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アカギ アカギ→南郷

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

ア力キ゛の悪鬼→何号さん。

髭の893が、なにか話し続けている。
一日の労働から開放され、疲れから頭の中がかるく霧がかったようになっている今、車窓からの景観にも惹かれるものがないので、カタチだけ対応はしているが、互いの間で交わされる言葉は、先ほどから全て耳を通り抜けて、消える。
退屈だ。欠伸を噛み殺すのも、次第に難しく感じてきた。
自分の意志で従ったとはいえ、面倒なところへきてしまった。
ぼんやりとした思考が、内へ内へと沈んでゆく。
代打ちが俺のにせ者だから、どうだというのだろう。勝とうが負けようが俺には何の関わりもない。
正直言えば、俺を巻き込まないで居てくれるのなら、そのにせ者が俺の名前をカタリどう使おうとも、構わないとすら思っている。
迎えに来たのが何号さんでなければ、今頃この場にいない。
このやたらとうるさい髭893ひとりきりなら、蹴り倒してお終い。あとはきっと、べたべたと粘着されないよう、職も変えるくらいはする。
髭893の隣で、おろおろと落ち着かない様子で居る何号さんだから、昔とあまりかわっていないように見えるこの人が来たからこそ、俺もついいてきた。
それと、長い時の経過。
十分すぎるほどの時間があいだにあったから、おとなしく車に乗った。
もしも、呼び出しに来たのが、あの最後の夜、勝負の直後ならば、俺は逃げた。
当時13さいのこどもでも、利用されていることはしっかりと感じていた。
無防備に俺を信頼する何号さんが、ほんのわずかの間にとりかえしのつかないほど好きになっていたから余計に、本心ではどれだけ求めていても、心の整理が出来なかった。

何号さんが作為したわけではないのに…、それが、ずっと引っかかっていた。
皮膚の下に、深く潜り込んだ棘のように。いつでも、俺の胸に痛みを与えていた。
闘牌の前日、勝負が無事に済んだ暁には、俺は静かに消えるか、何号さんの目の前から逃げ去るか、そのふたつしか選ばないと決めた。
そして、追われてもいないのに、6年間ずっと馬鹿のように流離った…。
再会したところで、ろくに言葉も交わさなかったが、意識しないときには俺の目は何号さんを見る。何号さんの姿を確認して、どうしてか安心している。
二度と会えないと思った…。昔は手を伸ばすことが戸惑われたこの人が、俺のすぐ近くにいる。
諦めを選んでしまったあの日から、俺にはもっとも縁遠いとおもいこんでいた感情が蘇り、胸を占める。
「……っ!?」
目頭が熱くなりかけて、俺は吃驚した。
ここ何年と、欠伸をするか、目にゴミでも入らなければ、涙の出ることなど無かったのに…。
気を静めるつもりで煙草を取り出し、火を付ける。
俯いていた姿勢を元に戻したとき、ルームミラー越しに何号さんと視線があった。何か言いたげな目をしているように感じる。
何号さんの目を見ると、俺はすこし辛くなる。
会えてうれしいとか、懐かしいとか、そんな上っ面の感情ではなく、もっと深いものが伝わるからだ。
おそらく、何号さんは俺に対しては父親のような気持ちで居るのだろう。
俺にはあまり喜ばしくない方向の情だ。俺が何号さんから寄越して欲しかったのは、恋情や愛情。
折角機会が巡ってきたのに、誰とも深く関われないまま生きてきた俺には、それをどうやって手に入れればいいのか分からない…。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

中途半端でごめんね。


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