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桜乱高校保スト部 双子

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 | __________  |    某少女漫画ホスト部の双子話、原作寄りに書いてあります。
 | |                | |    設定は軽井沢の1日目の夜です。
 | | |> PLAY.      | |     兄←弟風味で。
 | |                | |           ∧_∧ もうすぐアヌメも終わっちゃう・・・
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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「まだ震えてる」
馨は光の左手を両手で軽く握り締めた。光は口を噤んだ。

見事、昼間の客室争奪戦に勝利した二人は、埴之塚 軽井沢邸へと向かった四人を騒がしく見送った後、
ハルヒや、この店のオーナーである美鈴と他愛無い雑談を交わし、それぞれの寝床に着いていた。
そしていつもと同じ様にお互い裸体同然のような格好で、
あまり見慣れない小さな一つのベッドに潜り込んだ。
それから二人はほとんど言葉も交わさないままだった。
それなのに意志が通じ合うように、眠る素振りを見せる事無く向かい合って、ただ互いを見つめていた。
窓辺からもれる月明かりが二人をぼんやりと照らし、
外の空気は息遣いも聞こえる程、静かに佇んでいた。
しばらくすると、光が左手をゆっくりと差し出し、指先だけで馨の頬の傷を撫でた。
その間も、光は一言も言葉を口にはしなかった。けれど、何か言いたそうに唇を小さく開けて、
どこか後ろめたそうに瞬きを繰り返していた。
その様子は馨を少しだけ苛立たせた。本人の自覚も無いほどに。
そして馨は光の真似事でもするかのように、ゆっくりと自分の頬を撫でる光の左手を己の両手で掴んだ。

この震えは、何に対しての怯えなんだろう。
僕が居なければ、ハルヒが大怪我をしそうだったから?
それとも、僕がハルヒを庇って小さな怪我をしたから?
そう光に聞いてみたところで、答えなんか返ってこないと解っていても、馨は僅かに震える光の左手を離さずに考えていた。
一番聞きたい事は聞けないのに、離したくなかった。これは、やっぱり我侭だろうか。
沈黙を破り、光が静かに話し出した。
「怖かった。馨とハルヒが二人とも死んじゃったんじゃないかって」

硝子の割れる大きな音。
その音は光の頭の奥底まで響いて、すぐ目の前の角を曲がった先で聞こえた事に、すぐには気付けなかった。
そして急いで駆けつけた先に、馨がハルヒを庇うように覆いかぶさっているのがすぐに目に入った。
その光景を目にしても、二人の確かな声を聞くまで、ただ理由も無い恐ろしさが身を包んだ。
光の全身は恐怖に戦き、手先の震えが止まらなかった。
それは二人が無事だったと解った後も、恐怖がぶり返すように背筋を凍らせ、
なるべく周りにばれないようにしたつもりではあったが、手は未だに小刻みに震えた。

馨は黙って、光の言葉を待った。自然と光の手を握る両手に力がこもった。
「ハルヒを助けてくれて、ありがとな。
あと、怪我させてごめん」
「・・・何で光が謝るんだよ」
ふっと、馨は無意識に微笑んだ。
口元は笑った表情なのに、何故かその時、鼻先がつんと熱くなって涙が零れそうだった。
馨は必死に、これが正しいんだと、光の言う言葉が自分達の一番正しい関係性なのだと、自分に言い聞かせた。
自分達とハルヒは友達であり、自分達は双子だから。
ハルヒの事も、自分の事も心配して震えていた光は、もはや誰のものでもない。
「どっちを選ぶとか、おかしいよな」
「え?何、聞こえなかった」
光は「もう一度言って」と馨にせがんだが、馨は何でもないと繰り返した。
そして馨は涙が出てこないように、注意を払いながら目を閉じて、
自分の両手に縛られた光の左手に、小さくキスをした。
光は「くすぐったい」と微笑みながら、馨の手を握り返した。

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  • そしてハルヒがやってきて -- あかりん? 2011-07-11 (月) 18:51:58

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