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801動物園物語

オリジナル。飼育係総受。ギャグですよ
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

801動物園飼育員、以下、飼育屋は一匹狼の小屋へと足を踏み入れた。
何故一匹狼かと言うと、この801動物園には狼が一匹しかいないからだ。ただ、それだけだ。
その証拠に一匹狼は孤独を愛する気配も無く飼育屋の姿を見つけると尻尾を振り千切れそうになるほど振りながら駆け寄ってくる。
「飼育屋、飼育屋ーーー!!今日の晩飯何よ?」
がしっと抱きついて回してワフワフ腰を振りつつフンフン匂いを嗅いでくる一匹狼に飼育屋は軽く片眉を上げる。
「お前…、前々から思っていたが実は犬じゃないのか?」
狼とは思えぬ懐きっぷりに呆れ返り飼育屋が揶揄すると一匹狼は悪びれず肩を竦めた。
「そりゃあ仕方ねぇだろ?何たって客商売だからな?愛想だって嫌でも良くなる。
そこらへんの上流家庭の庭先でぬくぬく『交じりっけなしのものしか信じないよ』とか甘ったれた事を言っている犬とは違う」
一匹狼の言葉に飼育屋は怪訝な顔付きになる。
何故ならば一匹狼の言った言葉はドック・フードのテレビCMのワンフレーズだからだ。
一日中檻の中にいるはずなのに一体何処でテレビなんか見たんだ?と思ったが飼育屋は追求はしない。
(まぁ、下手に追い詰めても藪ヘビだからな。後からコッソリ檻の点検をしておこう)
内心そう思いながら飼育屋は溜息をつくとバケツの中に放り込んであった生肉の塊を取り犬の口許に突きつける。
「ほれ、交じりっけなしのビーフ100パーセントだ」
一匹狼は「ワォ」と口をOの字に開けて感激するポーズを取ってから
「日本産?」
と、首を傾げる。
「…気難しい主婦みたいなことを言うな。この動物園に狼に日本産の肉を与える余裕があると思うか?」
飼育屋が軽く睨むと一匹狼は悪びれず
「冗談だよ、冗談。相変わらず冗談が分からない奴だな?今まで、この俺が好き嫌い言った事があったか?」
と肩を竦めながら生肉を受け取った。
「俺、飼育屋が作ってくれるメシなら何でも美味しいワン」
そう言って犬は心なしか熱い眼差しを飼育屋に向ける。
何故、ここで急に語尾が犬?
しかも、狼も「ワン」でいいのか?一般的には「アオーン」とかじゃないのか?

そんな疑問が頭に過ぎった飼育屋だが、一応は可愛がっている狼の素直な言葉はやっぱり嬉しい。
しかしながら飼育屋は飼育屋の立場としての威厳も大事なので大っぴらに喜ぶ訳にもいかない。
「そ、そうか…、まぁ、作ったと言っても塊肉を切り分けて持ってきただけだが」
少し俯いて、ほんのり赤くなった頬を見られないように誤魔化しつつ平静を装う。
そんな飼育屋の内心を知ってか知らずか一匹狼は更に追い討ちをかけるように言葉を続けた。

「これからもずっと飼育屋の作ってくれるメシが食いてぇ」

気が付けばパーソナルスペースがほぼ皆無の距離に狼の顔が迫っている。
しかし一匹狼は狼であって人ではないのでパーソナルスペースを求めても仕方が無いと思っている飼育屋は二人の間の距離の無さは気にも止めない。
それよりも、これ以上この檻の中に居ると狼がもっと恥ずかしい、聞きように寄ってはプロポーズのような台詞を吐きかねないことの方が気になった。
晴れの土曜日ということもあって客足も多いこの時間帯。
昼間は寝ている狼が起きているのが珍しいのか檻の前にもチラホラと客である若い娘さんたちの姿が見える。
まさか檻の向こうまでは一匹狼の言っていることは聞こえていないだろうが、うっかり耳に入って変な誤解されても困る。

飼育屋は
「そんなにヨイショしなくても、ちゃんと食わせてやるから心配するな。狼が飢えている動物園じゃ夢も希望も無いからな」
と、咳払いすると次の小屋に行こうと踵を返そうとした。

「って!!おい!!」
しかし、気が付けば一匹狼に出口間近の壁に押し付けられていて身動き一つ取れない状態だった。
一匹狼は先程渡した生肉を脇に置いたまま、それには目もくれずに飼育屋の首筋をぺロリと舐めた。

「おわ!!」
思わず引っくり返った声を上げそうになった飼育屋は飼育屋の意地で耐えて男らしく低音でビックリすると、すかさず一匹狼の頭を叩く。

「何しやがる?!お前の餌は俺じゃなくてあっち!!」

食われるかも?という恐怖は無い。
それこそ小さな頃はミルクも俺がやったし親同然で育ててやった一匹狼だ。
少々、冗談が行き過ぎてる気もするが、じゃれているだけだろうと飼育屋が厳しめの声で叱ると一匹狼はシュンと尻尾をお尻に巻き込む。
しかし一匹狼の腕の力は弱まる事は無く飼育屋は眉を潜めた。

