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ナマモノ&男体化

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                     |  ナマモノ&男体化
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 関係萌えなんで名前その他変換済み 
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 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 戦闘シーンは略
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・; )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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「では、明日の21時に悪魔払いの儀式を執り行います」

昨日の今時分、あの人は厳かに、そして淡々と私たちに告げた。
だが、いまだ私の前には、暗く静かな闇だけがある。
行くところもなく、待ち人は来ない。
ただ、途方に暮れていたとき、不意にその闇を包み込むような光が広がり、小柄な影が現れた。

「私は準備OKです。みなさん頑張りましょう」

柔らかく揺れる布のシルエットと優しく響く声が、その影の主が女性なのだと教えている。
ようやく光に慣れた目に、徐々に映し出された姿は美しかった。
緩く巻く、長い栗色の髪。優しさに満ちた茶色の瞳。
知っている。昨日、会った。あの人の仲間の藤野鈴香さん。

次いで、その光がゆっくりと溢れた。水を注がれた、真夏の花のような伸びやかさで。

「なにかできることがありましたら、なんなりとお申し付け下さいませ」

眩しさに視界を閉ざした一瞬の間に、藤野さんの後には更に小さい可憐な姿があった。
風に遊ぶ、短い黒髪。透明な心を映したかのように無垢な瞳。
彼女も知っている。昨日、知った。風見静さん。

更に、光が弾けた。
いや、この破裂したかのような衝撃は、広大な光の奔流が元の光に合わさりそのように見せただけのようだった。
彼女たちに向けていた目が、潰れたかのように痛む。

「こんばんは。 本日は宜しくお願い致します」

瞬いた目が、何とか映し出したのは、二人を背に庇うように立つ凛々しい姿。
背を覆う漆黒の髪。強い意志を見せる黒瞳。
彼も、いた。あの人の隣に立っていた、天満睦月さん。

そして、あの人が来た。
闇を切り裂く刃。光の残像ごと、一刀のもとに。
全てがひっくり返ったかのように、視界が回る。

「天満さんは私と。こちらが主力部隊です。風見さんは藤野さんと援護をお願いします。
みなさん、準備はよろしいですね? では始めましょうか」

力強い声が響く。
私の意思をかき消すかのように、鋭い視線で突き刺してくる。
壊れそうなほどに胸が高鳴る。待っていたあの人――飛鳥明さんが来た。
焦点の合わない目を必死で向けても、炎光を纏う飛鳥さんは見えない。
ただ、あの人が彼の隣に立ったことだけはわかっていた。
だから、私から流れ出し始めたどす黒い感情は、見える形で天満さんに向かった。
周囲に広がる光を侵食するかのように闇が広がる。
何かの触手のように、色濃く変わり伸びていく闇は、一人だけに向かっている。
姿は闇が隠していた。だが、時に見える光が、飛鳥さんたちの場所を教えてくれる。
遠くに見える、優しい藤の香りを思わせる光は藤野さん。風見さんはそこの清々しい光。
焼かれるほどに熱い閃きはあの人だ。
そして、溢れる光の中心に天満さんがいる。

闇と光の攻防。鬩ぎあいが続く中、藤の一房が揺れた。
一瞬の光の動揺。その隙を逃さず、闇が動いた。

声がとぎれとぎれに聞こえてくる。
その中で響いた声に、私の執着の一つが壊れた。

「天満さん!」

あの人が彼を呼ぶ。
耳を潰したくなるような悲痛な声で、彼を呼ぶ。
あの人が立ち上がる。
向けられて当然の怒りすら抑えて、あの人の厳かな一閃が私を切り裂いた。

空へと意識が引っ張られていく。
四方から小さな粒子が入り込んでくる。
光が心地よいと感じるのは、私が消える瞬間が近付いているからだろう。
もう一度、この世に生まれることができるなら、今度は獣ではなく人に生まれたい。
もう一目だけと思い、下へと向けた意識があの人を捉えた。
膝をついたあの人の腕には、小さく微笑む天満さんがいる。
私が送っていきましょうと言いながら、彼を抱き上げたあの人の顔にも笑顔がある。
藤野さんも風見さんに支えられ歩き出している。
あの人から誰も奪わなくてすんだ安堵に、力が抜けて空気に混じった。

気がつけば俺は自室にいた。
用意するように言われた膳の上の諸々を、なぜか凝視していた。
酷く疲れている目を瞬かせながら部屋を見回す。
もちろん闇だの光だのがあるはずもない。
適当に積み上げてある雑誌も揺れてすらいない。
当然だ。あれらはただの夢にすぎない。自己暗示に掛かっていただけだ。
だから、小さい頃に飼っていたタロが見えたなんて気のせいだ。
ただ、俺の中からは、重たく締め付けていた頭痛と、俺を振った彼女への憎悪が消えていた。
考えてみれば、別に憎むほど好きだったわけでもない。
「別れましょう」「そうだな」で終わる程度の付き合いだった。
最初から、八つ当たりに誰かをからかってやろうと思うほど、自棄になるような付き合いではなかったんだ。
なんとなく腑に落ちない気分は残っていたが、今は晴れやかな気分が勝っている。
だが、気分とは裏腹に体がだるい。異常に眠い。このまま朝まで眠りたい。
それでも、やらなければならないことが残っていた。
どうにか布団の誘惑を振り切り、付けっぱなしのPCの前に座る。
マウスを握ろうとした手が止まった。顔に違和感がある。
頬に持っていった指先に涙の跡があった。
俺には泣く理由がない。だから、これは俺の涙じゃない。
不意に今まで遠かった誰かの感情がストンと胸に落ちた。
それが俺の感情へと変わっていく。

「顔も本当の名前も、連絡方法も知らない……どうしようもじゃないか」

小さく呟いてPCの画面へと目を向ける。
新しい涙が視界を滲ませて、モニターが見えなかった。

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 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 終わり
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