2chAA 雪の女王パロ『飛び出す絵本』
更新日: 2011-05-01 (日) 01:21:30
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ポップアップ機能のあるブラウザで見てね。
|
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 挿絵が飛び出して見えるモナ。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧
| | | | ピッ (・∀・ )(´∀` )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄
1.鏡と、そのかけらのこと
悪魔:8ネーノ
子悪魔:・ネーノの子供達
神様:モララエル
ある日のこと、魔物の長は一つの鏡を作りました。
その鏡に映ると、いいものや美しいものはみんな縮こまって、見えなくなってしまいますが、役に立たないものやみっともないものは、なおさらひどく見えるのです。
きれいな景色も、ズレズレに歪んだ大型AAみたいに見えるし、基本テンプレも、耳が飛ぶとか、胴無し眉毛に映るとかしました。
顔はすっかり文字化けしてしまって見分けもつきません。
それに、調整ドットが一つあろうものなら、それが体じゅうに広がるのはまず間違いありませんでした。
「コイツは、素敵に愉快なんじゃネーノ?」と、悪魔は言いました。
何しろ、ある人の心にマターリした、(・∀・)イイ!!考えが浮かぶと、鏡にはふっと(・A・)イクナイ!!が出てくるのですから。
さて、悪魔は魔物学校の校長をしていましたので、生徒の小悪魔たちはみんな、
『今こそはじめて、2chや住人の本当の姿が見られるんだからな』と、方々の板へ言いふらしました。
小悪魔たちは、この鏡を担いであっちこっちねり歩いたので、この鏡に歪んで映らなかった板もスレッドも、一つもないぐらいでした。
そこで、次は天国までのぼっていって、天使たちや神様たちを馬鹿にしてやろう、ということになりました。
高くのぼっていくと、鏡に映るものはどんどん酷くなりました。
それでももっともっとのぼっていって、神様と天使たちの方へ近づいていくと、鏡はおそろしく震え出し、みんなの手から飛び出して地面に落ち、
そこで、何千万、何億の、いや、もっともっと沢山の欠片になって飛び散り、それまでよりもっと大きな禍を撒くことになったのです。
というのは、欠片の中には、大きさが調整ドットぐらいしかないのもあって、それらは2chじゅうに飛んでいき、住人の心の中に入り込みました。
すると、その人たちは何もかもを殺伐と見たり、さもなければスレの厨なところばかりに目をつけたりするのでした。
鏡の細かい粒ひとつでも、元の鏡と同じ効果を持っていたからです。
鏡の欠片には大分大きいのもあって、窓に使われたりしましたが、そんなブラウザを通して2chを見るなんて、やめた方がいいのでした。
なかには、眼鏡になった欠片もあります。けれど、そんな色眼鏡をかけると、レスをちゃんと読もうとしても、とてもうまくいきませんでした。
悪魔の方は、立っていられないほど笑いこけました。
それはともかく、小さい鏡の欠片の群れは、まだまだ2chじゅうを飛び回っているのでした。
2.兄弟と従兄弟者
カイ:従兄弟者
ゲルダ:流石兄弟(ダブルキャスト)
薔薇の花:こけもも
おばあさん:母者
雪の女王:マスター
大きい板には、とてもたくさんのスレがあり、数多くの住人がいますから、誰もが流石リーナを育てられるほどの容量はありません。だから、大抵の人はほっしゅ毬藻で満足しなければなりません。
この板に、こけももを育てている、幼い子供達が住んでいました。
この子達は同種族で、家族のように仲良しでした。彼らの保護者は、板の下の方に、隣り合わせに住んでいました。
つまり、どちらも地下スレに住んでいたのです。
それぞれのスレにリンクが貼られていましたから、お互いに向こうのスレへ行くことができるのでした。
このスレはとても低くにあって、子供達は、勝手にスレをageてはいけないと、ちゃんとわかっていました。
だから彼等は、ときどき許しをもらっては、お互いのスレに行き、こけももの下に座って、楽しく遊ぶのでした。
冬になれば、そういう楽しみはなくなります。ときおり、スレは人大杉のためにすっかり止まってしまいます。
外には雪が舞い散っています。
「あれは、白いほっしゅ毬藻が、どっさり群がっているんだよ」と、母者は言いました。
「ほっしゅの女王もいるのだろうか」と、小さい兄者は聞きました。
兄者は女王蜂と同じように、ほっしゅにも女王がいると信じていたのです。
「いるともさ」と、母者は言いました。
「女王は、ほっしゅたちが一番びっしり群がっているところに飛んでいるんだよ。他の誰より大きいし、
決してじっとしていなくて、すぐまた常駐板の方に飛び返ってしまう。
よく、冬の夜には、女王は地下スレを飛び回って、あっちこっちのスレを覗き込む。
すると、スレは凍り付いて、スレストをかけたみたいになるんだよ」
「雪の女王は、ここまで入ってこられるかな」弟者が聞きました。
「来るなら、来たらいい」従兄弟者は言いました。「熱いストーブに乗っけてやる。そしたら、溶けちゃうさ」
その夜、従兄弟者は窓ぎわの椅子にのぼって、外をのぞきました。
外では、雪のひらが二つ三つ、舞っていましたが、そのうちの一番大きいのが、窓のへりにとまりました。
その雪ひらは、みるみる大きくなったと思うと、しまいに、りっぱな八頭身になりました。
来ているものはとても綺麗な白い紗でしたが、それはまるで、星のような氷片を何百万も集めてできているようでした。
その八頭身は実に美しくてカコイイけれど、体は目もくらむような、きらめく氷でできていて、それでいて生きているのでした。
その目は、澄んだ二つの星のようでしたが、その中には、馴れ合いもマターリもありません。
従兄弟者はぎょっとして椅子から飛び降りましたが、そのとき、大きな鳥が一羽、窓の側から飛び去ったような気がしました。
あくる日は晴れて、凍てついた朝になり、それから雪どけになり、春が来ました。
たいようが輝いて、緑のほっしゅがのぞきだし、窓は開けられ、子供達はまた、こけももの下で遊ぶようになりました。
こけももはこの夏、言いようもないほど見事に咲きました。
兄弟は替え歌を一つ、知っていましたが、その歌を歌うと兄弟はいつも、自分達のこけももを思い出すのでした。
♪萌えの花 かおるスレに おわします ネタ師絵師 職人様♪
従兄弟者と兄弟はそこに座ってこけももを眺めていましたが、乙女の花園でスジャータが5時を知らせたとき、従兄弟者が言いました。
「痛い! 胸がちくっとした! …あ、今度は、何か目に入った!」
兄弟は心配になって、従兄弟者の頭を抱きました。従兄弟者は目をしぱしぱさせましたが、何も見当たりませんでした。
けれど、出てしまったのではありません。あの鏡から飛び散った粒の一つだったのです。
そして従兄弟者の心臓にも、この粒が一つ、入ってしまったのです。
「なんで泣いてるんだ?」従兄弟者は聞きました。
「何ともないのに! ちぇっ!…なんだ、このこけももには('A`) がくっついてる!
