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黒曜・ムリヤリムクイヌ

ID:/suh54wY
リボーンの骸犬で書かせていただきます。
二人ともホモじゃないのに、犬の勘違い・先走りのせいで…というかんじです。

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「昔は、男の主人のために男の部下が奉仕するのって当然の仕事だったんだって。」

何気なく言ったのだろうが、柿Pのそのセリフは犬に衝撃を与えた。
食べかけていたスナック菓子の袋がぼとりと床に落ち、何枚ものポテトチップが床に散らばった。
その様子を気にいらなそうに見つめる柿Pをよそに、犬はちっさなミクロ脳みそを回転させた。
奉仕。俺にもできる。
俺が奉仕することで主人・骸さまが喜ぶのなら、なんでもしようと思った。
アナルセックスというのは経験したことがないが…『あの』百戦錬磨の骸さまならなんでもこなすに違いない。
何かを決心したようにぎゅっと唇を結び、犬は夜を待った。
皆が眠りに落ちる、夜を。
〔骸さんはきっと、よろこんでくれる…〕
全てを捧げる覚悟の俺に、骸さんはきっと感激するに違いない。
今以上に、心から、部下の俺を愛してくれるかもしれない。
そう思うと不安より期待のほうが大きくなった。

深夜**

普段、夕飯を済ませるとすぐに寝付く犬にとって、夜更かしは想像以上に辛いものであった。
しかし、うとうとと眠りに落ちそうになるたびに、骸に褒められている自分の姿を想像しては瞬きを繰り返し、
なんとか深夜二時まで起きていることができたのだ。

「んん…よしっ」
眠気をはらうように頬をニ、三度叩いて、いつも骸の寝ている部屋に向かった。
廃墟は荒れ果て、どの窓ガラスも穴だらけだ。
冬の夜風に身をさらしながらゆっくりと、尊敬する主人の寝床を目指す。
柿PやMMが目を覚まさないよう、慎重に慎重に歩く自分は、スパイみたいでかっこいいと思った。

「むくろさん、」
錆びついたドア越しにそっと呼ぶ。
何度かちいさい声で名前を呼ぶと、骸はすぐに気付いたようで、犬を招き入れた。
「どうしたんですか、犬?」
「えっと、え、と」
覚悟は決めていたはずなのに、骸を目にすると戸惑ってしまう。
男の目からみても端整な顔立ちが、きれいな眼が、犬の一挙一動を捕らえていた。

「おれ、」
「なんです?」
「だ、だいて、くらさいっ」
「…え?」

しまった、『好きにしてください』だったかなと一瞬思ったが、もうあとは骸にまかせることにした。
自分はいわれるままに尽くそう。
そしたら、骸さんは、よろこんでほめてくれる。
緊張で流れた汗が、犬の額に粒を作った。

つづく


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