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ラルアル

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  悪魔土成ドラキュラ ラルフ×アルカード7回目だよ
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  ちょっぴり仕返ししてみるアノレたんだよ
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ >>19->>30の後半ですよゴルァ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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             ◆

 翌朝、予定通りに、ラルフは朝食を呑みこむように片づけるが早いか、エルンストがやってくる前に席を蹴り、急ぎ足
で西の小塔に向かった。
 ところが、案に相違して部屋の主はそこにいなかった。
 一瞬ひやりとしたが、剣とマントはきちんと壁にかけられているので、屋敷からいなくなったわけではないら
しい。仕方なく本館に戻り、最初につかまえた女中にアルカードを見なかったか、と訊いてみると、ちょっと頬を染
めて、それでしたら、と答えた。
「あの方でしたらこのごろ、毎日のように東翼の蔵書室に出入りなさっているようです。何度かあそこにお飲み
物をお運びしました。あそこにあるなにか昔の記録や、ご本なんかを研究なさっていらっしゃるみたいで」
「蔵書室?」
 反射的に、首の後ろがざわざわする。
 蔵書室というのは、初代の鞭の遣い手だったレオン・ベルモンド以来、闇の狩人として生きてきた代々のベルモンド
たちの手による古記録や書物、日記、闇の住人に対する心覚えなどが大量にしまわれている場所だ。
 幼いころのラルフは、父によって鞭術を叩きこまれるのと同時に、正確な知識を身につけるためにも蔵書室の
書物の一冊でも目を通せと毎日やいやい言われつづけた。
 そんなもの読まなくても、自分が十二分に強くさえあれば負けることなどあり得ないというのがラルフの、今も
変わらぬ本音だった。父が死んでからは、エルンストが入れかわって、他のことと同じく口では言わないまでも、
無言の圧力で押しつけてくる。ラルフにとっては、できれば近づきたくない場所だった。

 しかし、アルカードがいるというのなら行かないわけにもいかない。長いあいだ足をむけたこともない場所に
しぶしぶ足を運び、ドアを開ける。
「アルカード? そこにいるのか?」
 黴と埃、そしてインクと古くなった羊皮紙の匂いがどっと流れ出してきた。
 思わず鼻と口をおおって目をこらしたが、暗い書庫の中は床から天井まで本や紙束、丸めた文書で埋めつく
されていて、人っ子ひとりいない。
 蔵書室の隣は書字と読書のための続き部屋になっていて、古い樫の大テーブルと椅子が並び、窓のそばには
大きな書見台が据えられている。
 書見台の一つの前に、きらりと銀色の光がきらめくのが見えた。
「アルカード……?」
 歩くたびに舞う埃に閉口しながら、ラルフは書庫を抜けて書字室に足を踏みいれた。
 アルカードは書見台によりかるようにして、分厚い革装の書物にかがみこんでいた。
 書見台のふちに肘をかけ、少し身をひねって真剣な顔をしている。くっきりとした横顔が、白い光に縁取られ
て見えた。開け放たれた窓から射しこむ陽光が、肩に流れる銀髪の上で楽しげに踊っている。
 手にしたペンを口もとに当てて少し考え、頁の余白にいくつかさらさらと書き込みをしてから、初めて気づい
たように顔をあげて、ラルフを見た。
「ラルフ? どうかしたか」
「どうかしたか、じゃない」
 ラルフは相当むっとしていた。
 こちらがあれほど心配して朝食を丸のみにしてまで来てみれば、当の相手はしごく平穏なようすで、かび臭い
紙束を相手に一心になっている。足音荒くラルフは書字室に入っていった。

