Top/14-33

アフロ×バイザー

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  マヅレンジャーのアフロ×バイザー最終回補完。
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  アフロスルーが悲しすぎたんで妄想したってさー。
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 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ モウソウシタッテサー
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
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Yバ一ンはただ成す術もなく座り込みながら、自分の周囲を見回した。
辺り一面、真っ白な世界だった。そこはインフェノレシアの広大な暗闇を知る彼の目にも、なお広く見えた。
あまりに何もなくだだっ広いので、Yバ一ンにはこの世界がどこまで続いているのか見当もつかない。
自慢の翼で飛び回ろうにも、そこの空気はあまりに重く、翼を動かすにも苦労するほどだったので、
Yバ一ンはその場に座っていることしか出来なかった。
そして、もう一つ彼には動けない理由があった。
ちらりと視線を自分の右手に落とす。 
そこには別の者の手が、まるで拘束でもしてるかのようにしっかりとYバ一ンの手を握り締めている。
ぐい、と不快そうにYバ一ンはその手を引っ張ってみたが、相手の手は緩みもしない。
もう一度、更に強くぐいぐい、と引っ張ってみるが結果は同じだった。
バカ力め。
忌々しげにYバ一ンは相手を見やり、もう片方の手を所在なげに額の部分へと当てる。
その相手、ティ夕一ンはといえば、昔と変わらぬ何を考えてるか判らぬ風情で静かに腰を落ち着けていた。
だが、一つ昔と変わったことがある。
それは、以前は彼らが共に過ごす時はYバ一ンが喋り、ティ夕一ンが聞き役だったが、
今はティ夕一ンがYバ一ンに向けて話し掛け、Yバ一ンがそれを聞く役目に回っているということだった。
話の内容はといえば、ティ夕一ンが知り合い、行動を共にし、そして彼ら冥/府/神を裏切ることになった
魔/法/使/いたちの話で、Yバ一ンにとっては知りたくもないことだったし、耳に入れても理解するつもりもなかった。
大体、何で僕とこいつだけなんだ。
周囲を見回しても、そこには彼ら以外の者の姿は見えない。
もしも肉体を失った魂の辿り着く場所だというのなら、以前に倒された他の冥/府/神がいても
良さそうなものだが、冥/府/神どころか冥/獣一匹さえ見当たらない。
ティ夕一ンはといえばYバ一ンが聞いていないのも構わず、話を続けている。それは支え合うことがどうとかいう、
Yバ一ンには全く興味のない話だったので、ついに痺れを切らして、その話を遮った。
「あのさ、そんな話より、もっと面白い話が出来るんじゃないの?」
いきなり話を中断させられたティ夕一ンは、ただ押し黙ってしまう。
「ン・魔の肉体を、目を通して、見えてるんだろう、向うの様子が」