「どうした?腹でも壊してるのか?生肉よりも火通したほうが良かったか?」
心配になって顔を覗き込むと一匹狼は「クウーン」と犬みたいに甘えた声を出し犬がするように自然に飼育屋の唇をペロリと舐める。

「…ッ!!お、おい!!」
動揺するも、頭を摺り寄せて首筋をフンフンと嗅ぐ行為も掠めるように頬や唇を舐める行為も甘えている犬がする行為で違和感なく、ウッカリ押しのけられないまま暫く一匹狼になされるがままだった飼育屋は檻の向こうの客のざわめきに気付き慌てて犬の頭を押しのけた。

「だ、大丈夫ですからね~!!襲われている訳ではありませんよ~!
これも飼育係と狼の信頼関係を良好に保つ為に大切なスキンシップなんです!!」

狼が飼育係を襲う動物園、などという不名誉な悪評を流す訳にもいかないと飼育屋はにこやかな笑みを客に向けると次の瞬間、無愛想な顔に戻り犬を睨みつける。

「おい、そろそろ離せ!」
普段はちゃらんぽらんな一匹狼だがイヌ科の動物ということもあり人の心にも敏感だ。
だから本気で叱れば、ちゃんと飼育屋の言う事を聞いてくれる一匹狼だが、この日ばかりは一匹狼の腕の力は緩む事は無かった。

「レイ?」
飼育屋は一匹狼の様子に流石に心配になり、仕事中は滅多に呼ばない一匹狼の名前を呼ぶ。
ちなみにレイとは「絶対零度」の略である。
シベリア出身なら絶対零度の小宇宙を高められるぐらいに大物になるんだ!という801動物園の園長の熱い期待が詰まった名前だが、その真意を当の本人も飼育屋も知らない。よって一匹狼がセブンセン/シズに目覚める日はまだ遠い。
飼育屋が一匹狼を名前で呼ばないのは一匹狼が子供の頃、世話役を任され一緒に生活暮らしていた時期を思い出すからだ。
動物園の狼ではなく自分の家族のように繰り返し呼んでいた名前。
それは仕事として一匹狼に向き合っている現状には酷く似合わない呼び名のように飼育屋は感じていた。
同じように一匹狼も子供の頃のように飼育屋の名前を呼ぶことは殆どない。
「どうしたんだ?レイ?」
名前を呼ばれた一匹狼は一瞬顔を歪めると、ぎゅっと飼育屋に抱きつく。
その仕草に一匹で眠れなくて布団の中に潜り込んできた子狼のころを思い出し一匹狼の行動を許してしまった飼育屋の耳元。

「交尾してぇ」

「は?」
ぼそり、と呟かれた一匹狼の言葉に飼育屋は目を大きく見開いた。
そして、飼育屋がそのまま思考をフリーズさせてしまったのをいいことに一匹狼は…。
「ちょ!おまっ!!発情期の犬のようにガクガク腰を振るな~~~!!」
一瞬止まっていた瞬間に剥きかけられた作業服の袷を慌てて直しつつ飼育屋は我に返って一匹狼を押しのける。
そして、飼育屋は深々と溜息を吐いた。
「そうかぁ、お前、発情期だったのかぁ…。でも、どうしてか、この動物園メスは一匹もいねぇしなぁ」
どーすっかなぁ?と暫し考え込んだあげく、飼育屋は何か思い付いたらしくポンッと手の平を打つ。
「そうだ!ふたつ隣の町にあるエロパロ動物園に女の子の狼がいっぱいいるぞ?どうだ??」
飼育屋の提案に一匹狼思わず牙を剥いて声を荒げた。
「冗談じゃねぇ!そんなところのメス犬いらねぇよ!!だいたい板違いだろうがッ!それに俺はっ!!」
俺は誰とでも交尾したい訳じゃない、飼育屋と交尾がしたいんだ!!と子孫を残す野生の魂を忘れているかもしれない問題発言を一匹狼がしそうになった矢先、飼育屋は残念そう苦笑し一匹狼の言葉を遮った。

「やっぱりなぁ、お前、女の好みにうるさいから、そういうとは思ったけど。
それにしても、同じPINKなんだから、そんなにエロパロ動物園の子のこと嫌うことねぇだろう?」
「住み分けってもんがあるんだよ、分かってねぇなぁ…」
飼育屋が本気で自分に雌狼を宛がおうとしていた訳ではないことを悟り余裕を取り戻した一匹狼は呆れたように肩を竦める。
そんな一匹狼に
「生意気言うな」
と軽く裏拳を入れ飼育屋は残念そうに呟く。