「こんなところで何をしてるんだ。そんなもの広げて」
「ベルモンド家の過去の記録に目を通していた」
 さっきまで書き込みをしていた書物の頁にいつくしむように指を走らせる。
「すばらしい家系だな、おまえの家は。ここまで詳細に魔物やそれに関する知識を、偏見なく集めているとは驚
いた。しかもそれをほぼ四百年近く続けているとは、なまなかなことではない」
「世辞はいい。何をやってたかと聞いてるんだ、何を」
 ラルフの機嫌は少しもよくはならなかった。
 ほとんど身ひとつでやってきたアルカードのために、今ラルフは近在の仕立屋に、彼の身体にあわせた服を急いで
仕立てさせているところである。
 だが、出来上がるまでのつなぎにと出したラルフの昔の服は、急いで裾と着丈は詰めさせたものの、肩幅と腰
まわりの差は詰めるくらいではどうにもならなかった。
 結果、現在のアルカードは華奢な身体にラルフの大きすぎるシャツをまとわりつかせ、余ったところを折り返した
袖口から細い手首を覗かせている。同じく子供の頃のラルフのものだった短靴を履き、インクのしみのついたペン
を手にしたところは、まるで十二、三の少年のようだ。
 それでいて、ふだんとあまりかわらない老成した口をきくのがいまいましい。怒っていいのか笑うべきなの
か、ラルフには見当がつかなかった。
「よく調べられた記録ではあるが、やはり残念ながら抜けや、勘違いがところどころ目につく」
 アルカードはまたペンをインクにつけ、先ほどの続きにまた一言二言書き足した。
「私にわかる範囲でそのあたりの修正や、注釈を入れさせてもらっている。おそらく誰かが翻訳しかけたまま中
断したと思われる魔術書も見つけたから、それもひと月そこらあれば完成させられると思う。もはや古くなって
いる知識も多いから、そちらは私が新しく書き直しておく」

「書き直しておくって、おまえ、読み書きができるのか?」
「ラルフはできないのか?」
 意外そうに問い返されて、ラルフは返答につまった。
 むろん、できないことはない。荘園主として処理しなければならない書類や監督すべきことがらを考えれば、
ある程度の読み書きはできなければやっていけないし、キリスト教徒として育てられた人間として、聖書もそれ
なりに拾い読み程度はできる。
 しかし、だからといって分厚い本を自由に読みこなしたり、それについて注釈を書いたり、外国語の本を翻訳
したりすることはまったく別次元の問題である。荘園関係の書類はある程度の定型があるから限られた単語さえ
覚えていればなんとかなるが、自分の考えを自由に文章で述べるというのは、ラルフにとってはまったく理解の外
の話だった。ましてや、見る気もしないようなぎっしり字の詰まった書物をらくらくと読み、さらにその翻訳
や、間違いまで指摘するに至っては。
「それは、まあ、一応できるが。翻訳って、おまえドイツ語以外にも何かできるのか」
「ラテン語とギリシャ語に関しては、とりあえず不自由ない」
 あっさりと言って、アルカードは頁をめくった。
「あとは英語と、フランス語とイタリア語か。イタリアに関しては方言が多いので、全部というのは無理がある
が。ルーン文字を習ったときに、ゲール語とオック語も少し教わった。トルコ語も一応理解はできる。東洋の言
語は独特で興味深いが、文字が難しいのでなかなか覚えきれない。研究の余地があるな」
 ラルフはあいた口がふさがらなかった。
「それだけ、全部、か……?」
「人間の言葉なら、だいたいこれだけだと思うが」

 ということは、人間でないものの言語もあるのか、と訊こうかと一瞬思ったが、訊いたらもっと恐ろしい答え
が返ってきそうでやめた。
「本は、好きだ」
 古びた羊皮紙の頁をたどりながら、アルカードは懐かしむように目を細めた。
「幼いころはたいてい、城の図書館が遊び場だった。手当たり次第に本を選んでは、図書館の主に読み方を教え
てもらった。『書物とは、すなわち知識。正しき知識とは、まさにこの世の何にも勝る宝でございますぞ、
若君』というのが爺の口癖だった」
「俺は理解できんな」
 アルカードが昔のことを口にするのは珍しかったが、ラルフはやはり不機嫌だった。
 あまりの世間知らずぶりに忘れていたが、アルカードは魔王の一人息子なのである。
 魔王たるドラキュラ公は、人を攻撃しはじめる以前は魔道の研究者としても名を馳せ、噂ではあるが人間の学徒を
城に入れて禁断の知識を分け与えていたという。そういう父の息子が、それなりの教育を受けていないはずはな
いのだった。人間で言えば、皇帝の息子なのだ。皇帝の息子が皇子らしい学問を身につけているのは当然だろう。
 しかし、ここまでずらずらと教養の差を、それもあたりまえのように並べられるといささらむかっとくる。
写本の、ずらりと並んだ文字に混じったアルカードの瀟洒な筆跡を横目で見て、ラルフは鼻を鳴らした。
「こんなもの黴くさいもの読まなくたって、毎日きちんと鍛錬をして技を磨いていればどんな相手にも負けは
しない。だいいちこんな埃だらけの場所、いるだけで息がつまるし肩が凝るだけだ。こんな蟻の行列みたいな
もの頭に仕込むより、外で型の一つも身体に覚えさせたほうがずっといい」
 アルカードは目をあげてラルフを見た。
「な、なんだ」