それに、あっちのはまるでズレてる!」
従兄弟者はこけももの鉢を蹴飛ばして、葉っぱをむしりとりました。
「マテ従兄弟者、何をする」小さい弟者は叫びました。
ところが従兄弟者は、兄者のびっくりした顔を見ると、兄弟を放っておいて、家に飛び込んでしまいました。
従兄弟者はすっかり人が変わってしまいました。
兄弟がFMVを持って遊びに行くと、従兄弟者は、そんなものヒッキーの見るものだ、と言いました。
それに、母者がお話をしてあげると、ひっきりなしに「フーン」「それで?」と口を出し、隙さえあれば、後ろに回って、母者の真似をするのでした。
じきに従兄弟者は、板じゅうのどんなAAの話し方も、歩き方も真似るようになりました。
そのAAのおかしなところ、格好悪いところならなんでも、従兄弟者はうまく真似してみせました。
自分を慕ってくれる小さな兄弟さえもいぢめるようになりました。
冬のある日、従兄弟者はミトンをはめ、そりを肩にかついでやってきました。
「みんなの遊んでる広場で、そりに乗ってもいいって言われたんだ」そう言うと、従兄弟者は行ってしまいました。
広場では、大きな男の子たちが、自分のそりを山崎の車に結びつけ、くっついて滑っていました。
そうしてみんなが遊んでいる最中、大きなそりがやってきました。
真っ白なそりで、乗っている人は、白い毛皮にくるまり、白い帽子をかぶっていました。
従兄弟者は自分の小さいそりをすばやくそれに結びつけ、一緒に滑りだしました。
そりは、ぐんぐん速くなって、またたくうちに隣のスレに入りました。
そりを走らせていた人は、振り向いて、二人が前から知り合いだったみたいに親しげに、従兄弟者に笑いかけました。
そりは、板の入り口を走り抜けて、出て行きました。
雪が吹雪き始めたので、従兄弟者は自分の手も見えないくらいになりました。が、そりは尚も走り続けてゆきます。
従兄弟者は紐をゆるめて、大きいそりから離れようとしました。でも、駄目でした。
雪は降りしきり、そりは飛ぶように走って行きます。
たくさんの雪のひらは、しだいしだいに大きくなり、とうとう、大きな白いほっしゅ達のようになりました。
ふいに大きなそりは止まり、そりを走らせていた人が立ち上がりました。その毛皮も、帽子も、すっかり雪でできています。その人は、とても背が高く、すらりとして、輝くように白い八頭身でした。雪の女王だったのです。
「随分よく走ったようだ。おや、凍えているね?」雪の女王は言いました、「私の白クマの毛皮の中にお入り」
女王は従兄弟者を大きなそりに乗せて、毛皮をかけてくれました。まるで雪だまりに沈み込むような感じでした。
「まだ凍えてるの?」と尋ね、女王は従兄弟者の額にキスしました。
そのキスは氷よりも冷たく、もう氷の塊になりかけている従兄弟者の心臓にまっすぐ沁み込みました。
従兄弟者は死にそうな気がしました…が、すぐいい気持ちになりました。まわりの寒さも、もう感じなくなったのです。
雪の女王は、もう一回従兄弟者にキスしました。
すると従兄弟者は、小さい兄弟のことも、こけもものことも、家族のことも、すっかり忘れてしまいました。
「これ以上はキスしてあげないよ」と、女王は言いました。「今度キスすると、君を死なせてしまうからね」
従兄弟者のそりは、白いほっしゅの一匹に結わえつけられ、そのほっしゅはそりを背に乗せて、あとから飛んできました。
いまでは女王は、氷でできているようには見えませんでした。
従兄弟者の目には、女王は全く完全な人に映りました。もう、ちっとも怖くありません。
そこで従兄弟者は女王に、ボクは2GETができて、それもアンカーつきの煽り2GETができるし、1000取りや、騙しリンクもできるよ、と話してきかせると、女王は優しく微笑むのでした。
女王は、従兄弟者を連れて飛んで行きました。二人は板や鯖を越え、したらばやいちごびびえすを越えて飛んで行きました。
3.魔法を使える姐さんの話
太陽:たいよう(さいたま)
ツバメ:ジエン
魔女:姉者
従兄弟者がいなくなってから、兄弟はどうなったでしょうか?
