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洞/窟/物/語

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                     |  洞/窟/物/語 カズマ×主人公×カズマ
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  バッドエンドルートでネタバレ気味
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 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
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「一緒に逃げるか?」

その時、『任務』という単語がぼくの脳裏に浮かんだ。
任務?
ミミガーを殺す任務?

ミミガーの子供を背後にかばい、ぼくにマシンガンを向けるカーリーを思い出す。
もう彼女に会うことはないだろう。
ぼくを助けて水底に沈んだカーリー。
どんなに弾丸を撃ち込んでも開かないシャッターの向こうに消えた彼女。

――ぼくは無力だ。

ミミガーを救うため、ドクターの陰謀を阻止するため、ぼくは戦った。
自分が何者かもわからないまま、銃を手に敵を蹴散らし、島中を駆け回った。
だけど、ぼくは誰も救えなかった。

迷宮を抜けてミミガーの村に戻った時、何もかもが手遅れだった。
無人になったアーサーの家で絶望からしゃがみこみそうになったぼくを支えたのは、モニタに浮かぶカズマのメッセージだった。
ただひとこと。
そのひとことで、彼がまだ生きていると知り、ぼくはもう一度立つことができた。

もう誰にも死んでほしくない。
みんなドクターの手中に落ちた。
カズマが最後の一人だ。
死なせたくない。
失いたくない。
そしてもう、これ以上自分の無力さを嘆きたくない。

だから、ぼくはうなずいた。

満月が夜空に輝いている。
飛竜はその翼を広げ、ぼくたちを乗せて空へ飛び上がった。

飛竜の背で、ぼくは何度か後ろを振り返り、小さくなる島を確認した。
だが、カズマは一度も振り返らなかった。
あそこにはまだ、彼の妹が、母がいるはずなのに。

「仕方ないよな。できるだけのことはやったんだ」

それはただの言い訳だったのかもしれないが、ぼくにとっては何よりの救いになった。

島が遠ざかり、やがて点になり、それも消えた。
月が沈み、空が白み、朝日が雲海を金色に輝かせた。

カズマは最後まで泣かなかった。

クサムラ地区に似た山の中に、ぼくらは傾いた家を建て、静かに日々を過ごした。
ここに隠れる前に、ありとあらゆる手を尽くして集めた物資はかなりの量となり、もう人里に下りる必要もなかった。
カズマはよく端末で各国の情報を集めたが、そんな時の彼は暗く小さく、ぼくは話しかけることもできずにこっそりと家を離れる。

戦争は、あの島を逃げ出して間もなく開始された。
いまごろ、凶暴化したミミガーがあちらこちらで暴れ、そして死んでいるのだろう。
その中には、もしかしたらスーもいるのかもしれない。

カズマのおどけたような、どこか子供じみた言動は相変わらずだったが、夜になると彼はうなされるようになった。
ある日、妹の名前を叫んで飛び起きた彼を、ぼくは思わず抱きしめた。
冷たい汗をかいた体は柔らかく、彼が戦えない「ただの人間」であることを実感させられた。
荒れ狂う敵を前に、逃げ出すしかなかった、弱い体。

抱きしめたはいいが、その後どうしたらいいのかわからなず、ぼくは混乱した。
カーリーならわかるのかもしれない。ミミガーの母親になった彼女になら。彼にかけるべき言葉も、この感情の正体も。
だが無知なぼくは自分のしたことにうろたえて、自分よりずっと背の高い彼にしがみついた格好で固まるしかない。

「君には人の心があるんだな」

彼はそう呟いて、ぼくの体を抱きしめ返した。
つかまえられたのに痛みのない、はじめての経験。

「本当に、よくできてる」

 人間になりたいと、その時思った。

山の向こうに、狼煙のように煙が上がった。
戦火は広がっているが、ここまでは来ないだろう。
ぼくらはいつまでもここで暮らし、やがて人間であるカズマは老いて死ぬ。

その後、ぼくはどうしたらいいのだろう。

ここで動作停止する日まで永遠にカズマの墓を守るのか。
それとも再び銃を手にするのか。

ぼくはもう記憶を失いたくない。

今のこの、閉ざされた幸せの記憶があれば、ぼくは何でもできるはずだ。

どんな末路になろうとも。

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 | | □ STOP.       | |
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