フライ、ダディ、フライ 鈴木×スンシン
更新日: 2011-04-30 (土) 10:08:29
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| 映画飛父飛のオサーン×スンだってよ
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| | | | \ 今更かよ。つか名前一切出てねーのな
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| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 何でも当てはまりそうだな
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
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「すっかり遅くなっちゃったなぁ」
あの夏の日々から、早三ヶ月。久々の再会を果たしてから二回目の日曜日。かつての切なさたっぷりの別れなど
何処吹く風で少年のもとを訪れた男が、あまり街に出たがらない彼を折角国内屈指の大都市にいるのにもったい
ないなどというよく分からない理由で買い物に連れ出したのは、既に半日以上前のことである。午前中に外出した
にも関わらず既に辺りは真っ暗で、煌びやかなネオンがあちこちのビルに点っている。思いのほか時間を忘れて
遊びまわってしまったことに満足しつつも、男は苦手な人ごみに一日中揉まれることになった少年を気遣うように
言葉をかけた。
「ごめんなこんな遅くまで。疲れなかったかい?結構あちこち引きずり回しちゃった気がするけど」
「別に。こんなんで疲れっかよ」
相も変わらずぶっきらぼうに言う少年に、男はそれは何より、と相好を崩した。素直でない性格の少年の本音は
それでも酷く分かりやすく、彼もそれなりに楽しんだらしいことが感じ取れる雰囲気に、案内した方も純粋に
嬉しい気持ちになれる。
「また休みの日には連れて行ってあげるよ。迷惑じゃなければね」
そう言って男は、思いつく限りのお勧めの場所を挙げはじめる。そのあまりの量に呆れたように、少年は珍しく
声を立てて笑い出した。
「そんなに行ってたら卒業までじゃ足りねえじゃん」
「じゃあ、卒業してからも行けばいいじゃないか。何年先でも」
「―――・・・」
「え・・・?」
冗談半分の男の言葉に、少年は思わず笑顔を強張らせた。その様子に、男が怪訝そうな顔を見せる。反応すべきでは
なかった箇所に反応してしまった自分に叱咤しつつ、それでも少年は目を逸らさずに男を見詰めつづけた。先程まで
の和気藹々とした空気が嘘のように影を潜め、痛いほどの沈黙が二人を包み込んだ。
「――何か・・・」
先にその沈黙を破ったのは、男の方だった。
「何か俺は・・・不味いことを言ったのかな」
不安げに、心配そうに、伺うように男は訊いた。その表情の硬さに僅かに目を細めながら、少年はぽつりと、ほんの少し
寂しさを滲ませた声音で呟く。
「―― 俺さ」
「・・・うん」
「・・・卒業したら・・・日本を出るんだ」
「――――」
「もう多分・・・こっちには戻らねぇ」
ここは俺の国じゃないから、と、どこか悲しげに言った少年に、男は何を言うことも出来ずに立ち竦む。卒業までという
ことは、あと一年半程度だろうか。一年半後には、彼はいなくなるのだと、たった今知った事実を、男は呆然と反芻する。
「んな顔すんなよ。ガキじゃねぇんだから」
押し黙ってしまった男に、少年はその場の重い空気を払拭するように、「今日は結構楽しかった」と付け足した。一日が
あっという間だったと、彼にしては珍しく楽しげに言い――それでも何も答えず自分を凝視し続ける男に、少年は諦めた
ように溜息を吐き呟いた。
「・・・・・・ほんとさ、あっという間だった」
あの夏の日々から、既に三ヶ月。師走の夜はお世辞にも暖かいとは言い難く、衣服の隙間から覗く肌が、酷く冷たく
感じられた。もう男の応えは期待していないのか、少年は俯き、独りごちるように言葉を続ける。ほんとうに言いたい
言葉は、未だ胸の中に留めたままで。
「・・・・・・あっという間、なんだよな」
一年半なんて。
瞬間、微かに吹いた風の冷たさに身震いし、包みこむ温もりが何故無いのかと訳もなく思いながら、彼はぼんやりと
考える。どうして二人、ここにいるのだろうと。どうして、触れ合うこともないのに、ここにこうしているのだろう
かと。一年半後には、もう二度と会うこともなくなるであろう間柄であるのに。
「――そろそろ、帰らないとな」
冷えたその場の空気を変えようとするかのように呟かれた言葉に、ようやく男はぴくりと反応した。どこか子供の
ような光を湛えた大きな瞳が、物言いたげに目の前の少年を見返す。それには気付くことなくきょろきょろと辺りを
見回した少年は、目標を見つけたように男に背を向けそこからいくらか離れた大きな道路を指差した。
「ここからだと、駅はあっちの方向だろ。この時間帯なら、ギリギリ歩いて終電に間に合うだろ――」
「・・・・・・・・・」
最後まで言いかけた言葉を、少年は思わず飲み込んだ。夜の冷気の中で冷えた自分の腕に、ほんのりと触れてくる熱。
駅のある方角を指し示したのとは反対側の腕に、そっと添えられた、暖かな手があった。
「オッサ・・・」
少年は、驚いたように男の方を見た。夜街の明かりに浮かび上がる男の表情が、物言いたげな、翳りのある色に
染まっている。戸惑いがちな表情で、それでも男は自ら触れた手を離そうとはしなかった。僅かに水を含んだような
瞳が、ほんの少し困ったように細められる。
「・・・このへん、暗いし、はぐれないかな、と思って」
そう言って笑った男の顔は、少しもそんな風に思っているようには見えなかった。そのことには触れずに、態と苦笑を
口の端に乗せた少年は、しょうがねえなと呟いて、空いていた方の手で自分に触れている男の腕を引き寄せた。
そのまま手首を掴み、少年は男の手を引いて歩き出そうとする。大通りまでの道のりだけでいい。触れていたいと思う
感情が彼自身に許した、それは精一杯の我侭だった。
――けれども。
手首を掴もうと伸ばした腕が逆に男の手に掴み取られ、少年は僅かに目を見張った。しなやかな腕を掴んだ大きな手が、
緩やかに肌をすべり指先へと移る。男は少年の瞳を見詰め返したまま、一指一指を確認するようにゆっくりと指を絡めた。
自分を見詰める少年の綺麗な瞳が、瞬間潤むように揺らいだことにも、気付かない振りをして。
「――じゃあ、行こうか」
終電を逃すとまずいし、といつもの笑顔で言って、男は歩き出した。もうその表情にも声にも、先程の硬さはどこにも
見つけられなくなっていた。恥ずかしいんだよオッサンのやることは、などとぼやきつつ、繋いだ手に引かれるよう
にして、少年も後に付いて歩き出す。絡めた指が、酷く熱い。その熱が指先から這い登って、身体中を侵蝕してしまう
かのようだった。触れた箇所から早まる動悸が伝わらないことを願いながら、少年は無邪気な子供のように言った。
その表情は、少しも子供のものではなかったのかもしれないけれど。
「・・・なんだかこうやって歩いてると、親子みたいだよな」
前を歩く男からは、返す言葉は聞こえなかった。そのまま少年も何も言わずに、ただ黙って男の後についていった。
歩く速さは早くもなく遅くもなく、それでいて帰り着く時を疎ましく思いながら、二人は互いに手を握り返す。
―――その、繋いだ指のつよさにも、掌から伝わる、確かな熱にも、そして、きっとそのことに気付いているであろう
相手にも、気付かない振りを続けながら。
END
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| | | | スンが乙女過ぎですな・・・
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧
| | | | ピッ (・∀・ )
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