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道士郎でごさるの桐生兄弟

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                    |   週間日曜で打ちk連載してたアイムドーシローの桐生兄弟
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  エロスどころかラブすらほとんど無いよ
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 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧  <どこが801?って聞かれるとちょっと困るよ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚А゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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――幼い、というよりも、まだほんの赤ん坊。
少年だった頃の桐生玲一にとって、弟とはそういう存在で、そういう記憶しかない存在だった。
無理もない、弟はわずか三歳にしてかれの目の前からいなくなってしまったのだから。玲一が小学校に上がった
ばかりの頃のことだった。
ついでに言えばそのとき父も一緒にいなくなってしまったのだが、それは結構どうでもよかった。
弟がいなくなったことが、幼い玲一にはたまらなく寂しかった。

そして、それから十二年。時が経つというのは速いものである。
母と二人で支えあいながら、平凡ではあるがそれなりに幸せに過ごしてきた。母と二人で十二年間だから、玲一が
マザコンの気を持ってしまっても何の不思議もない。……ないよね?
まあ、祖霊輪友覚。いや、それはともかく、だ。
十二年間続いてきた平和は、ある日、一人の少年によってあっさりと打ち砕かれた。
桐生道士朗。
かれは正真正銘、玲一の弟である。

(……それがコレだ)
玲一はリビングのソファで眠りこける弟の姿を雑誌越しにちらりと見て、これ以上ない程大げさにため息を吐き出した。
かれの目線の先。そこには武士がいた。ザ・ラストサムライだ。
洋風の部屋にその姿はとてつもなくそぐわない。そぐわないを通り越して、いっそシュールさすら覚える。
しかしそれは、それこそが道士朗である。
何をどこでどう間違えばこんな風に育つのか、玲一は遠いアメリカの空の下にいるであろう父を小一時間と言わず
問いただしてみたい欲求にかられた。
いや、分かっていたのだ始めから。アメリカの奥地で道士朗が見つかったと知ったときから、いや、変わり者というか
ほとんど変人の父に道士朗が連れ去られたときから。
だがそれでも。
(チガーウ! 俺が欲しかった弟はこんなんじゃないんだ!)
チガウのである。納得がいかないのである。

弟。
おとうと。
brother。
玲一のなかの「弟」像は、なんと言うかこう、守ってあげたい的な何かであった。ソーユードントハフトゥウォーリー的な
存在なのである。
公園で遊びに行った帰りに転んで泣き出した弟をおぶってやってみたり、おやつのケーキの大きさでケンカをして最終的には
自分の分を少し分けてやってみたり、いじめっ子のガキ大将に追いかけられた弟を背中に隠して守ってやってみたり……。
いや、そこまでベタでなくてもいい。とにかく玲一にとって、弟のイメージとはそういう感じなのだ。
数少ない幼少時代の弟の記憶を、玲一は何となく思い起こす。
それはまだ道士朗が生まれたばかりの頃のことだ。
母の腕に抱かれて眠る道士朗の小さな手を、玲一はそうっとつつく。柔らかな手。
「道ちゃんが大きくなるまでは、僕がちゃんと守ってやるんだ」
もちろんママのこともね、と言って玲一はあどけないながらも兄の雰囲気をたたえた顔に満面の笑みを浮かべる。
母は乳飲み子の道士朗を胸に抱きながら、「アラアラ頼もしいお兄ちゃんねえ」と言って笑うのだ。
かわいい弟。泣き出してもケンカしてもいじめられてても、守ってやるべき存在の弟。
玲一だって、何も大学生にもなって、幼き日に描いたようなブラザーライフを送りたいわけではない。
第一、十年以上も離れて暮らしてきたのだから、世間様の兄弟みたいに仲良くなんてのも無理なのは分かっているのだ。
だけど。でも。
(もっと普通の弟がいいんだー!!)
普通。
その言葉のなんと魅力的なことか。表立った波風を立てることなく二十年ほどの人生を送ってきて、これほど「普通」に
憧れたことはない。
十二年も別々に育ってきた時点で大分普通とはかけ離れていることはまあこの際棚に上げておく。そのことに関して
道士朗に罪はない。悪いのは全てバカ親父だ。
それでも――それでもせめて道士朗が普通の少年として育っていてくれれば!
玲一はこみ上げてくるやるせなさをかみ締めつつ、どうでもいい妄想のために頭を働かせる。

