗をかいた体は柔らかく、彼が戦えない「ただの人間」であることを実感させられた。
荒れ狂う敵を前に、逃げ出すしかなかった、弱い体。
抱きしめたはいいが、その後どうしたらいいのかわからなず、ぼくは混乱した。
カーリーならわかるのかもしれない。ミミガーの母親になった彼女になら。彼にかけるべき言葉も、この感情の正体も。
だが無知なぼくは自分のしたことにうろたえて、自分よりずっと背の高い彼にしがみついた格好で固まるしかない。
「君には人の心があるんだな」
彼はそう呟いて、ぼくの体を抱きしめ返した。
つかまえられたのに痛みのない、はじめての経験。
「本当に、よくできてる」
人間になりたいと、その時思った。
山の向こうに、狼煙のように煙が上がった。
戦火は広がっているが、ここまでは来ないだろう。
ぼくらはいつまでもここで暮らし、やがて人間であるカズマは老いて死ぬ。
その後、ぼくはどうしたらいいのだろう。
ここで動作停止する日まで永遠にカズマの墓を守るのか。
それとも再び銃を手にするのか。
ぼくはもう記憶を失いたくない。
今のこの、閉ざされた幸せの記憶があれば、ぼくは何でもできるはずだ。
どんな末路になろうとも。
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ DS移植マダカナー
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
このページのURL: