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kibaでカン+ロベ

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査問会が終わった。
口ベスはこれまでの罪を許され、今後ともテンプラー防衛の任に当たることとなった。
妥当なところだろう。我が国はそれなりに豊かで秩序と文化をもった素晴らしい国家だ。
だが、他国への侵略を国是とするようなところと戦ってゆくのは大変骨が折れる。
ネオトピアと違い多くの庶民は自らを国家に守られるものとは思いはしても、国家を守るものという意識はない。
それも我々の善政あってのことだと自負はしているが・・・・。
考えに浸っている間に、賢人方は退席し終え、口ベスと二人取り残されていた。
薄暗い部屋に、不穏な空気が濃い霧のように立ち篭めているようだ。
彼が何か言い出すのではないかと不安に襲われる。私はおかしい、恐れる必要などあるものか。
何か話しかけよう、だが何を?そういえばデュマスと戦って手を怪我したとか。
テンプラーの政事を預かる者としてシャードキャスターのコンディションを気に掛けるのは当然の義務だろう。
よし。
「ごくろうだったな、もう傷の具合はいいのか」
「おかげさまで」
無表情に言いながら、彼は上衣を肌蹴て肩脱ぎになって見せた。
そうだった。その傷のことを失念していたことへの後悔、治癒の速さへの驚嘆、そして。

白い肌に僅かに赤く残る傷跡が模様のようだった。
当り障りのない労いの言葉でもかけて部屋を出ようと思うのとは裏腹に、私の手はあらわな肩先に触れていた。
白い肩に乗せられた手は、冷たい炎に焼かれるように感じられた。
それほど力を篭めたはずもないのに、彼はそのまま膝をついた。
そして両膝をついたままにじり寄り、両腕を廻してきた。彼の顔が腿に当たるほど近く。
驚きと当惑と怖れ。ひょっとしてこの男は気でもおかしくなったのだろうか。
そんなふうに膝を抱かれているのは、不自然で、おそろしいことだった。実におそろしいことだった。
だが、なんということだろう。
振り払う力はでなかった。
彼はじっと私を見上げた。
無表情の下に隠されていた、勝ち誇った目の光りが見えた気がした。
その目は私を引き寄せ、自分のほうへ引き下ろそうとしていた。

手は彼の肩に置いたまま、私は彼から目を逸らし扉の方をみつめた。
どうするべきかは明らかだった。彼を引き剥がし、悪ふざけを叱って立ち去るのだ。誰にも見られないうちに。
口ベスの手が緩んだ。
見ると、その目は不安と疑念に彩られ、自信に満ちた光は消えかかっていた。

私はのろのろと跪くと、彼の頭を抱きかかえ、その顔を自分の喉に押し付けた。
髪に顔を埋めでも、彼はじっと身動きしなかった。そして言った。
「私を愛しているかい?」掠れた声だった。
「ああ」
そのひとことを口にするのは、ひどい苦痛だった。嘘だったからではない。
ただ、それが真実であって欲しくなかった。この男を愛するなど、これまで一度も考えたことはなかった。この男を愛したいなど、一度も考えたことはなかった。
彼は顔を上げた。
私は口付した。口付けをしながらも、心臓はしめつけられていた。その異様な痛みは生命の危機のように思われた。
こんな男を愛するようになろうとは!こんなものが愛だったとは!
執政官であるこの私が!人に知られたら、どれほど蔑まれ嘲り笑われることだろう。
世間に知られるとおもうと、辛かった。

彼がもう一度顔をこちらへ向けたとき、頬にはほのかに赤みがさし、目にはあの勝利と悦びの輝きが戻ってきていた。
「キスを」
その高慢な口調に気分を害しながら、再度短く唇を触れる。

一瞬の後、彼は乱れたままの服にマントを巻きつけ立ち上がった。
冷笑と蔑みの一瞥を残し出てゆく、その軽い足取りと姿勢の良い後姿を、私は呆然と見送った。
嵌められたことは理解できたが、何故こんな真似をされねばならないのかはさっぱり判らなかった。
拷問の恨みなのか、悪趣味なのか、脅しの種にでもするつもりなのか。

とにもかくにも、私を恐怖させた、愛などという唐突な啓示が妄想に過ぎなかったことに安堵する。
私の人生は守られたのだ。
しかしなぜか、胸の痛みは幻影肢のように続いていた。

STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! スッキリ!

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