従兄弟者はどこへ行ったのか、誰も知りません。
男の子達が、従兄弟者が自分の小さいそりをすてきな大きいそりに結び付けて、スレを走り抜け、板から出て行くのを見たというだけです。
そして、従兄弟者はきっと、スレの過去ログを納めるdatに落ちて死んだんだろう、ということになったのです。
たくさんの人が涙を流し、兄者は悲しんで、いつまでも泣いていました。
ようやく春がやってきて、あたたかなたいようの光がさし、ジサクジエンがかしましくさえずり始めました。
「従兄弟者は死んで、いなくなってしまったんだ」兄者が言いました。
「わたしは、そうは思わないね!」たいようが答えます。
「従兄弟者は死んで、いなくなってしまったんだ」弟者はジエン達に言いました。
「そう思うの(・A・)イクナイ!」ジエン達も答えます。しまいに小さな兄弟も、そう思わなくなりました。
ある朝早く、兄弟は、FMVを抱え、スレの外に出て、datのところに行きました。
「従兄弟者を取ってしまったって本当に? 従兄弟者を返してくれたら、FMVをあげる」
すると、datの海が頷いたような気がしました。そこで兄弟は、大事なFMVをdatに放りました。
けれど、FMVはdatのすぐそばにおっこち、小さい波がすぐにそれを、兄弟のいる岸辺に運んできました。
なんだかdatは、兄弟の大事なものを取りたくないみたいでした。
だいたいdatの海は、従兄弟者を取ってはいなかったのですから。
でも兄弟は、FMVをちゃんと遠くまで放らなかった所為だ、と思いこんだのです。
そこで兄弟は、datの海に浮かんでいた一艘のボートに這い上がり、その一番先端まで行って、FMVを放りました。
ところが、このボートはちゃんと繋いでなかったので、兄弟が体を動かしたはずみに、すーっと岸から離れたのです。
兄弟は気が付いて、急いでボートから出ようとしましたが、もうボートは岸からずっと離れてしまい、次第に速く、過去ログの上を滑り出しました。兄者はわっと泣き出しました。
でも、その泣き声を聞きつけたのはジエンたちだけ。
ジエンたちは、岸に沿って飛びながら、兄弟を慰めるように「ボクたちがいるよ! ボクたちがいるよ!」と叫びました。
ボートは、兄弟を乗せて海を流れて行きます。
あのFMVは後から流されてきたのですが、ボートの速さにはとても追いつきませんでした。
datの海は、とても綺麗でした。名スレ長寿スレ、神スレもあります。でも、現行スレは一つもありません。
「ひょっとするとこの海は、俺らを従兄弟者のところに運んでくれるかもしれない」弟者は呟きました。
そのうち、ボートは大きな保管庫に差しかかりました。
そこには小さい掲示板が一つあって、赤や青の、おかしなレスがついています。
そのうちボートは、掲示板のすぐ近くまで来ました。流れが、ボートをまっすぐ保管庫のほうに押しやったのです。
兄弟が大きな声で呼んでみると、管理人室から、それは綺麗な姐さんが出てきました。
姐さんは、色とりどりの花々の絵が描かれた大きな日よけ帽をかぶっていました。
「可哀相に!」姐さんは言いました。
「こんなに大きいdatの海に出て、この広い電脳の海を、よく遠くまでやってきたこと」
姐さんはボートを引き寄せ、小さい兄弟を保管庫に入れてくれました。
「あなた達は誰? どうやってここに来たの!」
そこで兄弟は、これまでの事をすっかり話し、もしや従兄弟者を見かけませんでしたか?と尋ねました。
「そういう子は見た事がないけれど、そのうち来るでしょう」姐さんは言いました。
「心配せずに、うちのプリンを食べたり、花を眺めたりして待っていらっしゃい。うちの庭は、どんな絵板より綺麗よ」
姐さんは兄弟の手を引いて、管理人室に入り、ENTERのパスをきちんとかけました。
テーブルの上には美味しそうなプリンが乗っていました。兄弟は、好きなだけお食べと言われたので沢山食べました。
食べている間に、姐さんは金のブラシで兄弟の毛をすきました。
「こんな可愛い弟を、私は欲しくてたまらなかったのよ」姐さんは言いました。
こうして、姐さんが小さい兄弟の毛をすいているうちに、兄弟は次第に幼馴染の従兄弟者のことを忘れていきました。
この姐さんが魔法を使ったからです。
といっても、悪い腐女子ではなく、自分の楽しみのために、ちょっと魔法を使うだけの貴腐人でした。
姐さんは、小さい兄弟をずっと手元に置いておきたかったのです。
そこで、姐さんは庭に出て、魔法の杖を、あらゆるこけももの茂みに向けて差し伸べました。
すると、見事に咲き誇っていたこけももは、みんな保管庫の裏に沈んでしまい、どこにあったのかも解らなくなりました。
姐さんは、兄弟がこけももを見たら、自分のうちのこけももを思い出し、従兄弟者事を思い出して、逃げ出すかもしれないと心配だったのです。
姐さんの花園には、ありとあらゆる時期の花々が、競い合うように咲き誇っていました。
兄弟は日が沈むまで遊んで過ごし、夜になるときれいな寝床に入って楽しい夢を見ました。
そうして月日が過ぎました。兄弟は、庭じゅうの花をみんな覚えました。
けれど、沢山の花があるのに、何か一つ足りないような気がして、それでいて、それが何の花なのか解らないのでした。
ある日、兄弟は、姐さんの日よけ帽を眺めていました。
