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ほんのり801のえいご漬け

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ほんのり801の英/語/漬け
ほぼ例文をつなげただけの文章なので、
持っている人は「2-3」の男ボイスを中心的に見て符合したらニヤリとしてください。

「大きい街は苦手なんだ。人がいっぱいいるし、物はいっぱいあるし、目まぐるしいね」
 薄暗い部屋の中で目線もくれずに言う彼は、広いキャンバスににぎやかな街の風景を描いていく。
 着ているものから、冬の街だろう。色とりどりのコートを着た人々がウィンドウショッピングを楽しんでいる絵。
一人ひとり違った表情はしているものの、どこか一様に寒さをこらえている様なほのぼのとした印象を受ける。
「コーヒー、まだある?」
「飲む?」
「うん。…で、なんの話だっけ」
 僕は彼の助手権モデルをひきうけたのだが、助手なんてのは何てこと無いただの給仕。
モデルってのは…ただヒトの骨格をしてりゃ何でもよかったらしい。
 それでもこの1年と少し経つこの共同生活を楽しんでいた。
 彼も、少なくとも嫌ってはいないと思う。
「君は…ああ、ありがとう」「どういたしまして。"君は"?」
 絵を描いていてもひっきりなしに動く口は、こうやって時々続けてやらないと何を言いたかったか忘れてしまうときがある。
 病気ではないらしい。ただ、極端に忘れっぽい上に人と話すのは年単位ぶりというのだ。
 だから、僕なんかとの会話を楽しんでくれていると思えば、別段苦にはならなかった。
「ええと、そう。君は、自分の将来のビジョンが見えている?」
「どういう?」
「それを僕に聞かせるのが今の君の仕事だ」

 さて、困った。
 得にはっきりしたビジョンは僕には無い――あればこんなところでこんな事はしていないだろう――。
しかし、答えねば給料が出ない可能性が出てきた。

 「そうだね…」僕はとりあえず考えている風な単語を呟く。そして空になったポットに、いくらかのコーヒーを淹れに行くのだ。
 そうすりゃ3分後には話題はかわる。
「少し時間をくれ。僕はさっきまできみが今朝資料にしたいといっていたローマに関する文献を探してたんだ。
 それを続行したいんだけど今の仕事と平行するにはちょっときついな

 彼はしばし眉根を寄せて考えたが、僕の将来よりもローマの過去についての方が興味深かったらしい。
一つうなずいてハエを追い払うように手を振った。
「あ…でもお喋りは続けて。この仕事をするのはとっても簡単な事だと思うけどね」
「確かにさっきより幾分かは」

 そして僕は部屋の隅に積み上げられたバカみたいな量の本を漁り始めたが、その作業はすぐに中断される羽目になった。

「ちょっと来てくれ。背筋がどこまで自然に反るのか見たい」
 「助手」の仕事が終わり、今度は「モデル」の仕事、という訳だ。
 逆らわず、はいはい。と僕は答えて言われたとおり背筋を反らせる。
そこまで行くと変だのなんだの言われて、彼の納得がいく角度で止められた。

「その茶色いコートの女の人は? その人だけなんで地べたに座ってるの?」
「これ…この人…こいつは、ここに居る犬が怖いんだ。君にたまねぎを食えと叱られた日に生まれた」
「じゃあ、その黄色いネクタイに灰色のスーツの男は? 急いでるのか? この人ごみを疾走してる」
「会議に間に合わないんだ。こいつは会議の日程を間違えてた。
 君の誕生日を聞いて、それならば祝ってやろうと思っていたのに忘れて居た事に気づいた日に書いた」
「ややこしいな…じゃあ…今書いている大空を仰いでいる20代前半かな。の男は?」

「君だ」

「…くっ…あはははははは!」
 僕はのけぞったまま笑い、更にのけぞったために倒れてしまった。
 それでも笑いはおさまらない。自分でも何がそんなにおかしいのかと思うことなのに。
「ああ、ねえ、僕の将来のビジョン、たった今見えたよ」
「ぜひ」

「あなたと一緒に、その街に生きたい」

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )お粗末summer


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