相棒 2ndseason18話 杉下視点
更新日: 2013-06-12 (水) 20:51:24
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| テロ朝ドラマ相某、2ndシーズン衝撃の18話から
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| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 何故かウキョウさん視点らしい
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| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ウホッ!!
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この辺りで本題を切り出させるべきか。
椙下卯京は珍しく逡巡していた。延々と続く大高知監察官の前口上を耳半分に聞きながら、
淹れたてのアッサムを一口啜る。迷っているなと思った。
沈黙と嘘は習い性といった手合いがやけに饒舌な時は、決まって切り出し難い話題を抱えているものだ。
しかし上層部が自分のことをどう思っているかなどお互いどうでもいいことに違いないし、
元々気の短い瓶山は、勿体ぶった物言いにそろそろ苛立ちを見え隠れさせ始めている。
「御用件は何でしょうか?」
そう切り出してやると、待ち構えていたように瓶山が賛同する。やはりあの辺りが彼の限界らしい。
人一倍の忍耐力を要求される捜査官にしては、些か短か過ぎはしないだろうか。
ともあれ、用向きが懲戒の類でなければ、事件の調査だろう。監察官と事件、思い当たる節は一つ。
大高知はなおも躊躇しているようだったが、野次馬たちが渋々持ち場へ戻るのを見届けると、おもむろに口を開いた。
「あなた方の力を、貸して貰いたい」
「俺達のですか?」
「そう申し上げています」
個人的に、ですか。尋ねると、背後で頷く気配と共に一瞬、甘い匂いを嗅いだ気がした。
何か遠い記憶を引っ掻くような、そんな香りだった。
「本当に、我々は本当に真相にたどり着いたのでしょうか」
真相は明らかになったという瓶山の言葉に、あれから考え続けていた疑問が、ふと口をついた。
数時間前、港監察官の自宅で、妻京子の遺体を発見した直後のことだった。
現場検証が始まり、俄に慌ただしい雰囲気となったマンションの中、
大高知の姿が見えないことにふと気が付いた。
不審に思って探してみると、目当ての人物は部屋の外に居た。
手入れの行き届いたベランダの片隅に立ち、しきりに薬瓶を振っている。
錠剤を取り出すことが出来ないのはその手が激しく震えている所為だ。
薬物の常用による中毒症状か。いや、あれは……
(―――涙?)
大高知は声を殺して泣いていた。気配に気付いて振り返る。
放心したようにこちらを見つめ返す目に、いつもの強さはなかった。涙が一筋頬を濡らして顎を伝う。
常には抑制の効いた、理知そのもののような男の柔らかな部分へ不用意に触れてしまったようで、
驚きとともに奇妙な罪悪感を覚えた。何故だか目が離せなかった。
気まずいところを見られたと思ったのか、彼はつと顔を背け、前方に視線を逃がした。
まるで世界の終りでも見てきたような顔をしていた。
鉄壁の監察官をあれほどまでに憔悴させたものの正体を、ずっと考えていた。
はかり知れない喪失感と罪悪感がない交ぜになった、そんな表情だった。あれは、まるで……。
そう考えかけたとき、何か得心が行ったような気がした。
閃きを軸に、これまで捉えどころのなかった幾つかの情報が全て納得のゆく形にまとまった。
到底根拠とは呼べないような理屈を根拠に捜査を依頼してきた大高知。
”不倫相手”との肉体関係を拒んでいた港。
公園で聞いた台詞がプレイバックする。そういうことだったのか。
「いやぁ参った、まさかラムネとはねぇ……」
講堂からの帰り道、瓶山は些か大袈裟に感心しながら一人で頷いている。
あの場面でいきなり“薬”の話題を振ったのは瓶山なりの気遣いなのかも知れないが、
一見ただの無神経にしか見えないのが彼の凄いところだ。
おかげであの甘い匂いの正体にもすっきりと合点がいった。
それにしても、と思う。
どれ程悲惨な事件を潜ってきても、瓶山のおおらかさは不思議と変わることがない。
そのことにいつも、少しだけ救われるような気がするのだ。
変わらないものも確かに存在する。三歩先を歩く広い背中に視線を遣る。
彼の存在そのものが、解けない謎といっていいかも知れない。
人生は不毛だと思う程生きることに倦んでいないのは、
歳の割に少しばかり無邪気過ぎる相棒のお蔭と言えなくもなかった。
「瓶山君」
「はい?」
「君は、いい男ですねえ」
「ええ、そりゃあもう…って、ななな何言っちゃってるんですか卯京さんそんないきなり!」
別段おかしなことを言ったつもりはないが、瓶山は素頓狂な声を上げて大騒ぎしている。
尤も彼のリアクションは七割方こんな風なので、余程のことがない限りはあまり気に留めないことにしている。
エントランスを抜けると、二月の風が刺すように冷たく吹き抜けていった。
抜けない棘のような余韻を残して、事件は一応の決着を見た。
結局のところ、港徹郎がどんな思いで自殺を図ったのか、その真意を他人に推し量ることは出来ない。
ただ真相を語るでもなく、自分が殺したと名乗り出るでもなく、死して永久に口を噤むことを選んだのは、
個人的には大高知の立場を守る為だったのではないかという気がする。
今回の事件の真相が、大高知の将来を抹殺するだけの威力をもっていることは間違いなく、
当然、港もその事実を理解していたことだろう。
そうして彼は、想う男のためにひとを欺き、自らを殺め、ことの真相さえも葬ろうとした。
二人の女性を騙し続け、結果的にその生命をも奪う事件の発端となった彼の行為は断じて許されるものではないが、
命をかけて人を思う気持ちを悪と断罪することが出来る程傲慢ではないつもりだ。
ただあまりに身勝手で、悲しいほど人間的だと思う。
内へ内へと秘め続けられた感情の烈しさに、愛情の暗く破壊的な側面を垣間見た気がした。
去る者は日々疎くなると言うが、喪失の痛みは記憶の奥深くに根を張り、決して消え去ることはない。
心に負った傷は古くはなっても、それが傷でなくなる日は来ないのだ。
港は自らの命をもって恋人の未来を贖い、大高知は一生その事実を背負っていくのだろう。
変わり果てた腹心の姿に、彼は何を思うのか。
このような形でしか表すことの叶わなかった想いの深さを、その巡り合わせをただ痛ましいと思った。
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 昼に撮った再放送見てたら妙な勢いがついてしまい、つい書いてしまった…
| | | | ピッ (・∀・;) ゚見た人以外には訳わからん不親切設計でゴメン
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|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | …ちなみにラムネは未亡人でいて欲しい派です
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- あの話以降右京さんが沈黙しているのがまた…切なさがたまりません、GJです!私も未亡人でいて欲しい派です -- 2013-06-12 (水) 20:51:23
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