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家守綺譚 孝道×綿貫

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                    |  ナシキカホのイエモリキタソ、孝道×綿貫だよ。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  季節とか色々ごめんね。
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
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「今宵は風流な格好をしているな」

よ、と掛軸を跨ぎ床の間に下りた孝道が、浴衣姿の綿貫を見て言った。
ぼんやりと高い月を眺めていた所に背後から声を掛けられ、
少々驚きはしたが、同時に安堵した。

「一度ぐらい袖を通さないと、浴衣に悪いかと思ったのだ」
「少し変わったな、渡貫」
「おまえの所為だろう」

それも悪くないさ、と孝道は目を細めた。
夏も終りを迎え、池に浮かぶ月も丸みを帯び、星も高い。
鳴く虫の声は風鈴の音よりも空気を涼しくさせる。
流れ込んだ温い夜風に床の間の掛軸が揺れ、カタン、と音を立てた。
手前には孝道のボートが繋がれている。

「今日は随分遅くに来たな」
「おまえが望むから来たのだが」
「偶におまえと、夜を明かしてみたいと思っていたのだ」
「珍しいことを言うものだ。ならば今日は満足だろう」
「…居るだけでは満たされないと思う事もあるのだがな」

柱に凭れだらしなく足を伸ばしている渡貫が、藤の椅子に腰掛けている孝道を見上げ、
生きているのだから仕方ないのだ、と欲情を滲ませた瞳で言う。
おまえが教えたから、身体がもうすっかり覚えてしまった、と。
孝道は何も言わずに、椅子の上に足を上げ、そこで緩く胡座をかいた。
渡貫が浴衣の裾を大きくはだけさせ、自らのそれに触れ始める。
既に欲情の様ははっきりと見てとれた。

「―…っ、…ん」
「…独り遊びも楽しそうだな」
「楽しくなど、無い。お前が、…生きて居た頃の方が、ずっと」
「だが随分と良さそうに見える」
「……おまえが、居るからだろう」

熱を孕んだ吐息に混ぜ、刺激に途切れがちの言葉を告いだ。
それを言い終えると、左手を浴衣の中へ少し引き、
摘んだ袖で、乱れる吐息を隠すように口元を押さえた。
黙って自分の方を見る孝道の視線が何とも言えず、下を向く。
目を瞑ると否が応でも意識はそこに集中してしまう。

孝道の居る前で、その欲を如何にかしようと思った事など無かったが、
稀に話している時、生前の戯れを思い出す事もあった。
体温を持たない孝道に触れる事などもう叶わない。逆もまた。
こうして逢っている事が、不可思議な事なのだ。
その事を理解はしているが、何故か今日に限って如何する事も出来ず。

「…孝道」
「何だ」
「…っ、おまえに触れたい…」
「無理な話だ」
「私が、逢いたいと思えば、来ると言うのならば、触れたい、と思う時そうしてくれても良い筈だろう…?」
「…すまんな」

と、と孝道が椅子を降り、渡貫の傍に腰を下ろした。
目が潤んでいる所為だろうか、少しぼやけて見える手が頬に伸ばされてくる。
顔を傾け渡貫もその手に触れようとしたが、それが出来るかどうかを確かめる前に、止めた。
触れられない事を実感などしたくない。
そう目で言ってやると、悲しそうに笑って孝道は手を戻した。

「おまえは先を弄られるのが好きだったな」

傍に聞こえる、前と変わらない孝道の声に、ぞくりとする。
そんな事は自分で良く分かっている、と言いたかったが、言葉を発するのも億劫だった。
右手はもう、滲み出る物で随分と滑らかで。
孝道の見ている前でするのは、全くの独りの時とは比べものにならないものだな、と苦々しく思った。

「もっと先を扱け。それを掬って指先で撫でる様に」
「――っ、孝道、やめてくれ、おかしくなりそうだ」
「触れているのはおまえ自身だぞ」
「…分かっている、分かっている、が…」

話す合間も刺激を止められず、絞り出すように声を発しながらも、
言われた通りに指を動かしてしまう。
目を瞑れば、孝道の手の感覚を思い出す。
オールを持つ手には固い箇所があり、決して綺麗な手では無かったが、
触れられると唇すら噛み締められず、甘ったるい声がいつも漏れていた。
当然そんな声など出したくない綿貫とは逆に、孝道はそれを聞きたがり、
意地の悪い触れ方をよくしていた。
そのような、互いに熱に浮かされた日々があった。

以前、飽きる程耳元で聞いた声の所為で、独りでしているのに、
その手にされているかの様な錯覚に陥る。
弄る指の立てる、粘性のある水音が耳についた。

「…ん、ん、っ、」
「声を堪えるな、出した方が楽になる」
「…もう、持たない、」
「…堪らない色気だな。触れられないのが少し、悔しい」
「っ、…孝道っ、もう」
「…渡貫」
「――…っ…」

手で受け止め切れなかった欲の証は、浴衣に落ちた。
孝道が眉を顰め、後、柔らかな笑みを浮かべた。
行為後と明らかに分かる姿で、だらしなく脚を開いたままの渡貫の額に汗が浮かんでいる。
乱れる呼吸を整えようとしながら、白濁に濡れた手と浴衣を眺めた。

「…汚してしまった」
「良いものを見せて貰った」
「…人の見ている前でする事では無かった、…すまぬ」
「謝る事ではないだろう。生きているのだからな」
「おまえは…」
「何だ」

あの頃の様に身体が火照る事も無いのだな、と聞きたかったが、
当り前過ぎて余りに愚かな問いは飲み下した。
秋の風の様な思いに駆られる。
自分と孝道を隔てる壁は、見えないが確かに存在している。
何も言わず、其方へ行ってしまった孝道の奔放さを恨めしく思った。

呼吸も元の様に静まり、力の入らない身体を何とか少し立て直し、庭を見た。
先ほど眺めていたものと然程変わりは無い。
サルスベリも其処に在り、ゴローも丸くなって眠っている。

一息吐いて視線を家の中へ戻すと、孝道が掛軸を跨ぐところだった。

「…もう帰るのか」
「ああ、帰る」
「長く居るのでは無かったか」
「今日は駄目だ。…熱くて落ち着かない」
「…おまえにも体温があるのか」
「いや、そうでは無く、芯に在る感覚と言うのだろうか」

また来る、と言い残し、音も立てずに孝道の乗ったボートは向こう側へと消えた。
その姿を眺め、そうか、死してなお変わらない事も在るものか、と考え当たる。
ならば自分にも変わらない部分が在っても良いのだ。

もう交われないおまえを昔と変わらず思うのも、そう悪い事では無いだろう。
そんな小さな呟きを、晩夏の色付く風へと静かにのせた。

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 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ごめんなさい。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 萌えすぎたんだよ、この2人には。
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

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