Top/26-212

儀明日白衣→元皇子

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

儀明日の白衣→元皇子
幼い頃に面識があって、岸になる誓いとかしてたらいい

彼のまだ小さな手の指先からは、滑らかに音楽が紡ぎだされた。
緩やかな、穏やかな楽曲、あるいは弾むようなロンドを好んだ彼の音楽は、聞く者の心を浮き立たせその脳裏に幻想の風景を映して見せた。
けれど、彼の置かれた世界の環境では「音楽」は武器には成り得なかった。兄弟には芸術を、特に絵画を愛した兄もいたが、あくまでも道楽とみなされた。
その道楽さえも、ある程度立場が確立されていなければそんな余裕などない。
今、上階の窓から漏れ聞こえてくる旋律は、記憶のものよりも幾分技巧が落ちてしまっているようだった。

「あら、ピアノ」
一歩下がって隣を歩んでいた部下の女性がつられて足を止め、窓を見上げる。
軍部施設を追い出された牛寺派に快く、とはいかないが、場所を提供してくれた学園の、理事長室へと型どおりの挨拶を済ませた帰りだった。
高等部校舎の脇を歩んでいた口イドの耳に、鍵盤の音が飛び込んできたのは。道に面した教室の窓が開いている。音楽室なのだろう。
確かめるように何度か単音が弾み、続いて和音が重なる。少しの間をおいて、ピアノソナタが始まった。
「学生さんかしら?上手ですね」
(もーっと上手だったんだよぉ)
口イドは部下の感想を心の内で訂正する。
彼が妹にせがまれて、またその妹と母親のために毎日ピアノを弾いていたあの頃は。
本国を追われ日本に渡り、きっとその間ピアノに触れることも少なかったのだろう。記憶をたどりながら、多少ぎこちなく白黒の鍵盤上を動く指を思い描く。
ほら、フォルテに癖が出た。
選曲は整然とした行進を思わせる、騎士の行軍。テンポが上がる。旋律が弾ける。
「ナイト目亜……」
「え?」
その瞬間、口イドの中で全てが繋がった。彼の頭の中に描かれる、戦略図。ソナタは終盤。
薄い色の目を細め、くるりと背後を振り返る。向き合った部下へと読めない笑顔で笑いかけた。
「早く戻らなくっちゃねぇ」
「あ、はい」

(みぃつけた。僕の皇子様)

音楽は嘘をつかない。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

唐突に思いついて書いたはいいが扱いに困ったため棚を借りました
お目汚し失礼しました


このページのURL:

ページ新規作成

新しいページはこちらから投稿できます。

TOP