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ギャルサー ユリ科←元同級生、男体化

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ギャノレのサークノレのユリ科←元同級生、男体化。邪道

彼は大学では憧れの的だった。多少背は低めだったが、そこはご愛嬌。
それを補って余りある知性と容貌、そしてなにより、由緒正しき名家の御曹司。
自然と人を惹きつける立ち振る舞いに、皆が彼と親しくなりたがった。
そして俺も例外ではなかった。
幸いこちらもそれなりに知性・容姿・家柄の三拍子揃っていたので、臆せず積極的に彼に声をかけることが出来た。
するとすぐに彼のほうもこちらを友人と認めてくれるようになった。少なくとも俺はそう感じていた。
それがなんだかとても誇らしくて、自慢だった。
大学内のカフェでコーヒーを飲みながら、彼と他愛もない会話を楽しむ。
「ねえ、法律学の単位とれた?」
「とれたよ。でも、教授お勧めの教科書がわかりづらくて、何冊か別に購入して勉強したけど」
「そう、俺は去年落としてしまったんだ」
二人きりだという事実が、上質なコーヒーの香り以上に気分を良くさせる。
彼の幅広い教養には、こちらが舌を巻いてしまう。
なんの話題を振っても、打てば響くように言葉が返ってくるのだ。
香ばしい空気を肺に軽く吸い込んでから、カップに口をつける。少し苦い。
コーヒーには金のスプーンが似合うと思うのだけれど、家から持ってくるわけにもいかないので我慢している。
彼のほうはせっかくのコーヒーを冷めるままにして、その黒い面を眺めていた。
「ゆく川の流れは絶えずして……か」
「方丈記?」
尋ねると、彼は曖昧な表情を浮かべた。
「人とすみかと、またかくの如し。どう思う?」
「どうって」
彼の意図がつかめず、首を僅かに傾げた。何が言いたいのだろう。
彼の目は遠い。きっと、俺を見ていない。
「人は変わるし、どんどん去っていってしまうんだ。一人になんてなりたくないのに」
「一人って、どうして。君には俺がいるじゃないか。友達だろう」
そうだね、と彼は笑った。そしてようやくコーヒーカップに手をやった。
彼の家が破産し、彼の父親が捕まったのだと知ったのは、その数日後のことだった。
彼は周囲から孤立した。友人たちは次々に彼を離れた。
そして俺も、例外ではなかった。

卒業後、俺は芸能界入りした。抱かれたい芸能人の一位なんてものまで取った。
彼の行方は知れなかった。田園調布の家を出て、どこかに行ってしまったらしい。
俺の人生は順調に、一分の狂いもなく進んでいった。
ただ、どこかに小さな小さな歯車を置き忘れてきてしまったような、奇妙な感覚にずっと付きまとわれていた。
部品が足りずに穴の開いた心は、いつしかきしんで、俺はこの穴を埋めてくれるものを欲した。
そして俺は、ひょんなことから彼を見つけた。
彼は――彼は、馬鹿で汚らしい男どもに混じって、年を誤魔化し、ダンスを踊るサークルに入っていた。
酉園寺家の御曹司が、あろうことか!
しかも下っ端のほうであるらしい。だいぶ年下のはずの男にまで、馴れ馴れしい口をきかれている。
そのとき俺の中に燃え上がったのは、間違いなく嫉妬という感情だった。
彼が付き合うべきなのは、こんな連中ではなく、俺たちのような優れた人間であるべきだ。
彼にはあんな下品なダンスではなく、もっと上品で華やかな世界が似合うし、ふさわしいのだ。
俺に気づいて、彼は安物のサングラスをかけて逃げ出した。
俺を見て逃げたのは、彼も恥ずかしかったからだろう。
馬鹿だなあ、と俺は笑った。今のみっともない彼が、あの輝いていた彼と同一人物だなんて。
そんなに恥ずかしいのなら、意地を張らずに俺たちのところに戻ってくればいいのに。
くだらない遊びに耽っていたことは忘れてあげるから、素直になればいいのに。
俺は彼を待ち伏せ、同窓会に誘った。彼のところにもはがきは届いていたはずだ。
「友達だろう」
得意になって俺が言った台詞は、怒りに震える彼に粉々に砕かれた。
「お前らなんて、友達じゃない!」
いつも穏やかな口調だったはずの彼からは考えられないような
乱暴な口調で投げつけられた言葉が、俺のプライドを深く傷つけた。
許せない。絶対に認めさせてやる。
彼の背中を見ながら、俺は携帯電話をへし折っていた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )来週は力ウボーイ×おまわし│萌えシーンがあるといいなー


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