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アカギ

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  またアカギかよ!
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  またナンゴウさんだよ!
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
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違う違う、そうじゃないんだ、と南郷は心で叫びながらアカギの後を追っている。
(そんなつもりじゃなかったんだ。)
先に「お前を連れてくるように頼まれている」と、そう言わなければならなかった。
なにかやっかいなことになると容易く想像できたはずなのに、南郷がそうしなかったのは
周りの目をはばかってというよりも、6年ぶりの再会に有頂天になりすぎたせいだ。
あの玩具工場を訪ねた時には、どれほど自分がその身を案じていたか恨み言の一つも
言ってやりたい気でいたが、彼が無事でいたという安堵、自分を覚えていてくれたという喜びで
なにもかも吹き飛んでしまった。
「どうしたの、南郷さん」
まるで年月の空白なんかなかったかのように話しかけてくるアカギの声で、すべてが報われた気がした。
思っていたよりずっと背が伸びていて体つきにも精悍さが加わり、どこから見てももう一人前の男だ。
それでもやはり、見間違えようもないあのアカギだった。
…会いたかった。
ずっとその声が聞きたかった。
それだけで十分だった。

そんなふうだったから、ばかばかしいことに石川に道をふさがれるその時まで
アカギを訪ねた用件を本当にまったく失念していたのだ。
自分がヤクザに頼まれてアカギを呼び出すという役目を負っていたということを。
そういうことか、というアカギの醒めた声に
「会って話をするだけでいいっていうから…」
しどろもどろに言い訳がましいことを口にしたが、アカギはもう南郷を見ようとしない。
それまで確かにあった、アカギと南郷の間のなにか通じ合うような空気は霧散していた。
そしてようやく悟った。
自分はアカギを嵌めたのだと。

もしも小遣い銭でももらって囮になったのだと思われているなら、せめてその誤解だけでも解きたい。
川田組に居る間は南郷はただおろおろとその成り行きを見守るばかりで、そんなことを言い出す間もなかった。
組を出て繁華街を抜け、アカギに追いついたのは湿った水路の臭いのする裏道にさしかかったところだった。
「アカギ!」
南郷は夢中でアカギの腕を取っていた。
あれほど切望していたはずの再会が、どうしてこんなことになったのか…。
すまなかった誤解なんだと一気にまくしたてながら、だんだん涙声になっていく自分の情けなさに
南郷はまた泣いた。

「南郷さん、あんた本当にしょうがないね…」
やっと顔をあげてアカギを見て、驚いた。きっとあの目で冷たくあしらわれるものと覚悟していた。
それなのに、アカギは笑っている。
その声はむしろ柔らかい。
「それはもう、いいんだ。言わなくても。」
わかってる、とアカギは言った。
「俺の居場所だけ聞き出したら後はあんな連中ほっておけばいいのに、なにを律儀に。」
言われてみればその通りで、居場所を知らせてもらったと妙に恩を感じて断りきれず、
アカギを連れてくる約束をしてしまったのは、いかにも愚かだった。
義理立てしてやらなくてはならないような相手ではないとわかっていても、南郷にはその狡さがない。
「困った人だな、南郷さんは。」
なにか反論したかったが、言葉が出なかった。
今度は安堵のあまりぽろぽろと涙が落ちる。
「なんだよ、わかってるって…だって、お前…!」
あれからずっと背中で拒絶されていた。だからこんなに不安になったのだ。
「南郷さん、もうこれからは誰が訪ねてきても俺のことなんか知らないって言いなよ。」
その言葉にうつむいた南郷の気配を察して、アカギは「そうじゃなくて」と言った。
「俺に関わっちゃいけない、と言ってるんだ。」