 蒼い瞳に凝視されて、心ならずもラルフはあわてた。
「なんなんだ一体。言いたいことがあるならさっさと言え」
 長い沈黙のあと、アルカードは黙って横を向くと、使い古した羊皮紙の切れ端と、ペンをとってぐいとラルフに差しだした。
「な、なんだ? なんのつもりだ」
「座って、今から私が読む文章をそこへ書け」
 有無を言わさぬ口調でアルカードは言った。
「『アルラウネは人間の女の上半身と植物の下半身を持つ魔物である』だ。さあ、座って、書いてみろ」
「ちょっと待て。なんで俺がそんなことを」
 アルカードはふたたびじっとラルフを見つめた。
 ラルフは身を引き、唸り声をあげ、何度も視線をそらそうと努力してから、罵りの言葉とともに紙とペンを受け
取って、樫の大テーブルに腰をおろした。
「どうした。手が動いていないが」
「……文章を忘れた。くそっ、もう一度言え、もう一度」
 結局アルカードは同じ文章を三度くり返して読み、さらにもう一度、一語ずつ区切ってゆっくりと読み上げること
となった。
 罵りと唸り声と呪いの言葉だらけでやっと完成した書き取りを手に取ってみて、アルカードはまたもやしばらく
沈黙していた。
「これは……なんというか、その」
 ようやく、ぽつりと言った。
「非常に──個性的な、字だな」

「下手なら下手とはっきり言ったらどうなんだ、畜生め」
 今やラルフは完全にかんかんだった。開き直って椅子にもたれかかり、腕組みしてふてくされたようにそっくり
かえる。
「下手で悪いか。どうせ字を書く機会なんざ、書類にサインする時くらいしかないんだ。意味さえわかりゃたく
さんだ。違うか、ええ」
「綴りと文法もきわめて独創的だ」
 ラルフの開き直りは無視してアルカードはペンをとり、『独創的な』綴りと文法のあたりに印をつけて修正した。ラルフ
の断末魔の毛虫がのたくったような筆跡の下に、さらさらと正しい文章を書きつける。
「しかし、これでは書いた人間以外の者が読めない。それでは文字を書く意味がないだろう。次は、これを写し
てみろ」
 と、別の紙を滑らせてよこした。
 反射的に拾いあげてみて、ラルフは後悔した。アルカードが本から書き抜いたらしい文章が、何行かに渡って書き
つけられている。
「おい、なんだこれは一体。何のつもりだ」
「せっかくこれだけの宝があるのに、利用しないのはもったいないだろう」
 かたわらに積みあげた分厚い本と、隣の蔵書庫を目で示してアルカードは言った。
「その調子では、どうやら一冊も読み通したことがないようだ。当主がそんなことでは、私も注釈を書く
はりあいがない」
「それで俺に今さら読み書きの練習をしろっていうのか? 餓鬼か俺は。エルンストみたいなこと言いやがって、
あのなアルカード──」

 そこでまた、アルカードの視線にぶつかった。
 とたんに抗議が喉につまる。さんざんぶつぶつ言い、目をそらそうとし、席を立つむなしい努力をつづけた
あと、ついにラルフは降参した。
「えい、くそっ」
 ペンを折れんばかりに握りしめ、仇を見るような顔で羊皮紙を睨みつけて、ラルフは背中を丸めて課題に襲いかかった。
「畜生。見てろ、こんな蟻の行列、歩く鎧の集団に比べたら楽勝だ。俺がこんなものに臆すると思ったら大間違
いだ、後悔するな、くそっ、畜生」
「その意気だ」
 平然とアルカードは言って、書見台に向きなおった。
「それから、できれば綴りと文法に関する独創性は控えめにしてくれると助かる。誰でもおまえと同じ発想が
できるわけではないからな」
「……おまえ。実は楽しんでるだろう」
 歯を剥いてラルフは唸った。
「別に。ただ面白いとは思っているが」
「同じことだ、こん畜生」
 ──形のいい唇の端が、わずかに上がっていたかもしれない。
 そのままアルカードは注釈の作業に没頭し、その涼しい横顔に恨みの視線を投げながら、ラルフは、鞭の一撃では
打ち倒せない生まれてはじめての敵に、必死の戦いをしかけていった。

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧攻めのでかい服着る細っこい受モエモエッテコトデ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
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