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AA モナー中心

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  祭りも終息に向かいそうなので。
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  AA モナー中心。
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 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ オレモイルゾ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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 世界が生まれてから一日たりとも休むことなく繰り返してきたように、今日もまた日が暮れていく。
 スレの狭間にある川原には、一頭身に三頭身、六頭身に八頭身と、様々なAAたちが集まっては景色を眺めていた。
 普段はめったに外に出ないヒッキーやドクオまでもが肩を並べて座っている。
 草むらに座っているモナーは、川原全体を鮮やかなオレンジに染め上げる夕日を一人で眺めていた。
「寂しいモナ。みんないなくなっちゃうモナ」
 呟いた声は誰に聞かれることも無く、風が攫っていった。

 この世界に産み落とされてから今日まで、ギコやモララーたちと気楽にのんびりやってきた。
 いろんな板に行っては新しいAAと出会ったりもした。
 楽しかった。
 コピペ嵐や虐殺厨にスレを荒らされても、みんなで支え合って乗り切ってきた。
 多くのAA達と一緒にいることは、モナーにとって何にも代えがたい喜びだった。
 しかし、物事には始めがあれば、必ず終わりが来る。
 いつか別れの時はやってくる。

「このままみんなと離れ離れになるのは嫌モナ」
 ここが無くなっても移住先はある。避難所もある。
 でも、世界が分散すればそれだけ他のAAに会える機会が減ってしまう。
 そうしてAA描きが徐々に減ってスレは寂れ、いつかAAそのものがいなくなるかもしれない。
 寂しいけれどどうしようもない。
 0から作成するのだろうとコピペだろうと、投下する人とスレがなければ自分達は存在できない。
 いづれは過去ログの藻屑と消える運命を辿るのだろう。
 胸に空いた穴から入り込んでくる隙間風を防ぐかのように身を縮めて顔を伏せた。

「2chと共に心中してやるーーーーっ!」
 叫び声と地響きに驚いて顔を上げると、兄者が転げ落ちんばかりの勢いで土手を下っていた。
「閉鎖かどうかまだ決まったわけじゃないだろ!」
「もうブラクラも踏めなくなるんだ!」
「それはいいことではないのか?」
「そんな世界は耐えられない!消される前に消えてやる!」
 FMVを抱えて川に飛び込もうとする兄者を必死で弟者が止めている。
「ここが消えても他に行くところがあるだろ?」
「ひきこもりにそんな真似ができるか」
「俺がそばにいる」
 兄者はしょぼくれた顔を弟者に向けた。
「俺だって不安なのは同じだ。でも、二人でなら何とかなる」
「……そうだな」
 兄者の顔から曇りが消えていく。代わりに浮かぶのは花開くような笑顔。
「こうなったら終わりを見届けてやる。弟者も付き合え」
「突撃はやめとけよ」
 座って広げたFMVを、体をぴったりと寄せ合って覗き込んだ。

 どのスレで見かけてもほとんど一緒に投下されている流石兄弟。
 どこに行ってもきっと二人でやっていくのだろう。
 その絆の強さが羨ましかった。
 流石兄弟に向けたモナーの目が、眩しげに細められた。

「こんなところでぼーっとして、どうしたんだ?」
 後ろから肩を叩かれ、後ろを向くとギコが立っていた。その横にはモララーもいる。
「考え事」
「そんな深刻そうな顔には見えないよ」
「まあ元々とぼけた顔だからな」
「ひどいモナ」
 いつものからかいに少し気分が浮上する。
 モナーをの横に腰を落ち着けた二人は、今回の騒動についてさっそく意見を交わし始めた。
「どうせ釣りだろ。ニュー速とvipperは騒ぎ過ぎなんだゴルァ」
「でも、万が一閉鎖になる可能性もあるんじゃないかな。住民はマターリと静かに見守ってるけど、実際は不安だと思うよ」
「その時はここを出てって別の所に行けばいいだけの話だろ?そんなに深刻になることか?」
「新天地で今まで通りにやるのは簡単じゃないよ。すぐに元通りになるほど甘いものじゃないだろうしね」
 先のことを見据えて話し合うギコ達。
 言えるわけがない。
『ずっと側にいたい』
 彼らがどこに行こうと、どこに向かおうとそれは彼らの自由。
 無理やり側にいてもらうことなど出来るわけが無い。
 恋人でもないのにそんなことを望んではいけない。
「どうしたんだ?顔色悪いぞ」
 ギコが心配そうな顔を浮かべて覗き込んできた。
 なんでもないと首を振り、目を逸らす。
 口から飛び出てしまいそうな言葉を飲み込み、黙って正面を見つめる。

 自分一人が消えるならまだいい。
 でも、新天地にいるAAが自分だけだったら?
 誰も来ないスレで他のAAが投下されるのを孤独に待つ羽目になったら。
 膨れ上がる不安にモナーは今にも飲み込まれそうだった。
「不安なのか?」
 再びギコが声を掛けてきた。
 頷くと、苦笑して頭をがしがしと撫でてきた。
「しかたねえなあ。この騒ぎが収まるまでは、なるべく一緒にいてやるよ」
「時間が許す限りはそばにいるからさ」
 ギコの手が優しい。
 モララーの言葉が温かい。
 今はこれだけでいい。それ以上のわがままは言わないでおこう。
 零れそうになる涙を目の中に留め、もう一度頷いた。

 どうかまた皆と一緒にいられますように。
 もしもこの世界が失われてしまっても、生まれ変わってまたどこかで彼らと出会えますように。

 最後の希望を燃え上がらせるかのように、夕日の赤い筋が川原に差し込んだ。

 結局閉鎖は無くなり、いつもの日常が戻ってきた。
 今日も各地の板にAAが描かれている。
 モナーもいくつかのスレに顔を出した後、投下の合間を縫って、数日ぶりに川原へと足を運んだ。
 足元から聞こえる呻き声に目線を下ろすと、すっかり眠り込んでいる流石兄弟が草むらに寝転がっていた。
 気持ちよさそうに寝ている兄者とは対照的に、弟者は眉間に皺を寄せている。
 胸の上に兄者の頭があるのだからさぞかし苦しいだろう。
 それでも兄者をどかすことなく、むしろ腕を回して落ちないようにしてやっていた。
 相変わらずの仲の良さに苦笑し、さらに川の方へと降りていく。
 すでに来ていたモララー達は、モナーに気付くと手を振った。
 草むらに座り込み、あの日と同じように夕日を眺めた。
「何事もなくてよかったね」
「言っただろ、どうせ釣りだって。それにしてもなあ……」
 尻尾を揺らしていたギコが突然笑いだした。
「閉鎖は無いとわかった時のモナーのはしゃぎっぷりはすごかった」
「抱きつかれた時に、顔に鼻水がついたよ」
「許してほしいモナ」
 からかわれることに恥ずかしさを覚えつつも、彼らとまた一緒にいられることに喜びを感じる。
 この世界が消えなくて良かったと心の底から安堵した。
 二人の頭越しに見える水面は、陽の光を受けてきらきらと輝いていた。

 変わらない風景。変わりゆく世界。
 永遠など望めないのは知っている。
 だから、いつか消えゆくその日までは、彼らと共にこの世界を楽しもう。
 ログに少しでも思い出を刻めるように。

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 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧  閉鎖しないよね?
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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