夜王 主人公×謎の人
更新日: 2011-04-30 (土) 10:25:43
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| 某よるのおうパラレルストーリー
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| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 主人公×謎の人
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| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
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ドラマしか知らずに設定や説明の一切をかなぐり捨てたナマモノまじりのいうなればクロスオーバーのいっそオリジナルです。合言葉はパラレルラーです。
謎の人の中の人は主人公の中の人と一緒にリズムを刻んでいるあの人です。
瞭介はわりと正義感の強い方だ。そして、わりと、なんていうと瞭介派のあの二人が全力で、ものすごく、だと訂正する。
酔っ払いやカラス族に絡まれているご婦人がいれば多少の無理をしてでも助けてしまうのだ。
そんな瞭介の助けてしまうところがみんな好きで、そんな瞭介の多少の無理をするところにみんな頭を抱えていた。
ただ、それは実のところ女性に片寄っている。
男なら自分でなんとかできるっしょや、と罵り合いになってようが殴り合いになってようが、大抵をスルーしてきた。彼の心の奥底にある元・暴走族の記憶がそうさせるのである。
最近は顔に傷をつけるわけにもいかなくなったし、人通りの多いところだったら警察のほうが役に立った。
自分以外に人が歩いていないような路地で、背の高いオッサンが壁に後頭部を打ち付けられてぐったりとうなだれた小柄な男を裏に運んでいく、なんていうシチュエーションでなければ。
で、なければ。
「これだけの為につけて来てんじゃねえよ、そこまでは仕事じゃねえっつうの!」
「いくら金払ってると思ってんだ、大人しく言うこと聞けよ!」
「あっ! ……ぐっ……」
ズルズル、ズルズル
だってゴンって言う前にその男の人と目があっちゃったんだもん、と瞭介はのちに言い訳する。
ほとんど夜が明ける頃だった。
瞭介は口ミオを出てからちょっと女の人と過ごしたりした仕事帰りのくたくたの体でそれを目撃したのだが、体格差が哀れだし、酸素の不足で判断力が低下しているせいもあって「ちょっと待ってください!」と止めにかからないわけには、いかない気分になったのだ。
止める前に裏に引っ込んでしまった二人を追いかけ、随分進んだところで瞭介はふとあたりを見渡してみる。
まるでドラマでチンピラがしめられるような鉄パイプの入り組んだ工事現場の隙間のようなところで、瞭介はすこし肝を冷やしたと同時に妙な使命感に駆られた。
「や、やめろ、ああっ……うっ」
ぼうっとしている場合じゃない。
うめき声に意を決し、瞭介は飛び込んだ。
「ちょっと、なにしてるんですかあ゛あ゛あ゛あ゛!」
ちょっと演技がくさいぐらいに気合の入った台詞が、途中から悲鳴に変わるのも仕方ない。
オッサン、チンチン、まるだしですやんけ! 妙にドスの効いた声が瞭介の頭の中にこだまする。
きりっとしたまま固まった瞭介にオッサンも同じぐらいに驚いたせいで、意に反して二人は熱烈に見つめあった。
その隙に、煌くような身のこなしで小柄な男が身を翻す。
バキッ
その音とともに、瞭介の視界の中心で、半裸のオッサンは鼻に強烈なパンチをくらって、倒れたのだった。
「うは、うめえ」
白いご飯をほお張って満足げに男は微笑んだ。その脇で脩と夏揮が、また面倒を持ち込みやがって、と瞭介を恨めしげにねめつける。
瞭介だって最初は食堂に連れてくるつもりはなく、お礼もそこそこに別れるつもりだったのだ。