ティ夕一ンは口を開かない。だが、彼のそんな様子にはYバ一ンは慣れっこだった。
「教えなよ、ティ夕一ン。何があったかをこの僕に」
Yバ一ンはティ夕一ンの口から地/上/界と天/上/界、そして彼が肩入れした魔/法/使/いたちが
滅びる姿を聞けると思っていたが、返ってきた言葉は意外なものだった。
「スレイプニノレが魔/法/使/いたちに倒された」
「……スレイプニノレが?」
耳を疑う話だった。インフェノレシアの矛たる二/極/神の一柱である彼が魔/法/使/いごときになど。
彼はもう一柱の二/極/神卜゙レイクとは違い、冷静でしくじりのない頼れる神だったはずだ。
だが、その次の言葉は更に信じられなかった。
「夕゙ゴンもだ」
「バカな……夕゙ゴンは無敵のはずだ!」
少なくともYバ一ンはそう信じていた。厳格で冷酷な、冥/府/神の実質的なリーダーである彼は、
Yバ一ンが憧れを抱く唯一の相手だった。
「嘘をつくな、ティ夕一ン。魔/法/使/いごときに夕゙ゴンが倒されるわけないだろう!」
「夕゙ゴンを倒したのは魔/法/使/いじゃない」
「じゃあ誰なんだ」
「スフィン楠だ」
その名に、Yバ一ンの頭の中が混乱する。
スフィン楠? 何故彼女が、最も闇の戒/律に厳格だった彼女が。
「嘘だ!」
「嘘じゃない。賢明な彼女は勇気を、支え合うことの大切さを知ったんだ」
「仮にスフィン楠が裏切ったとしても夕゙ゴンが負けるわけないだろう、この嘘つき!」
ティ夕一ンの手をもぎ離そうとYバ一ンは半ば身体ごとそれを引くが、
ティ夕一ンはその手をしっかりと押さえ込んでしまう。
「夕゙ゴンは確かに強かった。だが誰をも信じず、自分とン・魔だけの闇の世界に生きていた」
「それの何が悪いんだ! ン・魔は絶/対/神だ! 僕らは彼のために存在してたんだろ!」
だがティ夕一ンは、Yバ一ンの言葉を断ち切るように短く、だが決然とした口調で言った。
「ン・魔は滅びた」

周囲の空気が重さを増し、絡み付いてくるようにさえ感じ、Yバ一ンは呆然とへたり込んだ。
「嘘だ……」
ぽつりとそう呟くが、Yバ一ンはティ夕一ンが嘘をつける性格ではないことを知っていた。
だから、彼の言葉はすべて真実なのだろう、とは理解していたが、どれも到底受け入れがたいものだった。
「支え合う力は、何よりも強い。ン・魔は満たされて消えていった。俺は自分の体を通じて、それを知った」
自分の手を握るティ夕一ンの手の力が少し強くなったのを感じ、Yバ一ンは小さく溜め息をついた。
「満足かい」
「何がだ」
「お前のくだらない自己犠牲がちょっとは報われたことがだよ」
皮肉のつもりだったが、ティ夕一ンは正面からじっとYバ一ンを見つめて、真剣な声を出す。
「俺は犠牲になったつもりはない。最後までやり遂げることは出来なかったが、
それでもやるべきことをやろうとしただけだ」
「はいはい」
言いながら、軽く手を引いた。当然、外れることはない。
「戻らないのか?」
Yバ一ンにそう問いかけられて、ティ夕一ンはやや戸惑った様子だった。
「戻るってどこにだ」
「お前が守ろうとした地上の連中、魔/法/使/いどものところにさ」
「どうやって戻るんだ。俺の肉体はン・魔と共に消えたんだ」
「それはそうなんだけどさ、何と言うかセオリー的にね」
そもそも、自分たち神が死ぬものなのかYバ一ンにはわからない。
今だって、肉体を失いながらもこうして会話をしている。
少なくともティ夕一ンには行きたい場所や会いたい相手がいる。
ならば、意志一つで戻ることも出来るのではないだろうか。
「支え合う力は無限なんだろ。だったらお前一人戻すくらい簡単なんじゃないのか」
それはからかい混じりの本音だった。今にも地上の彼らがティ夕一ンを呼び戻し、
この手が消えるのではないかとYバ一ンは思った。