その帽子色々な花の絵が書いてありますが、中でも一番美しいのは、こけももの花でした。
姐さんは、他のこけももは地下に沈めてしまったのに、帽子のこけももを消すのを忘れていたのです。
「ここには、こけももがないんだ!」兄者は言いました。
二人は花園を探しに探しましたが、こけももは一つもありません。兄者は座り込んで泣きました。
あたたかい涙が土を湿らせたと思うと、ふいにこけももは伸び出して、沈む前と同じに、見事な花を咲かせました。
兄者の涙は、ちょうど前に一本のこけももが沈み込んだ、その場所にこぼれたのです。
兄弟は、こけももを抱いてキスしましたが、その途端、うちのこけももと、従兄弟者のことを思い出しました。
「どうして俺ら、こんなにぐずぐずしていたんだろう」弟者は言いました。「従兄弟者を見つけるはずだったのに!」
「従兄弟者がどこにいるか知ってる?」兄者はこけももに聞きました。
「「死んではいないよ」こけももが言いました。
「今まで俺は過去ログ倉庫にいた。あそこには、datに還ったAAがみんないる。でも、従兄弟者はいなかった」
「どうもありがとう!」小さい兄弟は他の花たちに尋ねました。「従兄弟者がどこに居るか、知 ら な い か ?」
けれど、どの花も、陽射しをあびてうつらうつらと、自分の萌えを夢見ているばかりでした。
兄弟は庭のはずれまで駈けていきました。
ENTERは閉じていましたが、外れていたリンクをかけると、入り口がぱっと開きました。
そこで、小さい兄弟は広い電脳世界に駆け出していきました。
あたりを眺めると、なんと、もう夏は過ぎ去って、秋も遅くになっています。
「なんてぐずぐずしていたんだろう!」弟者は言いました。「もう秋になってる! 休んでなんかいられないな」
あたりは寒寒として、荒れ果てた様子でした。
4.王子と王女
カラス:ぎゃあふさたん
メスのカラス:あのひと
王女:モナ兄
王子:フーン
兄弟は腰を下ろして一休みしました。
すると、真向かいの道端で、ちびフサが一匹、ぴょんぴょん跳ねていました。
「ぎゃあふさたん、本日はおひがらもよく」
これより上手くは話せなかったのです。そ
ふさたんはこの小さい兄弟が気に入って、どこに行くの?と尋ねました。
そこで兄弟は、これまでのことをすっかりふさたんに話し、従兄弟者を見かけなかった?と尋ねました。
するとふさたんは言ったのです。「ぎゃあ、もしやそれはがいしゅつかもしれず」
「なんと、本当に!?」兄弟はふさたんを潰しそうなぐらいに抱きしめて尋ねました。
「ぎゃあふさたん、思うにあれが従兄弟者かもしれず…けれど、今は王女様に夢中で、あなたがたを忘れていると思われ」
「従兄弟者は王女様のところに?」兄者は聞きました。
「ふさたんのあの人は、『お城』住まいで、ふさたんに色々教えてくれるわけで」
「俺らをお城の中に連れて行って欲しいのだが」兄者は言いました。
「ぎゃあ、あなたがたのような小さい子が正式に『お城』に入るのは難しいのではないかと」
「俺らなら大丈夫」弟者は言いました。
「俺らが来てるのを聞いたら、従兄弟者はすぐに出てきてくれるだろうから」
「ぎゃあ、それではしばしお待ちいただきたく」ふさたんは跳ねて行きました。
あたりがもう暗くなってからやっと、ふさたんは戻ってきました。
「ぎゃあ、ふさたんのあのひとがあなたによろしくと」
…あのひとは寝室に通じる裏口を知ってるし、管理人用のパスも知っているわけで」
そこで、一同は『お城』に入り、ふさたんのあのひとは兄弟を寝室に連れて行きました。
心配と期待とで、兄弟の胸はどんなにどきどきしたことでしょう。
まるで、何か悪いことをしようとしているみたいでした。
でも、兄弟はその人が従兄弟者かどうかを知りたいだけでした。きっと従兄弟者に違いありません。
寝室の天井は、大きなアロエフーンが花弁を広げているようでした。
床の真中にある、太い茎のような柱には、百合の花のような天蓋が釣り下がっていました。
その一方には王女が寝ていました。もう片方にランプを差し出すと、日に焼けた首筋が見えました。…ああ、従兄弟者です!
その人は目を覚まし、顔をこちらに向けました。すると…それは従兄弟者ではありませんでした。
王子は、従兄弟者ではありませんでしたが、やはり若くて、カコイイ人でした。
ベッドの反対から、王女が顔を覗かせて、どうしたの?と尋ねました。
そこで、小さな兄弟は泣きながら、これまでのことをすっかり話しました。
「可哀相に!」王女様は言いました。
それから、王女はふさたん達を誉めてやり、少しも怒っていないけれど、こんなことは何度もやってはいけないYO、と言ってきかせました。王子はベッドから出て、兄弟を寝かせてくれました。このうえなくありがたいことでした。
あくる日、王女は、ずっとこのお城にいなさい、とすすめてくれましたが、兄弟はそれをお断りして、小さい馬車を一台と、それを引く馬をいただけませんか、とお願いしました。
その馬車で、また広い世の中に出て行って、従兄弟者を探したいのです、と。
すると王女様は、ブーツとマフまでもくださいました。
身支度が済むと、王子と王女はわざわざ兄弟を手伝って馬車に乗せてくれました。
5.小さな山賊娘
山賊の長老:D
山賊娘:ツー
ハト:(・∀・)イイ!!×(・A・)イクナイ!!