しかし、腕をひっぱられて裏路地を抜け出たあと、お礼の言葉を遮るような腹の音を聞かされてしまっては、お人好しっていうのはなんともはや、無力なことだろう。ふたつの痛い視線に瞭介は人助けを初めて後悔した。
「いやあ、ほんと助かった! 頭やられちゃうと太刀打ちできなくてさあ」
こんな街にはそぐわない健康的な浅黒い肌にやや幼い顔。
身長が小さく瞭介が小柄だと感じたのは間違ってはいないが、明るい中でみると思いのほかガタイがよく、骨太な腕はあのオッサンの鼻からびっくりするぐらいに鼻血が出たのも不思議ではないと瞭介に思わせた。
「ゴムもなんも持ってなかったから、あのまんま突っこまれずにすんでほんとよかったわ!」
そしてやけにハンサムなキュッと下まぶたを吊り上げる笑み。不思議と引き付けられるその仕草に、周りはちょっと間違えばドキッとすらしただろう。
ただこのあけすけさによって少しも間違えることもなく、よく飯を喰いながらそんな話をできるなあ、と関心までさせてしまったが。
「なにかお礼しねえと」
「別にいいっすよ! 俺たち、こういうの慣れてますから!」
夏揮が口を尖らせながらあてつけて言う。あっそう、と男は案外あっさり引き下がった。
「あの、二丁目にお勤めなんですか? 男の人と、その……」
それから途切れた会話を、つむごうとしてしまうのは職業病といってよさそうだ。瞭介はほとんど無意識的に訊ねた。
「まあね、ゲイバーで接客やってるよ。さっきもまだ仕事中といえば仕事中だったんだんだけど」
「いや、あんなの仕事じゃないですよ……それで、なんでまたここに?」
「借りを返してもらいにね。でもなんか逆に借り作っちゃったな……しんちゃん、おかわりいーい?」
それから、馴れ馴れしくも初めてのお店で大盛り三杯の米を平らげた後に、男は思い出したように瞭介に向き直った。
「そうだ、恩人の名前ぐらい教えてくれない? そのかっこならホストだろ。宣伝しといてやるよ」
勘定を済ませた後、もったいぶったようにゆっくり振りかえるもんだから、なんだそんなことかと瞭介は答える。
「瞭介です」
「えっ、もしかして口ミオの瞭介?」
口ミオの瞭介。語呂もなかなか悪くないので、思わず顔を綻ばせて「知ってるんですか?」と瞭介は素直に喜んだ。ああ、ああ、と男はそれから何度か言葉にならない声を発しながら、じゃあそこの中途半端な金髪が夏揮で、奥のが脩だと言い当ててみせた。
「じゃあ、都合よかったな」
瞭介の喜んだ顔が困惑に変わっていくころに、男は微笑んで言った。
「俺は嵐。今度ちょっとお世話になるから、口ミオのオーナーによろしく言っといてよ!」
ピシャッと戸が閉められ、食堂が静まり返る。
たっぷり十秒は置いてから、瞭介、今度プロフィールの特技欄に被害を大きくすることって書いておけ、といったのは脩だった。
口ミオが開店する前の緊張感が瞭介は好きだった。ロッカールームから出て行った時の、上品な明かりの煌きにこれからの来客を期待するのが好きだった。
その時、隅にオーナーの姿を見つけて、知り合いみたいな口ぶりのあの男を思い出す。
「オーナー、嵐って人、知ってますか?」
訊ねた途端にオーナーの顔から余裕がなくなったのが見て取れた。それは些細な差だったが、このオーナーの状態とあれば、瞭介は只ならぬものを感じずにはいられなかった。
「先日、知り合う機会がありまして……オーナーによろしく、と」
「借りがどうのこうのって言ってました!」
いつのまにか後ろに夏揮がいて、口を挟む。はあ~、とため息をついたオーナーが、次に頭を抱える。
「個人的な問題だ、巻き込んで悪かったな……忍び込んでいたら教えてくれ」
「来るんですか?」
二人が丸く目を見開いて声をそろえると、オーナーは黙って頷いた。っていうかゲイバーの店員との個人的な問題ってオーナーこんなところにいながらそんな趣味が、と二人は漠然とした気味悪さに密かに戦慄する。
ちなみにオーナーにそんな趣味はなく、こういう業界に長くいれば嵐の勤めているゲイバーのママと知り合ったりするだけのことで、ママの明るい語り口を肴に飲みたくなることだってあるのだった。
