ロボット×ツンデレワンワン
更新日: 2011-04-29 (金) 17:05:56
月刊少年知りウス連載中獣人SF漫画、「ロ/ボ/と/う/さ/吉」の
ロ/ビ/ン×ル/シ/フ/ァ投下します。
今月号のネタバレなのでコミックス派の方は読まないでくださいなー。
※なお、この話の前提状況は、
天/王/星が滅亡→マ/ナ、モ・モ、ヴ・ァ・ル・カ・ン他主要キャラが
ロ/ビ/ンたちと共に脱出。という妄想もいいところとなっています。ご注意ください。
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| 同志が見つかりますように
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| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 獣人好きにはたまらん漫画です
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眼前のベッドには、ロビンの数倍はある大きな犬――いや、レア混成種(ハイブリッド)の男、ルシファが横たわっている。
口から舌をたらし、大きな呼吸と共に眠っている彼は、変身状態こそ解けないが幸いにも致命傷はないらしい。
俺達の回復力は普通と違う、治療は済ませたから、あと数日すれば目も覚める――と言うのが同じレア混成種(ハイブリッド)であるヴァルカンの弁で、
それを聞いてからロビンは早三日、一睡もせずルシファの様子を見続けていた。
人に『化け物』と呼ばれるこの体を疎まないことはなかったが、睡眠を必要としないことだけはよかったことかもしれないと、少し思いながら。
ビリーたちの助けを得ながらロビンが巻きつけた包帯が痒いのか、ルシファはときどき手足を不格好に動かしていた。
その度にベッドから落ちそうになる体を支え、ロビンは囁く。
「…あんまり動いちゃダメだよ。キズの治りが遅くなっちゃうんだ、って」
まだ意識が戻らない相手に語りかけるのは無駄なことだと分かっていたが、ロビンはこの部屋の静寂が苦しかった。
ルシファが痒そうにしている部分を撫でて、水をやる。意識なくピチャピチャと響く水音が、それでもロビンを慰める。体に耳をあてると聞こえる心音が恋しい。
獣そのものであるルシファの体は触っていると心地良い。
†
天王星から脱出することが決まったとき、ロビンが思い出したのはルシファの存在だった。出発したカメ号の窓から、瓦礫の下に横たわる大きな犬の姿を見つけたとき、
ロビンはやむにやまれぬ気持ちで彼を助けようと飛び出した。持ち前の馬鹿力で彼の体を覆っていた瓦礫をどけ、息をしているかどうかも確認せずに帰艦した。
軍(ソル)の人間を同乗させるなんて許さない!と激昂したマナに土下座して頼み込んで許しを得て、ビリーと共にキズの手当てをした。
遅れて合流したうさ吉はモモとヴァルカンと一緒で、二人からロビンは彼の名前と軍(ソル)での役割を知った。巨大な狼への変身能力を持ち、殺戮集団の一端を担った
レア混成種(ハイブリッド)、ルシファ・ムーン。
†
「ルシファ…」
耳の付け根を撫でながら、彼の名を呼ぶ。ロビンを除いて、この船でルシファの乗船を喜んでいる存在は皆無で、彼の回復を祈るのもロビン以外にはいない。
ルシファと二人きりの部屋で彼の体を撫でながら、ロビンは時折ぽつりとその名を呼んだ。
ルシファのことが何故こんなに気になるのかは、ロビン自身にも分からなかった。玉座の間で彼ともう一人の刺客とロビンは死闘を演じ『化け物』と何度も罵られた。
最も、そのおかげで新たな能力に目覚められた、というのはあるが、それだけでこんなにも気にかかるのはおかしいとロビンは思う。
「ルシファ…。…早く起きてよ……」
切実過ぎる余りに、名前を呼ぶのどの奥が震える。
声が聞きたい。会話がしたい。そうすればきっと、自分のこの気持ちの理由が分かるのに。
ロビンはルシファの閉ざされた瞳を見つめた。爆撃の衝撃か何かで吹き飛んだのか、彼の左目の眼帯はなくなっていた。ロビンは、彼の左目のような潰れた瞳を見るのは初めてだった。
ルシファの潰れた瞳を見ていると、ロビンは自分の左目を思いだす。自分の左目は潰れてはいないが、異形だ。(いや、そんなことを言ったらロビン自身が異形そのものなのだが。)