トナカイ:8フサ
一行は昼なお暗い森に差し掛かりました。純金の馬車が炎のように輝いたので、その光が山賊たちの目に入りました。
「あれは金だ! 金だぞ!」
山賊達は飛び出すと、馬を取り押さえ、御者や随身を打ち殺して、小さい兄弟を馬車から引き摺り下ろしました。
「コノ子ハ、太ラシタシィ素敵ダ!」全身傷だらけで、片方の耳が千切れた、山賊の長老が叫びました。
「サテ、ドンナ味ガスルカナ?」長老はよく研いだナイフを抜きました。
そのナイフはぎらぎら光って、まったく身の毛もよだつようでした。
#ref(): File not found: "D-anija.jpg" at page "2-228"
「ア痛ッ!」長老は悲鳴をあげました。自分の小さい娘に、耳をかまれたのです。
その娘は、長老の背中にかじりついていましたが、どうにも乱暴で、お転婆で、手がつけられないぐらいでした。
「コノガキ!」長老は娘を払いのけましたが、その間に兄弟を放してしまいました。
「コノ子ラハ、オレト遊ブンダヨ!」小さい山賊娘は叫びました。
「コノ子ラハ、オレニキレイナマフヲ寄越スンダ! ソシテ、オレノ寝床デイッショニ寝ルンダ!」
娘がまた長老の耳に噛み付いたので、長老は高く跳ね上がって、きりきり舞いしました。
ほかの山賊たちはみんな笑い出ました。「見ろや、長老、てめえのガキと一緒に踊ってらあ!」
「オレ、アノ馬車ニ乗ルンダ!」小さい山賊娘は言いました。
この子ときたら、やたらに甘やかされていて、気が荒いので、やりたい事は無理やり押し通すのです。
というわけで、娘と兄弟は馬車に乗り込むと、木の株も茨も乗り越え、森の奥へと馬車を走らせていきました。
山賊娘は、小さい兄弟の体を抱いて言いました。
「オレガ腹ヲ立テナイウチハ、誰ニモオ前ラヲ殺サセヤシナイ! オマエラ、王様ノ子供ダロ?」
「ううん」小さい兄弟は、これまでにあったことや、どんなに従兄弟者を好きかということを、すっかり話しました。
山賊娘は、まじめな顔で兄弟を見ていましたが、ちょっとうなずいて、言いました。
「オレ、オレガオマエラニ腹ヲ立テテモ、誰ニモオマエラヲ殺サセヤシナイ! ソノトキハ、オレガ自分ノ手デヤルヨ!」
そう言うと、兄弟の涙を拭いてやって、あたたかなマフに手を入れました。
やがて、馬車が止まりました。
そこは、山賊の砦の中庭で、八頭身だって簡単に飲み込めそうな、大きなぞぬ達が飛び跳ねていました。
すすけた古い広間では、石の床の真中で、盛んに火が燃えていました。
大きな釜ではスープが煮立ち、串に刺さった肉が、火の上でくるくる回っています
「オマエラハ今晩、オレノ獣タチトネルンダヨ!」山賊娘が言いました。
寝床には藁と布団が敷いてあって、上の方の梁には、100匹ほどのハトがとまっていました。
「コレハミンナ、オレノナンダ!」小さな山賊娘はそう言うと、そばの一匹をつかまえて、ゆすぶりました。
「キスシテヤリナ!」娘は叫んで、そのハトを兄弟の顔に押し付けました。
「ココニイルノハ、森ノヤクザ者サ!」娘は、横木を打ち付けた壁の穴の奥を指差しました。
「閉ジ込メテオカナイト、スグ飛ンデッチマウ! ソレニコイツモ、シッカリ縛ッテオカナキャイケナイ!」
そう言うと、一頭のトナカイの角を掴んで、引っ張ってきました。
そのトナカイは、ぴかぴかの銅の輪をクビにはめられて、繋がれているのでした。
「毎晩、オレハナイフデ、コイツノ首ヲクスグッテヤル。ソウスルト、トテモ怖ガルンダヨ!」
小さい山賊娘は、長いナイフを取り出して、トナカイの首筋をすーっとこすりました。
かわいそうに、トナカイは足をばたつかせました。
山賊娘は笑い声をあげ、それから兄弟を引っ張って、一緒に寝床に入りました。
「寝るときにもナイフを持ってるの?」兄者は尋ねながら、ちょっと怖そうにナイフを見ました。
「オレハ、イツダッテナイフヲ持ッテルヨ!」小さい山賊娘は言いました。
「ドンナコトガオコルカ、ワカッタモノジャナイカラネ。
サッキオマエラガイッテタ従兄弟者ッテ奴ノコトヲ、モウ一度話シテオクレヨ」
そこで兄弟はもう一度始めから、話をしました。
そうするうち、小さな山賊娘は、兄弟の首に腕を巻きつけ、片手にはナイフを握ったまま寝入ってしまいました。
でも兄弟は、目をつぶることもできません。
山賊達は火の回りに座り込んで、歌ったり飲んだりし、あの山賊の長は、とんぼがえりをうっています。
小さい兄弟にとっては、まったく、ぞっとする光景でした。
すると、止まり木の上から森のハトが言いました。
「ボクたち、従兄弟者を見たよ。白いほっしゅがそりを運んでいて、従兄弟者は女王のそりに乗ってた。
ボクたちが巣の中にいるとき、そのそりが、森の上すれすれに飛んでったんだ。
そのとき雪の女王が、ボクたちの仲間に息を吹きかけたんで、仲間はみんな死んじゃった」
「雪の女王はどこに行ったの?」弟者は声を上げました。「なにか知ってる?」
「行ったのはたぶん、避難所だろうね。あそこは一年じゅう凍てついてるから。
そこに綱で繋がれてるトナカイに聞いてみるといいよ」
「あそこはあぼーんとスレストばかり。まったく恵まれた、いいところですよ!」トナカイが言いました。
「あそこでは、キラキラ輝く大きなPBBSで、自由に飛びまわれるんです。
雪の女王はあそこに夏の天幕を張るんだけど、女王のちゃんとした城は、もっと北にあるんですよ」