「あの、差し支えがなければお聞きしたいのですが、何しに来るんですか?」
「おまえ達には関係な……いや、あるな」
オーナーは手先を二人に向けて何度か払ったが、すぐに打ち止めた。
「あそこのママに貸しがあるんだ。ホストを一匹差し出すと約束しちまったんだよ」
急に周りが静まり返る。
オーナーの只ならぬ雰囲気にうまいこと自然に過ごしながらも全員が聞き耳を立てていたのだ。
「ええっ、そんなの、どうするんですか!」
「どうにかするさ……しかし、まさか引きとりに来るのがあいつだとは……」
そろそろ来るとは思っていたし、嵐でなければ適当にあしらって帰すつもりだったのに。
ママも遊んでやがる……とオーナーが小さく呟き始めたのを見て、とりあえず瞭介と夏揮はそっとしておくことにした。
時が止まったように誰もが耳をそばだてていたが、二人が離れたのをきっかけに、何事もなかったように店はまた準備で忙しいいつもの風景へと戻っていった。ただ、オカマさんに見初められないようにするにはどうすればいいのか、という言葉を飲み込んで。
オーナーのいいくちじゃ、これは本気の取引だ。
「口ミオへようこそ、ジュリエット!」
しかし始まった。ホスト達が色めきたつ。そしてめくるめく夜を繰り広げるうちに、それを忘れた。
店内の空気はすっかり籠もり、閉店を予感させる。
疲労がたまってきても瞭介は気を抜かないように気をつけた。のだが、丁度手が空いた時に、誰かに手を振られた気がして反射的に振り返し、あっと気づくまで、相手を女性だと勘違いしていたぐらいには、気が緩んでいた。
嵐が冗談めかして言う。
「来ちゃった」
ホストやスタッフが忙しく行き交う裏に回っても、ホストたちは開店前の恐怖を忘れて嵐のことをただのスタッフかなにかだと考えて通り過ぎていった。
この業界にいて、彼らは別にドラッグクイーンのような人だけがゲイバーに勤めているとは思っていないが、嵐のようなそれっぽくない男だと、周りが男だらけなだけに判別は難しかったのだ。
「本当に一人持ってくつもりなんですか?」
「ああ、話聞いたんだ。そのケのありそうな奴がいたらママに教えるつもりだけど」
冗談の延長線のような、曖昧な言い方。瞭介はオーナーとの温度差に首を傾げる。
「ね、オーナーまだ忙しい?」
「ええ、まだちょっと……来ていたことをお伝えしておきます」
「いや、俺時間あるから待ってるよ。悪いけど、どこか場所空いてない?」
瞭介がロッカールームに案内すると、ちょっと気になっていたことを打ち明けた。
「嵐さんも……あの、女性の格好で接客しているんですか?」
瞭介は遠慮なく笑われた。
「まさか! 瞭介くん、知らないんだね。観光バーでもそんな無理はしないよ」
瞭介の名前を宣伝する、と言ったのは伊達じゃない。嵐の居るゲイバーは俗にいう観光バーで、男女問わず入店でき、店員がゲイという以外は普通のスナックなどと変わらず、彼らの独特な笑いセンスを楽しむ賑やかな場だった。
そういう風に言うと、大抵女性の格好で接客する男性の方々を思い浮かべるだろうが、近頃は男性の格好をしたちょっと見目のいいゲイが席につくことだって少なくない。仕草だけが女性らしいこともあれば、嵐のようにあるがままのもいる。
「でもほとんど雑業かな。最近はママのフォロー役になっちゃってるよ」
嵐のようなガタイのいい男の女装をはっきりいって想像したくなかった瞭介はほっとした。
そんな瞭介の様子を窺うように眺めてから、嵐はにやっと笑った。
「もしかして、興味わいた? だったら、こっち来ねえ?」
えっ、とどもって瞭介があとじさると、嵐はわざと追い詰めてもう一度同じ事を言おうとした。
「瞭介だけは奪っていくなよ」
オーナーが口を挟んだ。唐突に現れたため、二人ともが驚く。
「瞭介、脩が探していたぞ」
慌ててロッカールームを後にする瞭介を見送り、オーナーを見上げると、その顔に嵐は笑いを堪えられなかった。
ふと、口ミオに嵐が来た日を数えると片手では足りない事に気づく。そして、いつのまにか口ミオに馴染んでいる嵐を思い浮かべれば、その横には瞭介がいた。