闇と自分を繋ぐロビンの左目。それはネジと同じ様に赤く、力と共に太古の文様をロビンに刻む。闇の力。ロビンの永遠の恐怖。
ルシファの左目は、それに少し似ている。
「…ルシファ……」
ロビンは吸い寄せられるように、彼の左目にふらりと手を伸ばした。
だが、ルシファの左目はロビンの指先が触れるか触れないかのところですっと離れてしまった。
「……!?」
驚くロビンを、彼のもう片方の目が見つめていた。
左目と違い、潰れていないそれは濁りのない美しい虹彩を持っていた。
ロビンと同じ、空色の。
「…触んな、クソが」
「ルシファ……!!」
†
目を覚ましたルシファがいの一番にロビンに要求したことは、包帯を替えろということだった。ロビンが慌てて包帯を用意するとルシファは器用にも、
自分で口と手足を使って包帯をほどき、巻きはじめた。結ぶのだけはロビンがやったが、それ以外はパッと見ても、ロビンが両手を使って巻いた状態よりずっと綺麗だった。
聞けばレア混成種(ハイブリッド)は変身後のままで過ごさなければならないこともままあるらしい。
「…い、いつから起きてた、の?」
「……さぁな。知らねェよ。」
包帯を巻きなおすと、ルシファは今度は包帯のいらなくなった小さな傷を舐め始めた。傷薬をよこせというので渡すと、今度は舌を使って傷口に塗りこんでいく。
器用だな、と思ってロビンが見とれていると見せモンじゃねぇぞ、とルシファが唸った。しかし他にすることもない以上、ロビンは彼を見つめることしか出来ない。
やがて傷口を全て舐め終わったのか、ルシファが再びベッドに
身を横たえた。
「あ、ね、寝るの?」
じゃあおいら外出てようか、とロビンが慌てて部屋から出て行こうとするとルシファがその後姿を呼び止めた。
「おい」
ロビンが振り向くと、ルシファは布団に前足に鼻先をうずめるようにしてうつ伏せになっていた。
「ど、どうしたの?」
「……なんでだよ」
「え? な、何が?」
「なんで……助けたんだよ……」
「……」
「オレを助けて……、テメエはどうしようっていうんだ…?」
ルシファの声は、くぐもって聞き取りづらかった。
はじめロビンは、それは彼の姿勢の所為だと思ったが、答えを探している間に、もしかすると彼が泣いているからなのではと思った。前足に鼻先をうずめたその姿勢は、表情が分かりづらい。
「…なんでだよ」
理由を聞かれても、ロビンには答えられなかった。それはロビン自身も知りたいことだった。
ルシファが目覚め、会話をすれば、それが分かるかと思ったが、
ロビンにはやはり、その答えは見えてこない。
ルシファがロビンを見つめないでいることが、逆に、彼にとってもその問いが、ロビンと同じように重要なことだと教えている。
改めて突きつけられた事実に身が竦む。一体何故、自分はルシファを助けたのだろう。
何か、伝えたいことがあるのは分かるのだ。自分は、彼に何か伝えなければならない。
彼と戦い、新たな能力に目覚め、多くの戦艦を破り、数え切れない人の命を奪った。――奪うことが出来た、自分は。
そしてそのことから、彼に伝えたいことがあるのだ。恐ろしい力を持った『化け物』の自分が、彼に伝えたい、彼にしか伝えられない、ことがあるのだ。
(おいらは、どうして……)
思考が回転する。ロビンは眼前のルシファを見つめたまま、金縛りにあったかのようにその場に立ち竦んだ。
「……よかったんだ」
「…え?」
「死なせりゃ、よかっただろーが。俺なんて」
「……!!」
どれほど続いたのか分からない静寂のあと、ルシファの口から漏れた呟きは、口調こそ以前と変わらなかったが、紛れもない自嘲の念が含まれていた。
それを感じ取ったロビンは、自分の体からさぁっと血の気が引くのを確かに感じた。
気がつくとロビンは、艦中に響くような大声で叫んでいた。
「駄目だ!!そんなの!!」
「!!?」
「ルシファが死ぬなんて駄目だ!!」
ルシファが目を見開いた。ずっと逸らしていた目をロビンに向ける。
ロビンは涙と鼻水で顔中をぐちゃぐちゃにしながら、自分でも何がなんだか分からないままに無茶苦茶に叫んでいた。
しかし同時に、この数日ずっと心の中にあった疑問が解けていくのを感じた。
そう、今叫んでいるこれこそが、自分がルシファに伝えたかったことなのだ。
「駄目だ!! そんなの駄目だ!! なんでルシファが死ななきゃいけないんだよおいらとおんなじなのに!!
