秋pin
更新日: 2011-04-29 (金) 19:13:51
日曜ドラマの某カップルだよ。初夜のその後を捏造したよ。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「あの夜は、ほんとに何にも無かったのよ」
僕の隣に横たわるpin子さんは、穏やかに笑った。
「秋羅ちゃん自分で服脱いじゃったんだから。暑い暑いって。あたし、一応は
止めたのよ、覚えてない?」
「……うん。ぜんぜん」
「んもう。自分に惚れてるオカマの前で、裸になって正体なくしちゃうんだも
ん。秋羅ちゃんったら、油断しすぎ」
「いてっ」
軽くわき腹をつねられたけど、痛いっていうより、なんだかくすぐったい気分だ。
だって、pin子さんがここにいる。そばにいてくれている。
「あたし、悔しくてさ。だから、ちょっとだけ懲らしめてやろうって思ったの」
「それであんな嘘ついたの?」
「そう。でもね、秋羅ちゃんの家族になりたかったっていうのはホントよ。そ
れから、あの夜がとってもステキだったっていうのも、ホント」
体を摺り寄せ、pin子さんは大きな目で僕を見上げた。
「あの夜、あたし、一晩中秋羅ちゃんの寝顔を見てたの。だって、眠っちゃう
のがもったいなくってさ。今夜だけ、今だけ、って何度も自分に言い聞かせな
がら、ずっと見つめてた。あたし、すーっごく幸せだった、あの夜」
大きく見開いたpin子さんの目に、辛そうっていうか、切なそうな影がよぎる。
あの頃は気付かなかったけど、僕を見つめるpin子さんの目にはいつも、
同じ色が浮かんでいたのが、今はわかる。そんなpin子さんの目を、幸せだけ
で一杯にしたくて、僕はpin子さんの体をきつく抱き寄せた。
「今は?」
「ん?」
「幸せ?」
pin子さんの目がすっと細くなって、顔中に笑みが広がる。
僕の一番好きな顔。
僕は本当に、pin子さんが好きなんだ。どうしてこんな簡単なことに
気付かなかったんだろう。もう、とっくの昔に、僕の心はpin子さんのものだった。
「とーっても、しあわせ」
大好きな笑顔のまま、pin子さんが僕の胸に顔を埋めた。いつもより声が
かすれているし、ちょっと疲れているのかな。さっきは、どう触れていいのかわ
からなくて、感情のまま抱いてしまった。多分、もっと優しくしてあげられた
のに、もっと優しくしたかったのに、ぜんぜんコントロールが効かないなんて、
こんなことは自分でもはじめてで、今更後悔の気持ちが湧き上がってくる。
「ねえ、pin子さん、……あの、大丈夫?」
「もう。秋羅ちゃんったら、大丈夫よ。さっきだって……何度も言ったじゃな
い、秋羅ちゃんの思うとおりにしていいって……。あたしは、そうしてくれる
のが嬉しいんだからって」
僕の胸を軽く叩いてpin子さんはまた微笑んだ。戸惑ったときも、悲しいと
きも、そして少し怒っているときでも、いつもかすかに笑みを浮かべているpi
n子さんの唇は、今はいつもより赤くて、はれてるみたいだ。僕がキスをたく
さんしたから?
「次はもっとがんばるからね」
「やあっだぁ! もう! 秋羅ちゃんったら!」
言うなり、pin子さんはまた顔を伏せてしまった。白い肌がぱっと赤くなって、
なんだかドキドキする。普段はあんなに押しが強いのに、本当は照れ屋
なところがたまらなく可愛い。
「pin子さん」
「……なあに?」
「ずっと一緒にいようね」
「……ほんとに? 本気なの?」
まだ少し疑り深い顔してる。pin子さんには散々ひどいことを言ってきたん
だから、当然か。でも、これからは違う。これからは、pin子さんを大切にし
て大切にして、幸せで一杯にするんだ。そうして、こんな顔、二度とさせたりしない。
「もちろん。ねえ、pin子さん、結婚式やろうよ」
「ちょ、何いってんの!?」
「うちの家族みんなの前で、pin子さんへの愛を誓うよ。そうしたら、信じてくれる?」
「秋羅ちゃんは、それでいいの?」
「そうしたいんだ。これからもずっと、pin子さんと、生きていきたいから」
「……秋羅ちゃん」
pin子さんの大きな目が涙で一杯になってく。でもこの涙が悲しいからじゃ
ないことくらい、僕だってわかる。
「僕の、家族になってくれますか?」
「秋羅ちゃん!」
pin子さんは僕にしがみつくと、そのまま声を詰まらせて肩を震わせた。
小柄だけど、意外とがっしりした肩が、なんだか頼りなく感じて、僕は抱き
しめる腕に力を込めてみる。
ああ、pin子さんがここにいる。なんて幸せなんだろう。
「ありがとう、pin子さん」
僕の前に現れてくれてありがとう。
僕を好きになってくれてありがとう。
僕のこれからの人生に居てくれて、ありがとう。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )チョットダケユメミチャッタ! バカヨネ!
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