禿たか しばわし
更新日: 2011-04-27 (水) 13:08:44
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乙駈れです
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| 禿たか しばわし
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| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| こんなの妄想した
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| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
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身の回りのことはどうしてるんだと司馬野に尋ねられたとき、和紙図はハウスキーピングを頼んでますからと答えるにとどめた。
実際、家事はそれで事足りている。
「それならいいんだけど」
「はい。あとのことはリハビリもかねて、自分でするようにしています」
「そうか」
会話はそれきりになった。
その日の午後、中野辺が回してくれた車でおそらくこの先一生世話になる病院へ行き、予約しておいた理学療法を受ける。
根気のいる歩行訓練をしながら、なぜか司馬野の顔が頭に浮かんだ。
額に汗がにじんだ。
いやだなと思う。
司馬野のことを考えながら訓練をしている自分を、和紙図は持て余してしまうのだ。
案の定、山ほどの薬をかかえて自宅のマンションに戻ったあとは、少しの間ソファに沈み込むように座ってぼんやりした。
ふいに携帯がテーブルの上で、ブルブルと震えた。
司馬野からだ。
ちょっと迷って、それに出る。
『夕めし、どうかなと思って』
「いいですよ。めずらしいですね、司馬野さんから誘ってくださるなんて」
『いや、たまにはね。今日会ったときに言えばよかったんだけど、あのあとで思いついて』
自分なら、と和紙図は思った。
食事をするなら一週間前から日を決めて、ずっと浮き立った気持ちでいるだろうに。
「メンツはあと誰です?」
『いや、考えてなかった。声を掛けたい人いるなら言ってくれ』
和紙図は、相手に聞こえないように息をのんだ。
「それなら…うちにいらっしゃいませんか。出歩かなくていいから、私も楽なんです」
『そうか、じゃあどこかで何か作ってもらって持っていく』
電話を置いた和紙図は、歩行訓練のあとの汗を流そうと苦労して服を脱ぐと、急いでシャワーを浴びた。
そしてマンションが契約しているコンシェルジェに電話して、ワインとオードブルを注文すると、
ガウンのまましばらく考え込む。
自分は何を期待しているんだ、何をしようとしているんだ。
はっとして新しいワイシャツを引っ掛け、スラックスを穿いた頃にワインが届く。
オードブルをどこに置きましょうと尋ねられて、リビングルームのテーブルにするか、ダイニングにするかでちょっと迷った。
結局リビングに置いてもらい、ワインは冷蔵庫に納まった。
若いコンシェルジェは和紙図の足を見て、セットしておきましょうかと聞いた。
それに和紙図は黙ってうなづく。
「グラスはいくつ用意します?」
「あ、よ、よっつ。フルートふたつとそうでないのをふたつ頼む」
手際よくテーブルに並べられていくグラスや皿を眺めながら、和紙図はどんどん無表情になっていく。こんなにして、もし司馬野が来なかったらどうしようという不安がふと胸をよぎったのだ。
「キッチンにワインクーラーを出しておきました。お客様がいらしたらお使いください」
急に笑顔で話しかけられ、咄嗟につられるように微笑んでありがとうとだけ短く答える。
再び部屋に一人になると、考えるのがいやになって仕事の書類に目を通した。
あまり頭に入らなかった。
それでも時間は過ぎて、実際に自分の部屋の玄関に司馬野が立っているのを、和紙図はある種感動して見ていた。
司馬野が料亭で作ってもらったという風呂敷を開くと、二人分の弁当が入っている。
「日本酒のほうがよかったですね」
「いや、うまいよ」
司馬野はグラスを目の高さに上げて、細かい泡を立て続ける液体に目をやる。
そしてグラスにそっと唇をつけた。
「司馬野さん、電話もらってよかったですよ。一度一緒にゆっくり飲みたいと思ってたんです」
「うん」
食事が進むにつれて酒壜はすぐに空になり、傍らの杖に手を伸ばすと、三本目のワインを取りに和紙図はよろよろと立ち上がった。
司馬野が心配そうに半ば立ち上がりかけて中腰になる。
それを制して、和紙図はキッチンに歩いていった。
パートナーという言葉が和紙図の頭に浮かぶ。
それは自分が酔っているからだという自覚が和紙図にはあった。
そしてその言葉を口にしないのは、それほどひどくは酔っていないのだという自信もある。
新しい壜を持ってリビングに戻ると、司馬野がそれを受け取った。
「自宅ですよ。大丈夫です」
「いや、あの…時々手を貸そうかと思うときもあったんだが、お前のプライドを傷つけるような気もしてできなかった」
「そうですか」
「どうなんだ」
「なにがです?」
「手助けしてもいいもんだろうか」
和紙図はうつむくと、ふっと苦笑した。
「今日はそういうことを言いにいらしたんですね」
「いや、そういうわけでもないんだが」
ゆっくりと顔を上げると、和紙図は杖なしで立ち上がろうとした。
ぐらりと体が揺れるのを見て、顔色を変えた司馬野が駆け寄り和紙図の体を支える。
前のめりになった上体を起こすと、和紙図は司馬野の方に額を乗せた。
「助けてくださいよ」
司馬野は黙っていた。
顔を上げることができずに和紙図はずっと司馬野の肩と胸に身を寄せている。
やがて、すっと動いた司馬野の腕が、和紙図の頭を後ろから抱えるように回った。
これ以上は何も望んではいけない。
本望だと和紙図は思った。
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
| | | | ピッ (・∀・ )
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