それはこんな兄弟図だ。
再開してすぐ、一緒に暮らし始めたばかりの頃はやはり気まずい空気ばかりを感じる。挨拶一つに戸惑ってみたり、
母と兄弟の三人で食事を取ることに妙に緊張してみたり、そんなこともあるだろう。それでも普通の弟なら、そのうち次第に
打ち解けて、離れていた間のお互いのことを話し合ったり、高校での勉強を教えてやったり、好きなテレビ番組のことで
盛り上がってみたり、そしてそうこうしていくうちに「兄貴」と呼ぶ弟の声から少しずつ緊張や恥ずかしさが取れていく――。

が。現実は武士である。着物に袴に髷を結った、武士である。
まさか弟から兄者と呼ばれる日がこようとは思いもしなかった。それ以外にも母上だし拙者だしござるだし!
礼儀正しいのは認めよう。だがそれを時代が求めているかといえばそれはもう思いっきりノーだ。ナッスィンだ。
武士としていくら正しい姿だろうが、常識から見るとただの変な人である。
おまけに武士だけあって強い。どれくらい強いかと言うと、般若強い。ゴリラは飛ばすし、山奥から岩を抱えて家まで走るし、
斧はぶん投げるし。
実は玲一のあずかり知らないところではもっとアレな感じなのだが、ミスター"や"だってぶっ飛ばしちゃうくらいアレな
感じなのだが、それはまあ玲一のあずかり知らないところの話である。
玲一の脳裏に、幼かった自分の言葉がよみがえった。「僕が道ちゃんを守ってやるんだー」とかナントカ。何かそんなことを
言った。確かに言った。
――嗚呼、一体こいつの何を何から守れというのか。
守るどころか、文字通り向かうところ敵なしではないか。むしろ自分が守ってもらいたい。具体的に何から?と聞かれても
特に何も思い当たらないけど。

そして話を元に戻そう。
その問題の武士は、かれにしてはかなり珍しいことに、リビングのソファで眠りこけている。五十九行くらい前にも書いたけど。
思い悩む兄のことなど無視して、いい気なものである。
全くもう本当に、道士朗がやってきてからいらん悩みが絶賛急増中だ。
まともな高校は勝手に辞めるし不良高校に入るし、庭に露天風呂を作ろうとするし、斧は木を割る道具だし、ペットはシロだし!

にしても、道士朗クンは本当によく眠っていた。

……あれ。こんな姿を見るのは一緒に暮らして数ヶ月、初めてのことじゃないだろうか。
そんな事実に気づいて、玲一はもうほとんど見てもいない雑誌を置いて、つと弟の寝顔をじっくり拝もうと腰を上げた。
爆睡である。
いつも一文字に引き締められた口元はだらしなく半開きになっているし、無駄に眼光鋭い瞳も今はまぶたの下だ。
触ったら起きるかなと思いながらそっと髷を解いた髪を撫ぜてみたら、意外なことに道士朗が目を覚ます気配は相変わらず
皆無だった。耳をすませてみれば、小さくいびきまで掻いている。
その様子は何だか、どこにでもいる普通の弟のようだ。
こうして眠っていれば意外とかわいいかも――と思いかけて、玲一はすんでのところでそれを否定した。
(イヤない。絶対ない。それだけはない。マザコンの上にブラコンはない。そもそも俺はマザコンじゃないママ思いのいい息子なんだ)
とりあえず最後のは関係ない。

弟の観察を続けるうちに、玲一はふと、あちこちかさぶたのできた道士朗の拳に目を留めた。
そう言えば、最近やけに生傷が絶えなくなった。
友人の健介殿クンの話では、道士朗は随分とやんちゃな学校生活を送っているらしい。まあ不良の掃き溜めと称される
高校なのだから仕方ない、と言うかそれが当たり前なのだろう。おまけにこの性格だ。ワルとの衝突なんて日常茶飯事に違いない。
玲一は改めて軽くいびきを立てる道士朗を覗き込んだ。
袂からのぞく腕には擦り傷やら青あざがあちこちについていた。見えやしないがどうせ着物の下も同じような感じなんだろう。
よく見れば顔にもあざがいくつか散らばっていて、結構ひどいもんである。

――道ちゃんのことは、僕がちゃんと守ってやるんだ。

あーあ仕方ないなとため息混じりに呟いて、兄は救急箱を取りに二階の寝室へと向かうことにした。

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 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 長いのに中身スポンジだコレ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )  て言うか需要あるのか?コレ
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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