Top/17-504

理想の上司←秘書

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | |> PLAY.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 一応、とある「理想の上司←秘書」ですが
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) ただのリーマンもののような気もします
 | |                | |       ◇⊂    ) __ 801であるかどうかも微妙です
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

忙しそうな若者が一人、資料と自分の至らなさを抱えて廊下を急いでいる。
本来なら彼はこの日のためにどんな資料を揃えればいいのか、どこで探せばいいのかは自分で調べてから集めるべき立場だ。
それなのに彼の直属の上司は、企画を立てた段階でどのような資料をどこからどうやって集めればいいかまで込みで指示を出す。
もちろんその方が資料は集めやすいし、彼がこの仕事をはじめて数ヶ月の新人だというのをわかった上でそういう指示を出しているのだろう。
まだ仕事に慣れていない彼に取ってはありがたくもあったが、まだ上司の信頼を完全に得られていないようで寂しくもあった。
ただただ言われた通りの資料を持って来るだけなら、誰でも出来る仕事なんじゃないだろうかという不安がよぎる。
しかし、そんな時はこの仕事を引き受けた時の事を思い出すようにしている。
あれは、すべてを失ったと思った日の夜だった。

事務所に呼ばれた時、すでに何を言われるかはわかっていた。
「来期の契約はない」
機械的にそう告げられた時、何もかも失った気がした。
もちろん芽が出なかった事や周りの動向でそうなる気配は感じていたし、覚悟はしていた。
それでも実際に告げられると、事実が重くのしかかってきた。
この世界に入る時は夢と希望が溢れていたが、今ここで彼が失ったのは夢や希望なんて甘いものだけでなく、職業や収入という生活に関わるものでもあるのだ。

他の場所で契約し、この世界にしがみつくという方法はある。
しかし同じようにこの世界を追われかかった者達が同じ試練を受けに来る、中には素晴らしい経歴を持った者もいる。
彼らと対等に渡り合えるかとなると、自信はない。
だからと言って夢を諦め、一般の企業に就職するにも今の世の中では厳しい。
これからどうすべきか……悩んでも悩んでも答えは出なかった。

その時、携帯電話が鳴った。
おそらく彼がこうなった事を知った友人が心配して電話したのだろう、そう思って表示を見ると信じられない名前がディスプレイに浮かび上がっていた。
「はい」
まだ信じられないまま電話に出ると、間違いなくあの人の声が聞こえる。
「お前さあ、これからどうするの?」
どうすると言われても、何も決まっていない。
それにいくらこの人でも今の自分を助ける事なんて出来るだろうか、事実をありのまま言うしかない。
「こうなったのが今日の今日なので、まだ何も……」
今の状況をそのまま告げると、驚くような言葉が返ってきた。
「あのさ、俺の秘書になってくれないかな。俺はお前にやってほしいんだよね」
どんな返事をしたのか、正確に覚えてはいない。
必要でない人間という烙印を押された彼が、誰もが憧れ、もちろん彼も憧れた人に“お前”が必要だと指名されたのだ。
それが嬉しかった事と、すぐに承諾した事は覚えていた。

彼は決断力があったわけではない、芽が出なかった原因も決断の遅さにあったかも知れないというぐらいだ。
それなのに、この人生に関わる決断は今までにない早さで出来た。
きっとこれが正解だったから、この道が正しいからだと彼は信じている。

誰もが憧れる“理想の上司”の元で働く日々は忙しく、そして充実している。
辛い仕事や自分の未熟さにぶつかる事があっても、“お前にやってほしい”と言われた事に支えられている。
彼は今日も任された仕事を続ける、5年後も10年後も必要だと言われるように。
あの人に、必要だと言われるように。

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 終わりです、読みにくいかも。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |


このページのURL:

ページ新規作成

新しいページはこちらから投稿できます。

TOP