「でも、残念だな…。明日休みだから、お前の未来の奥さん探しのついでに一緒にエロパロ動物園に視察に行こうかと思ったのになぁ。
同じPINKとして、あそこには学ぶべきことも多いし俺も勉強になると思ったんだが」
「は?一緒に?」

思わず目を丸くした一匹狼に飼育屋は檻の隅、不自然に高く藁が積まれてる寝床を顎で指し示す。

「ところで、お前…プリズン/ブレイクしてるだろ?」
「何でそこで海外ドラマだよ!」
素直に脱走と言えばいいだろ!と突っ込んでしまった一匹狼に飼育屋は「ほらな?」と笑ってみせた。
普通、檻の中に居て海外ドラマのタイトルなんて分かる訳がない。

「ぐ…、塞ぐのかよ」

全てを見透かす飼育屋の眼差しに観念したように一匹狼が唸ると飼育屋はふ、と笑う。

「いや、檻を出てるのは分かったけど、どこから出てるかは分からないから塞ぎようがない」

「え!!でも今さっき!!」
明らかに何処に抜け道を作っているのかは飼育屋の視線からいっても分かっているはずだった。
しかし飼育屋はニヤリと笑うと脱走のことについては忘れたように話を切り替えた。

「で、明日、俺休みなんだけど、一緒に行くか?」
「行くかって…、いいのかよ?飼育屋がそんなこと言って」
それは暗に脱走しろと言っていないか?と突っ込む一匹狼に飼育屋は涼しい顔で笑った。

「明日は休みだから俺は飼育屋じゃないしな。お前がどうしようと感知しない」

「…そう、か」
行き先は気に入らないが飼育屋とオフで会えるなら、どこにでも行くぞ!と一匹狼はワンワン飼育屋の周囲を跳ね回って興奮したいのを耐えて
「じゃあ朝起きれたら付き合ってる。大切な世話係があそこで変な女に引っ掛かっても困るしな」
などと気の無い返事を返した。
しかし、尻尾はメーターを振り切らんばかりに揺れているのでクールな素振りもあまり意味がない。

すっかり上機嫌になって緩んだ一匹狼の腕からそっと抜け出た飼育屋は
「朝、起きれたらって…お前、夜中脱走してどこ行ってるんだ?間違っても近所の飼い犬に狼犬を出産させるなよ?」
とクギを刺すと檻の外へ出る。

「あのなぁ…、んなことする訳ねぇだろ?だいたい俺はなぁ…夜は」
夜は飼育屋の家の前で不審な輩が入ってこないか一晩中番犬をしてやっているんだ!狼のこの俺が犬の真似事を!
そう言いたかったが、それを言うと、この飼育屋の性格からして、せっかく見逃してもらえたのに「そんな無駄なことをするなら檻は塞ぐ!」と逆に塞がれそうな気がして一匹狼は言葉を飲み込んだ。

「夜は?」
そんな一匹狼の様子に飼育屋は不審気に問い返す。
「いや、やっぱり秘密だ、秘密。狼にだって隠れ家が必要だ」
一匹狼は慌てて誤魔化すと、よいっしょっと餌箱に放置してあった肉を手に取った。

「さーて、そろそろメシにすっか!」

不自然な一匹狼の態度を疑問に思うものの、「明日、オフのときに家にでも連れ込んでジックリ聞き込みしてやろう」、と思い追求せず飼育屋は次の動物が待つ檻へ向かう為に今度こそ踵を返す、その前に
「あ、そうだ。明日来るんだったら尻尾と耳は外して来いよ?」
ついでに飼育係の新人くんに付けて置けば一日ぐらいばれないだろ?などと先輩として酷すぎる提案をしておくのだった。

「じゃあ、ちゃんと食えよ」
「おう!!じゃあまた明日な」
上機嫌な一匹狼の返事に飼育屋は思わず頬を緩めた。
一匹狼の様子が少し煮詰まっている感じだったので外に連れ出してやろうと思ってした提案だったが本当に嬉しいのは自分かもしれない。
「また明日」と一匹狼の口から自然に出てきた言葉に小さく微笑んで飼育屋は言葉を返した。

「ああ、また明日、な」

ほんの少し、もうちょっとだけ狼小屋の近くでいたい気がしたが明日の休みの為にも今日はバリバリ働かなければならない。
「さって!次行くか!」
飼育屋は気を取り直して次の小屋に向かうのだった。

ちなみに今日の801動物園のメインイベントはヘタレ狼攻×ツンデレ飼育員受であったことを彼は知らない。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
密かに俺様ライオン攻めとか触手ヘビ攻めとかショタうさぎ攻めとかもいるんです

  • 面白かった! -- 2012-09-18 (火) 03:50:32
  • 801動物園 -- 2013-01-06 (日) 01:17:12

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