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ゲイニソ 中途現実

|>PRAY ピッ!◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

京都育ちの幼馴染なゲイニソさんです。
なんか長くなっちゃったけど投下するんだぜ!

「そら顔では逆立ちしたって勝たれへんけどな、
 芸人としては絶対!負けてへんと思うで俺は。俺を!」
「その妙な倒置法なんやねん。かしこぶってるだけ
 余計アホに見えるやろ」
「つるぴか君がアホ言いな!副田ー。
 お前はどっちがおもろい思うねん。俺か、得井か!」

つるぴかて何や!とヒートアップする子杉さんをさておいて
俺に質問されても困るんですが芳田さん。しかも相方の目の前で。
「そら、得井くんでしょ」
としか言えませんよ実際。
あーもう当然そうだろみたいな顔で頷いてるし得井さん。
そこは笑って誤魔化す所ちゃうんかい!

芳田さん、というかブ/ラマヨさんは二人とも
得井くんとN/SCの同期で、しかも俺らとほぼ同時に
コンビを結成したこともあってか今日みたいな営業の仕事や
学祭の仕事とかで結構一緒になる機会が多い。
まあ俺はN/SC行ってないから芸歴ではかなり先輩なんやけど。
でも二人とも俺を同期のように扱ってくれて、
「仲が良い」と自他共に認めている二組なのだ。
…この思いっきりなライバル意識さえ無ければ。

今日の芳田スイッチはどうやら色紙の数が原因だったらしい。
事務所の人に「書いておいて下さい」と渡された色紙の数が
俺らより何枚か少なかったとかなんとか。
というか、二組ともその絶対数がまず少ないんだから
そんな所で競い合ってもしゃーないやろ。絶対言わんけどな。

「副田は得井のイエスマンやからなー。まあええわ。
 子杉は俺か得井やったら俺やろ?」
「アホか。俺かて得井選ぶわい」
「はぁ!?お前が俺やなかったら誰が俺やねん!
 ポン太さんくらいしか選択肢ないやんけ!」
あーもうまた不毛な喧嘩してはるわ。
でも言い合いしながらもちゃんと一枚一枚順番に
サインを書き込んでるのは偉いよなぁこの二人。
さすがプロ。って俺もか。

こちらはというと、得井くんが全部の色紙に書き込むのを待ってる状態。
あっちは二人で喋ってはるし、なんとなく手持ち無沙汰で
隣ですらすらサインを書き込んでいる相方をちらりと覗いてみたりする。
……サインってあれやね。
字ぃ汚いの上手く誤魔化せるようになってるからええよね。
得井くんの筆跡でもちゃんと「芸能人のサイン」っぽくなるし。
俺もそんなに人のこと言えんけどな。

最後の一枚に自分の分を書き込んだ相方は、
「はい」と全ての色紙を渡してきた。
受け取って自分も書こうとしたのだが…あれ。ペンが無い。
横を見ると、しっかりと相方の手の中に納まっている黒マジック。
「得井くん、ペン」と目線を机に向ける。
さっさとペンを机に置け、という合図のつもりだったのだが
「だから、はい」となおも手を近づけられる。

……まさか、気付かれていたのでしょうか。
相方の手から直接ペンを取るのが嫌だなぁというこちらの気持ち。

元々仲良かった友達同士だからこそかもしれんけど。
というより、俺のこいつに対する、あまりにも馬鹿馬鹿しい感情のせいで
意識のしすぎだとわかっていても、ペンを取る時に触れる指が
どうしてもいたたまれなくて気恥ずかしくて嫌で嫌で、
毎回思いっきりペンの端っこ掴んで接触が無いようにしてたんやけど。
でも最近はお前、ペンを机に置くようになってたやん!
なんで今頃そんな強硬な態度に出るかなぁ!

というこちらの気持ちも思いっきりばれているらしく、
にやけた面で楽しそうにこっちを見ている相方。
お前、たまに性格悪くなるよなぁ。くそ。
仕方なく以前と同じようにペンの端っこを
指先だけでそろーっと引き上げようとすると、
ちょうど良いタイミングで得井がペンを持つ手に力を入れるから、
何度やっても上手く抜けない。
ジロっと隣を睨んでも、相方はどこ吹く風という涼しい顔を崩さない。
…お前絶対遊んでるやろ。

