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ビリー/ミリ/ガン人格内 アー/サー×アレ/ン

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                     |ビリー/ミリ/ガン人格内 小話です
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| ノンフィクションものです。不謹慎に思われたら
 | |                | |             \ スルーしてください。
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 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
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記憶は、子供たちの残虐な罵声から唐突にはじまる。目を開けると、
そこは建築現場で、ぼくは地面に掘られた基礎用の穴に引きずり込まれ
ようとしていた。どうしてだろう。自分がこの世に生まれたのは確かに
その瞬間だったはずなのに、そのときすでに、ぼくは、自分が何かの
使命を果たすために生まれてきたのだということを悟っていた。だから、
ぼくは懸命に舌を捌いて、自分より一フィートも背の高い子供たちをなだ
めようとした。結果は失敗で、ぼくは身体もろとも穴の中に投げ込まれた。
だが、ぼくという存在はその瞬間から確実に始まったのであり、そのことは、
他の人格たちとの出会いによって確証づけられることになった。

 スポットから外れた暗がりの中、アーサーはひとり物思いに耽っていた。
その指は相変わらずピラミッドの形をあわせ作っている。眼鏡の奥にうかぶ
眼は重たげだ。近頃とみに沈みがちなのは、レイゲンが現れないせいだろう。
レイゲンがやってこないのは平和な証拠で、近頃は人格の交代も落ち着いている。
それはアーサーの本来望むところであるはずだったが、手ごたえのある相手が
そばにいないことはやはり不満なのだろう。
「アーサー」ぼくは絵筆を置いた。「描けたよ」
 声をかけると、彼はぼくのいるスポットの側にまで歩んできた。光の中に
半身だけを差し入れて、ぼくの背後からキャンバスをしげしげと眺める。
「新しい作品だな、アレン」
「うん」
「よく描けているな。これは誰なんだ?」
「あんただ」
「……わたし?」
「あんたの他に、眼鏡の人格なんていたっけ?」
 レイゲン、クリステン、エイプリル、これまで何人もの人格たちを現実世界の
キャンバスの上で描いてきた。なぜ風景画でも静物画でもなく人物画なのか、
と問われても困る。だが、自分にはどうしても人格たちの顔をはっきりとかきと
めておきたいという願望があった。他の人からみれば、ぼくたちは、ビリーと
いう殻のなかで分裂した意識の片割れにすぎない。
「自画像は描かないのか、アレン」
「自分の顔なんて知らないもの」ぼくは笑った。「鏡をのぞいたところで、
映ってるのはビリーの顔だ」
 アーサーも苦笑した。
「理にかなっているな」
「そうだろ」

「しかし、それではきみの顔だけがこの世に残らないことになる」
「構いやしないよ」ぼくは言った。「トミーは風景画しか描かないし」
「トミーも最近スポットに現れないな」
「……追い出してやった。それ以来、出てこないんだ」
「どうして追い出した」
「あんたの顔を描くのを邪魔するから」
「……どうして」
「さあね」
 絵筆を片付ける。肩が凝ってひどく疲れていた。ベッドで一眠りしたら誰か
がスポットを代わってくれるだろうか。アーサーに声をかけようとしたが、
振り向いたときにはもう彼の姿はスポットの隅から消えていた。仕方がない。
ベッドに身を投げて天井を見つめる。自分はビリー・ミリガンだ。唐突にそう
考える。自分はビリー・ミリガンだ。アーサーもビリー・ミリガンだ。レイゲンも
トミーもビリー・ミリガンだ。それが本来の道理だ。だが、もしそうならば、
ぼくたちは結局何のために生まれてきたのだろう。ぼくたちはただビリーを
守るためだけに生まれてきたにすぎないのだろうか。そしてぼくはただビリーの
分裂した一意識として、残りの二十三の意識の残像を巧妙に描き分けている
だけにすぎないのだろうか。わからない。天井から目を閉ざすとスポットも
見えなくなって涙がこぼれ出た。

 と、その瞬間、ふわりと頭の上から覆いかぶさる意識があって目を開けた。
自分がどこにいるか分からなくなった。だが、ぼやけた視界の先にいるのは
間違いなくアーサーだ。いつもピラミッドを形作っているその指が、ゆっくりと
頬に触れて、伝い落ちた涙を拭い去った。そして、聞きなれたイギリス訛りと
共に、短い接吻が唇に落ちる。
「アレン」声がほんのかすかに掠れている。「私は、きみの顔を決して忘れはしない」
 アーサー、と言おうとしたが、言葉にならない。震えた唇にもういちど接吻が
あてがわれる。喋れなくなった自分なんておしまいだ、と思ったが、それよりも
彼のいつになく優しげなまなざしに心もろとも吸い込まれそうだった。ランカスターの
老人ホームでアーサーが感情をこらえたように見えたのは思い違いではなかったのだ。
たまらずアーサーの金髪を引き寄せて顔じゅうに唇を寄せる。止まらなくなって
交わした舌は不思議なほど温かい。ゆっくりと快感が持ち上がる。多分、生々しく
反応しているのはビリーの身体だ。傍から見ればこれは自慰にすぎないだろう。
ビリーの家族に見られたら大変なことだ。
「部屋に……」ぼくはあがる呼吸の中でつぶやいた「部屋に、鍵をかけないと」
 アーサーは苦笑した。「きみは、どうにも機転がききすぎるな」

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 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ オソマツサマデシタ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
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