go田go カリスマ風紀委員×ツッコミ主人公
更新日: 2011-04-26 (火) 22:04:09
週刊飛翔のgo田goのカリスマ風紀委員とツッコミ主人公の小話。
今週号があまりにも前ネオなので、うっかりやった後悔はしていない。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
授業中、ピノちゃんを見ていて気づいたことがある。
真っ直ぐに伸びた姿勢、可愛らしい紅色の頬。
何をとっても、好みだと思う。
―でも、唐突に気がついてしまう。
その視線の先の人物がスギゴエだということを。
そういえば、スギゴエが何かネコに対してリアクションを起こすたびに、ピノちゃんは怒る。
…それって、つまり。
誰だって、そりゃそうだろう。
顔も良くて、成績も良くて、ストーカーだけど、女子には優しいスギゴエの方が、平凡でつまらない平均点以下の自分より絶対にいいに違いない。
馬鹿だなぁ。
そんなことにも気がつかないで、今までピノちゃんに恋してて。
本当に馬鹿だ。
凹む。
誰にも気づかれないように、教室をするり抜け出して。
幸いゴウはネコと楽しくおしゃべりをしていた。
使われていない旧校舎の一番古い階段の、屋上へ続く踊り場。
そこが、俺の居場所だった。
アサイチで買ってきたジャンプを読みながら、イチゴ牛乳を飲む。
至福の時間ってこういうこと?
失恋したばかりなのに、ジャンプを読むだけで少し気が楽になる。
しかも、ここには誰も来ない。
こんな場所に来る物好きがいるはずも無い。
望んだ筈の、非日常は突然にリアルになって、淡い恋心を打ち砕く。
俺が何をしたっていうんだ。
確かに、何も無い人間だけど、せめて恋ぐらい好きにさせてくれたっていいじゃないかと、思う。
思って、神様なんて、本当に何処にもいないのだと再確認する。
不公平で自分勝手で、我が侭な神様は俺には素知らぬ顔をして、通り過ぎていく。
ネコはモデルになれるほどかわいくて、俺は平凡のまま。
何も、何も、無い。
不意に泣きそうになって、堪える。
ああ、このまま一生誰にも思いを伝えないまま、俺の普通の人生は終わっていくのかな。
妙にネガティブになる。
英語の授業はサボった。
ここまで探しにくる人間などいない。
授業開始を告げるチャイムが鳴る。
それを虚ろな耳で聞いた。
探してるかな。
そんなわけないか。
ピノちゃん、ピノちゃん、ピノちゃん。
こんなにも思ってるのに、届くことは無い。
空しさに、潰されそう。
イチゴ牛乳をひとくち。
音一つしない世界。
そう、そのときまでは。
「サボりとはいい身分だな。スドウ」
聞いたことが、あるようなないような、声。
凛とした、はりのある声。
ギシギシと、音のする階段を緩やかに優雅な動作で上ってくる。
眼鏡のフレームがきらり、輝く。
「マエゾノジャクショウ」
カリスマ風紀委員、マエゾノジャクショウ。
豪とネコの馬鹿っプルが風紀を乱すとして、やってきて何故か、エロ好きを明かされ、挙句にエロ方面に全力疾走中の、前園。
ちなみに、初対面で蹴られた。
少し身構えていると、ジャンプを取られた。
「な、何、なんですか」
「ジャンプを読もうと思って」
「前園もサボり?」
「ああ。古文がだるいから抜けてきた」
「風紀委員がサボるなよ!」
思わずツッコむ。
前園は軽やかに無視をし、ジャンプのページを進めていく。
「それは無理だな。古文がどれだけ眠いか、知らないから、スドウはそんなことがいえるんだ」
「…そうかも、しれないけど」
ひとりにしておいて欲しいんだけどな。
マエゾノは、それも無視して隣に座り込む。
「妙にブルーな顔をしてるな、生理か?」
「それ、セクハラ!」
「恋の悩みか」
「…」
「悩んでるのか、恋で」
さっき聞いたよ、それ。
あたりだけどさ。
でも、スギゴエと並んでも遜色のない程の美形のマエゾノに恋の相談だなんて、金持ちに金の工面を頼みにいくようなものだ。
要するに、惨めってこと。
「別にマエゾノには関係ないだろ」
「冷たいな、スドウ」
ゴウの一味(?)に入ったマエゾノは、特に機嫌を悪くするわけでもなく、ギャグマンガで笑っている。
その顔もまた美形で腹が立った。
やっぱり不公平だ。
ジャンプなんて、どうでもいいから、マエゾノの前から姿を消したかった。
忍び足で、逃げようとすれば、足をかけられ、簡単に転んだ。
「っ!?い、た…何するんだよ」
「恋の相談に乗ってやろうと思ってな」