なんやねん!と文句を言おうとした途端
子杉さんが声をかけてきた。
「お前、何で汚いものみたいに触ってんねん。
 得井可哀想やないか!」
いや、これには諸事情がございまして、と言うまもなく得井は
「せやろー?ウチの相方めっちゃ冷たいねん。
 二人とも助けてぇや~」と、
いじめられっこモードに入りやがった。
お、お前が最初に意地悪したからやんけ!
「おまえら二人は元友達なんやから、
 コンビになってもちゃんと仲良うせなアカンで?副田」
先程の大人気ない態度が嘘のような顔で芳田さんが先輩モードに入る。
いや、それは至極もっともな意見ではあるんですが。
でもこれ俺が折れる所かー!?違うやろ!
お前なんとかせぇや、と徳井の方を向いても
「副ちゃん酷いわぁ。昔は一緒にケーキまで作った仲やのに…」
と、あくまで被害者ムードで落ち込む芝居をしてやがる。

俺が謝るってオチかぁ?と嫌々ながらも台詞を考えていたら、
突然小杉さんが立ち上がって、俺達二人の手首をがしっと両手で掴んだ。
「え?」と思った次の瞬間、
徳井の手と俺の手はしっかりと繋がれていた。
コンッと床に滑り落ちるペンの音。
えーと、。
これはつまり、指先どころか、手の平全体の皮膚が、
徳井のそれと触れ合ってるってことに、なるわけで…

「ほら、もうこれで仲直りやろ?簡単なことやん!
 ったく小さいことで喧嘩したら、アカン、…ん?福田?」

その時俺の顔は、子杉さんの言葉どころか
目の前の手すらまともに認識できないくらい瞬間的に沸騰した気がする。
咄嗟に繋がっていた手を思いっきり振り払って、
その時の得井の顔もまともに見れなくて、
ましてや何を思っていたかなんて考えられなくて考えたくなくて
「トイレに行ってきます!!」と叫んでダッシュで楽屋を飛び出していた。
…俺、何ですぐ顔に出る体質で生まれてきてしもたんやろ。

部屋を出てから数歩でようやく二人のことを思い出した。
芳田さん。子杉さん。
お願いだから、今日のことは綺麗さっぱり記憶の彼方へ葬り去って下さい。

「えーと、つまり、あれは何なん?」
後ろの芳田も困惑した顔で「わからん」と首を振っていた。
俺、悪いことした?でも、だって手ぇくっつけただけで何もしてないで俺。
なのに何であいつはあんなに顔赤らめて出てかなあかんわけ?

目の前の得井はといえば、そのでっかい眼を大きく開けて
副田が風の如く出て行ったドアを強張った顔で見つめている。
もしかして、本気で喧嘩中やったんかなぁと申し訳なくなって
その顔をじっと見つめていたのだが、
…あれ、なんかこいつ、笑ろてない?

そういえばこいつは昔から、自分の感情が抑えきれないくらい高ぶった時、
たとえば本気で怒っているときや、本気で嬉しくなった時に限って、
努めて無表情を装うような奴だった。
元々穏やかな奴だから、ストレートに感情を表に出すことが
苦手なんだろうかと思っていたのだが。
と、いうことは。
副田の嫌がりよう+赤面=得井の本気なニヤけ面
という公式が成り立つわけで。
つまりは。……そういうことか。

なーんだ、と一気に脱力した俺は途端にアホらしくなって
とりあえずさっさと終らせてもらおうと得井に声をかけた。
「得井ー。お前ここ出る前にトイレ行っとかんでええのか?
 そろそろ時間やけど」
こちらを振り向いた得井はお得意の無表情を崩さない。
まあとっくにバレてるけどな。さてもう一声、と芳田を肘で小突く。
芳田も俺の意図に気付いたらしく、
「そうそう。こっから駅まで距離あるし、行った方がええんちゃう?」
と続けてくれた。ナイス相棒!
ようやく腰を上げた得井はピタリとドアの前で立ち止まり
「大やから遅くなる」と言い残して出て行った。
大でも小でもええから、さっさと行って二人で帰って来んかい。

いまいちよく分からん、という顔の吉田に事情を説明するのも面倒なので
一言「お前にも勝ってるところあったで」とだけ伝えた。
「勝ってる?何を?誰に?」
「お前が。徳井に。」
「だから、何を勝ってるところがあるん?
 …ってこれじゃ全部負けてるみたいやん。腹立つ」
「お前は少なくとも、好きな子とキチンと手ぐらい繋げるやろ?
 だから、や」
「……あ、そういうことか」

|>STOP ピッ!◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンガオオクリシマシタ!

ペンのエピソードを聞いて萌え過ぎてしまいました。
所々にある伏せ字忘れはホントすいませんスルーしてやって下さい…


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