あくる朝、兄弟は、森のハトたちの言ったことを、すっかり山賊娘に話しました。
山賊娘は真面目な顔で聞いていましたが、頷いて言いました。
「マア、ドウデモイイヤ!…オマエ、避難所ガドコニアルノカ、知ッテルノカイ?」
「わたしよりよく知ってる香具師はいないでしょうよ」トナカイが言って、目を輝かせました。
「わたしは、あそこで生まれて、あそこのBBSを飛び回っていたんだから」
「聞キナ!」山賊娘が兄弟に言いました。
「大人ハミンナ、デカケチマッテルケド、父サンハマダ、ココニイル。
デモ、昼ノウチニ酒ヲ飲ンデ、ソノアト眠ルンダ。ソシタラ、イイコトシテヤルヨ!」
そう言うと、娘は寝床から跳ね起きて、長老の首に抱きつきました。
「オレノカワイイカタワサン、オハヨウ!」
長老が酒を飲んで眠ってしまうと、山賊娘はトナカイのところに行って、言いました。
「オカシナコトダケド、オレハ、オマエヲコノナイフデマダ何ベンモクスグッテヤリタインダ。
ソウイウトキノオマエハ、ジツニユカイダカラネ! デモ、マアイイヤ。オマエノ綱ヲ解イテ外ニ出シテアゲル。
ダカラオマエ、コイツラヲ、雪の女王ノ城ニ連レテイッテヤリナ!」
トナカイは、嬉しさのあまり跳ね上がりました。
山賊娘は、兄弟をトナカイの背に兄弟をしっかりゆわえつけてくれました。
「サア、オマエラノ毛皮ノブーツダヨ。コレカラ寒クナルカラネ。
デモ、マフハオレガモラットク。コレハトテモキレイダモノ!」
兄弟は、嬉しさのあまりに泣き出しました。
「メソメソスルンジャナイヨ!」小さな山賊娘は言いました。
「ココニパントハムガアル。コレダケアレバタリルダロ!」
小さい山賊娘は戸を開けて、大きいぞぬたちを中に誘い込み、ナイフで綱を切って、トナカイに言いました。
「サア、イキナ! コイツラニヨクキヲツケテヤルンダヨ!」
トナカイは走り出して、藪や木の株を越え、大きな森を駆け抜け、沼地や草原を越えて、力かぎりに走って行きました。
トナカイは、夜も昼も走りつづけました。そして、パンを食べてしまい、ハムも食べきった頃、避難所に着きました。
6.避難所の管理人たち
ラップランドの女:8ガナー
フィンランドの女:8でぃ
雪片たち:1さんズ
天使の軍勢:八頭身集団
さて、兄弟の乗ったトナカイは、とある小さなスレで止まりました。それは、とてもみすぼらしいスレでした。
このスレにいたのは、たったひとり、八頭身の女だけで、トナカイは兄弟の事をすっかり話しました。
兄弟の方は、寒さのためにへとへとで、話す力もなかったからです。
「まあ、かわいそうに!」女は言いました。
「それだと、あんたたちは、もっと先まで、走らなきゃならないわね!
ここからもっと地下の、隠し板まで行かなきゃならないわ。
雪の女王は、今はそっちで休んでいて、長い夜ごと夜ごとに、祭りの青い火を燃しているんだから。
私は、二言三言、メールを書いてあげよう。あんたたちはそれを持って、隠し板の管理人のところにお行き。
その人の方が、私よりよく教えてくれるわ!」
そこで兄弟は、火にあたたまりながら食べたり飲んだりしました。
その間に女はメールを書いて兄弟に持たせ、二人をまたしっかりトナカイにゆわえつけました。
トナカイが駆け出すと、このうえなく美しい青いオーロラが、一晩中燃えていました。
兄弟は隠し板に着いて、管理人スレをノックしました。というのも、ここには、管理人室なんてなかったからです。
隠し板の中はとても熱くて、管理人も、まるで焦げたようになっていました。
隠し板の管理人は小さくて、とても汚れた八頭身の女でした。
この女はすぐに兄弟の着物をゆるめ、手袋やブーツを脱がせました。そうしないと、熱くてたまらないからです。
トナカイは小さい兄弟のことを話しました。管理人の女は、賢そうな目をぱちぱちさせて聞いていました。
「あなたは本当に賢い人です」と、トナカイは言いました。
「私は知ってますが、あなたは2chじゅうの名スレを結び合わせて、一つのリンクにしてしまえるんですね。
ガイドラインにそのリンクを貼ると、ほどよいレスがつき、二つ目のリンクを貼ると祭りがおこり、
三つ目のリンクを貼ると、嵐が起こって、板もスレも荒れるんですね。
どうかこの小さい兄弟に、強力なブラクラをあげてくれませんか。
この兄弟が雪の女王を負かせるような、そんなブラクラを」
「ブラクラダッテ?」隠し板の管理人は言いました。「ソンナモノガアレバ、サゾカシ十分デショウネ」
トナカイはもう一度力をこめて、小さい兄弟のために頼み、兄弟は涙をいっぱいためた目で、すがるように八頭身の女を見つめました。
すると女はまた目をぱちぱちさせ、トナカイの頭に氷を乗せて冷やしてやりながら、こうささやきました。
「ソノ従兄弟者ハ、確カニ雪ノ女王ノトコロニイル。
何モカモガ自分ノ望ミドオリダッテ気ガシテ、世界中ニコンナイイトコロハナイッテオモイコンデル。
ダケドソレハ、ソノ子ノ心ト目ニ鏡ノ欠片ガ入ッテルカラナンダヨ。
ソノ二つヲ出サナキャ、ソノ子ハ、チャントシタ大人ニハナレナクテ、イツマデモ雪の女王の虜デイナキャイケナインダヨ」
「あなたが兄弟に何かしてやって、そういうすべてに打ち勝つ力を、つけてやるわけにはいきませんか?」
「私ニハ、コノ子ラガ持ッテイルヨリ大キナ力ヲツケテヤル事ハデキナイヨ!
コノ子ラノ力ガドンナニ大キイカワカラナイカイ?人間デモAAデモ、コノ子ラヲ助ケテヤラズニイラレナイダロウ?