けして冷たい言い方ではなかったが、南郷はアカギが煙草に火をつける仕草を見ながら
ああやっぱりそうなのか、と思った。
今夜ここで別れてしまったらきっともう二度と会えないのだ。
アカギはそういうつもりでいるのだろう。
「なんでだろうね。俺が……た人は皆……。」
独り言のようにつぶやかれた言葉はほとんど南郷には聞き取れなかった。
「まぁいいか。」
アカギはその独り言の最後に「俺のせいってばかりでもないしな」とつけたして、苦笑した。
若くして才能に恵まれ、願って叶わぬことなどなにもないように思えるのに
どうしてそんな暗い笑い方を身につけたのか。南郷には知りようもない。
「南郷さんは、俺と関わってもまともだった最初の人。」
「最初?」
「…もしかしたら、最後かもね」
アカギはまた笑った。
「だから、もう俺と関わっちゃいけない。」
南郷にはアカギの言っている意味はわからなかったが、それでもなにか悲しいことを
口にしているのだということは理解できた。

「…お前は…お…」
南郷はなにか言いたかった。けれど、言えることはなにもない。
自分とアカギはなにもかも違いすぎると自覚がある。
自分はアカギの傍に居たいと願うことさえ許されない、脆弱な凡人だ。
彼の求めるものなどなにひとつ持ち合わせてもいない。
関わるなと言われてしまえば、アカギが自分を遠ざけようとするのに抗う術はないのだ。
アカギという人間は一言で言うなら天才なのだろうと思う。
それも異能の天才。この世に誰一人自分に似た人間のいない人間。孤高。孤独。
「俺は独りが好きなんだ。地獄の底まで独りで行くさ。」
指先から伝わる体温で、いつのまにか南郷は自分がアカギの腕のその肘の下のあたりを
また掴んでしまっているのに気づいたが、アカギが振りほどこうともしないのに甘えてそのままにした。
唐突に、南郷はしゃべりはじめた。
「死ぬときに、好きな人が手を握っていると、天国に行けるんだ」
子供のころに、無学で信仰もなかった母親から寝物語に聞いた話をこんな時に思い出すのは
我ながらおかしいと南郷も思ったが、話すのをやめたらきっとまた泣いてしまう。
「だから、お前は地獄になんか行かない。お前はこれからきっと、お前のことをすごく好きなってくれる人に
会って、死ぬときにはその人が手を握ってくれる。だから、地獄には行かない。行かないんだ。」
(ああ、だめだ…)
こらえきれずにぽろぽろと涙が零れ落ちた。

息遣いさえこんなに近くに感じられるのに、アカギが遠い。
「じゃあ、俺がこの先なにをしでかしても全部チャラか。」
「そうだ、全部チャラだ。ナシになって、天国へ行けるんだ。だから、絶対そういう人を、
探さなくちゃいけないんだ。」
それが自分ではないという悔しさと、バカな話にアカギはきっとあきれているだろうという恥ずかしさで
南郷は顔を上げられなかった。
独りで生きてくれるなと、そう伝えたいのに、うまく言葉がみつからない。
「いいね、それ。」
アカギの声は笑ってはいなかった。
「南郷さんがそう言うなら、きっとそうだ。」
そう言って南郷に背を向ける。静かに指がほどかれる。
これでもう二度と会えないと、お互いにそう思っている。
それでも「また会おう」と約束する。

この世のどこかにアカギの熱に引きずられもせず押しつぶされもしない
そんな強い人間がきっといて、いつか必ず出会ってくれと南郷は祈る。
あの潔癖すぎる魂が自分の選んだ生き方に疲れきってしまわぬうちにと。
遠い未来か近い将来かはわからないが、いずれはアカギにも必ず訪れる死の床で、
どうかその手をとってやり、その時アカギはすべてに満たされて、どうか笑っていてくれと。
これから先の自分の人生の、すべての幸運を賭けて、そう願う。

夜の闇に消えていこうとするアカギの背に最後に呼びかけた南郷の声にもアカギは振り返らなかった。
けれども遠い街灯に照らされて、手をあげて応えるのが確かに見えた。

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 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ポエマースイッチ入っててごめんね…っ!
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
長いのをざっくり切ったらこうなったっ…!
死ねば助かるのに的に無理やり投下するよ。反省しないっ!

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