だが、ティ夕一ンは否定の意を込めて頭を横に振る。
「仮に戻れたとしても俺は戻らない」
「何でさ、君……いやお前はあいつらのために僕ら冥/府/神を裏切ったんだろ。
それだけ奴らが……好きなんだろ」
「ああ、彼らのことは大好きだ。友達だからな」
ちくり、とどこかが刺されたような痛みをYバ一ンは感じたが、それを振り払うように言い放つ。
「そう、だったらさっさと戻れよ。そしてこの手を放せ!」
狂ったように腕を振り回し、Yバ一ンはティ夕一ンの手を引き剥がそうとした。
だがティ夕一ンが逆にYバ一ンの手を引っ張り、そのままYバ一ンはティ夕一ンの腕の中に収まる格好になってしまった。
そうなれば体格差もあり、どれだけもがいてもYバ一ンは成す術なくティ夕一ンの腕の中にいるしかない。
「このバカ力! バカ力! バカ! バカ! バカ! 大嫌いだ! 裏切り者!」
空いているほうの手でYバーンは何度もティ夕一ンの胸から肩にかけて殴る。
生前の感覚が残っていれば痛くないわけがないのだが、ティ夕一ンはされるがままだった。
「俺がしたことで、お前を傷つけたのなら、それはすまないと思ってる」
Yバ一ンは顔を上げ、ティ夕一ンをじっと睨んだ。怒りでバイザーの奥の目が爛々と光っている。
「僕がお前に傷つけられたって? ふざけるな! 僕は冥/府/神としての誇りを捨てたお前が許せないだけだ!」
「誇りを捨てたわけじゃない」
その静かで落ち着いた物言いに、Yバーンの怒りが多少なりとも静まったのか、罵る言葉が止まる。
「ずっと昔から、心の奥底にわだかまっていた。何かを滅ぼすということに対し、俺が感じる違和感や苦痛、
それは冥/府/神の使命の前には押し隠さねばならないものだと思っていた」
Yバ一ンはかつてのティ夕一ンの姿を思い返す。何を考えているのか、さっぱりわからなかった彼。
その彼がそんなことを考えていたなんて、Yバ一ンは全く知らなかった。
「けれど、ホウ力やオ二イチャンたちに出会って、俺は気付いたんだ。
俺も、お前も地上の者たちも皆、生きているということに」
「生きてる……?」
「そうだ、生きているっていうことは温かい。そして、俺は誰も死んで欲しくないと願うようになった」

その言葉は、完全にYバ一ンの理解の範囲外だった。無意識に、再び額に手をやった。
死んで欲しくない? どういうことだ。
「ン・魔のの依代に選ばれ、俺は思った。俺がン・魔と共に眠りに付けばすべてが終わると。
ン・魔の復活が成らないとなれば闇の戒/律を守る必要もなくなる。地上に神罰を執行しなくてもいいし、
魔/法/使/いたちと争う必要もない。誰も、死ななくなるんだ」
「そんなことのために裏切ったのか、そんなことのために永遠の眠りにつこうとしたのか、お前は!」
「他の誰かが死ぬのを見るよりはいい」
Yバ一ンは苛々と、小さく足を踏み鳴らす。
何が死んで欲しくないだ、訳がわからない。
大体、僕が死んだのはある意味お前のせいだぞ。
そこに考えが至ると、Yバーンの胸内に屈辱感が湧き起こる。
それから逃れるためにティターンから離れたい、と心底思った。
「これ以上、お前の寝言に付き合ってられないよ。さっさと地上にでもどこにでも消えてくれ」
だがティ夕一ンは、そこから立ち去ることも、Yバ一ンの手を放すこともしなかった。
「それじゃ、誰がお前を支えるんだ」
「僕を支える? 思い上がるな!」
力任せにティ夕一ンの手を振り払い、身体も離そうとするが、それは彼の意思を表すかのようにびくともしなかった。
「思い上がりじゃない、ただ支えたいだけだ。お前が俺を支えてくれてるように、支え合いたいだけだ」
「僕がお前を支えてる……?」
「そうだ、俺がそのことに気付く前から、お前は俺を支えていた」
 ティ夕一ンの腕の力が緩み、Yバ一ンはそっと身体を離した。だが、相変わらず手は握り締められたままだった。
「俺は確かに地上の者たちを支えるために一度お前を裏切った。そうすることですべてを救えると思っていた。
だが、彼らは俺の支えなどなくとも、自分たちで支え合うことでン・魔を倒した」
ふとYバ一ンは、自分を包むティ夕一ンの手が温かいように感じ、ばかな、とそれを否定する。
「だから俺は戻らない。ここでお前といたいし、お前を支えたい。Yバ一ン、俺のことを信じてくれ」
「信じるって何だ、僕のことを信じてなんていないくせに」