「別にいいよ!惨めになる」
「惨め?」
「お前とか、スギゴエとかはいいよ。何でも持ってるし、何でもできる。俺はなんの才能もなくて、何にも持ってない。顔だって並以下だし」
「おいおい、自分をそこまで卑下するなよ、スドウ」
「前園にはわかんないよ、俺の気持ちなんか。いっつもネコの付属品扱いでさ!いつもたいしたこないじゃんっていわれて、いじめの標的になって!バレーにも才能なくて…」
吐き出してるうちに涙が出てきた。
!!!」
マエゾノが呆気に取られたように、俺のネガティブ演説を聞いている。
「今も、いじめられてるのか?」
「ゴウが来た日に、解決したけど…痣とか、まだ残ってる。ゴウ…ゴウがいなければ、ホント、生きてる価値とかあんのかな」
ゴウのツッコミ役として、少しは役に立ってるかもしれないけど。
でも、そんなの誰にだって出来る。
「痣、見せてみろ。酷いんだろ…シャツ、捲ってみろ」
「いいよ、放っておいてくれよ!俺のことなんて!!お前はエロ本でも読んでろ!!!」
腕力で勝てるはずもないのに、ネガティブと涙と惨めといろんなものがミクスチャーされて、訳がわからなくなっていた。
マエゾノに八つ当たりしてるのも、大体分かってる。
でも、ひとりになりたかったのに、その不可領域を侵してきたのはマエゾノだ。
涙とかで、ぐちゃぐちゃの顔のままの俺なんて、放っておいてくれればいいのに。
マエゾノはジャンプを読み捨すてた。
「スドウ。俺は案外、お前のことを気に入っている」
「は?」
「だから、何にも無いとか、生きてる価値がないとか、言うな。…そういう弱い須藤につけ込みたくなる」
「は、え?」
今の、蝿になったな、と思っているうちに、マエゾノに捕らえられていた。
正確に言えば、抱きしめられていた。
「エロ仲間とかとでも、思ってんのかよ!」
腕の中で、そう反論しても無駄なのかもしれない。
いい、香水か何かの馨が、鼻腔を擽る。
「そうだな。そうとも思ってはいるが。別の下心もある」
「何だよ、ネコとお近づきになりたいとか?お生憎様、ネコはゴウに夢中だよ」
昔からそうだ。
回りの男子が妙に優しくなるときは、ネコ目当ての時だ。
だから、マエゾノも―…。
「言ったろう。弱いスドウ―ネオにつけ込みたくなるって。聞こえなかったか」
繰り返す。
壊れたテープレコーダーのように。
「俺は、ネオに―」
「あーあー!何も聞こえない!!!」
ネオって甘い声で呼ぶな。
予測不能の事態に、慌てて火事場の馬鹿力ってやつでマエゾノの腕を引き離して。
「マエゾノは、女の子が好きなんだよな。エロ大好きなんだし」
「ああ。でも、ネオのことも気になる」
「…ネコじゃなくて?」
「ああ。スドウネオが気になる」
「どうして、俺?」
「好きになるには、理由が必要か、ネオ」
「必要だよ。それ大事な要素じゃん」
「ゴウやネコ、ピノたちと話しているお前をみて、無性に苛々した。これって一体なんだと思う?」
「ゴウかネコが好きなんじゃないの」
その展開だけは避けたい。
「俺は…ピノちゃんが好きなんだ」
「そうか。じゃあ、暇つぶしに、付き合え、ネオ」
「何の?」
そっと、触れるような、壊れ物に触れるようなキス。
「は、はじめてのキスはピノちゃんにしようとしてたのに!!」
「そうか。人生、中々思い通りにはならないな、ネオ。ピノとやらに思いが届くまでの暇つぶしを、してみないか」
「はぁ?」
意味が全く分からない。
言っておくけれど、俺は全くノーマルだ。
マエゾノのようにオープンではないが、エロ本だって全部女の子のだ。
「弱くなったところを、狙う悪い風紀委員と気持ちいいことをしてみないか」
「気持ち、いいこと?」
また、距離が縮められて、またキスされる。
今度は、タイを引っ張られて、強引に。
それが、深く甘い、甘い口付けで、蕩けてしまいそうだった。
誰ともしたことのない、キスから始まってしまったこの関係を、どうすべきか、悩む。
―流されてるな、俺。
確実にそう思いながら、マエゾノのキスを甘受した。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
伏せ忘れとか、番号の振り間違いとか、あるよ…orz
初投下なんで、おかしなところがあるかもしれない。
前ネオ、一押しなんだけどな…同士がいますように。
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