夏揮は住まいの床でくつろぎながら、雑誌なんかを読んでいる脩に話し掛けた。
「ねえ、先輩、危ないんじゃないっすか? 嵐さんに、持ってかれちゃいますよ!」
そんな風に言われるくらいに、瞭介はここのところ(女性の次に)嵐につきっきりだった。
いたって嵐は悪い奴でもなく、それらしく下ネタが好きで、それらしくもなく竹を割ったような性格がやけにホストたちに受けて、日増しに彼が手を振る相手は多くなっていた。夏揮も振り返したことがある。
だが、それは瞭介が別格のような扱いを受けていて、犠牲者は決まったと思われているふしがあるからこそ、行われている接触であった。
「ああ、危ないな……」
「ちょっと、なんでそんな冷めてるんですか! 先輩が掘られちゃったらどうすんの!」
どうしろってんだよ、つうか話が飛躍しすぎてるだろ、と脩がひと睨みする。
どっしり構えているのには理由があった。嵐のかまいっぷりが激しかろうが、瞭介がまんざらでもなさそうだろうが、女性の笑顔が口ミオにある限り、彼がそれを捨てるとは思えないのだ。彼は瞭介を信じていた。
「あの人もからかってるだけだろ」
「そうかなあ、結構お熱ですよ、嵐さん。それで、ノンケ殺しらしいし」
それはどこ情報だ、つうか話に引き抜きが関係なくなってきてるぞ、と脩は目を剥いたが、その時夏揮の携帯電話が会話を切り裂き、それに夏揮は嬉々として電話に出た。
ああ、客からか。納得したところで、脩も雑誌へと視線を下ろし、ひとまず会話は終わった。
そんな夏揮や脩の心配をよそに、今回は珍しく瞭介が嵐に会いに行っていた。
時々無性に嵐の笑顔を見たくなる気持ちの名前に瞭介はピンと来ておらず、二人きりになっても情事にもつれ込むことこそないが、彼はまんまとノンケとして狩られたようなものだった。
前にすごいことになっていた背の高いオッサンにまた絡まれながらも、どんな暴言にも耐えているそういった気丈なところが好きなのかもしれない。それにしても、オッサンは本当に口汚く嵐を罵る。
反論しようとした瞭介を無理に脇に下がらせて嵐はそれを全て聞ききった。
デートの余韻が残る帰り道が台なしだ。二人が無言で並んで歩き出した時、嵐は思わず呟いた。
「二丁目出りゃすぐあれだ……ちくしょう、飲みてえな」
二人が別れる道の手前で、瞭介ははっと立ち止まって嵐を見た。こういう人は手厚く慰めたくなってしまうのだ。
「……酒の肴なら、うちにいいのがありますよ」
なんて、誘って。
部屋に上がると、ちょっと見目のいい靴が三足なくなっていた。
アフターかな、全員いない。そう思ったとたん、やけに瞭介の気持ちが軽くなった。
嵐の分だけのタバコと安酒を買って、鮭とばをつまみながら愚痴を聞くだけのつもりでいたくせ、瞭介は安心したのだ。
しかも、思いのほか普通に始まった酒盛りにがっかりとすらしたのである。それも鮭とばに感動している嵐に素直に喜べなかったほどに。
瞭介は喉にでかかった言葉が出ずにもやもやしている、そんな自分を不思議に思っていた。
しばらくは世間話で時間がつぶれた。
やや酔いがまわってきようとも、嵐が自ら愚痴りはじめなかったからだ。瞭介に思わず話を切り出させてしまうほどに頑なに。嵐は気にすんな、と何度も繰り返した。
「俺らみたいのは人の数倍傷ついて、人の数倍強くなってるつもりだから」
そう言い切った顔はらしくもなく辛そうだ。ふと嵐が顔を伏せ、それにつられて瞭介が顔を覗き込む。次の瞬間には、唇を奪われた。
そうなると、二人は早い。瞭介も嵐も欲に狂ったように貪りあった。頭がちかちかするのを感じながら、瞭介は自分を押さえられずに嵐をどんと押し倒した。その時、やっと喉につっかえていた嵐が好きだという言葉が頭に溢れ出したのだ。
しかし、腰を擦りつけあっているうちに、嵐はなんとなく頭が覚めてきた。
そうだ、こいつ、いい奴だったから一発やりたかっただけの相手じゃん。嵐は驚いていた。引き抜きとかは関係なく、彼の頭の中ではもっと別の、熱っぽい思惑が支配し始めていたからだ。
こいつの記憶に今を焼き付けたい。行きずりは行きずりでも、この一度だけを深く記憶の底に刻み付けてやりたい。