コノ子ラハ、コンナ電脳世界ノ果テマデ、無事ヤッテキテイル。
ブラクラナンテモノヲ、私ガ教エテヤルコトハナイ。必要ナ力ハ、コノ子ラノ中ニアル。
愛ラシクテ毒ノナイAAダトイウノガ、立派ナ力ナノサ。
コノ子ラガ、自分デ雪ノ女王ノモトマデ行ッテ、従兄弟者ノ目ト心ニ入ッテル欠片ヲ出セナイナラ、私ニハ何モデキナインダヨ!」
モウ少し先ニ行クト、雪ノ女王ノ迷宮ガハジマルカラ、ソコマデコノ子ラヲ連レテ行クトイイ。
迷宮ノ入リ口ニハ大キイ注意書キガアルカラ、ソノソバニコノ子ラヲ下ロスンダヨ。
ソシタラグズグズセズ、急イデココニ戻ッテオイデ!」
こう言うと、隠し板の管理人は、小さい兄弟をトナカイの背中に乗せ、トナカイは、力の限り駆け出しました。
「ああ、ブーツをはいてこなかった!」
弟者は叫びました。寒さが突き刺すようなので気付いたのです。
でも、トナカイは、止まってはくれませんでした。
どんどん走って、大きい注意書きに着くと、トナカイは兄弟を下ろしてキスしました。
それからトナカイは、力の限りに駆け戻っていきました。
こうして、兄弟は裸足で、凍りつくように寒い、おそろしい迷宮の入り口に、二人っきりで残されてしまったのです。
兄弟は前へ前へと、精一杯速く進んでいきました。すると、ふいに雪片の軍勢が一連隊もやってきました。
でも、空から降ってきたのではありません。
空は晴れわたっているのに、雪片たちは、地面すれすれにぐんぐん近づいてくるのです。
兄弟は、前にレンズを通して雪のひらを覗いたとき、それがどんなに大きく、見事に見えたかを、よく覚えていました。
ここ雪片たちは、みんな生きていたのです。どれも白く輝いていました。雪の女王の前衛部隊だったのです。
兄弟は、2chの『鉄の掟』をとなえました。すると、寒さがとてもきびしいせいで、自分の吐く息がよく見えました。
息は、兄弟の口から、まるで煙のように出て行き、しだいに濃く、もっと濃くなって、とうとう、小さい清らかな天使たちの姿になりました。
その天使たちは、地面にふれるたびに、ますます大きくなります。
そのみんなが、頭に兜をかぶり、手には槍と盾とを持っていました。
その数はぐんぐん増えていき、やがて兄弟が『鉄の掟』をとなえおわった頃には、二人の回りには、びっしりと天使の軍勢が並んでいました。
この天使たちは、おそろしい雪片たちの中に切り込んだので、雪片たちはちりぢりになって、とびちってしまいました。
天使たちが兄弟の足や手を撫でてくれたので、もう寒さも感じません。
そこで小さい兄弟は、雪の女王の城めざし、元気よく進んでいきました。
7.雪の女王の城で起こったことと、そのあとで起こったこと
その城の壁は、吹きすさぶ嵐でできていて、窓や戸は、身を切るようなスレストでできていました。
この城には、百を越える部屋がありますが、どれもみな、嵐が吹き寄せられてできたものでした。
一番大きい広間はどこまでも遠くまで広がり、強いオーロラの光に照らされていました。
どこもここも、大きくがらんとして、凍りつくように寒く、そして光り輝いていました。
楽しいことなど、一度もあったことがありません。雪の女王の広間は、がらんとして、大きくて、寒いのでした。
このがらんとした、雪の広間の真中に、凍ったスレッドが一つありました。
そのスレは何千というレスからできていましたが、そのレスの一つ一つが、お互いにそっくり同じ形をしていて、まったく芸術品のようでした。
雪の女王は、この城にいるときは、このスレッドの真中に座っているのでした。
そういうとき、これは、この世界でもたった一つの、一番素晴らしい鏡だよ、って。
小さな従兄弟者は、寒さのために真っ青になっていました。
いや、黒いくらいになっていましたが、自分では、そうとは気が付いていませんでした。
というのも、雪の女王のキスが、従兄弟者から寒いという感覚を奪ってしまったからですし、従兄弟者の心臓は氷の塊のようになっていたからです。
従兄弟者は、尖った冷たいレスを幾つも、あっちこっちへ引きずって、それらをありとあらゆる組み合わせ方で並べていました。
それで何かを作ろうとしていたのです。それは、クロスワードパズルに似ていました。
従兄弟者はいろんな形にレスを並べていましたが、それはとりわけ手間のかかる形でした。
従兄弟者の目には、こういう作業が何よりも大事なもののように見えたのですが、それもみな、従兄弟者の目に入っている、あの鏡の粒のせいでした。
全てのレスをすっかり並べると、一つのAAができるのです。けれど、従兄弟者が作ろうとしているそのAAだけは、どうしても並べ方が見つかりませんでした。
それは、『永遠の正義』というAAでした。雪の女王は、こんなふうに言っていたのです。
「もしもその形を見つけ出すことができたら、君を自由の身にしてあげよう。それに、全世界と、真新しい板をひとつ、君に贈ってあげるよ」
けれど、従兄弟者にはそれができなかったのです。
「さて、私はひとっとびして、殺伐とした板に行ってくる」と、雪の女王は言いました。
「熱くなっているスレを、ちょっと冷ましてしてやろう。そうすると、職人やギャラリーのために、具合がいいんだよ」
そう言うと、雪の女王は飛んでいきました。
従兄弟者はたったひとり、がらんとした広間の中に座りこみ、レスの群れを見つめて、考えに考えていました。
しまいには、体の中がミシミシきしむほどになりました。
誰かがそれを見たら、従兄弟者を凍え死んでいると思ったことでしょう。
丁度そのとき小さい兄弟は、巨大な迷宮を抜けて、城の中に踏み込んだのでした。
そこには、身を切るような嵐が吹いていました。
けれど、兄弟がローカルルールを唱えると、嵐達は、眠ったように静かになりました。
そこで兄弟は、大きくて、がらんとした、寒い広間に踏み込んで行くと、…従兄弟者が見えました。
兄弟は、それが従兄弟者だと解りました。そして、従兄弟者の首に飛びつくと、しっかり抱きしめて、叫びました。
「従兄弟者! 大好きな従兄弟者! とうとう見つけた!」
けれど、従兄弟者はじっと、こわばって、冷たく座っています。そこで、小さい兄弟は泣き出して、熱い涙をこぼしました。
その涙は、従兄弟者の胸に落ちて、心臓まで染み込んでいきました。
そして、氷の塊を溶かして、その中にあった小さい鏡の欠片を飲み尽くしてしまいました。
従兄弟者は兄弟を見つめ、兄弟は、あの替え歌を歌いました。
♪萌えの花 かおるスレに おわします ネタ師絵師 職人様!
