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タクシーの中で
更新日: 2011-04-30 (土) 13:20:48
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )あるあるネタ?で801
2時間前に止んだ雨が空気中の塵を洗い流したような気がする。それとも夜明けが近いせいか。
国道を走るタクシーからみる景色は、ひどく美しく、郷愁を感じさせた。
走り初めてから一度も信号で止まること無く、俺達を乗せたタクシーは走り続けている。
(俺達を止められるものなんて何もない気がしないか)
そんな言葉が浮かんでは消えた。
それは目まぐるしく流動する感情の、刹那の一瞬に過ぎなくて、でも、この気持ちからはぐれたくはない。
こんな小さな奇跡は、次の信号が変わってしまえばあっけなく壊れてしまうものではあるけれど。
泥のように眠っていると思っていた隣の席の男の方を何気なく見ると、意外なことに起きていて、俺の視線に気が付くと歯を見せて笑った。
彼は視線だけで、「気が付いてる?」と問うた。
俺もつられて笑みが深くなる。
タクシーの中で声をあげて笑うことができないのがひどく苦しい。
ニヤニヤしながら笑いを堪える。
こんな小さな、奇跡を、見逃さず笑いあえる幸せ。
お前が、今、隣にいることが、一番の奇跡だよ。
そんなことを考えながら、進行方向に視線を戻すと、信号が、青に変わった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )あるあるトイウカ アリガチネタ。
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