そんなファンタジーなロマンスを感じておきながら、だったらアナルセックスに持ち込むしかない、と嵐は現実的に考えた。
相手はちょっと気がそれただけのノンケ。さぞかしたまげるだろう。そして真性ネコの嵐にとってローションとゴムがあればそれは容易いことだった。
「ゴムとローションある?」
息も絶え絶えに嵐が聞くと、瞭介が指差す。
それを取りに行った嵐の姿を見て、まさか突っこまれるのかと瞭介は指を差しておきながら思ったが、次には嵐が足元にうずくまってゴムをかぶせた瞭介の一物を引っ張り出してしゃぶりだしたため、それどころではなくなった。
器用にも服も脱ぎ始め、自らの尻に手を伸ばす嵐。瞭介はぎょっとしてそれを見た。一物を奥までくわえ込み、舌でやわやわと刺激しながら、ローションを手にたらし、自らのアナルを念入りに揉み解している。
しばらくして、嵐はひょいとひっくり返って言った。
「遠慮すんな……」
その言葉どおり、瞭介は嵐に覆い被さった。
嵐がぐっと息を堪える。そして瞭介が嵐にすべてを押し込み終わると、空気で膨らんだ彼の胸板にそっと頭を置いた。
その途端に胸板が激しく揺れて、呼吸を再開する。自らのやっていることはいつもと変わらないのに、明らかに女性とは違う未知の快楽に瞭介はくらくらした。
はっと目覚めた瞭介はまず時計を見た。口ミオに行くにはまだ少し早い時間だ。
「あ、起きた」
びっくうと瞭介は跳ね上がった時、何かが腹に落ちてきたのを感じて反射的に隠す。布団に埋もれながら振り返ると、そこには夏揮がいてカップラーメンをすすっていた。あっ、俺パンツ穿いてる。えっ穿かせてもらった? いや自分で穿いたな……
嵐は忽然と姿を消していた。布団の中に「借りは返ったって言っといて」と書かれた嵐の為に買ったはずのタバコの箱を置いて。
「あれ? ちょっとー、シカトっすか! ちょっとー、そういうの一番傷つくんですけど!」
夏揮を無視して、瞭介は布団の中に隠れながらタバコを眺める。そして嵐にまた会えるだろうかを考えた。
二人は双方の店も電話番号も知っているのだから、会おうと思えばごく簡単に会えた。瞭介が考えているのはそんなことではなく、恥じ入ったり嵐に悪い気がして、自分がそんな簡単に会ってもいいのかを考えていた。
そのうちに、もしかして、借りは返ったって、引き抜きの変わりに俺が……と気づいて、ささやかな失恋を体験したあとに、瞭介はふと思った。
どうしよう、今後女性に会ったとき、以前のような愛情を感じられないかもしれない!
そんなのホストじゃない、と瞭介は慌ててごそごそとやましい雑誌を出して眺めてみた。パンツ一丁で踊り出てごそごそしだした瞭介を夏揮が不審そうに見つめる。
そんな視線をものともせずに瞭介はほっと息を吐いて雑誌をしまった。ホストを続けるには十分な元気さだ。不信感を抱き始めている夏揮の視線をものともせずに安心して口ミオに行く準備を始める瞭介だった。
「貸しは返っただと? なにかあったのか、僚介」
オーナー、すいません、実は、ホストという以前の、もっと大切な何かを奪われてしまったんです……なんて僚介に言えるわけがない。
そそくさと去っていく瞭介を見送ってから、オーナーはふいに店内を見渡してみる。
そこに、嵐さん来ないの? などと本気で思いつめた顔で尋ねているホストを数人見つけて、あのノンケ殺し……とオーナーは思わずぼやいたのだった。
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| | □ STOP. | |
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| | | | ピッ (・∀・;) これこそ妄想だな
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長くてほんとすいません…
怒られたんで分けたらとんでもない長さになってしまった
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