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『車達』稲妻×医者

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                     |  『車達』稲妻×医者
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  深夜に何ムキになってんだ
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 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ギャオ、ツナガッタ、ヤター!
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
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 巻き戻されるレーサー達。再生ボタンと共に、リスタート。
「だからね、第四ターンの後は一気に飛ばして」
 リモコンが脇から奪われる。再び画面の中のレーサー達が真顔のままでバックする。
「そんなに飛ばしてもタイヤが持たん。いくらグイ├゛のタイヤ交換が速くてもピット
インがかさむなら大した距離は稼げん」
 再スタート。今度はコマ送りで。
「この35番を良く見てろ。空気抵抗を利用して、路面に吸い付くように走っているだろう。
スピードを落としてもいい、路面に全身を貼り付ける気で行け」
ドック・八ドソンの冷静かつ理詰めなアドバイスをライトニング・MACィーンはふくれ顔で受ける。
「えー?それじゃあいつパフォーマンスするのさ?こう、ちらっと余裕見せてカチャ――」
「アピールはレースの後にしろ。大体坊や、お前は観客を気にしすぎなんだ」
「だってドック!お客さんは僕を見に来てるんだよ?」
「……。100m譲ってやって向こうがレーサーを見に来ているとしても、レーシングカーはお前一台じゃない」
「でもそうなの!」
八ドソンは軽くフレームを沈めて息をつき、隣のルーキーの繰り言に付き合うのをすっぱりやめた。
それから無言で目の前のテレビ画面とリモコン操作に集中し始める。

 一週間後に迫るレースの舞台は、八ドソン・ホーネットの世代から存在する歴史あるサーキットだ。
 デビューしてまだ間もないMACィーンはここを走る機会に恵まれず、ここ数日間は過去の記録映像をあさって
研究を積み重ねていた。八ドソンも口頭のみでは伝えづらい諸々を伝授すべく、その隣に陣取っている。
「本当、あのジンクスが出来たのも分かるよ。これだけ記録映像見たら、歴代チャンプの走りが嫌でも頭に入るもの」
MACィーンがストローを咥えてぼやく。カップの中のオイルはかなり温くなったようだった。

 このレースには、とあるジンクスがある。
『このサーキットの周回タイムを更新すればシーズンチャンプの座につけるのはもちろんのこと、
後のレース史上に名を残す名レーサーになれる』
現在の周回最速タイム保持車は、既に現役を退いたキングだ。
 それを打ち破らんと意気込むMACィーンに対し、自身もまたジンクスを体現しているはずの
八ドソンはしらけたものだ。八ドソンの代にはジンクスが確立していなかったのもあるし、
八ドソン本人がその手の話を信じない主義だからなのもある。
(その癖火の玉やトラックおばけの話は普通に言ったりするし……まったく、ドックは
僕に名レーサーになってもらいたくないの?)
 MACィーンは溜め息の代わりにストローに息を吹き込んでカップの中身をぽこここ、と泡立たせた。

「行儀が悪いぞ」
八ドソンが画面を見つめたままたしなめる。その視線は動かず、心はそっちへかかりきりのようだ。
 MACィーンもそれを悟って、あぶく遊びをすぐにはやめなかった。しかしそう息は続かず、
わざわざ息継ぎしてまでやる事でもない。
 ちらりと、傍らの八ドソンを見遣る。自分のそれとは微妙に色合いの違うブルーアイズ。例えるなら、大海の青。
その瞳が真剣な色味を湛え――――自分以外を見ている。

 唐突に腹が立った。

 泡の弾ける音が止まったのを八ドソンは特に何の感慨もなく認識した。が、次に響いたエンジンを吹かす独特の重低音に気が付いて、不思議そうにMACィーンへと遣った視線が幸いした。
 八ドソンの視界は、MACィーンの真っ黒なメカ部分に支配されていた。
「!」
反射的にギアをバックに入れて急発進。ウィリー状態にあったMACィーンは今まで八ドソンがいた位置に
空しく全身を叩き付ける。そして背後の事は考えもしていない八ドソンは、きちんと整理整頓してあった
工具置き場にバックから突っ込んで派手な騒音を巻き起こす。

 すべては、一瞬だった。

「…………ハエを追っ払うには大袈裟だな」
何とも言えない沈黙を最初に破ったのは、八ドソンの方だった。頭に乗ってしまったグリスの
ボトルを邪魔そうに振り払うと、缶と床面がぶつかって硬質の音が響く。テレビの中のレースはとうに最終ラップだ。
「……いきなり何のつもりだ」
「……だって」
タイヤから何から床にへばりつく格好になっていたMACィーンが、のそのそと態勢を建て直す。
「ドック、カッコ良かったから」
「坊や、悪いがまるで意味が分からん。俺にも分かるように言え」
そっけない八ドソンの注文にも、MACィーンは即座には答えない。一旦ハンドルを左に目一杯切ってバック、
それから少し前進して位置を調節すれば二台はすっかり向き合える。

「つまり……僕のハートにびんびん来たからとりあえずスキンシップを」
「……。ミーティング中にサカるな馬鹿者」
『いつもの』切り返しに答える事なくMACィーンは今度は八ドソンから見て右へと進んだ。
再び左へハンドルを切り、そのリアフロントを八ドソンの前に晒して、バック。
するする進むその先は、八ドソンの右隣。
 ふっ、とMACィーンは笑う。どこか、切なげに。
「分かった、謝るよドック。けどね、『八ドソン』――――」
不意に呼ばれた本名に八ドソンは本能的に車体を強張らせた。その内にMACィーンが隣で止まる。
「大好きだよ。それだけは、本当」
いつもの軽薄さはどこへやら、MACィーンの低く抑えた真摯な囁きが八ドソンの聴覚を震わせる。
フロントバンパーからマフラーの先に至るまでがぞくっと波立つ感覚を錯覚だと思い込もうとしながら、
八ドソンはそっと甘えるように擦り寄せられるMACィーンのボンネットを、渾身の力を込めた
タイヤでひっぱたく。ぼむっ、と言う気の抜けた音とMACィーンの間の抜けた悲鳴が被った。

 潜在的に理解はしている。積極的なルーキーの『スキンシップ』をかわし続けるのもそろそろ限界だと。

 あの熱情的な告白から早数ヶ月。未だ、何の進展も無し。いや、八ドソンからしてみれば
自らの心境が怒涛の如く変化していったのを経験しているのだが、それを知るのは唯一町の保安官だけだ。
 それにしたって八ドソンも男だ。気持ちは受け入れておきながら、そこから先は一切許さない――
これでは生殺しに近い事は分かり切っている。若いMACィーンがいつまでも我慢していられるとは到底思えなかった。

 それでも、アクセルを踏み出すのは難しい。

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嘘です。あんまり長いんで分けました。
続きは又今度。
ちなみにこの医者は吹き替え版であります(一人称は俺のが萌ゆる)

  • くっそ萌えました -- 2011-09-30 (金) 19:45:00
  • すばらしく稲妻医者!!萌えですー -- 2012-06-28 (木) 00:02:46

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