夕゙ゴンがそうだった、とYバ一ンは苦渋と共に思い返す。
信じて欲しかったのに、僕のことを一度たりとも信じようとはしなかった。
「信じてる。お前が俺の友達だってことを」
「友達……?」
「ああ。友達だ」
 聞きなれない単語にYバ一ンの表情に戸惑いが混ざる。
「何、それ」
「実は、俺も教わったばかりで詳しくは知らない」
 ふん、とYバ一ンが鼻で笑う。
「いい加減だね、全く」
「だが、とても良いものだ。それは確かだ」
 そして、握り合わされた手を視線が重なる場所まで上げた。
「知っているか、握手すると友達になれるんだ」
「知るわけないだろ、バッカじゃないの」
 ぷい、とそっぽを向きながらも、Yバ一ンの視線はいつの間にかティ夕一ンに戻り、そして二人の手へと移る。
「そういえば、君がこんなに喋ってるの、初めて聞いたよ」
「まだまだ、話したいことがある」
Yバ一ンは、目の前にいるティ夕一ンを初めて会った相手であるかのように見つめた。。
自分の目的そのものであったン・魔、そして、そこへの導き手であり、憧憬の対象であった夕゙ゴンを失い、
自分自身の肉体も失ったのに、不思議と気分が良かった。気のせいか、周囲の空気さえ、軽くなったように感じる。
 今なら、飛べるかもしれない、とYバ一ンは考えたが、そうすることはなく、
その代わりに、目の前の相手に声を掛けた。
「いいさ、話しなよ」

「スフィン楠様~ティ夕一ン様は~」
「ティ夕一ン様は~」
 そう尋ねてくる名イと目アに、真/実/の/影/澱/み/し/沼から戻ったスフィン楠は眼鏡を押し上げながら、
いつもの落ち着き払った口調で答えた。
「彼にはまだ、戻る意志がないようですね」
 えー、と二人が残念そうな声を出す。
「ティ夕一ン様、優しかったのに~」
「優しかったのに~」
 だがすぐに、思い直したように弾んだ声で問い直す。
「じゃあYバ一ン様は~」
「Yバ一ン様は~」
「彼はもう少し、精神的な熟成が必要のようです。しかし貴女方は彼が冷静さを失ってからは特に、
随分ぞんざいな扱いを受けていたと記憶していますが」
にこにこと幸せそうに笑いながら、名イと目アは同時に顔を赤らめた。
「だってYバ一ン様カッコいいんですもん~」
「カッコいいんですもん~」
きゃあきゃあと騒ぐ二人で一人のクイーンヴァンパイ亜を横目に、スフィン楠はこれからのことを思った。
考えてみれば、これまで十ネ申全員でやっていた(中には邪魔しかしない者もいたが)インフェノレシアの統治を、
これからは自分だけでこなさなければならないのだ。しかも、新たな秩序を作り、
地/上/界や天/上/界と共存していかなくてはいけない。それは、生半可な苦労ではないはずだった。
目先の幸せに溺れまくって、あのアフ口野郎。少しはこっちの苦労も省みろ、戻れるならさっさと戻って来い。
お前ら、見てて恥ずかしいんだよ。
そんな悪態を知性と理性でどうにか押し隠し、いっそン・魔を探して漂っているはずの夕゙ゴンの魂を捕まえて、
今度こそ力ずくで言うこと聞かせたほうが早いかもしれない、とそんなことを考えながらスフィン楠は
自分以外のネ申々が全員欠席になっている、愛用の出席簿をバタン、と音を立てて閉じた。

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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 萌えるネ申々をありがとう塔A…
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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