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狂犬×弁護士

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ ) 性懲りもなく、朝の情報番組「スキーリ」司会の狂犬×イケメン弁護士ネタだよ。
今回も弁護士視点です。

部屋に響く、鼻をすする音。
彼の泣き顔を見るのはこれが二回目。
でも、別に僕が泣かせたわけじゃない。

「仮東さん、何泣いてんの」
「…っ……」
「こんなベタベタな恋愛映画じゃ泣かねーって言ったの誰だっけ~」
「るせぇよ…」
暇つぶしに借りてきたDVD。
愛する恋人を助けるために自分を犠牲にする主人公。
残されたヒロインは、その愛の深さに涙する…という内容。
僕もラストシーンは涙ぐんでしまったが、隣の仮東さんがそれ以上に号泣するものだから思わず笑ってしまった。
「はい、ティッシュ」
「…あんがと」
「良い話だったでしょ?」
「まぁ、ね」
「誰かのために死ねるって、そういう生き方が出来たら幸せだろうなぁ」
自己犠牲というのは、僕にとって魅力的な言葉。
大事な人を救うためなら命も厭わないなんて、そんな考えは凄く憧れるわけで。「…じゃあさ、矢白さん」
「ん?」
彼が、勢い良く鼻をかんだ後で呟く。

「俺のために死ねる?」

少しの沈黙。
答えを躊躇している間に、ゴミ箱に向かって彼が投げたクシャクシャのティッシュをつい目で追いかける。
あ、外れた。

「まぁ…そんな状況になればね」
「ふーん」
「仮東さんの事は大事に想ってるし」
「ふーん」
「…何、その反応」
「わっかんねーなぁ、その考え」
…自分から聞いてきたくせに。
泣き過ぎて真っ赤になった鼻で、彼が笑い飛ばす。
「独りになっちゃうじゃん、そしたら」
「え?」
声とは裏腹に、横顔は寂しげに俯いたままで。
それを見て、訳も分からず胸にチクリと痛みが走る。「やだよ、そんなの…」
今までの馬鹿にした様な笑いが、一瞬だけ消え入る様な涙声に変わった。
何で彼が泣くのか瞬時に理解出来なくて、掛ける言葉も見つからない。
「仮東さん…?」
「大事にしてるんだったら、独りにすんなよ」
そう呟いて、ゴシゴシと涙を拭きながら彼がもう一度笑った。
僕の事を、まるで自分勝手な男だと茶化す様に。
…ふいに思う。
あの悲劇のヒロインも、同じ気持ちだったんだろうかと。

「…じゃあ、ずっと仮東さんの側にいようかな」
「ん、勝手にすれば?」
「勝手にするよ」
「へいへい」

部屋に再び響く、豪快に鼻をかむ音。
…今度は二人分。
彼の泣き顔を見たのはこれが二回目。
寂しがり屋を泣かせたのは、自分勝手な、僕。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )マイナーすぎて切ないが、二人の仲良しっぷりに萌えるんだからしょうがない。


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