好きでレアなんとかになったわけじゃないだろ!!好きで赤いヤツになったわけじゃないだろ!!
おいらとおんなじじゃないか!!!おいらだって好きでこんなネジなんか化け物になんかなったわけじゃない!!!
おいらだって、おいらだって、こんな力いらなかったんだ!化け物なんかじゃない普通の人間だってずっと思っててけど
違ってお父さんに勝てって言ってもらった!けど負けてばっかでやっと勝ったけど使いたくなんかない殺したくなんかないんだ!!
恐くて逃げたくて化け物なんかじゃなくなりたい!!!今だって!!!!
――ルシファだっておんなじだろッ!!?」
「! な…」
「同じだろっ!!!?」
戦いの最中、ルシファが漏らした言葉をロビンは思い出す。
『そういう事ならオレもそうだ……!』
『クク…オレは生まれた時から殺すことだけインプットされてきた…』
『殺人機械だからなァアッ!!』
推測でしかないが、この言葉から考えるとルシファはレア混成種(ハイブリッド)というだけで、生まれた時から殺人だけを専門とするような訓練を受け続けてきたのだろう。
訓練で作られた殺人機械。太古の文明に生まれたロボット兵器。レア混成種(ハイブリッド)。太陽神(アポロ)。
何が違うんだ。同じじゃないか。力自体は自分の方が大きいだろう。だが、それ以外は同じだ。自分が生まれた瞬間に、
望みもしない力を与えられ、生き方を決定付けられた。選択なんて与えられなかった。ルシファと自分は、同じなのだ。
「おんなじなんだーーー!! う゛あ゛あ゛あ゛~~~!!!」
「な…!! オ、オイっ! 泣くなよテメェ!!」
「だ、だっでっ! だっでっ…!! じじ死ぬなんで、なんで言うから゛……っ!!!」
「…死ぬっつって何がわりぃんだよ! テメーも同じなら、分かるだろうがっ!!」
「――わがんないよ!!!」
「ンだと!!?」
「ち、『力』があったら、戦わなきゃ駄目なんだ!!!『力』はおいら自体だから…!! 皆がおいらを信じてくれるから!!
覚悟がおいらを待ってるから!! おいらが自分で『力』使わなきゃいけないんだ……!! もう二度ど殺じだくないから!!!
おいらは勝づ!!! 勝つんだ!!!!」
「……!!」
ルシファが黙るのを見て、ロビンはこれで自分は言いたいことを全て言い切ったのだと思った。
騒ぎを聞いたのだろう、扉の向こうからバタバタと足音が聞こえてくる。暫くして、ドアをバンバン、と叩いてロビンの名を呼ぶ声が響いた。
「おいロボ! どうした!!?」
「ロビン!! 何泣いてるんだよ!!?」
扉の向こう、最初にロビンを呼んだのは、彼に「覚悟」を教えたうさ吉と「信頼」をくれたマナだった。
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 半端ですが今はここまで。近いうちに続き投下します。
| | | | ピッ (・∀・ ) 貴重なスペースをありがとうございました!!
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