すると、従兄弟者はわっと泣き出しました。
あまり泣いたので、あの鏡の粒が目から転げ出して、とたんに従兄弟者は兄弟に気が付いて、喜びの声をあげました。
「流石兄弟!…こんなに長い間、どこに行ってた?
ここはなんて寒いんだろう! なんてがらんとして、だたっ広いんだろう?」
従兄弟者はしっかりと兄弟を抱きしめ、兄弟は嬉しさのあまり、笑ったり泣いたりしました。
その様子があんまり幸せそうなので、まわりのレスまでもがくるくる踊りまわりました。
そして、みんながくたびれて座り込んだとおもうと、なんと、レスたちは、あのAAの形どおりに並んでいたのです。
それを見つけ出したら、従兄弟者を自由にしたうえ、全世界と新しい板をあげる、と雪の女王が言っていた、あのAAです。
兄者は、従兄弟者の頬にキスしました。すると、従兄弟者の頬は生き生きと赤みがさしてきました。
弟者は、従兄弟者の目にキスしました。するとその目は、兄弟のように輝きました。
従兄弟者は、元気できびきびしてきました。こうなればもう、雪の女王が帰ってきたってかまいません。
従兄弟者の自由の保証書が、きらきら輝くAAでちゃんと書かれているのですから。
そして、三人は手を取りあって、この大きな城から出ていきました。
三人は、母者のことや、屋根の上のこけもものことを話し合いました。
三人が歩いて行くと、嵐がすっかり静まり、たいようが顔を出しました。
やがて一行が、大きな注意書きのある迷宮の入り口のところまで来ると、そこにはあのトナカイが待っていました。
それから、トナカイは兄弟と従兄弟者を乗せて、まず隠し板の管理人のところに行き、うちに帰る道を教わりました。
避難所の管理人のところに行くと、この人はもう、一行の衣装を縫い上げて、そりもちゃんと用意してくれていました。
トナカイは、そりのわきを飛び跳ねながら、避難所の入り口まで送ってくれました。
ここで三人は、トナカイや管理人とお別れをしました。
やがて、早春最初のジサクジエンが囀り始めました。
そして、森の中から、見覚えのある馬…兄弟の金の馬車を引いていたあの馬に乗って、若い娘がやってきました。
輝くような赤い帽子を頭にかぶり、ナイフを二本も、腰の鞘にさげています。それは、あの小さい山賊娘でした。
娘はうちにいるのに飽き飽きしたので、最初にまず北のほうにでかけ、気に入らなければ他に行ってやろう、と思っていたのです。
娘はすぐに兄弟だとわかりましたし、兄弟のほうも、あの娘だとわかりました。三人とも大喜びでした。
「オマエモ、アッチコッチウロツキマワルナンテ結構ナ香具師ダネエ!」娘は、従兄弟者に言いました。
「一体、世界ノ果テマデイクホド、オマエニ値打チガアルノカドウカオレハ知リタイヨ!」
兄弟は、王子と王女のことを娘に聞きました。
「アノ二人ハ、新婚旅行ニ出カケタヨ!」娘は言いました。
「話シトクレヨ! オマエラ、ドウヤッテコイツヲツカマエタノサ?」
そこで兄弟は、色々と話しました。
「ソレデメデタシメデタシ、カ!」山賊娘は言いました。
そして、二人の手を握って、もしいつか町を通りかかったら、きっと会いに行くよ、と約束しました。
それから、馬を飛ばして、広い世の中に出て行ってしまいました。
兄弟と従兄弟者は手に手を取って歩いて生き、三人が行くにつれて、あたりは美しい春になりました。
やがて、おなじみの看板が見え、大きい板が見えました。三人が住んでいた、あの板です。
三人は板に入って、地下スレにおり、スレの中に入りました。
そこには何もかも、元通りの場所にあって、時計はチクタクと時を刻んでいました。
こけももの傍に立った時、三人は、自分たちがいつのまにか大人になっているのに気付きました。
もう三人は、雪の女王の城の、あの寒くて、がらんとした、素晴らしい様子を、重苦しい夢のように忘れてしまっていました。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 長さが長さなので前もってレス数を読めず、、
| 長々とスレを占領した事をお詫びいたします。
|
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 支援ありがとうございました。
| | | | \
| | □ STOP. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧
| | | | ピッ (・∀・ ;)(´∀` )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄
添付ファイル: 8and1san.jpg 326件 [詳細] 8fun-mona.jpg 338件 [詳細] itoko.jpg 319件 [詳細] kikan.jpg 318件 [詳細] master-foon.jpg 329件 [詳細] mora.jpg 331件 [詳細] two-D.jpg 298件 [詳細] two-fusa.jpg 277件 [詳細] river.jpg 329件 [詳細] neno.jpg 340件 [詳細]
このページのURL: