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極×黒

540
トンクス
ではお言葉に甘えて
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
極×黒(最終話の後)

黒サキはベッドに横たわり、豪華客船『グレートウォール』の客室の天井をだたぼんやりと眺めていた。
ここの主は何を考えているのか、黒サキに客室を、しかも狭いとは言え個室を与えてくれた。
突然転がり込んだ『お荷物』にしては破格の扱いだ。
ジェ/イクの個人的な怨恨から内/海が刺されたのは一週間前のことだ。
その時のどさくさに紛れ、企画/七課の関係者はグレーウォールに逃げ込んだ。
ここならば、日本の警察の手は及ばない。このまま逃げ切れるだろう。
人質の女は警察に戻り、バ/ドも取られたがそれは些細な問題だ。
ここに来なかった連中もそれぞれ自己責任で逃げおおせたのだろう。
みんなそれなりに修羅場はかいくぐってきている。
逃げ込んだ直後は部下達の混乱を押さえたり、事後処理に追われたりだった。
貧乏性だと笑われながら、立場と責任上放り出すこともできずに、
自分よりも部下のためにかけずり回っていた。
皆落ち着きを取り戻し、それなりに身の振り方を決めた。
そして、黒サキはする事がなくなってしまった。
本音を言えば混乱の中に忙殺されていた方がよかった。
落ち着きを取り戻せば、嫌でも現実が見えてくる。
内/海の死―――。

未だに信じられない。
一週間が経つというのに。
倒れた内/海の腹の下から血が広がっていく光景は今もしっかりと目に焼き付いているというのに。
あれも内/海特有の『仕掛け』ではないのか。自分をも騙すいつもの手なのではないのか。
あの、グリ/フォンを壊した時のように。
「敵を欺くには先ず味方からって言うだろ」
あの人を食ったような笑顔で、幽霊でも見ているような自分を笑って、
今にもそのドアを開けるのではないか。
そんな風に考えてしまう。
「バカバカしい」
黒サキは苦笑する。
あれほどはっきりと確かめたではないか。
内/海は死んだのだと。
ふと、ドアの向こうに人の気配を感じた。
黒サキは素早く身を起こし、身構える。
(まさか……)
直後、ドアにノックの音がした。

「どうぞ」
緊張を残した声で黒サキが答えると、極/東/マネージャーが入ってきた。
あんな事を考えていたとは言え、内/海かも知れないなどと一瞬でも考えてしまうなんて。
黒サキは歯噛みする。
「他の人間を待っていたような顔だね」
「誰を待っていたと?」
「さあ? それは君が一番知っているんじゃない?」
黒サキは思わず視線を外してしまった。
「君は嘘を吐けないんだね。リ千ャードは平気で人を欺ける人間だったけど」
リ千ャード・ウォン。内/海のもう一つの名だ。
どこか嬉しそうに微笑んで、極/東/マネージャーは室内に入ってきた。
穏やかに笑う。笑顔が地顔と言えば内/海もこの人も同じだが、どこか違う。
ジェ/イクは内/海のそれを『ニヤニヤした顔』と評していたが、極/東/マネージャーの笑顔はもっと上品で……。
(いや、あの人が下品だというわけではないのだが……)
心の中で思わず言い訳めいたことを呟いて、苦く笑う。
全く、何をしているのか。
「何かご用ですか?」
極/東/マネージャーの視線を感じ、心の中を探られないうちに、黒サキは問う。
「君の部下達が心配していてね」
「心配?」
黒サキは苦笑した。

「部屋に閉じこもったまま、食事にも顔を出さないとなれば心配するだろう?」
極/東/マネージャーは黒サキの許可を請わずにソファに腰をおろした。請う必要などない。
この船の中で『客』なのは黒サキの方だ。
「それで、あなたが? わざわざ?」
さも意外だという顔をして黒サキは極/東/マネージャーを見返した。
(部下が心配しているから様子を見に来た、だ?
他の目的があるのが透けて見えますよ、極/東/マネージャー)
心の中でせせら笑う。
「まあ、君の部下達が心配しているのは本当だよ」
極/東/マネージャーは黒サキの心を読んだかのように言葉を返した。
「心配してもらう事など何もありませんよ。それに『私の部下』というわけでもありません」
内/海が集め、内/海に集まってきていた連中だ。内/海がいなくなればもはや関係ない。
(いなくなれば……か)
鉛を飲み込んだように胸の奥が重くなる。
内/海がいなくなるなど、考えてはいなかった。
黒サキは俯き、唇を噛んだ。
「面白いね、君は」
「面白い?」
オウム返しに言って目を上げる。
「あれほど必死に走り回っていたくせに、自分の役割がなくなればあっさりと相手を切り捨てる」
「馴れ合いは苦手です」
極/東/マネージャーはくすくす笑いながら何か呟いたが、聞き取れなかった。

「本当は、君に訊きたいことがあってね」
「は?」
いきなり切り出した極/東/マネージャーの本題に黒サキはさっきの言葉を聞き返しそびれた。
「君は今後どうするつもりなのか、と思って」
黒サキは答えられずに、黙り込んだ。まだ何も考えられない、と言うのが本当のところだ。
「リ千ャードの死がそれほどショックだったとはね。少し、意外だったよ。
君はもっとドライに割り切っているのかと思っていたからね。
リ千ャードが君を利用するように、君も君の目的でリ千ャードを利用しているのだとね」
自分だってそう思っていた。
衝撃を受けている自分に誰よりも黒サキ自身が驚いている。
内/海が『主』であることは黒サキにとって都合がよかった。
内/海は自分を『使いこなせ』る数少ない人間の一人だった。しかし、黒サキは内/海がもしも自分の考えるような『主』でなくなったら、その時は内/海を切り捨てる心づもりは常に持っていた。
……はずだった、のに。
「私は別にいいんだけどね。君一人くらい無駄飯を食わせておく程度の余裕はある」
「無駄飯……ですか」
「違うかい?」
「何か私にできることがあればお手伝いしますよ」
無駄飯と言われて黒サキはつい反発してしまった。ここ二、三日の様子はまさしくその通りだったのだけれど。

「私と、来る?」
「私を飼うおつもりですか?」
「飼われてくれるかい?」
極/東/マネージャーはほんの僅か口角を上げて、面白そうに黒サキを見返した。
内/海の代わりに? この人の? 飼い犬になる?
自分は主人の器ではない。誰かに飼われていてこそ力を発揮できるタイプだ。
それはよく自覚している。内/海という主人を亡くしたからには、
新しい主人を捜さなければならない。解っている。
けれど、それは『今』でなくてもいいはずだ。
そして、主人は目の前の男である必要もないはずだ。
確かに極/東/マネージャーの庇護に入ればある一定の安全は保証される。
その事に魅力がないわけではない。しかし、今は、まだ……。
「貸しても、あげない、か」
「何です?」
極/東/マネージャーの言葉の意味がわからず、黒サキは聞き返した。
「いや、ね。昔リ千ャードがそう言ってたんだよ、君のことを。『あげませんよ、貸すのは良いけど』ってね。
解る気がするね、リ千ャードが君を側に置きたがった理由」
その言葉をどう考えていいのか。何と返せばいいのか。黒サキは言葉を選びあぐねていた。
嬉しい、と思ったわけではない。誓ってない。けれど心が弛んだ。それは確かだった。

言い忘れていましたが、鬼畜風味です


「もし、君が……っと……」
極/東/マネージャーがポケットから何かを出そうとして、ペンを落とした。
立ち上がり、ドアの方まで足元に転がって行ったそれを拾い上げたのは、
黒サキにとってほとんど反射的な行動だった。
「どうぞ」
「ありがとう」
極/東/マネージャーはにっこりと笑って黒サキが差し出したペンを受け取り、
代わりに黒サキの目の前に小さなアトマイザーのような物を突きつけた。
(まずい)
咄嗟に身体を引こうとしたが、もう遅かった。
顔にスプレーを吹き付けられ、黒サキはそれを吸い込んでしまった。
(しまった……!)
ぐにゃり、と床が液状化したように感じた。
見え透いた嘘の用件に、『本題』を重ね、更にその裏にある本来の目的を隠す。
当たり前の手法だ。こんな単純な手に引っかかるなんて。
(……畜生!)
呪詛の言葉を吐いても身体が言うことを聞かない。力が抜けていくようにそのまま床に崩れ落ちた。
意識が黒く染まっていく。
極/東/マネージャーの哀れむような笑顔が最後だった。

黒サキが目を覚ました時、先ず目に入ったのは客室の天井だった。
(ああ……そうだ。極/東/マネージャーに……)
下は固い床の感触ではない。ベッドのスプリングの柔らかさだ。
肌に直接シーツが当たるのを感じて、自分が全裸であることを知った。
ベッドに仰向けに転がされている。
「気が付いたかい?」
すぐ側で極/東/マネージャーの声がした。
視線を向けると、ベッドの端に腰掛けて黒サキを見て笑っている。
意識がはっきりしてきても視界がぼんやりしているのは眼鏡が外されている所為だ。
無意識に眼鏡を取ろうと手を伸ばそうとして、後ろ手に組まされ両手の親指を纏められいるのが判った。
金属のような物。幅が広く厚みはない。おそらくは指錠。
試しに少し手を動かしてみたが無駄だった。これは手に負えない。
これでは起きあがることもままならない。
(まいったな……)
こうなってしまっては今更慌てて恥の上塗りなどという事態にはしたくない。
黒サキは諦めたように力を抜いた。
気を失う前、誰かが部屋に入ってきた気配を感じた。あれは幻覚ではなかったはずだ。
第一、ナイフよりも重い物を持ったことのないような手で、床に倒れた黒サキをベッドに運べるはずがない。
運べるかどうかは別にしても運ぼうとはしないだろう。
おそらくは誰かにさせたに違いない。
問題は、誰に、何処までさせたのか、と言うことだ。

「私をベッドに運んだのはあなたではないですよね」
この状況で、黒サキに駆け引きの余裕はない。
「気になる?」
「そりゃあ」
こんな無様な姿を他の人間に晒したなど、これ以上の屈辱はない。
極/東/マネージャーだけでも我慢ならないのに。
「気にしなくても、秘密の守れる男だよ。
それに君をベッドに運んで、服を脱がせてもらっただけだ」
極/東/マネージャーは事も無げに言うが、黒サキが気にしているのはまさしくその部分なのだ。
それも解っていて言っているのだろうが。
黒サキは他人の目に普段晒さない箇所まで見られていることが気になって、
身を捩り、できるだけ極/東/マネージャーの視線から離れようとした。
その時、シーツが身体に擦れる感触で痛みにも似た痺れが身体を貫いた。
「……うっ!」
黒サキは顔を顰めた。
「薬が回ってきたらしいね」
薬……?
しばらく前から気付いていた。起きあがれないのは縛られた手の所為だけではない。
たとえ手を縛られていても、普段の黒サキなら腹筋だけで起きあがれる。
力が入らないのだ。

一体どんな薬を使われたのか。ろくでもない物であることは解っている。
弛緩剤か催淫剤か、その類の。麻薬かも知れない。
気を失ってからそれほど時間は経っていないはずだ。即効性のもの。それにしては効きが早い。
それに意識のない人間に何かを飲ませることは難しい。身体に直接注射するか、あるいは粘膜吸収。
そこに思い至ったとき極/東/マネージャーは黒サキの顔を覗き込んで微笑みながら、
銀色のパッケージに入った座剤を目の前に差し出した。
「こういう薬なんだけどね」
(最悪だ……)
意識がなかったとは言え、医者にすらされたくない事だ。注射されるよりも屈辱だった。
黒サキは唇を噛み、顔を背けた。
「私の前で用心を忘れる程君が弱っていたとは思わなかったよ」
極/東/マネージャーは黒サキの髪を梳くように掻き上げた。
よくも言う。
黒サキは心で目の前の男に毒吐いた。
用心を忘れた黒サキの迂闊さにつけ込んだクセに。その迂闊さは計算の内だっただろうに。
弱っているなどと認めたくはない。絶対に。
自らの間抜けさ加減を呪ってみても始まらない。
けれどもそれが弱っていた所為だなどと、ましてやそれが内/海を失った所為だなどと。
絶対に認めたくはなかった。
けれど極/東/マネージャーはそれを容赦なく暴き立ててくれる。

薬の効果が上がってきたらしい。
あるいは薬を使われたと聞いて意識してしまった所為かも知れない。
身体が燃えるように熱い。息が上がる。
「……はぁっ……ぁ、はっ……」
極/東/マネージャーの指が頬から顎を辿る。
「……ッ!」
触れた箇所から電流のような痺れが伝わり、声を上げそうになった。
それを快感だとは認めたくはなかった。
「抵抗しない方がいい。無駄だから。この薬はうちが開発した完全化学合成の物でね。
直接神経から脳に訴えて、どんな刺激も快感に変換してくれる。
脳からの命令に精神力で逆らっても辛いだけだよ」
極/東/マネージャーはいかにも楽しそうに効能について説明する。
「君は痛みには慣れているようだけど、こっちはどうかな?」
体中に無数にある傷跡の一つを辿りながら、足の付け根を撫で上げた。
「ああっ……!」
黒サキは自分の声の淫靡さに驚き口を噤んだ。
乳首を摘み上げられ、身体が跳ねた。
「イッ!」
極/東/マネージャーは指先で転がすように乳首を弄び、脇腹を撫でさする。
「……くっ、う……っく」
黒サキは血が滲むほどに唇を噛みしめて、喘ぎが漏れるのを堪える。
「そんなに堪えなくても……」
極/東/マネージャーは黒サキの唇を指先でなぞり、微笑んだ。
黒サキは極/東/マネージャーの手を避けるように顔を背けた。

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
分割場所が少し予定と違ってしまいました
明日また来ます(多分)

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